3スレ>>915


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タマムシシティの一角に、強烈な光源が現れた。
光を発するその建造物、それは――タマムシシティの片隅に聳え立つ、大きなドーム状の建物。
タマムシシティジム――外からでは光が溢れるだけで、中の様子はわからない。
それでも、現地の住民はさほど驚く様子を見せない。
皆、始まったか――と、見えない戦いの顛末を脳内に描くのは、毎度のことである。


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07 天 高 く 舞 う 花 弁 の 調 べ
~ E c l i p s e ~


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「毎度のことだけど……ジムリーダーってのはホームで戦うときは強いのよねぇ…」
頭上を今にも降ってきそうなエネルギー塊に支配されながらも、軽口を叩くぺるこ。
口を割って出る言葉の軽さに反して、表情は重い。
「これがますたーが気をつけろって言ってた……オペレーション・で…で、…??」
「オペレーション・デイブレーク。」
擬似太陽を作り出すことから始まる作戦。その全容は把握しきれていないが、
少年曰く、その後の敵の動きが桁違いだ、という。狙いの一つは、これだろう。
「気をつけてパトリオ。ぶっちゃけちゃうと、何が来るのかわからないから。」
予測不能の日の出作戦。敵はどう打って出るか……。


「さて、どう打って出ますか?」
威風堂々と立ち振る舞うエリカ。
その傍らには天に向かいエネルギーを絶えず送り続けるキリエレ。
そして先陣の切るのは、ラプティ。
後方に位置するのは、両手の薔薇を天高く掲げたルメラ。
采配は整った。…あとは、その時を待つのみである。
「では…舞いなさい、ラプティ。」
エリカの命令で、ラプティは再び敵陣へと、飛ぶ――


「せぇぇぇぇあああっ!」
無数の花弁が、戦場の真ん中に狂い舞う。
その花弁の渦の中心にいるのは、ラプティ。花弁を纏い再びぺるこに向かって突進する。
「―――ッ!!」
再度、交叉するのはバトンと爪。しかし――
「ぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
力任せに、何度も何度もバトンを振り回すラプティ。その速さに隙は全くない。
ただ狂うがままに強襲しているように見えて、そこには一つの型が出来上がっている。
――なによ…これ、さっきと全然動きが違いすぎる――!!
防戦一方のぺるこ。相手の舞を両手の爪で捌くので精一杯である。
上段から下段から、右から左から――絶えず襲ってくる乱打はぺるこの行動を封殺する。
「ぐっ…ッ!ぺるこ…姉ちゃんを……助け…!」
行動を封されていたのは、こちらも同じく、パトリオ。
周りの花弁は、あたかも別の生物のように動き、パトリオを襲う。
渦の中心に辿りつくことができない――花弁は針の雨のようになって、降り注いでいた。
「くそ……っ!この……!」
拳と脚で花弁の嵐を振り払うパトリオ。その内部から昂ぶるボルテージは今、
「小賢しいッッッ!!」
放たれた。
不意に炎を纏った拳が、花弁を焼き払った。それを機に、密集する花弁はたちまち炎に包まれ、
その場に爆発的な炎上を起こす。花弁の渦はたちまち炎の渦と化す――
「っ!!」
高密度な花弁が仇となったか、それらは炎を纏いラプティに襲い掛かった。
異変を即座に察知し、迅速な動きで後退した。
三度開く、間合い。
「熱っ!熱熱熱熱熱熱熱ぅぅぅっ!!」
何とか窮地を脱したものの、その代償は少なからずあったようだ。
「パアアアトオオオリイイイオオオオオ!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁい!」
火達磨になったぺるこ……とまではいかなかったが、花弁の炎の襲撃は、ぺるこにまで被害が及んだようだ。
「ったく……火傷しちゃったかもしれないじゃない……でもまぁ、助かったわ。」
軽く感謝を述べる間にも、臨戦状態の構えは解かない。
「こっちも軽傷だよ……まだいけそう。」
そう言うパトリオの身体は、全身擦り傷切り傷だらけではあった。
…そうであったとしても、果たしてラプティの次の攻撃を捌き切れるかはわからない。
しかしながら、これで花弁を纏った攻撃は使ってこないだろう。互いに懐に一つ傷をつけられた感じだ。
「!!」
となれば――敵の新たな行動を警戒するものである。
ぺるこはこのときほど、してやられたと思ったことは今までなかっただろう。
「しまった…!パトリオ、今度はこっちから仕掛けるわよ!!」
「う、うん!」
同じように、パトリオも気づいたのだろう。顔からは明らかな焦燥が窺える。
二人は同時に、地を蹴り上げ、敵陣に突っ込む。
「気づきましたか…ですが、させません!」
迎えるのはラプティ。あちこちに火傷のある身体で、なおも二人の前に立ちはだかる。
「はぁぁぁぁ!」
パトリオは気合を一閃し、口から火炎を放つ。
燃え盛る炎がラプティの視界を奪い、襲い掛かる。
「ぐっ……!炎の使い手……やりづらいですね…しかし…!」
「今よパトリオ!!」
炎の障壁の中から、飛び出したぺるこは、そのままラプティに上から飛び掛かる。
鋭い爪をつき立て、ラプティを急襲した。
「!…くぅぅッ!」
最早何度交わったかわからない、ラプティのバトンと、ぺるこの爪。
戦況は一気に乱れ始めた。燃え盛る炎に視界は遮られ、姿をくらませたパトリオ。
彼が向かう先は、天に薔薇を掲げている、ルメラ――
先手を取り、強化したラプティによって足止めをした相手の真意はそう、彼女の行動を悟られないための撹乱。
「間に合えぇぇぇぇぇ!!」
ラプティの防衛網を突破したパトリオは、遂にその姿を捉えた――。
「く…まずい…!突破された!?」
「行かせないわよ!」
戦況は忽ち変化した。攻守が入れ替わり立ち代り、有利不利、立場の一転二転。
そしてこれを阻止できれば、少年側の圧倒的優位、できなければ、エリカの圧倒的優位が待っている――
「はぁっ!」
爪を真上から振り下ろすぺるこ。後方に意識を向けた、その一瞬を狙う。しかし――
「甘い!」
ぺるこの渾身の一撃――それをバトンで受けると、今度はその力の流れを横に逸らす。
それと同時に、ラプティはぺるこの懐へと一気に滑り込む――
「!ぁうっ!!」
ラプティのタックルを空いた懐にまともに受けたぺるこ。斜め後方へと吹き飛ばされる。
「はぁー…はぁー…ッ!」
互いに余裕のない、混沌とした戦い――それに終止符を打ったのは、次の瞬間だった――


「ラプティ!準備は整いました。"避難"しなさい。」
そのエリカの命令により、ラプティはぺるこ、パトリオと距離を置く。
エリカ側から見て、右翼にぺるこ、左翼にパトリオ。そして、中央にラプティ。
機は熟した。
「放ちなさい、ルメラ。」
「承知しました。オペレーション・デイブレーク第二フェーズ開始――」
天高く翳していた二束の薔薇を、遂に振り下ろしたルメラ。
その薔薇の指す先には――右手はぺるこが、左手はパトリオが。
「ツイン・ソーラービーム、発射スタンバイ――」
そして――薔薇から光が漏れ出した。


「くそっ!!間にあえ!間にあえぇぇぇぇぇ!!」
拳を溜めながら、ルメラへと猛接近するパトリオ。
「これが撃たれたら…もう…終わりだ……ッ!!」
パトリオの願いも空しく、まさに今、その光は放たれようとしていた――


「お願い…ッ!間に合って…!」
ここからではもう、妨害も非難も間に合わないと悟った、ぺるこはその場に座り込み、パトリオに願いを託す。


「――今言ったとおりだ、できるな、ぴくる。」
「…はいですっ!」


「ツイン・ソーラービーム、発射準備完了!」
「では…撃ちなさい!!」
そして――エリカの無常なる一言。その命令を、忠実に実行する。
「ツイン・ソーラービーム、発射!!」
…ルメラの薔薇から、あふれ出る光の奔流……それは、挑戦者の心を葬る、絶望の二文字。
タマムシシティジム、その戦場を駆ける二つの光の束は、たった今放たれた―――


つづく
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