2スレ>>609


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「頭いたぁい」
さっき治ったとか言ってなかったか? お前。
「だって痛いんだもん」
ふたご島で捕獲したコダック。
常に頭痛に悩まされている萌えもんという知識はあったのだが、いやはや。
頭痛持ちの辛さは俺も知ってはいるが、ここまでひどいとかわいそうだ。
うー、と唸るコダックの頭にポンと手を乗せる。
ひんやりとジトッととした感触が、肌に心地いい。
「う?」
そしてしゃがみ込んで、目線をコダックと同じにしながら頭を撫でる。
帽子の上からでも手当ての意味はあるようだ。
しばらくの間、ポンポンなでなでしているとコダックの表情に笑顔が戻った。
「すごぉい! ご主人様は魔法使いなのぉ」
手当てというのは本当に効果がある。
患部に手を当てるだけで、本当に痛みが引いていくので不思議なものだ。
幼いころ、母に撫でられた記憶が過ぎり、俺もくすぐったい笑みを浮かべながらコダックの頭を撫でる。
まっほうだまっほうだ、とはしゃぐコダックにこれは手当てなんだよと言う。
「ふぇ?」
おっかなびっくりな表情で、うぅんと唸るコダック。
そこまで真剣に悩むこともないんだけだなぁ。
しばらくうんうん言っていたコダックがパァッと笑みを浮かべた。
「やっぱり、魔法なのぉ」
結局それかい、と俺はずっこけそうになった。
「ご主人様の手、あったかくて気持ちいいの」
だから魔法……か。
俺の手なんかで満足してやるなら、いくらでもなでなでしてやるよ。
俺の手の動きにくすぐったそうに笑うコダックに、俺も笑い返した。


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一週間後
俺の決意は脆くも崩れ去りそうだ。
いや、あの笑顔には癒されてるし、非常に可愛いのだが……そのぅ。
「ご主人様ぁ、なでなでしてぇ」
あれ以来、すっかり味をしめてしまったコダック。
今も少しでも痛みを感じると俺のことをすがりに来る有様だ。
いや、頭が痛いのは分かるのだが、我慢することも覚えて欲しいと思うのはトレーナーの我が侭だろうか。
結局折れて、いつもいつも撫でしまうあたり俺も救えない。
どうしたものかなぁ。

ハナダの岬で短パン小僧と恒例のトレーニング。
コラッタとコダックが対峙する。
「コダック、念力」
両手を頭にあてるお決まりのポーズから念力を繰りださ――
「ご主人様ぁ、頭いたぁい」
――なかった。あれ? コダックさん?
バトルの最中なのに俺に駆け寄ってくるコダック――というアホの子。
あちゃぁ、と思う暇すらなくコダックは背後からの一撃でノックダウンした。
「…………」
「…………」
嫌な沈黙が場を流れる。
俺は短パン小僧に賞金を渡して、萌えもんセンターへと走り出した。
背後から突き刺さる短パン小僧の憐れみの視線が心に沁みた。畜生。

「う……あ、ご主人様」
「よかった。目、覚めたみたいだな」
一撃で昏倒したとはいえ、コラッタの一撃だ。
ひっさつまえばの一撃は綺麗に決まっていたので、大した後遺症もないだろう。
すぐに俺を認めることが出来たあたりからも、現在のコダックの状態が伺える。
「ふぇ? なんでここにいるの?」
コダックのあまりに恍けた発言に、俺は眩暈を感じながら状況を説明した。
なんか、トレーナーと萌えもんというより幼稚園児と先生みたいだと思いつつ、コダックの顔色を伺った。
まぁ特に気にしてないだろう、と思っていたがコダックはひどく気にしている様子だ。
いつもの能天気な表情が、かつてないほどに強張っている。
「……頭、撫でて貰えない」
いじけたように呟くコダックの頭に、俺はそっと手を乗せた。
何で、とコダックの目が聞いている。
安心させるように――こいつの言う魔法が効力を発揮するように、俺は目を合わせた。
「ま、勝敗なんて二の次だって事だよ。流石に今度やったら『うめぼし』だけどな」
安心したように表情を弛緩させるコダック。純真無垢な瞳が俺を覗き込んでいる。
この顔を見てると、また甘くしてしまいそうだ。
袖口をクイクイ引っ張ってなでなでをせがむコダックに、俺は笑みを漏らした。



--おまけ--
「うめぼしって、あの酸っぱいやつぅ?」
「違う違う。こめかみに――こめかみってここな。
 こめかみにグーを当てて、そのままグリグリーッ!」
ジェスチャー付の俺の説明にがくがくと震えるコダック。
「い、痛そうなの」
「痛いぞぉ? そんなこと、俺もしたくないけどなぁ……。
 どうしてもというならなぁ……」
「が、頑張るの!」
以後、バトルの最中に振り返ったコダックには、握り拳を見せるのが慣例となっていった。



――了――
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