5スレ>>691-5


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『5.新キャラ登場で、新たなる希望…とか書くと以前のメインキャラは弱体化して
   後ろで解説役をやる気がしたけど、別にそんなことはなかったぜ!』





「義兄さーん」

ジム裏のテラスでヒマつぶしがてらにアルバムを眺めていると、
裏口からミツキが出てきた。…相変わらず見事に女装してんな義弟よ…。

「どうした?」
「いえ、もうじきお昼ができるので呼んで欲しいって…
 あ、アルバム?」
「あぁ…ちょうどお前が来た頃のだな。見るか?」

テーブルの上に開いたアルバムを半回転させ、ミツキの方へ向けてやる。

「うわぁ、懐かしい…このころは僕は…」
「…ホントに何もしゃべらなかったよな」




「……………」
「……………」

トキワジム設立から1か月たって、やっとジムの体裁が整ってきた頃。

「……………」
「あのな、ミツキ。俺はフーディンほど人の心が読めないから、
 言葉にしてくれないとどうしようもないんだが」

俺が声をかけた瞬間にびくっ、と震える美少年。
小さな声で「すみません」と聞こえた。別に怒ってるわけじゃないんだけどなぁ。




1週間前。
ジムリーダーとしての正式な任命を受けて、俺はマサラの義母さんのところへ報告に行った。

するとそこには、ちょうどシンオウから帰ってきていた義父さんがいて、
そしてこいつを預けられた。

『どうも記憶喪失らしくてな。できれば俺が面倒を見てやりたいんだが、
 またすぐに出発しないといけなくてなぁ…旅の間はミツキを構ってやれないし…
 そういうことで、兄貴としてよろしく頼むぞ、クリム!』

…いや、よろしく頼むじゃねぇだろ義父さん。


「ただいま帰りましたー…って、またにらめっこですか?」
「おかえり、シャワーズ」
「………(お帰りなさい」

シャワーズは買ってきた食材をキッチンに並べていた…が、唐突にこっちを振り返った。

「んー…マスター、気になったんですけど」
「なんだ?」
「みぃ君は…手持ちの萌えもんとか、いなかったんでしょうか?
 いまどきどんな人でも、萌えもんとかかわりを持たない人間なんてあんまりいないと思うんですけど」
「…確かにそうだな。…覚えてないだけかもしれないが」

考えてみれば確かに不自然だ。
…聞いてみる。

「どうだ、ミツキ?何かこう…萌えもんについてちょっと引っかかったりする事はないか?」
「………」

申し訳なさそうに首を横に振られた。

「…まぁ、これからいろいろ思い出すかもしれないしな…」
「そうですね…これからです」

シャワーズと頷き合う。記憶は大抵意外なところからよみがえったりする…らしい。
俺は記憶喪失にはなったことがないので受け売りだ。
と、ジムの入口に設置してある電子ベルが声をあげた。

「…ちょうどいい。ミツキ、暇なら一緒に来い。バトルを見せてやれる」
「…………?」
「防衛戦ですか…どうしましょう?今家に誰がいましたっけ?」

ミツキとシャワーズを連れ、俺はスタジアムの方へ移動する。
まぁ…3対3が出来るくらいの人数は揃ってるだろ。




「…きゅう」
『ザングース、戦闘不能』

「よくやった、キュウコン」
「は、はい…」

ちょうど都合よく、挑戦者は2対2の勝負を希望して来ていた。
ミツキは俺の後ろで見学。シャワーズに解説についてもらう。

どうやら現在の手持ちはそれだけのようだが、ジムに挑戦するトレーナーとしては少ないな。
たまに1体だけ、とかの奴もいるんだがな…それでどうやってやってけるんだ、普段のバトルは。

「次が来るぞ。ライチュウ、頼む」
「りょーかーい!」

フィールドの反対側を見れば、倒れたザングースを気遣っているらしいトレーナーと、
そのザングースをからかっているハブネークの姿が見えた。…あれが次の相手か。

『第二戦、ライチュウ対ハブネーク。両者、前へ』

ちなみにこのジャッジ的な仕事をやってくれるのはジムに備え付けられたバトルコンピュータ。
それと、今そのシステムを監視してくれているフーディン。…あいつホントに何でもできるな。

向こうのハブネークが刀を構える。
対するライチュウは無手。軽く両手を揺らし、わずかに姿勢を低く。

『戦闘、開始―――』

ゴングが鳴った瞬間に、両者は同時に正面の敵に向かって突撃する。
一瞬の突撃、そして…邂逅もまた一瞬!

「シュッ…!」
「…っと!」

胸元に引き寄せていた刀からの突きを、ライチュウは身体を軽く沈めるだけでかわす。
即座に払いへと移行した黒い刃から逃れるように前転、さらに片手を軸に回転して着地、バックステップ。
10歩分の距離を即座に確保し、ライチュウの迎撃が始まる!

「おりゃあああっ!!」

ズバァン、という轟音とともに稲妻が走るが、
ハブネークはフィールドに刺した刀を避雷針にして雷撃を回避していた。
…電気タイプとの戦いに慣れているのか。

「ライチュウ!刀を使わせるな!」
「おっけー!」

俺の指示に即座にしたがい、今度はライチュウが突撃する。
迎え撃つために放たれた横一閃を足もとへスライディングして回避し、そのまま足払い…
と見せかけ、また転がって尻尾の刃をかわす。…以前までのライチュウなら当てられていたな。

「このっ…!?」
「させないよ!」

即座に反応したハブネークが踏み込んだ足を軸に回転し、
振り返りざまに切りつけようとするが…ライチュウはそれをさせない!
とっさに刀を持った右腕の手首を拳で止め…

「!?」
「…なんちゃって」

たとみせかけたが、ライチュウの腕はなんとハブネークの手首をすり抜ける。
先ほどまでライチュウと思わせていたものは、HPを分散して作った身代わり。
本物のライチュウは、先ほどの場所から一歩も動いていなかった!

「しまっ…」
「遅いっ!!」

二度目の雷撃はハブネークの反応を待たず直撃し、その戦闘能力を奪いつくす!

『ハブネーク、戦闘不能。勝者、ジムリーダークリム』

…ま、2戦とも快勝したし上々かな。
義弟にもちゃんといいところを見せられた…かもしれないが、まぁそれはおいといて。



意気消沈している挑戦者を励まし、見送った後。
俺達はスタジアムから出て、リビングへ戻っていた。

「どうだ、ミツキ。多少は何かの参考になったか?」
「………(逃」
「ちょ、何で逃げるんだよ!?」
「…マスターの戦闘中の集中っぷりが鬼気せまってて怖かったらしいよ?」

隣にいたフーディンの言葉に、俺はちょっと傷ついた。
…いくらなんでも、張り切り過ぎたんだろうか。




「そんな事もあった、な…」
「いや、あのときはカッコよかったんですよ?…ホントに…」
「いいんだ…気にするな。自分でもちょっと目つき悪いかな、とは思ってたから…はは…」
(ものすごく気にしてる!?)

時は変わって、現代。
アルバムからちょっと悲しい思い出、今では単なる笑い話を思い出しながら、
俺は席を立った。

「で、昼飯だっけか…担当は誰だ?」
「今日はルカが作るって…焼きうどんだそうですけど」

…ルカリオが?

「…珍しいな、あいつが作るって」
「ボクはシンオウで会ったときに一度食べさせてもらいましたけど、おいしかったですよ?」
「…そうか」

…あれからもう3年経とうとしている。
お前が来てからいろいろあったけど、今はお前が義弟でよかった、と思ってる。

「…あれ、ベル鳴ってません?」
「このタイミングで来るか、普通…ミツキ、みんなを呼んできてくれ。昼飯前に片づける」
「じ、ジムリーダーのセリフじゃないですよそれ…」

…大した理由はないけど、本当にそう思ってるんだ。
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