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季節は巡る。
季節は廻る。
四つの季節を順番に辿り、ヒトトセの循環とするこの世界。
年月は数多の人々の、十人十色のストーリーを紡ぎだす。
そして、これは春の物語、これは冬の終わりのお話。
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まだ夜が寒かった日の事。
もう昼が寒さを乗り越えた、そんな日の事。
―――私は風邪を引いていた。
よりにもよって湯浴みの後に裸身を曝して惰眠を貪ったせい。
主人は主人で『メイド』と一緒に遠出の買い出し。
自堕落を地で行く私としては、遠出の楽しみを超えた惰性が勝るのが常。
ただ一人、主と従者を家で待つ、これではまるで妻ではないか。
まったく、九本ある尾も、長い頭髪も、防寒には大して役には立ちもしない。
吸い殻ばかりが積もる灰皿を引き寄せ、『あの人』の買い置きの封を切る。
風邪を引こうが喫煙だけは止む事も無く。
暖かな日差しを取り込む半開きの窓から昇りたつ紫煙に、僅かばかりの面影を見てしまう。
軽くはあるが、病に伏せると矢張り人肌の温もりを求めるのが生き物の性なのだろうか?
アヤカシであれば、私は最早齢六百を数える大妖怪とでも言ったところか。
旧知のヤツラが今の姿を知れば一笑に伏されるのは間違いなく、とてもじゃないが見せられた姿ではない。
普段とは風味の違う紫煙の味を弱った気管で往なしつつ、主人の帰りは後幾日か。
数えて遠し、主の帰宅。
―――伏せりしは 夜に冷え吹きし 晩冬の 緩む怠惰に 己が身の錆
我ながら馬鹿な事をやって……。
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「……まずは服を着る事を勧めるが。」
その手には短冊に筆、机には墨汁を湛える硯。
少しばかり“しょげた”九尾は床に投げ出し、裸身のまま詩を認める馬鹿者を眼下に。
呆れた視線を後目に、声も無く“その尾の持ち主”は『何に対しての』羞恥かも判らぬ赤い顔を机に突っ伏した。
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あとがき&御挨拶+SSスレチャットプチ企画に関して。
お久しぶりでございます。
スレの方にだけ顔を出していた方々には名前を忘れられて久しくもあるであろうCAPRIでございます。
はい、サボってました。主にゲームしてました。
・ファンタシースターポータブル2インフィニティ
・モンスターハンターポータブル3rd
・ネトゲ数種
・遊戯王タッグフォースえーっと6くらい。
・ディスガイアのいくつかのナンバリング
・他何個か。
いやー、サボりすぎですね。
仕事はさほど忙しくもないんですがね。
閑話休題
SSスレに併設されたチャットの方でこのたびSSスレをちょっぴり盛り上げよう企画が突発発動されました。
これがその企画作品の第一弾となります。
これまで何年もの間放置していた人間が言うのもあれですが、長きに渡り読み専であった方、久しく読み書きを為されておられなかった方。
今ひと時、その御手に筆をお取りになられてはいかがでしょうか?
私の一存ではなく、現存するチャット住民の過半数の賛同を得て行う企画でございます。
是非ともどなたでもこの機会に埋もれた衝動を解き放ち、スレの活性化にご協力くださいませ。
遅筆悪筆代表 Capri
最終更新:2012年03月30日 14:02