5スレ>>829


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「この肉はあたしがもらったぁ!」
「あ! ずるいドリちゃん! 昨日もいっぱい食べてたのにっ!」
「先手必勝! ラプも早くしないとなくなっちゃ……って、あれ? 栗きんとんは!?」
「美味しくいただかせてもらいましたー」
「いつの間に!? ラプも中々やるみたいね……」
「お前ら朝からやかましいわっ!」

 …年が明けて一日経ち、まだまだ世界中が来る新年を歓喜する今日この頃。
 初詣へ出かける人もいれば、家でゆっくりと過ごす人もいる。
 既に俺達は初詣へ行ったので、今日は後者の方が当てはまるはずなのだが……






 course of life -with you-
 番外編その1~寝正月は叶わぬ夢~






「はぁー、あったまるー」
「うん。和むねー」
「ぬくぬくー」
「……」

 …おせち奪取合戦の後、手持ちの三人は和室にあるこたつでぬくぬく温まっていた。
 ちなみに和室の室温は一桁。暖房器具は一つも付いていない。
 故にこの部屋ではこたつが唯一のセーフポイントなのである。
 ただし、そのセーフポイントには三人という人数制限があるため……

「…なぁ、俺の場所は?」
「ぅん? あんたの場所はもうないよー」
「ごめんリュウ兄。これだけは譲れない……」
「私もですー。ごめんなさーい」

 …こうなる。誰一人として俺のために場所を譲ってくれはしない。
 毎年恒例とは言え、少しぐらい入れてくれてもいい気がするのだが……
 仕方ない。暖房の付いてる自室でお茶でも飲んで温まってこよう。

「あ、ちょっとリュウ、どこ行くの?」
「お茶淹れに行く」
「じゃああたしにも……」
「却下。欲しけりゃ自分で淹れてこい」
「うー。ケチリュウマー」
「言ってろ」

 ダダをこねるオニドリルを適当にあしらい、さっさと台所へ向かう。
 …寒い。早いところお茶を淹れて温まりに行こう。


 …………。


「ふぅ……」

 …自室に戻り、暖房をつけて約10分。ようやく部屋が温まってきた。
 室温一桁とか冗談じゃない。凍え死んでしまう。

「……」

 ふと外の様子が気にかかり、曇った窓ガラスを拭って外を覗く。
 辺り一面に広がる銀世界。空から舞い落ちる雪はまるで花びらのよう。
 冬のワカバタウンはシンオウ地方ほどではないが、意外と雪が降る。
 なんて言うか、風情があるよな。こういうの。
 …と、静かに外の風景を眺めていると、誰かがドアをノックする音が聞こえた。

「リュウ兄、入るよ?」
「…ポニータか。どうした?」

 入室を許可した後、ドアが開いてポニータが入ってきた。
 そして何やら楽しそうな表情でこちらに近付いてくる。

「今からみんなで外へ遊びに行こうと思うんだけどさ……」
「あぁ、そうか。じゃあ三人で行って……!?」

 …らっしゃいと言い切る前に、突然ポニータに腕を掴まれた。
 それを言うためだけに入ってきたのも変だとは思っていたが、まさか……

「リュウ兄も来てくれるよねっ?」
「……」

 やっぱり。今更ながらポニータの笑顔の理由が分かった気がする。
 まぁどうせこうなるだろうとは思ってたけど。

「ねっ? ねっ?」
「…分かった分かった。行くからこの手を離せ。痛いっての」
「あ、ごめんごめん。じゃあ先に行って待ってるよっ!」
「はいよ」

 それだけ言うとポニータはそそくさと部屋を出て行ってしまった。
 …畜生。あんな楽しそうな妹の顔を見て断れるわけないだろ。反則だ。
 兄は妹に甘いとどこかで聞いた事があるが、俺はその典型的な例なのかも知れない……
 寒いけど仕方ないか。サクッと行ってさっさと帰るとしよう。


 …………。


 …真冬の風が肌に突き刺さる。冷たいと言うより最早痛い。
 まったく。こんな寒いというのに、なんであいつらはあんなに元気なんだろうか。
 そんな考えても結論が出そうにない事に悩みつつ、俺は三人の待つ庭へと到着した。

「リュウ兄遅いー!」
「仕方ないって。リュウはもうオジサンなんだから」
「誰がオジサンだっ! お前とは2才しか離れてないだろオニドリル!」
「ケンカはダメですよー」
「そうだ! ケンカはんたーい!」
「元凶が何言ってやがる!」

 危うく言い争いになりかけたのをラプラスに止められた。
 オニドリルの調子がいいのにも困ったものだ。少し自粛してもらいたい。

「…で、今から何するんだ?」
「もちろん、新年初雪合戦だよっ!」
「今年も新年早々やるのか……。疲れるからもう帰っていい?」
「ラプー! リュウが雪ダルマになりたいってー!」
「雪ダルマ雪ダルマですー!」
「おわっ! 冗談冗談! 雪ダルマだけは勘弁してくれ! てかラプラス落ち着けー!」

 物凄く怪しい目でこちらに迫って来るラプラス。
 この子意外とこういうのに悪乗りしてくるんだよな。怖い怖い。

「…大人しく雪ダルマになればいいのに」
「全力で拒否する! お前は去年それで悲惨な事になったのをもう忘れたのか!?」

 …そう、去年の三が日は散々な目に遭った。
 雪合戦で俺が負け、罰ゲームとして俺を雪ダルマにしようというのが事の始まり。
 雪ダルマになるはずが、ラプラスの吹雪の出力間違えで氷漬けに。
 それでポニータが炎の渦で救出を計ったが、またもや出力間違えで今度は火ダルマに。
 その後ラプラスの雨乞いでなんとか助かったが、新年早々死ぬかと思った……

「あぁ、あの火ダルマ事件ね。今年も見る事になるのかなぁ?」
「上等だ! 今年もやるってんなら今度はオニドリルを火ダルマにあげてやる!」
「かかってきなさい! …てなわけで雪合戦スタートっ!」
「えっ!? ちょっと急すぎるよっ!」
「ルールは時間制限なしのデスマッチ! 三回雪玉当てられたら即アウトだから!」
「分かりましたー!」
「よーし! 頑張るぞー!」

 …かくして正月の壮絶なる雪合戦は幕を開けたのである。






「はぁ…はぁ……。リュウも中々やるじゃない……」
「ぜぇ…ぜぇ……。オニドリル、お前もな……」

 雪合戦開始から既に1時間。残るは俺とオニドリルの二人となっていた。
 ダメージカウントは共に2。こちらも相手も後がない状況だ。

「…そろそろ決着つけないとね! 行かせてもらうよ!」
「それはこっちの台詞だ! 行くぞ!」

 これで決めるとばかりにかじかんだ手でありったけの雪をかき集め、雪玉にする。
 そして両者向かい合い、互いに全力で雪玉を投げた……その時。

『ドシャアァ!』
「うわっ!」
「のあっ!」

 …何が起こったのか全く分からなかった。何かに押し潰された感覚はあるが……
 そこで俺は目の前が真っ白になり、その後の事は覚えていない。






「…あれ? リュウ兄とドリちゃんはどこ行ったのかな?」
「さぁー? 私は知らないよー?」
「そっかぁ。…あー! また屋根から雪落ちてるよー」
「あーあ。後で片付けておこっかー」
「そうだね。後でみんなで片付けよっか!」
「そだねー」










~あとがき~
皆さん、明けましておめでとうございます!
既に年が明けて10日程経ってしまってますが、お正月SS、如何でしたか?

今回の話は本編のキャラ達による本編には全く関係のないドタバタストーリーです。
今後も季節の行事等に合わせて書くかもしれません。悪しからずご了承下さい。

しかし最近書いてて思ったのですが、リュウマ君が次第に可哀相なキャラに……
本来はもっと真面目なキャラのはずなんですけど……

…いずれにせよ精進あるのみですね。頑張ります。
それではここまで読んで下さった方、有り難うございました!
今年もこんなポエルをどうぞよろしくお願いしますっ!
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