1スレ>>139


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彼女との2人旅も一段落、今日はゆっくりと休むことにした。
 手頃な木にもたれかかり、おいしい水で喉を潤す。
 殺伐としたバトルの日々を越え、久しぶりの人間らしい一時だった。
だが……
「なあサワムラー。お前は休まないの?」
 俺のパートナーは、今日も修行に勤しむのだった。

「…………」
 ふるふると首を振ると、稽古を再開する。飛び散る汗が、その気合の証だ。
 しかし、よくもまあ蹴りばかり飽きも無く続けられるもんだ。かくとうポケモンの性なのか?
 岩を砕き、木を両断する。どんな足してるんだ。いあいぎりは覚えてないはずだぞ。
 ショートヘアにハイネック、クールな雰囲気が似合う長身の彼女は、軽く俺を見下ろしている。
「なあ、サワムラー」
「…………?」
 目だけで反応し、動きを止めようとはしない。
 用件があるなら早く言え。そんな感じだ。喋れるんだから返事くらいすればいいのに。
「一緒に旅をしてさ。ずっとお前を見てきたつもりだ。バトルの時も、修行の時も、寝る時だってな」
 寝る時、に深い意味は無い。別に1つのベッドに枕は2つとかそういう意味じゃない。
 まあそんな時もあったけどさ。
「図鑑もしっかり確認した。お前の特性や能力、技もしっかり把握してる」
 それで、だ。
 俺は図鑑を取り出しデータを確認する。
「サワムラー キックポケモン たかさ1,5m おもさ49,8kg
あしがじゆうにのびちぢみして とおく はなれてる
ばあいでも あいてを けりあげることが できる」
CV.三木眞一郎の機械的な声。サワムラーの詳細を語るポケモン図鑑(アニメ版)。
ふとサワムラーを見ると、顔を赤らめて俯いている。ああ、体重を聞いたのは悪かった。
「でもさ、お前……」
 真赤な顔を左右に振り否定する。どうやら話は読めたらしい。
「本当の身長、どう見ても150cmじゃないだろ」

 普段、並んで歩いてると違和感はない。
 なるほど150cmの少女で納得が行く背の高さだ。
 だがバトルとか修行の時はそうはいかない。戦闘形態とばかりにでっかいお姉さんに早変りだ。
 で、どう見ても長身の方がバランスがいい。150cmの時は、何か頭身がおかしい。
「お前、本当は背高いのにわざと足短くして150cmになってない?」
「…………いや、その、それは……!!」
 一気に小さくなるサワムラー。いや、慌てて足縮めなくていいから。
 サワムラーは申し訳無さそうにしゃがみこんでしまった。涙目になり真実を語る。
「……だって……マスター、背低いから……」
 やっぱりか。サワムラーは、俺と身長を合わせてくれていたらしい。
「別にお前の方が高くたって気にしない。いいんだよ。ありのままのお前でさ」
まあ俺自身身長150cmというのは情けないが、サワムラーにまで同情されたらさらに悲しい。
 それに……正直言うと、背の高い女性に見下ろされるのが嫌いってわけじゃないしな。むしろ好きだ。
「…………」
おや、サワムラーの様子が……おい、大丈夫か?
「…………ま」
「ま?」 
 嵐の前の何とやら。何か嫌な予感が……
「マスターっ!!!」
「ぐふっ!?」
 突っ込んでくる俺の相棒。たいあたり? すてみタックル? いや、のしかかりだ。
 あっという間に押し倒されて、麻痺する俺の体……って、洒落にならん。
「お、おい、サワムラー!?」
「マスター……マスターっ!!」
 息を荒げ、瞳孔が開き、普段のクールな彼女は何処にも居ない。
 ただ身長が、軽く180cmを越えていた。
「おい待てって、サワムラ……アッー!!」

「マスター、昨日はゆっくり休めましたね」
「何処がだよ。バトルの倍疲れたぞ……腰とか」
「じゃ、じゃあ今日も休みに……」
 今日ものしかかられてたまるか。
 俺は立ち上がり、次の街を目指した。
「…………」
 不満気についてくるサワムラー。また無口になってしまった。
 でもまあ、やっぱり。
「サワムラー」
「…………?」
「背が高い方が可愛いな」
「…………ま、マスターっ!!」
「またかよ!?」

おわり
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