「とりあえず車で移動するのはいいのだが……」
「何か問題でも?」
「いや、お前の運転は大丈夫なのかと」
「心配はありません、しっかり運転免許はゴールドです」
「それは今まで乗っていてか?」
「………………さぁ、いきましょう」
「おい誰かこいつを止めろ!!!」
『R』Story~化石に愛された男~
第三話:予感
「……無事につけましたな主殿」
「今ほど自分が運転できる事が嬉しいと思った事は無い」
「………………不服です、不満です、この扱いは」
とにかく運転したがるローザを抑えつけ(オムスターに絡みついてもらった)
結局俺自身が運転する事に。
何が悲しくてハナダまでに死地を迎えなくてはいけないのか。
ハナダに無事着いた時にはおそらくローザ以外全員が安堵した事だろう。
全く運転した事無い奴に運転させるほど私は冒険者ではない。
ハナダ支部は外見は運送会社となっている。
カントー随一の運送会社となったこの表の顔は裏の顔を見事に隠し通せている。
「いらっしゃいませ、ロット運送会社へようこそ」
受付にカードを見せる。
それを見た受付は内線をかける。
無論この受付も団員だ、そして相手はこの中にいるであろうサンドラ。
「予約の確認が完了しました。
サンドラ代表取締役ならば第3会議室でございます」
「ありがとう」
アーマルドとローザを連れてエレベーターへ。
そして先程のカードをエレベーターに差し込む。
通常地下は1階までだが私達は地下2階へ下がっていく。
そう、地下2階がハナダ支部アジトとなっている。
エレベーターを出るとかなりの数の団員が準備を行っていた。
なるほど、かなりの規模の人員を出しているようだな。
「ローザ、お前は状況確認を頼む。
アーマルドは私とサンドラの所にいくぞ」
「「了解」」
ローザが団員の中に消えていく。
あれで中々に優秀な奴だ、そんなに時間はかかるまい。
「では行くかアーマルド。……あぁ、そうだ先に言っておく、引くなよ?」
「は?」
……本当ならばあまり奴と顔を合わせたくは無いのだがな。
サンドラという奴をしっかりと思いだして俺は心の中でため息をついた。
「あらぁ~待ってたわよぉレイドさぁ~ん。
そっちにいるのがあなたの大事な化石ちゃ~ん?凛々しくて可愛いわぁ~」
第3会議室に入ると待ってましたといわんばかりに正面奥にサンドラが座っていた。
膝にはペルシアン、左右にはニャースが2匹。
ちなみにアーマルドは既に引いている。
そりゃあの風貌と口調を見聞きすれば誰でも最初は引くだろう。
無論最初俺も引いた、さすがに慣れたが……正直あまり相手にしたくないタイプだ。
「月の石と化石発掘の作戦と聞いたが2部隊に分かれての発掘でいいんだな?」
「えぇ、月の石の発掘は私が指揮を取るわぁ、あなたは化石発掘の部隊の指揮を頼みたいのだけど~」
「他の幹部クラスは来ないのか」
「最近シオンとクチバで色々とごたついてるみたいなのよねぇ。その件で出払ってるそうよぉ」
ふむ……確かにクチバは闇オークションの件で警戒されているのはわかったがシオンでもか。
シオンといえばポケモンタワーだが……何かあったのか。
調べておく必要があるかもしれない、か。
「了解した、ところで懸念材料は何なんだ」
私の言葉にサンドラの眉がぴくりと動き、奴の萌えもん達が少しだけざわついた。
やはりそうか、この計画、何かしらあると思っていたが……
「どうしてそう思うの?」
「化石の知識なら研究員辺りでいい。
指揮を取るのだってサンドラ、お前だけで充分だろ。
なのに俺は呼ばれた、つまり戦力を用意しておく必要がある、そうだろ?」
ハナダに向かう時に考えていた事だがどうやら間違ってはいないようだ。
先程の準備している連中に研究員が数名いるのを見つけている。
掘り出して物を確認するならあいつらで十分だろう。
となれば俺が呼ばれた理由はまだあるはずだ。
「実はね……ニビ側に察知されたわけじゃないと思うけど動きがあったらしいのよ。
まだ確証は取れてないけどジムリーダーを中心にした動きがあるらしいという情報が。
それともう一つ、リーグのほうにも動きがあるっていう未確認情報があったわ……これで満足かしら?」
なるほど、ニビはまだしも萌えもんリーグが動き出している可能性があるということか。
確かに四天王やチャンピオンが出てくれば厄介な事になる。それこそ作戦中止が妥当となるだろう。
「あぁ……お互い苦労するな」
「あらぁん心配してくれるのぉ?」
「まさか。そちらは頼んだぞ」
「えぇ~それじゃあ夜にまた会いましょう~」
会議室を出る。
まったく厄介な作戦を指揮させるものだ。
不図アーマルドがこちらをじーっと見ている事に気付いた。
あぁ、言いたい事はわかる。
「あ、あの……主殿」
「あぁ、奴は見ての通り、男だ」
先程から黙っていたアーマルドが話しかけてきた理由はわかっている。
あの髭を見れば誰でもそうとしか思えないだろう。
それなのに女物の制服を着ている。
つまりは……そういうことだ。
「しかしあれはあれで有能だから困る。
人は見た目によらんということだ、生粋の猫好きの変質者ではあるが」
故にあまり会いたくは無いというわけだ。
「はぁ、団員達も色々なのですな」
「むしろ悪党にまともな奴はいない、ということだ」
俺も含めてな。
「主殿……私達にとってはあなたが正道です。それを忘れないで下さい」
「……あぁ、そうだな」
手持ちのボール達も同じ事を言いたげに震えていた。
世の中から見れば俺達は外れ者だ、まともではない。
だがこんな俺でも信頼してくれる萌えもんがいる。
故に俺はまだ外れ者だけで済んでいる。
来るべき時にはどうなっているかわからないがな……
「主殿?」
アーマルドが訝しげな表情でこちらを見ていた。
どうやら深く考えすぎていたようだな。
「いや、何でもない。さて、作戦開始まで時間もある。
どこかで休ませてもらうとしよう」
「はっ」
今は目の前の事だけに集中しよう。
もしも相手が出てくれば戦うのは俺となるだろう。
その時までせいぜい休ませてもらうとしよう。
「何でどこの部屋も猫グッズがいっぱいあるのですかね……」
「ここまでいくと最早病気だな……」
結局休めずにお月見山に行く事になるのであった。
あの猫好きオ〇マ、今度ガーディ辺りを送りつけてやろうか……
後書きみたいなそんな感じ
きっと次辺りバトルするようなそんな感じ。
ところでポケモンHGのロケット団の音楽がかっこいいのは仕様すぎてしょうがないんだがどうしよう。
クリアしていくと聞けなくなるのは悲しい物があるぞ……
☆サンドラ
ロット運送会社代表取締役という表の顔を持つロケット団ハナダ支部担当幹部。
生粋の猫好きでありどっからどうみてもオ〇マ。
しかし指揮官としては有能であり、実力でのし上がりハナダ支部を任されるに至った。
手持ちはペルシアン、ニャース、エネコ、エネコロロ、ニューラ、マニューラなどの猫萌えもん。
ハナダ支部アジト内の猫グッズの多さに時折団員から苦情が来ていたりする。
最終更新:2009年11月24日 22:05