3スレ>>925


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『人生いろいろ、もえもん人生もいろいろ』


  よく晴れた日、野原でたくさんのもえもんたちが、自由に過ごしている。
 お茶とお菓子を準備して会話を楽しむもの、遊び道具を使って遊んでいるもの、日向ぼっこしているもの、などなど。
 今日は、月に一回の解放日。連れ歩けるもえもん以外は、パソコンの中で暇だろうと、鼻血マスターが外で自由に過ごせる日を提案したのだ。
 納得して仲間になったとはいえ、パソコンの中にずっといるのは窮屈で退屈。そんなもえもんたちにとって、この提案は好評だった。
 少女自身も、たくさんの仲間と接することができるので、お互いにとってなくてはならない日になった。

「こうしてマスターと話すのも久しぶりな気がする」
「ピジョンは、最近連れてなかったからね」
「また一緒に連れて行ってもらえますか?」
「うん、必ず」
「楽しみにしてます」
 少女とピジョンが並んで、話をしている。
 少女は今日一日、いつもは会えないメンバーと話をすると決めている。
 ピジョンの前も、コラッタやコダック、クラブと話をしていた。
「さらに仲間増えましたね」
「うん、ピジョンと一緒にいたときから15人増えてる」
「それぞれとの出会い方を教えてもらえますか?」
「そうだね、じゃあラッキーから」
 少女は、フシギバナと一緒に、小さいもえもんたちと遊んでいるラッキーを指差す。
「彼女は、公園のベンチでしょんぼりしてたところを抱きついて仲間にしたの」
「またもえもんボールが、なかったんですか?」
「あったけど、抱きつきたかったから」
 相変わらずだと思うピジョン。メンバーから外れて、三ヶ月しか経ってないので、変わらなくて当然かとも思う。
「しょんぼりしてた理由って知ってます?」
 ピジョンは、少女は知っているかと、気になったことを聞いてみる。
「そういえば、聞いてなかったかな。
 そう思うと、気になってくるなぁ」
 うんと頷いて、少女はラッキーを呼ぶ。
 ラッキーは、小さい子たちのことをフシギバナに頼んで、少女とピジョンほうへと歩いてきた。

「ご主人、呼んだ?」
「うん、聞きたいことがあって」
「いいすっよん。なんでも聞いてくださいな」
「私と初めて会った日、しょんぼりしてたでしょ? なんでかなと気になって」
「ああ、あの日っすかぁ」
 顔を曇らせたラッキーに少女は慌てる。
「あー言いたくなかったら、言わなくてもいいよ!?」
「そんな言いにくいことじゃないから、慌てなくてもいいっす。
 あの日のことを話すなら、それよりも以前のことから話さなくちゃいけないっす。
 少しだけ長くなりますよん?」
 それに少女とピジョンは、頷きを返す。
 ラッキーは、少女の隣に座って、ゆっくりと話し出す。

「私は、もともと小児専門の看護もえもんでした。
 子供が好きで、その職業を選んで、ジョーイさんと一緒に学校で看護のことを学びました」
「だから小さい子たちの世話が上手いんだ」
 少女は納得といった表情を見せる。
「はい、子供の相手は楽しいっす。
 それでなんとか学校を卒業して、もえもんセンターで子供の看護を始めたんです。
 今の私を見てもわかるように、昔からどじを踏むことが多かった。
 あの頃は、好きなことができる嬉しさの一方で、緊張もあって、今よりもどじっ娘でした」
 その頃の自分を思い出したのか、苦笑を浮かべたラッキー。
「いろいろどじして、ジョーイさんや仲間にたくさん迷惑をかけたっす」
「それで放り出されて、途方にくれてたんですか?」
 ピジョンが思い浮かんだ予想を聞いてみる。
「違うっすよん。あの人たちは、私がどんなどじを踏んでも、怒りはしたけど、追い出すなんてことはしなかった。
 私が、しょんぼりしてたのは、私のどじが原因っす」
「やっぱりどじが原因なんだ」
「はいっす。どじが原因です。
 ある日、私はおつかいを頼まれました。大事な書類を、少し遠いもえもんセンターへと届けるおつかいです。
 郵便事故が起こるといけないから、持って行くということになったっす。
 そして、ちょうど手のあいていた私が、行くことになった」
((よく送り出したなぁ))
 少女とピジョン、二人は全く同じことを考えていた。
「最初から、東と西を間違えるなんてアクシデントもあったけど、なんとかバスを乗り継いで、予定してた日付を三日過ぎて萌えもんセンターに到着したっす。
 私がどじすることを前提にして、余裕をもたせていたので、書類は必要な日に間に合いました」
((前提にしてたんだ))
「おつかいを終えた私は、帰ろうとしたっす。けどまた方向を間違えて、別の場所にでました。
 そこで、急患がいるからと、船につれていかれたっす。腕にもえもんセンターの腕章をつけていたから、治療ができると思われたんでしょう。
 なんとか治療は終えたけど、すでに船は出発してた。船長にわけを話して、次の港で下ろしてもらったけど、そこはジョウト地方。帰り方がわからなかった。
 道行く人に、帰り方を聞きながら帰り着いたのは、書類を持って出た日から一年後でした」
「「一年後!?」」
 よくそんなに迷っていたものだと、呆れを通り越して感心している二人。
 そんな二人に苦笑いを見せて、話を続ける。
「帰り着いたもえもんセンターでは、私の代わりに別の看護もえもんが働いていました。
 さすがに、一年もいないとなると、仕事が滞ることになるっす。そうならないように、代わりが入っていたっす。
 ジョーイさんたちは、私が帰って来たことを喜んでくれました。心配かけるなと怒られもしましたけど。
 そしてまた働き始めた。でも私の仕事は、別の看護もえもんが私よりも上手にやっていた。
 ほかの仕事をすることになったけど、どの仕事も今のところは、人手が足りていて私の手伝いは必要なかった。
 逆に迷惑をかけて、仕事の邪魔になったりもしたっす。
 回りの皆は、励ましてくれたけど、私はあそこにはもう私の居場所はないと、落ち込んでいたっす。
 居場所がないなら、必要とされる場所を探せばいいと、人手不足なもえもんセンターを探したけど、みつけることができなかった。
 そして、これからどうしようかわからず、公園で落ち込んでいるところで、ご主人に会ったっす」

「なるほど~、だからしょんぼりしてたんだ」
 ほうほうと頷いて納得した顔の少女。
 一方で、ピジョンはいまだ納得いってない感じだ。
「あなたは、どうして私たちの仲間になったんですか?
 話を聞くかぎりだと、もえもんセンターで働きたかったんじゃ?」
「いきなり抱きついて、きらきらとした目で私を見るご主人が、子供みたいに見えたから。
 野生のもえもんなら、一緒に行かないって聞かれて、それもいいかなって思ったから」
 少女にとっては相変わらずの行動だが、必要とされて嬉しかったのだろう。
「仲間になってよかったと思ってるっすよん。
 看護はできないけど、小さい子達の世話はできるし、ご主人も好きだから」
 そう言ってラッキーは微笑む。今の生活を選んで、悔いなど少しもないとばかりに。
 ラッキーは、フシギバナと小さい子たちのところへと戻っていった。
 笑顔で小さい子たちの相手をするラッキーを、二人は感慨深げに見る。
「人に歴史あり、もえもんも歴史あり、だね」
「ですね」
 二人は立ち上がり、ラッキーたちのところへなだれ込む。
 そして、もえもん可愛さに鼻血をだすという、いつもの光景になるのだった。
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