5スレ>>856-1


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「あーっと、図鑑はいれたし、ボールも持った。財布も・・・あるな。
 んで服なんかは・・・これだけあれば十分か。
 あ、マドカ、そこのザックとってくれ」
「はい、マスター。うんしょ・・・」

 今日オレの手持ちになったヒトカゲのマドカが、自分と同じ大きさのザックを持ってくる姿には微笑ましいものがある。
 オレはオーキド博士からもらったヒトカゲに幼馴染の「マドカ」と同じ、マドカの名前をつけた。
 正直、この名前をつけるのに抵抗がなかったわけじゃない。
 まるで、いまだに過去のことから抜け出せてないみたいだし、マドカを「マドカ」の代わりのように扱ってるみたいで。
 けど今のオレにとってはそうじゃない。
 「マドカ」はオレにとってよくも悪くもきっかけだったから。
 だからこれはオレにとってのけじめみたいなもんなんだと思う。
 もう二度と約束を忘れないための戒め。そのために「マドカ」の名前をつけたんだ。

「マスター」

 マドカが愛くるしい顔でこっちを見上げていた。

「ん? なんだ?」
「明日から旅が始まるんですね!」

 あんまり嬉しそうにいうから、オレも笑顔で返してやる。

「あぁ、よろしく頼むぜ、マドカ」

 心からの笑顔なんてここ数年忘れてた気がする。
 ・・・ようやく、オレも新たな一歩を踏み出すことができそうだな。


『第一話 一人目の仲間』


 オーキド博士からマドカをもらったあと、旅に必要なものを買ったり、用意したりしてたらいつの間にか夜になってて、オレたちは翌日旅立つことにした。
 出発にはナナミさんやオーキド博士、オレのおふくろまで来てくれた。おふくろなんて昨日オレが旅立つと聞いて「あんたもやっと歩き出せたんだねぇ」って号泣してたもんな。
 出発のときも涙ぐんでたし、若干恥ずかしかったんだが・・・。
 まぁ、さんざ心配かけてたんだろうな。帰ってきたら親孝行の一つでもするか。
 で、そんなオレとマドカはトキワシティに向けて1番道路を北上中なんだが・・・

「マドカ、「ひっかく」だ」
「はい! えぇい!」

 マドカの一撃でポッポが弱った。オレはすかさずモンスターボールを投げる。
 ボールはしばらく暴れた後、捕獲のサインを出して静かになった。

「マスター! やりましたね!」
「あぁ、よくやったな」
「えへへ・・・」

 頭を撫でてやると頬を赤くして照れるマドカ。
 驚いたことにこのマドカがかなり強い。
 今のポッポもそうだが、素早さの高いコラッタ相手でも一撃ももらわずに倒している。
 オーキド博士のいってた「君用に取っておいた」って言葉が気にかかるが・・・。
 とはいっても見た目は普通のヒトカゲと変わらないんだがなぁ。
 考えてもしょうがないか、まずは・・・。

「ほら、逃げな」

 そういってボールから今捕まえたポッポを出してやる。
 ポッポは不思議そうにこちらを見たり、草むらを見たりしていたが、オレの意図を理解したのか草むらに帰って行った。

「やっぱり逃がしちゃうんですね」

 マドカの言葉が示す通り、実はさっき捕まえたコラッタもその場で逃がしていた。
 頑張ってくれてるこいつには悪いが、これがオレのスタンスだからな。

「どうして逃がしちゃうんですか? 仲間がいっぱいいたほうがよさそうなのに」

 マドカが純粋な疑問をぶつけてくる。

「オレの意思で縛りつけたくないからな」
「縛る?」

 オレの意図がうまく伝わらなかったようで頭に?を浮かべている。

「あぁ、オレたち人間にとっては自分の意思でポケモンを捕まえてるわけだけど、それはポケモンの意思ってわけじゃないだろ?
 図鑑の完成のためとはいえ、そのためにポケモンたちの暮らしを奪いたくはない。
 もし仲間にするとしたら、そいつが望んでくれた時だけってことだよ」
「そういうことだったんですね」

 今度は合点がいったというようにうんうん頷いている。
 こういうところは人間の子どもと変わらないな。

「もちろんお前が仲間がほしいなら増やしてもいいんだが・・・どうだ?」

 人間の子どもと変わらないなら、余計に一緒に旅する仲間がほしいんじゃないかと思ってそう問いかけると、

「マスターは優しいんですね」

 思いもよらない返答が返ってきた。

「オレが・・・優しい?」
「はい、マスターは優しいです。わたしたちの暮らしのこともきちんと考えてくれるんですから」
「普通じゃないか? たくさん捕まえたら捕まえたで置いてきぼりになるやつも増えそうだし」

 トレーナーが同時に持ち歩けるポケモンは6体と決まっている以上、普段一緒にいれないポケモンも増える。
 自分の暮らしを奪われてそんな扱いを受けるポケモンがかわいそうなだけだ。

「普通の人はそんなこと考えたりしませんよ。それに・・・わたしの意見も聞いてくれましたし」
「いや、それこそ普通じゃないか?」

 一緒に旅する仲間のことだろ? そりゃあ気遣うのが普通じゃないか?

「そんなことはないです。一緒に旅をしていても、バトルの都合で外されてそのままのポケモンもいたりするんですよ」
「そうなのか?」
「はい、だからマスターは優しいんです」

 胸を張って言われても困るんだが・・・。
 というか、あまり真正面から褒められても・・・照れる。
 でもまぁ、悪い気はしないし、ポケモンであるこいつが言うから間違いないんだろう。
 にしても、

「ずいぶんと詳しいんだな、マドカ」
「えっ!? そ、それはその、オーキド博士から聞いたり・・・」

 あぁ、なるほど。そりゃあポケモン博士だしな。その辺も詳しかったりすんのか。
 昔は自分のことだけで手いっぱいで、他のやつのことなんて考えたこともなかったし、そういうもんなんだろうな。

「まぁ、今後必要があれば仲間を増やすこともあるかもしれないし、その時は仲良くしてくれよ」
「はい!」

 そう元気よく返事したマドカ。
 少なくともこいつがいれば当分は退屈せずにすみそうなんだけどな・・・。
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