3スレ>>831


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自然溢れる巨大な空間。様々な植物が自生しているここタマムシシティジムでは、
午後のティータイムの時間。ジムトレーナーも萌えもんも、そろってテーブルを囲んでいた。
「エリカ様、お疲れ様です。紅茶をどうぞ。」
眷属の一人が、席に着いたエリカの手前にティーカップを置いた。
「ふぅ。ありがとう。」
紅茶を注がれたティーカップを右手に持ち、一杯飲んで一息つく。
いつもの時間、いつもの催事。しかし……
「あら…。」
……その前に、ひと波乱起きるだろうという報せがあった。
吹き抜けになっているジム。カフェテラスから、入り口の大きな扉が開くのがすぐにわかった。
「エリカ様…」
「ええ、どうやらやってきたようです。」


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08 天高く舞う花弁の調べ
    ~Daybreak~


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「ん~やっぱり、い~匂い♪ここのアロマで香水作ってもらえないかしら?」
建物に入って早々、ぺるこが感嘆の声を漏らす。
「勝ったら頼んでみるか?」
「あら、ご主人様自信あるの?」
「あ~!ぴくるも欲しいのですぅ。」
「私とぴくる、二人分ね!」
――女っていうのはどうしてこうも…まぁ、いいか。
再度タマムシジムに足を踏み入れた、少年一行。
「ジム戦……緊張するねますたー。」
…新たな仲間を連れて。
「大丈夫だパトリオ。お前の実力ならひけを取らない。」
緊張しているのは、パトリオ。それを宥める少年は、思う。
――重要なジム戦だっていうのに、この二人は……
もちろん、その二人とは――
「わぁ!ぺるこさんっ、綺麗なちょうちょがいますよ~!」
「へぇ~珍しいわね。七色の羽の蝶だなんて…。あ、この花!かわいぃわねぇ♪」
ぺることぴくるの、乙女コンビ。
エントランスに入って早々、周りの珍しい草花に興味を湧かせている。
「…あ、あの二人も戦うの、わかってるのかな?」
「パトリオ、俺に聞くな。」
そんなこと俺にわかって堪るか、と言いたげな少年。
あるいは、戦う前から緊張してどうする?という意気込みなのだろうか?
「――!」
各自がどう考えていようと、
「ようこそ。お待ち申し上げておりましたよ。」
その時は、静かに近づいてきている。
「…帰ってきたぞ。」
吹き抜けになっている上階から、ゆっくりと階段を下りてきたエリカを、少年は見上げた。
「随分と……早かったのですね……あら。」
階段を降り、少年に向き合う。その傍らにいた、以前に見覚えのない顔。
「…見覚えのない方が。新入りさんですか?」
パトリオに近づく、エリカ。
「…えっ、ぼ、僕?」
「…はじめまして。エリカと申します。お名前を伺っても?」
「わ、わふ…いや、はい!自分はパ、パトリオであります!」
「ふふふ…そんなに緊張しなくていいのよ?」
「は、はぁ……。」
まるで拍子抜けである。これが今から戦う相手のますたーなのか…?とパトリオ。
――なんだよ…戦意がまるでないじゃないか…。
誰と…何を相手に戦えばいいんだか、これではわからないではないか。
「挨拶はいい。」
最早戦意があるのはこの人物だけなのか、少年は短く言い放った。
「バッジをかけて勝負――だっ!?」
が、啖呵を切る前に後ろから何かにがばっ!とのしかかられた。
振り返る。…案の定。
「えー戦うのぉ?ご主人様ー、せっかちさんじゃなぁい?」
ぺるこだ。おまけにぴくるまでついている。
「もう少しゆっくりして行きましょうよぉ。」
「だからお前らは…」
「くすくす…」
なんとものどかなやり取りに、思わず笑いが漏れるエリカ。
「今、紅茶が入ったところだったんです。折角ですから、皆さんもどうですか?」
「はい!飲みますぅ♪」
「お、おい!」
何を勝手に――と言いたい少年ではあったが、ぺるこの言うとおり、少し焦っているのだろうか?
そんな疑問を自分にぶつけながら、その流れに反論できる余地は彼になかった。
「いいんじゃない?…たまにはこういうのも。」
ぺるこまでそんなことを言うもんだから、ほぼ全会一致のようなものである。
「……仕方ない。そうさせて貰う……。」
渋々了解する少年。それを見ていた傍らのパトリオだけが、困惑していた。
「どうしたんだろう…二人とも……。」
エリカが降りてきた階段を上っていく三人。そしてエリカ。
二階のテラスへ行く彼らを見て、何故か腑に落ちない。
――ますたーはともかく……なんだろう……この感じ。
「パトリオ?…何やってるんだ。早く上がって来いよ。」
「う、うん。今行くよますたー。」
何かおかしくないか?という疑問を一人で考えても、答えは結局出なかった。
ますたーに促されて、パトリオもテラスへと向かった。

……あながち、パトリオの勘は間違っていなかったと、後に気づくことになるのだが――

つづく
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