5スレ>>897


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「なぁ、ブイゼル」
「……」
「ブイゼル?」
「……」
「おーい、ブイゼル?」
「あ…な、何? どうしたのリュウマ?」
「そいつはこっちの台詞だ。体調でも悪いのか?」
「う、ううん、僕は大丈夫。大丈夫だから。本当に」
「まぁ、それならいいんだが……」

 …事故を起こした翌日、俺達一行はフスベシティからカントー地方へ飛ぶのを諦め、
 無難にフスベシティからアサギシティへ飛び、そこからカントー地方へ戻る事にした。
 少し手間だが、これ以上事故りたくはないし、安全第一に越した事はないだろう。






 course of life -with you-
 第九話~記念写真は人に頼むと吉?~






 …という事でアサギシティの港まで飛び、現在船の出航待ち。
 それで30分ほど自由時間にしたのだが、どうも朝からブイゼルの様子がおかしい。
 今朝早くラピに出発の挨拶をしてきた後からずっとこの調子だ。
 寂しそう、という感じではなく、上の空、といった感じ。
 時々何かを呟いては、まるで頭の中の悪い物を振り払うかのように首を振っている。
 …その様子が気になってか、浜辺で遊んでいたポニータがブイゼルに話しかけてきた。

「ブイ君、やっぱりまだあの事……」
「だ、ダメダメ! 言っちゃダメだってば!」
「ん? やっぱり何かあったのか?」
「違うって! 何でもないからリュウマは黙ってて!」
「うん。私もリュウ兄には言っても分からないと思うよっ?」
「…へいへい。おとなしくしてますよーっと」

 なんだか除け者扱いされた気分だが、深追いするのは止めておこう。
 興味心は猫をも殺すって言われるくらいだしな。
 というか、ここまで言われれば誰だって興ざめすると思う……

「…さて、そろそろ出航時間だ。みんな行くぞー」
「「はーい!」」

 …こうして新たな仲間を引き連れ、俺達はカントー地方へと戻るのだった。






「へへっ! クチバ一番乗りはあたしだ!」
「あ! ずるいよドリちゃん!」
「先手必勝! 悔しかったらポニも……」
「着いて早々騒がしいっての。少しは落ち着いて行動しろ」
「「はーい」」

 まったく。下船した途端これだ。俺はいいが、周りに迷惑だから少し控えて欲しい。
 …とか思ってる間にも、こちらを凝視している人が一人。
 何か珍しい物を見るような目でこちらを見ている。
 絡まれたら面倒な事になりそうだし、これはさっさと行くに越した事はないな。
 そう思ってその人に軽く会釈しながらも、俺達はクチバシティで下船するのだった。


 …………。


 …下船した俺達はクチバ港を出て、そのままセンターへ向かった。
 途中タマムシやコガネ程ではないが、高い建造物が目に入る。
 それを見る度に目を丸くするブイゼルを見て初々しいなぁと思ったのは内緒。

「へぇ、ここがカントー地方かぁ……」
「どうだ、ブイゼル? 初めてカントーに来た気分は?」
「うーん、ちょっとまだ実感が沸かないね」
「まぁそれが当然の反応かもな。じゃあ昼の買い出しがてら少し散策と行こうか」
「賛成。そうしてもらうと僕も助かるよ」
「みんなもそれで……?」

 皆の賛否を聞こうとしたところ、何やらポニータの様子がおかしい。
 辺りをキョロキョロと見回し、耳をそばだてて何かを聞き取ろうとしている。

「ポニータ? どうかしたのか?」
「え…あ、ううん! なんでもないよっ? ちょっと変な音が聞こえただけっ!」
「変な音? ラプラス、オニドリル、何か聞こえたか?」
「わたしは何も聞こえませんでしたよー」
「あたしも。気のせいじゃない?」
「うーん、そうだったらいいんだけど……」

 どうも納得のいかない様子のポニータ。
 こういったものは聴力が良い彼女ならではの悩み。
 多分気のせいだとは思うが、稀に面倒な事に巻き込まれたりするからなぁ、コレ……






「さーて、どうしたもんかなぁ……」

 …あたいはさすらいの旅人。色々事情があって全国を旅してる。
 出身地は……えーっと、なんだったっけ。地名忘れちゃった。
 まぁ、ここがあたいの故郷じゃないのは確か。
 実際あたいは今このカントー地方の港に来たばかりで何も分からないしね。
 って、誰に自己紹介してんだろ、あたい……

 …とにかく、さっきあたいが港で見たあの子、なんだか不思議な感じがした。
 もしかするとあたいと同じくしてこの地方を訪れた子なのか、それとも……
 そんな事を考えてたら、いてもたってもいられなくなっちゃって。
 そして現在、あたいはその子の後を追って港のレストランに。
 財布が悲鳴をあげてるのは分ってるんだけど、つい……

「ご注文はお決まりですか?」
「わっ! え…えーっと、じゃあこのランチAセットで!」
「かしこまりました」
「…ふぅ……」

 もうお金が底をつきそう。また稼ぎに出ないとなぁ……






「ふぅ……ご馳走さまでした」
「へぇ、ブイゼルって少食なのな。全然食ってなかったけど、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「そっか。遠慮するなよ?」

 …あの後、俺達はせっかくなのでレストランで昼食を取ろうという事になった。
 そして各自注文したものを食べ終わり、現在食後の休憩中。
 来て最初は警戒していたブイゼルだったが、今は落ち着いている様子。
 初めてレストランに来た時の誰かさん達とはだいぶ違い、順応がかなり早い。
 これなら苦労せず安心して旅に連れて行けそうだ。

「…じゃあそろそろ頃合だな。出る準備しとけよ」
「えー! もうちょっといてもいいじゃん! 久し振りのドリンクバイキングなんだし」
「わたしもドリちゃんに賛成ですー」
「オニドリルはともかくラプラスまで言うか……分かった。あと少しだけだからな」
「へへっ、ありがと」
「ありがとですー」

 まぁ、あんまりこういう所には来ないし、たまにはゆっくりしてってもいいよな。
 そうポジティブに物事を考えられるようになったのも、きっと手持ち達の影響だろう。
 良い事なのか悪い事なのかは知らないが。

「…ところでオニドリル、ポニータは?」
「ポニ? ポニならトイレじゃない?」
「そうか……って、相変わらずデリカシーのないヤツだな。女の子なら少しは気にしろ」
「何を今更ー。ね、ラプー」
「ねー」
「やめろラプラスにまで移すな汚い」
「汚いとはなんだ! リュウの方がよーっぽど汚い!」
「分かった分かった、もう俺汚くていいから静かにしろっての。周りに迷惑だろ」
「むー……」

 汚くていいと言ったはずなのに、なぜか納得のいかない様子のオニドリル。
 そんなに俺が反発しなかったのに不満があったのだろうか。
 …ともあれ、少しはこの落ち着きのあるブイゼルを見習って欲しいものだ。






「はぁ……」

 あたい、なんでまだこんな一人旅続けてるんだろ。
 予定ではもうとっくにこんな一人旅なんて終わってるはずなのに……

「じーっ……」
「うわっ!?」

 一人ジュースを啜りため息を漏らしていると、さっきの子があたいの席の真横に!
 いつの間にここに来たのかは分からないけど、一体なんであたいの横に!?

「さっきからここにいたよっ?」
「えぇっ!?」

 お、おかしいなぁ。今のはあたい、口に出してないはずなんだけど……
 もしかしたら気付かずに喋っちゃったのかな……うん、きっとそうに違いない。

「……」
「な、なぁに? あたいに何か用かな?」
「うん。お姉さんの持ってるカメラにちょっと」
「!?」

 …そう言って、その子はあたいがさっきから持ってるポラロイドカメラを指差した。
 もしかすると、さっき街の風景を撮ると見せかけて……ううん、それはないっか。
 まさか騒がしい街中でシャッターの音が聞こえるなんてね……

「…用って、何かな?」
「実はね、ちょっと記念写真を撮ってもらいたいのっ!」
「記念写真?」
「うんっ!」

 その子は屈託のない笑顔で頷く。どうやらバレてない……のかな?
 このまま引きずってバレるのもマズいし、切り替えて話を続けよう。

「私のお兄ちゃんったら、いつもカメラ持ってくるの忘れちゃって……ダメかなぁ?」
「あっ、ううん、大丈夫! オッケー!」
「ホント!? ありがとうっ! じゃあ私先に外出て待ってるねっ!」
「分かった。それじゃあまた後でね」
「はーい!」

 そう言って一礼した後、その子は自分のマスターの元へと戻って行った。
 このカメラを持っていると、こんな事を頼まれるのも特に珍しくはない。
 でも、なんであたいなんだろう。他にもカメラを持ってる人はいたはずなのに。
 ちょっと引っ掛かるけど……まぁいいや。先に外に出て待ってよう。






「ん? 遅かったな、ポニータ」

 どこから戻って来たのかは知らないが、いつの間にポニータが俺の横の席にいた。
 油断も隙もない。目を離したらすぐにいなくなってしまうから困ったもの。

「うん、ちょっとさっき知り合った人と話しててねっ」
「そっか。まさかとは思うが、また他人に変な頼み事をしたワケじゃないだろうな?」
「う…ううん! ちょっと記念写真を撮って欲しいって頼んだだけだよっ?」
「おいおい……」

 まったく、それがダメだと言うのにこの子は……
 実は彼女、以前もカメラを持った人に記念写真を撮って欲しいと頼んだ前科がある。
 その時は間一髪止められたが、どうやら今回はもう頼んでしまった後らしい。
 さすがに頼んでおいてやっぱり止めた、ってのは失礼だしなぁ……

「じゃあ待たせるのもよくないし、早く行こっ?」
「はぁ……分かった。さてみんな、もう行くけど準備はいいか?」
「「はーい」」

 皆少し名残惜しそうな顔をしつつも、席を立つ。
 きっとこいつらならドリンクバイキングだけで半日ほど潰せるに違いない。
 そう下らない事を思いつつ、俺も重い腰を上げて会計へと向かう。

「…あれ?」
「どうした、ポニータ?」
「あ…ううん、ちょっと私、あっち見てくるっ!」
「あっ、おい!」

 止める間もなくレジへと駆けて行くポニータ。
 仕方がないので、俺も後を追ってレジへと向かう。
 …が、俺がそちらへ着く前に、ポニータが俺の元へと戻ってきた。

「リュウ兄、10円玉、もらえるかなっ?」
「へ? 10円玉? なんで……」
「いいからいいからっ!」
「あ…あぁ、はいよ」
「ありがとうっ!」

 俺が10円玉を渡すと、ポニータは再びレジへと向かっていった。
 一体10円玉なんて持って何をするのだろう……と思っていたら、すぐに戻ってきた。

「ごめんごめん。ちょっとねっ!」
「10円玉は?」
「うっ、えーっと……ゆ、床の隙間に落として取れなくなっちゃったのっ!」
「…まぁ、それなら仕方ないな。じゃ、行くか」
「うんっ!」

 …取りあえず、ポニータが何かを隠しているのは彼女の目を見れば一目瞭然。
 何を隠しているのかはここではあえて聞かないが。
 まぁこの子の事だから、恐らく人助けに10円玉を使ったのだろう。
 実際これまでにそういう事は何度かあったしな……






「お待たせっ!」

 レストランの入口が開くのと同時に、あの子が勢いよく飛び出してきた。
 その後ろに苦笑いしている彼女のマスターと、その手持ち達も彼女に続いて出てくる。

「ごめん、待った?」
「平気平気。それより、さっきはありがとね」
「ううん、私のマスターもきっと私と同じ事してたから大丈夫っ!」
「へぇ……キミのマスターって優しいんだね」
「うんっ!」

 眩しいくらいの笑みで返事をする彼女。本当にいい子なんだなぁ……

 …それにしても、さっきは本当に危なかった。
 まさか会計の時に計算違いで10円足りなかったなんてね。
 あの子が気付いてくれてなければ、今頃どうなっていた事やら……

 …とか考えていると、いつの間に彼女の仲間の一人があたいの目の前に立っていた。

「……」
「な、何? あたいの顔になんか付いてる?」
「いや、ね。あんた、もしかして……」
「おいオニドリル、初対面の人に"あんた"は失礼だろ」
「あーい」

 オニドリルというその子は、マスターに注意されてしぶしぶあたいから距離を取る。
 一体なんだったんだろう。もしかするとあたいの正体、バレた?

「あ、やっぱり……」
「えぇっ!?」
「ポニータ、お前なぁ……」
「だってみんな顔に書いてあるんだってばっ!」
「はぁ……」

 よく分からないけどマスターに指摘され、いきなり怒り出す彼女ことポニータ。
 結局どういう事なんだろう。やっぱりこの子、エスパータイプ?
 でもこの容姿といい、それらしい所は全くないんだけど……

「あー、コイツ、エスパータイプじゃないのになぜか人の心が読めるんだ。申し訳ない」
「へぇー、そうだったんだ……」

 なるほど、納得。それでさっきあたいの心を読んだってワケね。
 でもなんでそんな事ができるんだろう。気になる。すっごい気になる。

「…それで、この子が一方的に写真撮影を頼んでしまったらしいのだが……」
「あ、そうそう、写真撮影だったね。任せて! あたいがバッチリ撮ったげる!」
「んー……じゃあお言葉に甘えるとしようかな」

 あまり気が進まないといった表情のマスターの横で、はしゃぐポニータとその仲間達。
 写真撮影を頼まれた時にはいつも見る光景だけど、みんな楽しそうだなぁ……






「はい、お疲れ様ー!」
「どれどれ、どんな感じ?」
「あ! ドリちゃんずるいっ! 私も見るっ!」
「わたしもわたしもー」
「はいはい、みんな順番ねー」

 写真を撮り終わると同時に、ブイゼルを除く手持ちの皆が写真の出来を見に群らがる。
 まぁブイゼルは何をしていたのか理解出来ていないので、当然の反応だろう。

「…すまない、うちの子が無理を言ってしまって」
「あ、ううん、気にしなくてもいいよ。あたいも好きでやってる事だし」
「そっか、ありがとう」
「いえいえっ」

 …気前のいい人で本当に良かった。そうでなければ一体どうなっていた事やら。
 とにかく、ポニータには後できっちりお説教しておかないとな。

「じゃあ俺達はこれで失礼させてもらうよ。ほらポニータ、しっかりお礼言いなさい」
「あ、うん。お姉さん今日はありがとう! またどこかで会えるといいねっ!」
「うん。会えたらまた写真撮ったげるよ」
「ホントっ!? やったー! じゃあその時にはよろしくねっ!」
「オッケー。じゃあ、またね」
「うんっ! またねー!」

 そうポニータが言ってこちらに来るのに合わせ、俺も軽く彼女に会釈する。
 さて、道草もこれくらいにして、そろそろ本格的に出発しないとな。

 …それにしてもさっきの人、いかにも面倒見の良さそうなお姉さんって感じだったな。
 手持ちに一人はあんな感じの子が居てほしいが、ハクリューはもういないしな……
 まぁでもそんなに早く手持ちを増やしても仕方ないし、まったり行くとしよう。

「じゃ、行くか。ボールで休んでたいやつは……」
「あ…あのさ!」
「ん?」

 ちょうど出発しようとしていたところ、さっきの人が戻ってきて急に話しかけてきた。
 何かあったのだろうか。取りあえず話を聞いてみる事にする。

「どうかした?」
「えっとさ、キミ達、これからどこ行くの? いかにも旅の最中って格好だけど……」
「あぁ、取りあえず俺達はこれからカントーを一周する感じかな」
「ホント!? じゃ…じゃあさ、もしお邪魔じゃなければ、あたいも……」
「いいよいいよっ! 一緒に行こっ! ねっ、いいよねリュウ兄?」
「はい?」
「決まりだねっ! これからよろしくね、お姉さんっ!」
「あ…えっと、いいのかな? 取りあえず、よろしく?」
「……」

 …話が急に進むのはいつもの事だ。最早何も言うまい。










~あとがき~
こんにちは。初めましての方は初めまして。
覚えてくれていた方は遅くなってごめんなさい。ポエルです。
今回は、新たな仲間を加えてジョウト地方からカントー地方へ戻るまでの旅路。
いつになったらサブルートが終わるんだか……

…そんな事はさて置き、また新たに現れた新キャラ、謎の旅人。
彼女は現在訳あって全国を一人で旅しています。
その理由は後ほど明らかになりますが、今は隠してあります。
他人に知られてしまうと、彼女が精神崩壊を起こしかねないので。
ちなみに今回の金欠は、ただ単に手持ちがなかっただけで、ちゃんと貯蓄はあります。
決して彼女が貧乏で一文無しなワケではありません(笑)

…といった所で、こんな駄文見ていただき有り難うございました!
今後ともペースは遅いと思いますが、頑張りますのでよろしくお願いしますっ!
では、お疲れ様でした。
ツールボックス

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