5スレ>>749


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「…………。」
 マスターが静かだ。
 何か良くないことの前触れか、と戦々恐々としているものが数名。
 PiPiPiPiPi!
 ビクゥ! と何人かが反応した。
 マスターのPDAがなる。PADではないぞ、必要ないし。
「はい? なんですかエリカ嬢? くだらない用事でしたら(自主規制)しますよ?」
『あら、脅しになってませんわよ? 実は、あなたに引き取ってもらいたい娘がいまして…』
「……なんだって?」


 ひとまず元の世界に帰ってきたエド一行。
 タマムシジムで待ち構えていたのは、
「あなたがエドワード? ずいぶん頼りないわね」
 少々口がきついロズレイド(♀)だった。
「……」
 無言。しばらく前のハイテンションはどこへ行ったのか。
 しかし、このロズレイドを納得させるにはむしろ好都合だったようだ。
「ふぅん……? いい目ね。ひとつ、問うわ。……あなたが、私のマスターか?」
「君は剣をもっていないだろう」
「(ブルータス! お前もか!?)」
 好都合だったが、むしろ彼女が参入することがリンにとっては悪都合だった。
 わらえよ、リンゴ……
「さて、お名前をうかがってもよろしいかな、姫君」
「あら。……フフフ。あなたの好きなように呼ぶといいわ」
 恒例の名づけイベント。しかしもう決まっていたりする。
「なら君は、瑠琥(ルク)だ」
「あら、いい名前じゃない。気に入ったわ」
 そんなこんなで、愉快な仲間がまたひとり。


 今度は自分でPDAをいじるエド。
「もしもし、おやじ? ちょっと送ってもらいたいものが…………ああ、代金は母さんに預けた金から適当に……」
 電話を終えたあたりを見計らって話しかけるアル(やっぱりギャグ中国ry)。
「どうするつもりだ?」
「なに、簡単な補強だよ。リベンジのためのね」
 そして部屋割。恋歌・凛悟・瑠琥が同じ部屋、ということ以外は先日とおなじ。
 しかしこいつらタマムシセンターにお世話になりすぎである。
『おい、エド』
『なんだい?』
『俺を言ノ葉と2人きりにしないでくれといっただろう!』
『熱くスルー』
『ふざけんな!』
『何が不満なんだ、アルなら間違っても言ノ葉とにゃんにゃんな展開には持ってかないだろう?』
『だからって!』
『ああ、そうか、欲求か。すまんすまん、だが一人部屋にはできないからな、トイレででも済ませろ』
『……どうやらいつもの調子が戻ってきたらしいな、一度叩きのめしてやる』
『へぇ? いいよ、全力で叩き潰してあげる。表へ出ろ』
「……? さっきから何話してるの?」
「なんでもないよ恋歌。ごめんね、お楽しみを邪魔する部屋割になっちゃって」
 注釈を入れるのがCEROレコーディング的な意味で怖かったひそひそ話に割って入ったレン。
 しかしすごい返され方をして固まってしまう。
「(…あれ、いつもなら凛悟の突っ込みが入るんだけど……そうか、レンに突っ込んだんだな、[検閲]的な意味で)」
 凛悟も固まっていた。傍らではルクが忍び笑いを漏らしている。
「……さて、僕らはしばらく兄弟のコミュニケーションをしてくる。借りてくよ、言ノ葉」
「は、はい! ……? なんでわざわざ断るんですか?」
「あれ、てっきりもうそういう関係なのかと」
 そういうと言ノ葉は顔を真っ赤にし。
「ふぇえ!? ご、ご主人様! からかわないでください!」
「あはは! でもまんざらでもないみたいだよ、アルは」
「(……*す*す*す*す*す、こいつは*さないとだめだ────!)」
 アルは極めつけに物騒な決意を固めていた。


「(……まいったな、博士の手伝いばかりで体がなまっていたらしい。疲れが取れん)」
 翌朝、目を覚ましたアルは、
「……すぅ……」
 本日のマルスグマを見ていた。
 今日はシーツを丸めて抱えている。
「……やはりかわいい」
 呟いて、理解した。自分は言ノ葉にとっくに攻略されていたことに。
「……ふにゃ? おはようございます……」
「ああ、おはよう」
 だからなのかはわからいないが、こんなセリフが出た。
「俺のキスで目が覚めたってことは、間違いなくお前は俺のお姫様だな」
 もちろん、キスなどしていない。ただ反応が見たかっただけである。
「……え? ええええええええええええ!!!??」
「いや、嘘だが」
 なのでさっくりネタばらし。
「────────。……………………!」
 某嘘だっ! 並の顔☆GAY。
 しかしそんなものに動じるアルではなかった。
「お早うのキスならするぞ?」
 こう返して、再びの絶叫を言ノ葉に強いるのだった。
 一度目のそれでドア付近に仲間が集まっているのに気づかず。


「……さて、もう一度行くか」
「……おう……」「は、はい…!」「うん……」「こっち見ないで、レン」「おめでとう、言ノ葉」
「後半、まともに返事をしなさいな」
 新入り・ルクさんに突っ込まれた。
「(ブルータス……! お前もか……!)」
 同じセリフながら、全く違う感情で心中つぶやくリン。ようやく突っ込みが自分一人ではなくなったのだ。
 アル? あいつぁ振り回されるだけだ。
「で、何をどうするんですの?」
「ああ、ルクは知らないか。デッキのエースを召喚するんだ」
 すでに彼女もデッキを持たされている。そんなわけで呼び出されるモンスターは、
「”Dragoon(ドラグーン) D-END(ディーエンド)” !」
「”双頭の雷竜(サンダードラゴン)”!」
「”サイバーエンドドラゴン”!」
「”闇より出でし絶望”!」
「”ユベル-Das Extremer Traurig Drachen(ダス・エクストレーム・トラウリヒ・ドラッヘ) ”!」
「”ブラックローズドラゴン”!」
「”E・HERO ゴッドネオス”」
 以上の7体。
「眼がぁ、目がぁ!」
「ま た そ れ か !」


 シオンジムリーダー・アキラはシャッターを開けていた。
 なぜわざわざリーダーが直々になのか?
 とある理由から、ふだんあけている子の代わりをしているのだ。
 ドタン!
 そして、なぜかその”理由”が倒れてきた。
「……エド、さん?」
「エドでいいですよ」
 腕を組んだまま目を閉じて、まぁ仰向けに転がっているというのはなんか変だ。
「よっ……っと」
 そのまま足を振った勢いで立ち上がる。
「あ、アキラさんだけか。なら眼は開けててもよかったかな」
「ひょっとして見えたっ! にならないように目をつぶってたのか?」
「トウゼンセイイチィ!」
「はいはい、いい加減真面目になりましょうね」
 と言うのは凛悟。先日に比べれば随分おとなしいが、真面目モードに切り替えないといつ暴走するかわからない。
「うむ。まあなんの用かはわかるよね。というわけで先にフィールドに行って待ってます」
「え、あ、ああ」
 さっさと先日も使ったフィールドの方へ向っていってしまうエド。
 困ったように頭をさげて続くリン。
『おい、すこしは自重しろよ! 聞いてんの!?』
 そんな声が聞こえる。
「……とりあえず、みんなをそろえていくか」


「さて、ルールは昨日とおなじでよろしく。ちなみに今日の手持ちは4体だから」
「わかった。手加減はしない」
「上等!」
 戦闘準備は互いに万全。戦いは、ボールが投じられることで始まる。
「恋歌!」「メリィ!」
「「いけ!」」
 くしくも、互いに先発は同じ。
「恋歌、雨乞い!」
「メリィ、光の壁!」
 最初の技も同じ。
「(……なにを考えているのかわからん……が、どちらにせよこの流れなら充電で間違いはないだろう)」
 アキラは前回と同じ思考をする。
 確かに、ここでエドは交代する。そこは間違いなかった。しかし、そこで予想を大きく裏切られた。
「恋歌、交代! リン、頼むよ!」
「おーらい!」「ああ!」
「(な……!?)」
 アキラは前回も充電を使った。ここまで同じ状況を作ったということは、この技選択もわかっていたはずだ。
 なのになぜ、電気タイプに弱いカメックスを出すのか?
「(……雷を誘って、サンダースの特製”蓄電”で無効化…? いや、回りくどいな……
  光の壁が切れるのを待つもりか? ありえなくはない……どうする)」
 あるいは、この心理戦こそが狙いか。そこまで考えてふっきる。
「(悩むだけ無駄だ。最善の一手を打つことに変わりはない)メリィ!」
「はい!」
 名を呼ばれただけで意をくみ取り、目覚めるパワーを放つメリィ。
 冷凍ビームと酷似したそれは、しかし本物のそれとすれ違った。
「な!?」
 そう、相手は、カメックスにそのまま冷凍ビームを打たせていた。
「(読み違えたか! ……だが、カメックスは堅い代わりに若干火力がない。
  そのうえ光の壁がある状態じゃ、大したダメージには……)」
「お前は次に『大したダメージには』と考える」
「!?」
 ダメージにならないとわかっていてあえて。その意味はつまり。
「……氷状態!?」
「ご明察。一割なんてただの目安だ。鉢巻だって同じ確率なんだからな」
 してやられた。何せ氷状態なんてめったにお目にかかれないから、
 すっかり失念していた。
 その結果が、氷に体を拘束されて満足に動けないメリィである。
「(……どうする。強力な物理技使いがいたら……いや、マッスグマ!
  腹だいこからの攻撃は有名だ……! ゲンで止めるしかない!)交代だ、メリィ!」
「……ご、ごめんなさい……」
「お前は悪くない。俺のミスだ」
「いや、誰のせいでもないさ」
 口をはさんできたエドに目を向ければ、やはり向こうも交代している。
「どういう意味だ?」
「狙って氷状態にするなんてできないさ。一歩読み違えれば即雷。鉢巻が発動しなきゃ確殺だ。
 そんなんじゃチャンスは一回同然。その一回で確実に氷にしなきゃいけないんだから、
 ふつうはこんな作戦たてねぇよ」
 確かにその通りである。
 十分の一。それがどれだけ期待できないのかは、実戦経験の多いものにしかわからない。
 そして、アキラにはその経験があった。
 なおもエドは続ける。
「だから、あそこでサブウェポンを使うのはいい選択だったし、実際俺だってそうした。
 だからこんな作戦を立てたんだ。……さて、二番手は決まったかい?」
「ああ」
「よし。いくよ?」
 そして、ようやく長い序章は終わる。
「「早速だが、頼むぞ!」」
「ゲン!」「ルク!」


「(……そうか、そういえば前回いなかったメンバーがいてもおかしくないんだよな)」
 頭が冷えてきて、ようやくそんな当たり前の事実に考えが回るようになった。
「(……まぁ、今のところは考えなくてもいいかな)ゲン、催眠術!」
「あいあいさ!」
 それでも基本戦術に変わりはない。相手のロズレイドは立ったまま寝ている。
「(……おそらくゆめくいを恐れて交代してくる……最後の一体が何か分からないが……
  効くかどうかわからない技よりも、聞かないことがわかってる技で様子を見るか)」
 指示を出さずとも、それがそのままでいいという指示になり、ゲンはゆめくいを発動する。
「……すこし計算が狂ったか? まあいいか」
 エドのつぶやきからすると、あちらはゆめくい以外が飛んでくる前提で作戦を考えていたようだ。
 交替で現れたのは、クロバット。なかなかの曲者だ。
 火力こそ物足りないものがあるが、その素早さから繰り出されるトリッキーな技の数々は侮れない。
「(……前回はあやしい光を食らったが……催眠術もおそらく持っているだろうな。
  リースなら実質損害なしで出せそうだが……)」
 クロバットの厄介さは、その補助技の豊富さに在る。もし催眠術ではなかったら?
 相性で有利とはいえ、一歩先を行かれるのは危険だ。
 そうでなくとも、先ほど思いもよらない作戦で不利を被ったばかりなのだ。
「(……だが、どちらにせよ先制される。なら)交代だ! リース!」 
「はいはい。……こないだはじっくり見てる暇がなかったけど、あなたかわいいわねぇ」
「……」
 ぞくり。なんだかそんな感じの効果音が聞こえてきた気がする。
「ふむ、可愛いジニーの危機とあっては交代せざるを得ない」
 予想通り、催眠術を放っていたようだ。
 そして前回のことがあるからか、すぐに引っ込めた。
「さて、ルク。相性は不利だが頑張ってくれたまえ」
 先ほど催眠術を食らったロズレイド。答えはない。
「(そういえば、光の壁は消えたのに雨はまだ降ってるな……サンダースが湿った岩をもっていたのか。
  このターンでその効果も切れるが……まあ、どちらにせよゆめくいでいいか)」
 デルの火炎放射も同じくらいのダメージなので、素直にそのまま攻撃する。

 が、これこそがエド最大のトラップだった。

「リーフストームだ!」
「……っは!」
「なに!?」
 眠っていたはずのロズレイドが突然目を見開き、技を放ってきた。
 しかもその威力は140。タイプ一致の補正に加え、ロズレイドの高い特攻と組み合わせれば、かなりのものになる。
 それでもリースはスリーパー族の高い特殊攻撃への耐性により、もう一撃を耐えきれるかどうかのダメージで済ませた。
「いったい、どういうことだ!?」
 わずか1ターンで眠り状態が解けるなどありえない。
 いったい、何が起こったというのだ。
「あら? 私、先ほどは簡単な瞑想をしていただけですわよ? 技ですらない、ただの集中。
 眠ってると思い込んだあなたが悪いのですよ?」
「実際、簡単な情報は確認できるはずなのに”慣れ”と”常識”からそれを怠ったのはお前だぜ?」
「っく……そうか、自然回復……! 交代したことで、状態異常は回復したのか……だが卑怯だぞ!」
「うーろーたんーだー☆」
「ええい、くそ!」
「まぁまぁ、もちつけおちけつ。KOOLになりたまえ」
 戦術や口調こそ腹正しいものだが、言ってることそのものは間違っていない。
 ひとまず怒りは脇に置いておいて、今後を思考する。
「(リーフストームは強力だが、一度打てば特攻が下がる…耐えきれるはずだ、そこにサイコキネシスで……!)
 リース、」
「だが残念ながら交代しなかったことで君は黒星一つだ」
 再びの嵐。その威力は、まるで減衰していなかった。
「……、白い、ハーブ……」
「すっかり失念していたようだね?」
 白いハーブとは、萌えもんの能力が下がったとき、その能力を元に戻すアイテム。
 特攻減衰系の技のお供として有名であるのに、失念していたとは。
「…………、……。」
 だが、おかげで目が覚めた。
 まだひとつ。まだ、巻き返せる。
 口元には自然、笑みが浮かんだ。
「デル!」
「はい!」
 草タイプには炎タイプ。素早さでも勝っている。この組み合わせなら、まず勝てる。
 相手もそれぐらいわかっているはず、だが。
「(そんなのこっちだってわかってる……なら、あいつは!)デル、火炎放射!」
「いっ…………けえええぇぇぇ!!!」
 心なしかふだんより強めの炎に思えるそれは、相手の胸元を狙っていた。
「(貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか貴女もか!!!)」
 ……また、である。
 しかし残念というべきか、追加攻撃できるぞ喜べというべきか、まだロズレイドは立っていた。
「ふん……熱くなっちゃダメよ? お嬢ちゃん? そんなに裏病ましいならそこの人に大きくしてもらえばいいじゃない」
 そうしっかりと挑発して雨乞いをする。
「…………………………………………」
 すでに言葉もない。デルはマスターの指示を待たずに、再び火炎放射を放った。
「(消えろ燃やす燃やしつくす苦しみながら燃え尽きろ煉獄の炎の代わりにお前を灰にしてやる!!!)」
 とても雨が降っているとは思えないほどの炎がロズレイドを包み込んだ。
「まぁ、なんだ。いちおう、謝っとく」


「……エディ、聞いていいかしら?」
「ルクが挑発して
 彼女が怒って
 死に出し交代」
「……そう」
 それだけ言うと、ヴァージニアは翔ける。ヘルガーは目で追いかけるが、それも危うい。
 いとも簡単に背後をとると、
 ムニュ。
「ひあああああ!!??」
「あら、あるじゃない、私と同じくらい」
「は、はなしてくださいぃ!?」
 具体的に何がどうとは言わないが、その後悪の波動で吹っ飛ばされたとだけ言おうか。
「あぶないわねぇ……」
「ジニーの悪だくみの方が危ないんじゃないかい? 全年齢向け的意味で」
 今のどこが悪だくみなのかは聞かないでください。
 まぁとにかく火力が増したのは事実で、
「(んじゃあとはヘドロ爆弾2発で乙っと)」
 お互いの飛び道具を打ち合って、
「これで、」
「どうですかぁっ!」
 不意打ちが飛んできた。
「(しまった、忘れてた!)ジニー!?」
「……っ、大丈夫!」
 かろうじて残った体力で、ヘルガーに止めを刺す。
「……危なかった……」
 正直中途半端にしか作戦を考えていなかったので、この2人のカードからアドリブである。
 すでに後一撃でも食らえばアウトの状態では、できてあと一手。
「……ジニー?」
「いけるわ。だって、向こうのどの萌えもんより私の方が速いでしょ?」
 その一手を、快く引き受けてくれる。
「(こんなところが、好きだったりするんだよね)」
 そう、心中でのろけてから正面を見据える。
「……ゲン、たのむ」
「ああ。……あと3体、か」
 向こうの手持ちは残り2体。内片方は凍って動けない。
 俄然、こちらが有利である。
「うん、ジニー。”あやしい光”で」
「ええ」
 クロバットの持ち味・搦め手で最後を飾る。
「ゲン、シャドーボール」
「悪いな、そんな体に」
「いいのよ。その気遣いはあなたのつがいにしてあげなさい」
 そういって退場するヴァージニア。
「……なんで、しって?」
「一昨日、かな?見ちゃったんだ、ごめんね」
「ぎゃあああああ!? あ、あ、あわわわわわ……」
 いきなりパニックになるゲンガーさん。
「おいおい。”奥様がみてる”んじゃないのか?」
 が、そう言ってやると、ぴたりと止まった。
「……やっぱ、かっこいいとこ見せたいよな?」
「……ったりめーだ!」
 途端に息を吹き返す。
 うん、やっぱりこの方がリベンジのし甲斐がある。
「恋歌、いって!」
「コーーーーール!」
「それ僕のセリフなんだけど……」
 なんて漫才やってたら、
「いい加減にしろ」
 と頭を殴られた。痛いな、何をするんだい。
 しかしちょうどよく雨がやんだ。
「恋歌、雨乞い!」
「ほいさっさ!」
 やはり雨を降らせる。このパーティはいわゆる雨パに近いものがあるし、恋歌は雨の中でこそ真価を発揮するタイプだし。
「ゲン!催眠術だ!」
「ですよねー」
 でもねむらされちゃー何もできない。仕方ないね。
「よろしい、ならば交代だ」
 このままじゃなぶり殺しだ。素直にリンに交代。
「……さて、催眠術が怖いな~っと」
 白々しく聞こえるだろうが、実際催眠術は恐怖に感じていない。
 なぜって?
「だが当たらなければどうということはない!」
 ここまで大量に催眠術を打たれているのだ。
 一度くらい回避できる。”運命の悪戯(ディスティニー・ゲーム)”の運命力なら十分可能だ。
「喰らえ!」
「アクアパニッシャー!」
「ちがわい!」
 うん、いつもの調子だ。
 やっぱ僕らはこのノリじゃないとね。
「ぐ……きくじゃねーか……!」
 雨乞いによる強化もあいまって、ライフを半分以上かっさらっていった。
 次で決まりだ。……いや。
「気合いの鉢巻……敵に回すと恐ろしく厄介だ。これでしっかり勝って、もう闘わなくていいようにしたいな」
「……っち、もう勝つ気満々かよ……?」
 ゲンガーがこぼす。
 そう、彼はまだ戦える。
「……いや、そうだな。失言だった。全力で叩き潰す。さあ、かかってこい!」
「 あ ん た が 言 う な 」
 とか言ってみたら凛悟に怒られた。うん、戦うのは君だしね。
「よし、もういっちょやっちまえ☆」
「ゲン、正面切って叩き込め!」
「「うおおおおおおおおおおお!!!」」
 無数のシャドーボールと、巨大な波。
 それは先日の光景とそっくりだった。
 違うのは、
「っぐ……まだだ!」
「まだおわらんよ!」
「あんたは黙って指示だけしてろ!」
 凛悟が鉢巻発動まで削られていない、という点である。
「……。ゲン」
「ああ……それしかないか」
「旅は……ってやつか」
「だね。ま、いっか。たまには切り札降板ってのも」
 すでに両者、このカードの結末は見えている。
「ゲン、道連れ」
「凛悟、冷凍ビーム」
 あくび? 向こうのが速いんだから催眠返されるって。
「全く、前回と同じ結果とはね。いずれしっかり決着をつけたいかな」
「はは、今回負けてんじゃね? 俺」
「いや、正直ここで催眠術がきて当たってたら話は違ったからね」
 なんだかんだでいい感じになってきてる2人。鉢巻使い同士気が合うのだろうか。
「……さて。ここからはどっちが先に動けるかで決まる」
「だな」
 そして始まる再びカオス。


「うーん、うーん!」
「…………Zzz」
 必死に動こうとしているメリィと、大の字になっていびきを立てる恋歌。
 シュールである。
 結果。
「……ふにゃ?」
 2ターンを行動不能で過ごし、恋歌が目を覚ます。
「目覚めるパワーだ!」
「ふぁーーい」
 寝ぼけながら適当にぶっぱする恋歌。
 2発ほどを当てた時点でメリィも氷から解放される。
「こっちも目覚めるパワーだ!」
「うん!」
 しかし、すでにダメージはかなり蓄積されている。
 次の一撃で倒れてもおかしくはない。
「……あ」
「うん?」
 が、ちょうどその時雨が降りやんだ。
「…………雨乞いだな」
「りょーかい!」
 追加で雨を降らせる恋歌。
 そこにも目覚めるパワーは襲いかかる。
「うし、最後まで油断せず行こう恋歌」
「わかって……るって!」
 もう一度目覚めるパワーを放つ恋歌。その一撃は、致命傷かにみえたが。
「……っまだまだーーー!!」
 ぎりぎりで耐えきられた。そして、最後に放たれたのは、目覚めるパワーではなかった。
「破壊……光線ん!?」
 まずい。これは耐えきれないかもしれない。
「……恋歌!」
 名を叫ぶ。それが届いたのか、あるいは。
『………………』
 声を持たない、運命を操る異能の顕現の導きか。
「…………ざん、ねん……! 最後、いくよ!」
 鉄壁の一桁。数値上、僅かに2ポイントを残し、恋歌は耐えた。

 ここに、エドワード・シオンジム攻略が決定した。
ツールボックス

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