5スレ>>674

2/14―バレンタインデー
毎年この日は、うちの子たち皆がそれぞれにチョコを作ってくれる。
さて、今年はどんな感じだろうか?


「マスタああぁぁぁーーー!! チョコ作ったぞぉぉぉぉ!!」
真っ先に猛ダッシュ……というかタックル仕掛けてきたのはブースター。
「げふっ!? ちょ、おま早すぎだって!」
「一週間前から! この日を待ちわびていたんだあああああああ!!」
時計を見ると、0:00という数字が目に入ってきた。
いやまぁ、確かに14日だが……
「別に朝起きてからでもいいんじゃないか?」
と言うと、
「やだ、一分一秒たりとも待てない!! この気持ちまさしく愛だあああああああ!!!」
「( ´_ゝ`)フーン」
「無反応かちくしょぉぉぉおお!!」

とりあえず包みを開けてみる。
中には茶色い液体の1.5Lペット。これは……
「液状う○こか」
「てめー分かってて言ってるだろおおおおおおおおお!!!」
チョコレートドリンクだな。
去年ハート型だったらしいチョコを貰ったときは、この子の熱気で溶けてたからなぁ……
「学習したんだな、えらいぞ」
頭をなでてやると、
「いやっほぉぉぉぉう! 今日はいい夢見れそうだぁ! マスターおやすみぃぃぃぃ!!」
そう叫びながら走り去っていった。
「おやすみ、ブースター。」


電気を消してベッドに寝転んだ俺の上に、何かが落ちてきた。
「ぐふっ!? お、重い……」
「マスター、乙女にその言葉はタブーだよ!」
どうやらブラッキーが、天井裏で待ち構えていたらしい。
乙女はこんなことしねーよ。
「予想はできてるが何の用だ」
「トリックオアトリートだよっ、マスター!」
俺 か ら 何 か 巻 き 上 げ る 気 か い !
斬新なバレンタインだなぁオイ!

「ブラッキー、それはハロウィンだ」
「あっれー? エーフィが、バレンタインにはこう言ってチョコを渡すって……」
また騙されたな。この子すぐ信じちゃうからなぁ……
振り込め詐欺とか悪徳セールスに引っかかんないか心配だ。
「んでチョコは?」
「はいっ、ボクからはチョコマフィンをプレゼント!」
「おぉー。ありがとな」
なでなで。
「えへへ……早速食べてみてよ! 片方にはマスターの大好物を入れてあるんだ~」
大好物……マグロ?まさかな。
一口かじる。
「うぐっ!? ……うん、お゛いしいよ……ちょっとお前コレ食ってみ?」
「え?(ぱく) ~~~~辛ぁっ!! 何だよこれーー!!」
いや俺に言われましても。
「……エーフィに何か言われなかったか?」
「これ、マスターが好きなソースだから入れてみなさいって……」
どうやら秘蔵の激辛ソース(お仕置き用)が混ぜてあったらしい。
エーフィめ、あとで殴る……

ちなみにもう一個は普通に甘くておいしかった。
小さめのを二個作るように言ったのもエーフィらしい。
ほんの小さな良心かもしれんがとにかく殴る。
「それじゃあね、マスター! みんなチョコ用意してるから、頑張って食べてね!」
「あぁ。おやすみ、ブラッキー。」
今度こそおやすみ。



…………朝起きてみると、枕元にチョコが置いてあった。
手紙→なし。差出人→無記名。

黙って居間へ行くことにした。
「おはよう、グレイシア」
返事はない。が、ただのしかばねでもない。
「起きてみたら枕元にチョコが置いてあったんだよー。一体誰がくれたんだろうな」
無反応。……のように見えるが、俺には分かる。
わずかに視線を逸らした。
「去年は板チョコだったんだけど、今年はハート型でな。なんかすげー嬉しいよ」
無反応。……いや、軽くうつむいた。
「早速食べてみようと思うんだけど……グレイシア、君もいるかい?」
……反応、なし。
「いらないのか。じゃあ俺が独り占めー、いただきまーす。 ……うん、うまい」
無反応……ではない。明らかに頬が紅潮している。
「あーおいしかった。誰が作ってくれたんだろうなー、ありがとうって言いたいんだけどな」
そう言いながら立ち上がり、グレイシアの頭をなでてやる。
顔を真っ赤にしていることが見なくても分かった。


部屋に戻るとシャワーズが待っていた。
「やぁおかえり、マスター。唐突だが好きだ、結婚してくれ」
「だが断る」
「ふむ……まぁ、私も諦める気はないけどね」
ごめんよシャワーズ、俺はイーブイ一筋なんだ……
と言っておかないと殺される。
「さて。私もチョコを作ってきたから、良かったら食べてくれ。それじゃあ」
そう言って、彼女は部屋を出て行こうとする。
「ちょっと待て、シャワーズ」
立ち止まり、振り返った。
「なんだい?」
「せっかくの機会だ、一緒にお茶でも飲まないか?」
「……ん、喜んでお受けするよ。というかそれはチョコレートドリンクじゃないのかい?」
一人で1.5Lも飲めませんて、ブースターも許してくれるだろう。
「マスターも毎年大変だねぇ。それでも私はチョコを作るよ」
「ま、いいけど。やっぱり貰うと嬉しいしね」


と、シャワーズとのまったりしたお茶会に招かれざる闖入者が。
「あぁマスター、ここにいたの? ……っていうかなんでシャワーズまでいるのよぅ」
「おや、お邪魔かい? 出て行くつもりはないけどね」
うー、とうなりながらサンダースは部屋の中をうろうろし始めた。
しばらく放置プレイ、というか観賞を楽しんだ後、何か用でもあるのか訊ねてみた。
「えっと……うー、シャワーズぅ……」
「出て行ってはあげないよ?」
「うー……」
黙りこんでしまった。
仕方ないな、ちょっと手助けしてあげよう。
「用がないなら出てけ」
「あ、あるわよっ! 渡すものがあるの!」
そう言ってサンダースは、袋を投げてよこす。
「べ、別にアンタのために作ってあげたんじゃないからね! っていうか作ってすらないわよ!」
あれ。サンダースは手作り派だと思ってたけど……
「本当は手作りしたかったんだけど……な、何でもないっ!」
言いよどむサンダースに、シャワーズは言い放つ。
「ふむ、今年は私の勝ちのようだね」
言い返せないサンダースに代わり、俺が反論する。
「いやー、チョコ入りキャンディなのは俺を気遣ってくれたからだよな?」
「! ち、違うわ! アンタにあげるのなんか手抜きでいいから……」
「普通のチョコばっかりじゃ俺が大変だからと。でもキャンディ手作りは無理だった。そうだな?」
「さ、さぁね。知らないわよバカっ! ///」
わっかりやすー。
「すげー嬉しいわ。ありがとな」
と言いながら頭をなでてやると、
「なななな何すんのよッ! もう知らないっ!!」
バタン!と荒々しくドアを開け、出て行ってしまった。
その横顔はこれ以上ないくらいに紅く染まっていた。

唐突にシャワーズが言った。
「……マスター。サンダースをなでたのなら、私もなでられる権利があると思うんだ」
「はいはい、ありがとね」
なでなで。
「満足?」
「……ん、もうちょっと。」



シャワーズとしばらく他愛も無い話をして別れる。
さて、まだ貰ってない子のところへ行ってみようかな。

「リーフィア、いるかい?」
「ふぇっ、マスター!? ちょっと待ってください~」
のんびり屋のリーフィアが、珍しく部屋の中でバタバタしている。
このパターンは……待っても無駄だな。
「入るぞー」
扉を開け、中に踏み込む。
散らかった部屋と涙目のリーフィアが目に入った。
「やっぱり何か無くしたのか。今日は何を?」
「ふぇぇ……マスターに渡そうと思ったチョコが無いのぉ~……」
なるほど、それで来なかったのか。
「うーん、昨日寝る時はどこに置いた?」
「え?冷蔵庫にしまったよぉ……あっ」
部屋しか探してなかった、というオチか。
「ありました~!」というリーフィアの声が聞こえてくる。
まったくこの子は……

「ま。何にせよ見つかってよかったな?」
「うんっ、ありがとうマスター! はい、チョコレートだよ!」
それは極めて不恰好な手作り感溢れるチョコだった。
っていうか色がやヴぁい。なんつーか…玉虫色?どうやったらこんな色に出来るんだ。
「ありがとう。うん、おいしいよ♪ ありがとな、リーフィア。」
そう、この子の場合は変なもの混ぜたわけじゃないから食べても平気なのだ。
……チョコレートだけしか使ってないのに様々な色になるのは、もはや才能の域だがな。
「えへへ。マスター、なでなでして~」
言われるまでもなく。なでなで~



最後は……エーフィか。
「エーフィ、入るよ~」
エーフィの部屋は、姉妹の中でも一際綺麗に整った部屋だ。
それはもうお嬢様でも住んでるかのような。
「これがなければな」
おなか丸出し、しかも上下逆さまで布団に転がるエーフィがいた。
「エーフィ、起きろー」
「ん~……もう食べられませんわ~……」
なんつーか、浅い。

とりあえず今日の俺は容赦しない。転がしてベッドから落としてやった。
……が、この子は暢気なことに
「あと五分~……」
とか言ってやがる。
「仕方ないな」
エーフィをくすぐりの刑に処す。
「ひゃひゃひゃひゃ!! 何なに~!?」
速攻で目を覚ました。この子は脇腹が弱いんだよな。
「ひーっ、やめてマスター、やめてくださいぃ~! 起きましたから~~!」

「やぁ、おはようエーフィ。目は覚めたかい?」
「えぇ、おかげさまで……もう朝ごはんなのですか?」
起きてまず訊くのがそれってどうよ。浅いな!
「いや違うけど」
「あら、じゃあそれまで二度寝しますわ。おやすみなさい……」
わざわざ早く起こしたんだから、何か用があるとか思わんのかねぇ。
仕方ない、俺の用事を済ませるかな。
「喰らえガーン!」
気合一発、ゲンコツをたたきつけてやった。
「~~~!? いひゃい……何するんですの、マスター……」
「ブラッキーを騙した罰だ」
「だって、あの子ってば素直で可愛いんですもの」
それは同感だが。

「んでチョコは?」
「もちろん用意してあります。欲しいのですか?」
「うん」
すると彼女は手に持ったそれを高く掲げ、
「はいあげた~! なんちゃって、あははは」
………………浅すぎるぜ。

「お、チョコチップクッキーだ」
「えぇ。普通のチョコはもう飽き飽きでしょう?」
ノーコメント。
まぁ、確かにそうなんだけど……言えないし言わないよ。
「ん、おいしい。さすがエーフィ、料理上手だなー」
なでなで。
「ふふ……マスター、私も食べていいですか?」
「おうよ」
そう言ったが運の尽き。4分の3はエーフィに喰われました。
ダメだこの娘はやく何とかしないと



うちのバレンタインはこんな感じです。
7人もの可愛い娘たちからチョコを貰えるなんて、俺は幸せ者だなぁ。
めでたしめでたしー! バレンタインSS・完!

「……あなた? 何を勝手に一人で終わらせようとしてるの?」
背後から迫る黒い影。
だめだ、早く逃げないと殺られる
「言っておきますけど。逃がしませんからね」

= く ろ い ま な ざ し =

「/(^o^)\」
「あなたのために、チョコケーキ作ったの。食べてくれるわよね?」
「……何も入ってないよね? ほら、たとえば裁縫針とか」
「うふふ、剣山とか?」
「痺れ薬とか」
「青酸カリとか?」
なんでより凶悪なモノになってんだよ! 怖いよ!
「……入れたの?」
「ふっふっふ……な~んて。冗談ですよ、果物しか入れてませんから安心してくださいな」
そうかそりゃ安心だ。

……とは行かないのが俺の嫁。
「ねぇイーブイ。このピンは何だい?」
「飾りですよ」
「その割には妙に無骨な気がするけど?」
「むっ。あなたのセンスが悪いんじゃないですか?」
…………
「ねぇイーブイ。何かこのチョコケーキ、妙に硬いよ?」
「横のレバーを倒すと柔らかくなるの」
…………
「ねぇイーブイ。なんでレバーがついてるの?」
「パイナップルにはピンとレバーがつきものじゃないですか。」
…………
「ねぇイーブイ。この手榴弾、爆発まで何秒?」
「戦場のパイナップルと呼んでくださいね。10秒のはずですよ」
「ありえねーだろぉぉぉぉぉぉ!!!」
俺は手榴弾を全力投球した。

爆発。
……本物かよ!
「残念だわ、個人輸入で結構高かったのに……」
「殺す気? っていうかその包丁は何さ」
「えぇ。 楽園へ還りましょう?あなた……うふふふふふふふ」
YABEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
えーふぃ!えーふぃ! たすけてえーふぃ!

その頃エーフィは。
「げっ、減速できません~助けてくださいますたー……ぐー。」
二度寝していた。

銀色に煌めく刃が男を貫こうと迫った刹那!
「おかあさあああああん!! このチョコケーキ食べていいーーーーーーー!?」
「だめよー。朝ごはん食べてからにしなさいっ」
「たーーーべーーーたーーーいいぃぃぃぃ!! いただきまああああす!!」
「こらっ! お母さん怒るわよ!?(ぽいっ」
ブースターマジいい子\(^o^)/

ふとテーブルを見ると、手紙が置いてあることに気づいた。
イーブイからの手紙だ。
その文面はたった一行、
「愛しています」
と書かれていた。

「これは……これはグッときた!これでかつる!」
アルバムに保存しておこう。
そう思い手紙を封筒に戻そうとして、あることに気づいた。
「封筒の中に……文字……?」
破いて見てみる。
すると「愛ゆえに殺しちゃうかもしれませんが、大目に見てくださいね☆」と。
「無茶言うなぁぁぁぁーーーー!!」

でもさ。
病んでてもやっぱ可愛いと思っちゃうあたり、俺も末期かねぇ?


=バレンタインSS・終=

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おまけ1

ご苦労様でした、ここまで読んでくださった方々。
めんどくせー文章だな、と思ったことでしょう。キャラ多くて。
んー、その辺は悩んだんですが…
なんつーか、一度萌えもんSSでやってみたかったんですよねコレ。
さて、最後にひとつお詫びを。
いろいろとパクってしまいました。以下縦読み。


おまけ2

「イーブイ母さんのヤンデレ☆クッキング~!」
先生、今日は何を作るんですか?
「今日は劇中に出てきたチョコケーキを作りまぁす」
ほほぅ、チョコケーキですか。
「作者の母直伝・お手軽でおいしいチョコケーキですよ~」

では作り方をお願いします。
「材料は~……マリービスケット一箱、チョコレート大量、生クリーム一パック、あと牛乳です」
チョコレート大量て……どのくらいの量なんですか?
「小さいチョコが30個くらい入ってるのありますよね? 最低でもあれ一袋です。」
ぐはっ、それはすごい。
「では作り方。まずはマリービスケットを、一枚ずつ牛乳に浸します」
大きな皿に、ひたひたになる程度に牛乳を入れるんですね。
「ある程度時間経ったら裏返してくださいね。」
そうやって全部浸したら、次は?
「次、というか同時進行なんですけどね。チョコレートを溶かします」
湯煎ですか?
「いえ。ナベにチョコと生クリームを全部入れて、混ぜながら火にかけます」
全部、ですか……それはまた豪快ですね。
「あと牛乳も少々。そうするとこれらの水分のおかげで焦げ付かないんですよ~。」
心配な方は湯煎で溶かして、後から生クリームを混ぜてもよさそうですね。

で、チョコレートの用意ができ、マリービスケットも全部浸して柔らかくなりました。
「それでは今度は~…入れ物にマリービスケットを並べていきます」
オススメの入れ物とかありますか?
「牛乳パックがぴったりサイズですよ。一面を切り開くだけで良いので、お手軽でオススメです♪」
ほほぅ。そうしたらチョコレートを?
「えぇ、気持ちに余裕があったら、ビスケットとビスケットの間にも入れてくださいね。」
しなくても大丈夫だとは思いますが、念のためですね。大抵はチョコ余るし。
「それが終わったら、蓋をして(牛乳パックなら輪ゴムで閉じて)冷蔵庫に入れます」
そして放置。
「そう……いらない萌えもんを育て屋に入れっぱなしにするかのように」
ダークな発言はやめてください!
「何時間かは知りませんが、しばらくして固まったら出来上がりです。お疲れ様でした♪」


※注意点※

1.甘い

「それはもう激甘です。甘党の人以外にはオススメできません><」
判断基準はどんなものでしょう?
「上品な甘さの高級チョコより、99ショップの甘ぁ~いミルクチョコが好きな人、とか……?」


2.カロリー

「材料見ても分かると思いますが、このケーキは非常に攻撃力が高いです」
数値にすると?
「ざっと2500kcalってところでしょうか。成人男性の一日分ですね~」
一気に全部食べることはないでしょうが、4分の1でも600kcal以上ですか。
「これを食べた後は運動しないと…… 大 変 な こ と に な り ま す よ ?」

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最終更新:2009年03月05日 13:20
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