3スレ>>933


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「たとえ火のなか水のなか草のなか森のなか~♪」

生い茂る叢の中を紫色の服を着た子が走り回る。

「土のなか雲のなかあの子のスカートのなか~♪」
「キャーッ!? またやられたっ!!」

叢の中にいる少女のスカートがヒラリ、その子の尻尾によって舞い上げられる。
真新しい萌えもんトレーナーの服を着て、手にボールを持つその少女はまたやられたという表情を浮かべた。

「エイパム! ちょっと待って!!」
「あはは♪ 待ってていわれて待つ人なんていないよ~だ♪」

エイパムと呼ばれたその子は振り向きざまにアカンベーをしながら叢の中へ消えていく。

「…見失っちゃった…今度こそ捕まえられると思ったのに!」




こんなことが毎日続いていた。
新米トレーナーの少女は毎日のようにこの叢へ足を運んだ。
目的はイタズラっ子のエイパム。彼女が一番最初に目にした萌えもんである。
珍しいと思って近づいた矢先にスカートめくりの被害に遭った。
それからというものの、彼女は執拗にエイパムを狙い続け、今に至るのだ。

「今日も捕まえれなかったの?」
「…うん。」

少女が家に帰ると彼女の母親が夕飯の支度をしていた。

「トレーナーになるって言い張ってからもう5日も経つのに……最初はセンターで萌えもんが貰えるんじゃなかった?」
「そうだけど……最初は自分で捕まえるって決めたんだもん!!」
「……全く、しょうがない子ね……でも、そう決めたからにはちゃんと捕まえなさいよ? トレーナーになってから5日も家にいるトレーナーなんてほとんどいないんだから。」
「……は~い。」

そんな母子とのやりとりを、エイパムは窓の外から覗いていた。
木に尻尾をひっかけ、逆さま状態で。

「ふ~ん、アタイを捕まえるって急なこと言い出したと思ったら、こういうことだったんだね~」

ぶら下がったまま、エイパムは考える。スカートがめくり上がってパンツが見えているのも気にせずに。

「どうしよっかな~…」

エイパムはピョンと木から降りると、森の中へ帰っていった。



「ただいま~♪」
「おかえり。今日もまた遊んできたの?」

エイパムの母親のエテボースが胸に飛び込んできたエイパムを2本の尻尾で抱きしめる。

「ねぇねぇお母さん。」
「何?」
「アタイがいなくなると寂しい?」
「え? 何でそんなこと聞くの?」
「あのね…………」

――――――――
――――――
――――
――


「ふ~ん…いつも遊んでる人間の子がそんな事を……」
「でね、どうしてもアタイを捕まえたいって言ってるの。どうしようかな?」
「それは、自分で決めなきゃ。」
「え?」
「あの子と仲良しなんでしょ?」
「なかよしと言うか……からかってるだけだよ~」
「でも、あの子と遊んだ後、必ず笑顔で帰ってきてたよね? 今まで暗かったのに。」
「そ、それはぁ……」

そう、エイパムには友達がいなかった。半月前に彼女と会うまでは。

「もし、あの子がいなくなったらどうする?」
「…………う……でも……」
「お母さんの事は心配しなくていいわよ、あなたが元気でやっていけたらお母さんも安心するわ。」
「お母さん……」

さらにギュッと抱きしめあう。

「わかった、決めたよ♪」
「そう。」
「でも、アタイが遊びで負けるまで捕まったりしないんだからねっ!!」





「ボールよし、秘密兵器よし……!」

叢の中で少女はもう一度確認をする。

「さぁ、エイパム! 今日こそ捕まえてやるんだから!」
「捕まえれるならつかまえてみろ~♪」

叢の中から声がする。

「たとえ火のなか水のなか草のなか森のなか~♪」

いつもの歌を歌いながらエイパムは少女の位置を確認し、背後に回る。

「土のなか雲のなかあの子のスカートの……ん?」

近づいたところでエイパムは動きを止めた。

「あれ??」

少女から尻尾が生えてるのだ。しかも、エイパムと同じような先が手になっている尻尾だ。

「こんなの生えてたっけ?」

ちょんちょんと触ってみる。すると…

パンッ!!

「わひゃっ!?」

突然尻尾の先が割れ、驚いたエイパムは尻餅をついた。

「へへっ、捕まえた~っ!」

少女はガシッとエイパムの体を掴んだ。

「わ~~!! 離せぇ~!!!」
「離せて言われて離す人なんていないよ~」

少女はエイパムの小さな体を胸元でガッチリ抱き上げた。

「スカートめくりの犯人め、捕まえる前にお仕置きしなくちゃね。」
「え、ちょっとま……あははははは!!」

少女がエイパムの体をこしょぐり始めた。

「こちょこちょこちょこちょ」
「あひゃひゃひゃひゃ、く、くすぐったいよぉ~!キャハハッ!」
「どう? 降参する?」
「ヒャハハハ、こ、こうさん~っ!!」
「じゃ、捕まってね♪」

少女がボールをエイパムにポンと当てるとエイパムはボールの中へ吸い込まれていった。

「エイパム、ゲット!!!」




「あ~ぁ、捕まっちゃった♪」

ボールから再び出すとエイパムは少女の肩に乗った。

「それにしては、楽しそうだね?」
「だって、今からずっと一緒でしょ? いつでもスカートめくりできるからねっ!♪」
「こらっ、1めくり1こしょぐりだよ?」
「あ、それはヤダかも。」
「……これからよろしくね、エイパム♪」
「うん! ……あの、ちょっといい?」
「ん? 何?」
「今から旅に出るんでしょ? その前に、お母さんに会いたいんだ。」
「お母さんに?」





「そう、行くのね。」
「うん!」

エイパムはエテボースの胸に飛びついていた。

「エイパム。立派になって帰ってくるのよ? それまでお母さん待ってるから。」
「うん! わかった!!」
「それと、イタズラはしないようにね?」
「それは守れないかも♪」
「こーら。」

エテボースが尻尾でエイパムの頭を叩く。

「あてっ。」
「では、私の子をよろしくお願いしますね。えっと……お名前は……」
「私の名前ですか? ハルカです。」
「ハルカさんね。この子を立派な女の子にしてあげてくださいね。」
「はいっ!!」

エテボースは尻尾を差し出した。少女・ハルカはその尻尾をギュッと掴んで握手をした。

「それじゃ、家に帰って支度をしなきゃ! エイパム、行くよ!」
「はーい♪ えいっ! ハルカのスカートの中~♪」

ヒラリ。スカートがまた揺れる。

「キャッ!? こらーっ!」
「へへっ! 家まできょうそーだ!!」
「待てーっ! こしょぐりの刑だぞーーーっ!!」

あっという間に森の中へと消えるエイパムとハルカ。
エテボースはその2人の背中をじっと見つめていた。

「元気でね、エイパム……」




つづく?
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