ずっと、一緒だと思ってた。
初めて会った時、酷い扱いを受けた。
ほかの子と闘わされ、そして捕まった。
でもそれでよかったと思ってた。
優しかったから。
抱きつくと頭を撫でてくれたし
傷つけば心配そうな顔でポケモンセンターに運んでくれた。
悪戯をすると頭をポカンと殴られちゃうけど、
それもなんだか嬉しかった。
僕の知らないことを何でも知ってた。
僕の知らないことをたくさん教えてくれた。
闘って勝てば喜んでくれた。
抱きしめて頭を撫でてくれた。嬉しかった。
こんな幸せな日々がずっと続くと思ってた。
あの日、ほかの人に預かってくれといって僕を渡した。
そこにはほかの子もいて、ご主人さまは
「後で迎えにくる」
といってくれた。不安にはならなかった。
でもほかの皆の顔は陰ってた。
何日もたった。寂しかった。
もしかしたらこのまま迎えに来てくれないんじゃないかと思った。
暗い中怖いけど、でもきっとご主人さまが
「迎えに来たよ」
って言ってまた連れてってくれる。
そう信じてた。
信じてればきっとご主人さまがきてくれると思ったから。
やっとご主人さまが迎えにきてくれた!
あぁ、また一緒にいられる。嬉しかった。
あれはトレーナー?バトルするのかな?
僕がんばるよ。そうすればまた頭を撫でてくれるよね?
―交渉成立だね。―
え、待って。僕捨てられちゃうの?
―や~、こちらこそありがとう。―
まってよ。僕ご主人さまと一緒にいたいよ。
好き嫌いもしないよ。
悪戯もしない。
バトルだって頑張って役に立つから!
他の子よりもずっと頑張って強くなって!
もっともっと強くなって役に立つから!
お願い見捨てないでよ。
もう一度、頭を撫でてよ!ねぇ!
僕の声はここからは届かない。
でもご主人さまの声が聞こえてくる。
声を張り上げた。もっと遊んでもらいたかったから。
泣き叫んだ。もっと甘えたかったから。
気づいてくれと願い続けた。
ずっと、一緒にいたかったから。
最終更新:2007年12月08日 00:46