1スレ>>214


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そこは大きな発電所でした。
そこにはたくさんのコイルと、たくさんのビリリダマと、たくさんのピカチュウと、少しのエレブーとマルマインが住んでいました。
ですが、そのコイルは1人きりでした。
仲間のはずのたくさんのコイルたちは、いつも大勢で楽しそうでした。
発電所の鉄塔をぺたぺた叩いて回ったり、近くの山の上から一斉に飛び降りてみたり、寝ているピカチュウに静電気を浴びせてからかったり。
けれど、そのコイルは1人きりでした。

――も一緒に遊びたいよと、そのコイルは仲間のはずの、同じ姿をした小さな子たちに近寄っていきます。
ですが、そのコイルが近づいていくと、仲間の姿はさっと散ってしまうのです。
――は1人でいるよ、と、一緒にまとまる3人目を探している、コンビのコイルに近寄っていきます。
ですが、そのコイルが近づいていくと、コンビのはずの2人は、連結を解除して逃げてしまうのです。
だからいつも、いつまでもそのコイルは1人きりでした。

どうしてなのか分からないままに、そのコイルは長い間ひとりで発電所の隅のほうで、小さくなっていました。
大勢でいるコイルは平気ですが、ひとりのコイルはとても弱いのです。
いじめっこのマルマインや、からかい好きのエレブーに見付かると、いつも何かと絡まれてしまうのです。
ですからそのコイルは、隅のほうで小さくなっていたのです。

ある日、発電所に珍しい姿があらわれました。
帽子を被った、人間の男の子の姿でした。
腰にはいくつかの萌えもんボールを結わえ付け、手にはタウンマップを広げていました。
そのコイルには分かりました。あの男の子は萌えもん使いだと分かりました。
ときどきやってきて、自分の仲間を捕まえては、どこかへ連れて行ってしまうにんげんたちの、そのひとりだとすぐに分かりました。
ですが、どうしてでしょう。
いままで見てきた、捕まえられた仲間たちは、みんなみんな悲しそうで悔しそうにしていたのに、どうしてなのでしょう。
あの男の子の周りにいる萌えもんたちは、みんなとても楽しそうに見えたのでした。

大きなハクリューがいました。背中にはめがねときのこのパラセクトを乗せていました。
小さなダグトリオもいました。おだんごあたまが地面からひょこっと出ていました。
羽を広げたバタフリーが、少し上空を旋回していました。羽を閉じたモルフォンが、少し休憩と岩の上に座っていました。
そして、そのコイルと同じ姿をした子たちもいました。
3人トリオでした。くっついたり離れたり、ふわふわと舞うように、踊るように浮遊しながら、男の子の周りを回っていました。
男の子はその様子を楽しそうに見つめながら、手持ちの道具を確認していました。
その姿は、とても優しそうで、とても輝いて見えて、そのコイルは、思わずその前に飛び出していきました。

とたん、散らばっていた男の子のコイルが、3人組みに戻りました。
ぱちぱちと、花火の散る音がしました。コイルがレアコイルになり、電気を強く強く発している音でした。
他の5人も、そのコイルを警戒するように、男の子を中心に集まりました。
そのコイルは、ですが怖くありませんでした。真ん中に立っている男の子が、とても優しそうな目で自分を見てくれていたからでした。

男の子はいいました。
君はコイルかい? と、思っていた通りの綺麗な声で、そのコイルにいいました。
そのコイルはそうです、と頷きました。それに応じて男の子は、図鑑を開いて何かボタンを押しました。
少し待ち、小さく頷いて、違うよ、と男の子はそのコイルにいいました。
きみはメタモンだ。メタモンが元に戻る方法を忘れているんだよ。と、男の子はいいました。

その言葉の意味は、そのコイルには良く分かりませんでした。
ですが、とても大事なことを言われているのだということは分かりました。
ぼくに付いて来るかい?
そう問いかけられました。ぼくについてきたら、元に戻す方法を知っている人のところに、連れて行ってあげるけれど。
元に戻るという言葉の意味は分かりませんでした。
ですが、そのコイルに迷いはありませんでした。

はい、と、そのメタモンは頷きました。
それに応えて、男の子も頷きました。
レアコイルがコイルに戻り、そのメタモンを抱えるようにして宙に浮かびました。
その姿は、まるでカルテットになったコイルのようでした。

おわり。

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絵本風味で。挿絵とかついたら嬉しいなw
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