2スレ>>926


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灯火山についた一行の目に入ったのは荒れ果てた山麓だった。
無数の足跡が残り、草むらが荒らされている。何かを引きずったような跡もある。

「これはひどいわ……」

スピアーが口篭る。
変わったのは外見だけではなかった。
萌えもんがいないのだ。草むらに入っても一行に姿を見せない。

「……!誰かのにおいがする!」

ガーディがふと感じたかすかな匂い。
その先には岩場にうまく身を隠したブーバーの姿があった。
背を向け、震えている。

「ちょっと聞きに行ってくる!」

ガーディはそう言うとブーバーの元へと向かった。
遠くから見る限りブーバーは背を向けたままだ。しかし、ガーディの動きからするにおそらくうまく話を聞きだしているのだろう。
しばらくすると、ガーディは戻ってきた。

「……どうだった?」
「うん……何かいきなり黒い服の人間達に襲われたって……他の子達は捕まっちゃったみたい……」
「やはり……!」

主人の目つきが変わった。今まで見せた事のない、怒りに満ちた復讐の目に。

「マスター、何か怖い……」

ピッピに言われふと我に帰る主人。

「あ、ごめん……で、奴等は何処へ行ったって?」
「……頂上、だってさ。」
「頂上……」

灯火山の火の鳥伝説――――――――話によると、灯火山が前触れもなく噴火する理由はそこに住む伝説の萌えもん『ファイアー』の怒りだからだと言われている。
主人は過去に、そういう文献を読んだことがあった。

「まさか奴等の本当の狙いは……!」

一刻を争う事態。主人は移動力の乏しいプリン・ピッピ・ヤドランをボールに戻すと山頂への道を駆け出した。



封鎖されていたはずの山頂への道は開かれていた。地面には大きくこげた痕。
おそらく、温泉で聞いたあの爆発音はここで使われた爆弾だったのだろう。

「上にいることは、間違いなさそう……」
「そうね、頂上への道はここしかないはずだから、待ち伏せ戦法も使えるわ♪」
「でも、頂上にいる子達も捕まっちゃうよ?」

サンドパン・スピアー・ガーディ。三者三様に口にする。

「行くしかないさ、これは絶対に許されないことなんだからな!」
「了解、マスター。」 「了解♪」 「うん!」






山頂では黒服の男が3人、大きな荷物を持って何やら話していた。

「ここら付近の萌えもんは全部捕まえたか?」
「あぁ、後は大トリだけだ。」
「火の鳥を捕まえれば、サカキ様だって大喜びするだろうな!」
「そりゃそうだろ!伝説の萌えもんなんだぜ?」
「……しっかしよぉ、いないぜ?」

山頂は剥き出しになっている荒れた山肌以外何もなかった。

「こんな話を聞いたことあるぜ? ありもしない灯火山の噴火の時は、必ずファイアーが出てくるってさ。」
「あぁ、火の鳥伝説だろ? 噴火はファイアーの怒りだっていう……」
「んだったら、俺達が怒らせてやれば…………」

「サイコキネシス!!」

「うおぁっ!!」

怒号と共に3人の体は大きく突き飛ばされていた。

「ッテテ…… 誰だテメェ!!」
「お前等ロケット団に語る名などない。」

振り向いた3人の前にはヤドランを連れた男が1人立っていた。
群青のジャンパーと紺のジーンズ、右の眉間に大きな傷のあるその男は3人に対し、威圧の篭った目で睨んでいた。

「ちっ! 誰だかしらねぇが俺達の邪魔をする奴は消えてもらうぜ!!行けっ、アーボック!!」
「ゆけっ!! マタドガス!!」
「蹴散らして来い! ラフレシア!!」

アーボック・マタドガス・ラフレシアの3匹が目の前に現れた。

「行けっ! サンドパン、ヤドラン、ガーディ!!」








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「畜生! 退却だ、退却!!」

戦いに負けた3人は荷物を置き慌てて逃げ帰っていった。

「…………」

逃げていく姿を睨み続ける主人。

「逃がしていいのか?」
「……今回は、な。」

サンドパンに対しやや強面で答える主人。モンスターボールを取り出すと残りの3人も出てきた。

「これで一件落着って所ね♪」
「あぁ、捕まえられた野生の萌えもん達は取り戻すことが出来たからな。それに、ファイアーも出てこなかったみたいだし。」
「にょ? ふぁいあーがでてくるにょ?」 「なのか~?」
「あぁ、灯火山の守り神的存在なんだ。さて、萌えもん達を出すのを手伝って……」
「マスター! な、何かが来る……!」
「!?」

ガーディが言った途端、周りに大きな熱風の渦が起こり始めた。

「……まさか!?」

大きな火柱が上がる。その中から現れたのは1人の萌えもん。
赤き炎を見に包みしその華麗な姿、ファイアーだ。

「我、眠りを妨げる者、許さじ」

ファイアーの怒りの矛先は主人達に向けられていた。

「……っ!」
「マスター……! 怖いっ!」
「ど、どうするの御主人様……!」

主人の足にしがみつくピッピとプリン。

「いいか、一箇所にいると一気にやられる可能性がある! まずはバラバラになれ!!」
『了解!』

ファイアーが右手を主人に向ける。すると手の先から炎が渦巻いて放射された。

「ちっ……!」

2人が足にしがみついてしまっている以上、そんなに早くは動けない。それに対し、渦の足は予想以上に速かった。

「このままじゃモロに喰らう…!」
「うぉ~た~きゃの~ん!!」

貝の声が聞こえたのはその時だった。横から水鉄砲が噴射され、渦の勢いを止めた。

「ますたー! 今のうちにょ!」
「すまないヤドラン!!」

僅かな時間うぃ回避に費やした。その結果、何とかかわすことに成功した。

「邪魔、先に、潰す」

ヤドランが一番厄介だと悟ったのだろう。ファイアーは勢いよく突っ込んできた。

ガキンッ!!

「……!」
「仲間を傷つけるのは、私が許さない……!」

ヤドランの目の前にはサンドパンがいた。自慢の爪でファイアーの体を完璧に抑えている。『まもる』が発動したのだ。

「そのまま切り裂け!」
「了解、はあっ!!」

斬激が迸る。

「…っ!!」

ファイアーは傷ついた所を押さえ再び上空に戻った。

「一気に、焼けろ」

ファイアーが再び手を向ける。狙う先はヤドランとサンドパン。

「スピアー!」

「わかったわ、アレをする!」

炎が放たれたと同時にスピアーが割って入った。
炎がスピアーにモロにヒットする。

「!! スピアー姐さんが……!」
「大丈夫だ、心配するな。ガーディ。」

不安がるプリンをなだめ、主人はガーディにある指示をする。

「……1匹目……」
「フフ、まだ落ちてないわよ?♪」

炎が止んだ後には、まだスピアーがいた。『こらえる』の発動。スピアーは見事にこらえきったのだ。

「小賢、しい……」
「ガーディ今だ!!」
「了解っ!!」

ガーディがファイアーに向けて火炎放射を放つ。

「避ける等、容易い……」

ファイアーはヒラッと避けてみせる。…が。

「こうめいのわなだにょ!!」
「何?」

ファイアーが気づいた時には遅かった。ヤドランから水鉄砲が発射されていたのだ。
そう、主人はガーディに軌道を少し反らした火炎放射を指示し、ヤドランに避ける方向であろう場所に水鉄砲を放つよう指示したのだ。陽動作戦、成功である。

「……っ、不覚……」
「ラストだ、出番だぞ2人!」
「了解、御主人様!」
「アタシ達の出番ね!!」
『スィング・アンサンブル!』

灯火山に絶妙なハーモニーが響く。
プリンとピッピの歌う二重奏、スィング・アンサンブル。
2人の奏でるハーモニーの前に、落ちないもの等いなかった。ファイアーはゆっくりと下降し、ドサリと地面に倒れた。



――――――――
――――――
――――
――


「…………」

目が覚めるファイアー。ゆっくりと体を起こし、声が聞こえてくる方を見る。

「これで全部かな?」
「そう……みたいね♪」
「みんな喜んでたね!」
「喜ばないわけないでしょっ!」
「……またケンカはよせ……」
「ますた~はきゅうせいしゅなんだにょ!」 「そ~なんだな~」

「…………」

その光景をボーッと見つめるファイアー。

「……気付いたか。」
「……! お前……」
「騒ぎを起こしたのは俺達じゃない、寧ろ、騒ぎを止めに来た方だ。元々お前と戦おうなんて思ってなかったさ。」
「……勘違い、済まない……」
「いいんだよ、別に謝らなくても……」
「…………」

再び萌えもん達のじゃれあう姿を見つめるファイアー。その目には既に怒りがなかった。

「羨ましいのか……?」
「我、いつも、一人……ここを守るため、仕方ない」
「……そうか……ここを守る身でなく、一萌えもんと考えれば、お前も『ひとりぼっち』なんだな。」
「…………」
「その気持ち、よくわかる。お前も、孤独感の中生きてきたんだな。」
「……否定、しない……」
「じゃ、お前も俺の仲間だ。」
「……どういう、こと」
「俺達が、ファイアーの仲間、いや、親友になるってことさ。」
「親友……」
「お前はここを守る身、だからボールに入れようとは思わない。俺にはあいつらがいるからな。」
「…………」
「でも、誰でも寂しくなる時はあるだろ?もしそう思ったら、俺達の所へ飛んでこればいいさ。俺達は親友なんだから。なぁお前達、ファイアーはこれから俺達の親友だ、それでいいよな?」

主人の言葉に誰も異を唱える者はいなかった。

「……お前、優しい……」
「よく言われるよ。」

主人はファイアーに手を差し伸べる。ファイアーはその手を掴むとゆっくりと立ち上がった。

「それじゃ、俺達はそろそろ行くさ。迷惑かけてすまなかったな。」
「……待つ、お前……」
「どうした?」
「……名前、聞きたい」
「俺の名前? ブルーだ。」






ファイアーと別れた一行はその後、再び温泉に浸かった。
その時、ファイアーまでが傷を癒しに来て皆驚愕したのは言うまでもない
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