「えーんえーん」
どこからか泣き声が聞こえてくる。
ここは小さな山の頂上。まんまるお月様が綺麗な星空の下、山頂の原っぱで、小さなデオキシスが一人で泣いている。
いつまでたっても泣き止まず、眠っていたほかのもえもんたちが起きだしてきた。
最初に近づいてきたのは、ニャース。
「そんなに泣いて、どうしたの?」
デオキシスは答えます。
「えーんえーん。お家に帰りたいの」
「お家はどこ? 連れて行ってあげる」
「えーんえーん。あそこ」
デオキシスは泣きながら、空に浮かぶお月様を指差す。
ニャースは驚く。お月様に住むもえもんと初めて会ったから。
そして困った。デオキシスを連れて行ってあげたいけれど、ニャースには無理だから。
ニャースは、デオキシスの相手をしながら考える。
次にやってきたのはマンキー。
「こんばんは。この子はどうして泣いているのさ?」
「お家に帰りたいけど、帰れないんだ。
連れて行ってあげたいけど、私には無理で困っていたんだ」
「それなら僕が連れて行ってあげよう。お家はどこなんだい」
デオキシスは泣きながら、月を指差す。ニャースと同じように、マンキーも驚いた。
「木の上までなら連れて行けるけど、届かないな。困った」
ニャースと一緒に、デオキシスの相手をしながら考える。
次にやってきたのはリングマ。
「こんばんは。この子はどうして泣いているんだい?」
「お家に帰りたいけど、帰れないんだ」
「僕たちじゃ、連れて行くのは無理なんだ」
「それなら、わたしが連れて行ってあげよう。お家はどこなんだい?」
デオキシスは泣きながら、月を指差す。ニャースとマンキーと同じように、リングマも驚いた。
「どんな険しい道でも背負ってあげられるけど、月にまでは行けない。困った」
ニャースとマンキーと一緒に、デオキシスの相手をしながら考える。
次にやってきたのはピジョン。
「やあ、皆さんこんばんわ。この子はどうして泣いているの?」
「お家が遠くて帰れないんだ」
「僕たちじゃ、連れて行けないんだ」
「わたしたちでどうにかできないか、考えていたんだ」
「それなら私が連れて行ってあげよう。お家はどこなの?」
デオキシスは泣きながら、月を指差す。ニャースとマンキーとリングマと同じように、ピジョンも驚いた。
「少し遠くでも背負ってあげられるけど、月まで高くは飛べない。困った」
ニャースとマンキーとリングマと一緒に、デオキシスの相手をしながら考える。
皆、うーんうーんと考える。
デオキシスはいつまでも泣いている。
ニャースが何か思いついたようで、顔を上げる。
「もう泣かないで、お家に帰れるから」
「本当?」
デオキシスは、家に帰れると聞いて涙が止まる。
「ニャース、どうやってデオキシスをお家に連れて行くんだい?」
マンキーが聞く。
「皆の力がいるんだ。協力してくれる?」
皆、こくんと頷く。
「まずリングマさんが、この辺りで一番高い木まで、デオキシスを背負っていく」
「わかった」
さっそくリングマは、デオキシスを背負って一番高い木まで連れて行く。
「着いたぞ、次はどうするんだ」
「次はマンキーさんが、デオキシスを背負って木のてっぺんへ」
「わかった」
マンキーはリングマの背に乗って、デオキシスを背負って木を登っていく。
「着いたよ、次はどうするんだい?」
「次はピジョンさんが、デオキシスを背負って雲まで飛んでいく」
「わかった」
ピジョンは、木のてっぺんにいるデオキシスを背負って雲まで飛んでいく。
「着いたよ、次はどうするんだい?」
「あとは、デオキシスが雲の階段を登って、月に帰るのさ」
「ありがとう、ここまで連れてきてくれて。ばいばい」
皆、雲の階段を嬉しそうに登るデオキシスを見送る。
デオキシスの姿が見えなくなっても、ちゃんとデオキシスがお家についたか心配で、空を見上げている。
デオキシスが帰って、長い時間が過ぎた。もう少しすれば、夜が明けるといった頃。
空いっぱいに流れ星があらわれた。
そのうちの四つ、光り輝く星の欠片が、四人のところへと落ちてきた。
無事にお家に帰れたデオキシスからの、ありがとうという気持ちがこめられたプレゼント。
四人は、デオキシスが無事に帰れたとわかって喜んだ。
そして自分たちもお家に帰っていく。流れ星のプレゼントを大事そうにもって。
最終更新:2008年01月22日 21:55