4スレ>>261


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今日は急遽みんなと外で遊ぶことになった。
遊ぶメンバーはいつものパーティーにコラッタを追加した。

そして遊ぶ内容はかくれんぼ。じゃんけんの結果、コラッタが鬼になり、他の人が隠れることになった。

「もういいか~い!」
コラッタの声が辺りに響く。

「ま……まだだよ~!」
一つの答えが返ってきた。
声の主はピカチュウである。

ピカチュウは困惑していた。他のみんなの声が帰ってこないことから、すでに隠れ終わっているのは明らかである。
隠れていないのは、私だけ。そんな焦りがピカチュウの小さな体を襲う。

「うぅ~……どうしよう……」
ピカチュウはそんな事をつぶやきながら、隠れる場所を探していた。

そして、一つの案が浮かんだ。

「あ……あそこなら……!」

そう言うとすぐにピカチュウはもえもんセンターに向かった。





「もういいか~い!」
コラッタの声がまた辺りに響く。

今度は誰の返事も帰ってこなかった。

「うん、みんな隠れ終わったみたいだし、探し始めるか……」





その頃、ピカチュウはもえもんセンターの自分のトレーナーの宿泊している部屋に向かっていた。

「ご主人さま! ちょっといいですか?!」
ピカチュウが息を切らしながらドア越しにそう言った。

「どうしたのピカチュウ。みんなでかくれんぼするんじゃなかったの?」
突然のピカチュウの訪問にトレーナーは驚きつつも、落ち着いて対応した。

「うん、その事なんだけど…隠れる場所がないから…ここにいさせて貰っていいかなぁ?」
ピカチュウは今の状況を素直に話した。

「あぁ……そういう事か……いいよ。入って」
トレーナーはそう言ってピカチュウを部屋に入れた。

「うん! どこかに隠れる場所は……」

「あぁ……クローゼットは殆ど入っていないから使っていいよ」
そう言ってトレーナーはクローゼットに手をかけた。

「とりあえず……俺が外から閉めれば……」

トレーナーが言いかけたときに、

「みんな~! どこ~?」

「あ! この声はコラッタちゃん……! ど、どうしよう!」
ピカチュウは慌てて部屋のクローゼットに隠れようとした。が……

「ふうぅん! 上手くとびらがしまらない……」
ピカチュウがいくら内側から扉をひいても、扉は閉まらない。

そうしているうちに足音は段々大きくなっていた。

「ご主人さま! そこに立ってると、私が見つかっちゃうよぉ!」
すると、ピカチュウは何を思ったのか、両腕でトレーナーの腕を掴んで、そのまま引っ張ったのだ。

「ピカチュウ?!」
油断していた所に、ピカチュウに勢いよく引っ張られたトレーナーは、バランスを崩しながらクローゼットの中に吸い込まれていった

しかし、このままクローゼットに入ると、トレーナーがピカチュウを潰してしまう。
それを避けるために、トレーナーはピカチュウに引っ張られながらも体の向きを素早く変えた。




「ご主人さま! 誰かこなかった!!」
バンと音をたてて、コラッタが自分達のの宿泊している部屋に入ってきた。
……が、部屋には誰もおらず、部屋はしんと静まりかえっていた。

「あれ……? 誰もいない……?」
トレーナーがいないことに、コラッタはきょとんとしていた。

そんな彼女を、冷静にじっと見ている人が一人。
彼女のマスターであった。

クローゼットの扉は簾のような作りになっており、近くに寄れば隙間から扉の向こう側が覗けるようになっている。
トレーナーはそれを利用し、コラッタの様子を監視していた。

「ご……ご主人さま?」
「しっ。静かに……」

ピカチュウの方は、自分の状況が把握出来ておらず、トレーナーにしがみついていた。
そう、ピカチュウとトレーナーは今、二人でクローゼット内に入り込んでいるのである

自身の体が完全にクローゼットに入り込む前に、トレーナーは咄嗟に体を翻し、ピカチュウを包み込むような体勢を取った。
そのために、クローゼット内でも、ピカチュウはトレーナーに潰されるようなことはない。

しかし、流石に呼吸はしにくいようである。

(ん……ちょっと……きついかも……)

呼吸をするために、ピカチュウはトレーナーの腕の中で動いた。
その時、ふとピカチュウはトレーナーを見上げた。

トレーナーの顔を見上げたときに、ピカチュウはふと思った。

(ご主人さまって……こんな顔だったんだ……)

普段はピカチュウや他のもえもん達の前では笑顔を絶やさないトレーナーが、今は真剣な表情でコラッタの様子を監視している。
自分とは違う異なる顔立ち、それは……まだあどけなさは残ってはいるが……大人の男性独特のものである。

ピカチュウはトレーナーを見つめながら、遠くトキワの森にいる父親を思い出した。

(ご主人さまも、お父さんと同じ……「男の人」なのか……)

ピカチュウはいつもはどんな人でも「男性」や「女性」等、殆ど意識せずに交流している。
でも、今日は違った。いつもは抱きしめられても、こう異性として意識することはない。





ドキッ……ドキッ……





不意に、ピカチュウの胸が騒いだ。

(や……どうしよう……私……変だ……)

自分自身のことなのに、この胸の高まりは何なのか……今のピカチュウにはわからなかった。

(……どうしよう……ご主人さまの顔が……見れない……)

自身の感情に困惑しつつも、それを悟られないように、少しずつ体を離していった。
その頃、トレーナーを探していたコラッタもようやく諦めて、部屋を出て行くところだった。

「いないならしょうがないか……」

そういってコラッタは廊下に出て行った。
でも、トレーナーはコラッタの姿が見えなくなっても、まだ気を抜いてなかった。
用心深い彼は、扉が閉まるまで待っていた。

そして、バタッと扉の閉まる音がした。
トレーナーがピカチュウの方を向き直した。
そしてピカチュウは、その間も相変わらず必死に手を突っぱねながら無駄な抵抗をしていたのであった。

「ピカチュウ?」

異変に気づいたトレーナーがピカチュウに顔を寄せ、驚きを含んだ声で彼女の名を呼ぶ。





その時だった。
事件は起こったのである。

「ひゃああんんっ!!!」

廊下にまで響く、ピカチュウの声。
それはコラッタの耳には十分届く声だった。

「ピカチュウ! みつけ……た……」

部屋に入って来たコラッタは、途中で言葉を失った。

コラッタの目に飛び込んできたのは、クローゼットに入っている二人の姿だった。
しかも、ピカチュウの頬は桃色に染まり、目には涙が浮かんでいる。

「な……な……」

コラッタはそれを見て、トレーナーがピカチュウに良からぬ事をしようとしていたと勘違いして、大声で叫んだ。

「何やってるの!!! あなた達は!!!!!」

ドスッ…………バタン

コラッタの電光石火がトレーナーの腹部に命中し、トレーナーはその場でうずくまった。
相当痛いのだろう。顔には苦痛の表情が表れていた。

「……行こう、ピカチュウ」

「え……ちょっと待って! ご主人さまは何も悪くないの!」
でもそんなピカチュウの弁解は今のコラッタには通用することはなかった……





「本当? ピカチュウはほんっとーに何もされていないの?」
「ほんとうだってばぁ……」
「そう……それならいいけど……」

その後二人はかくれんぼの途中だったコラッタとピカチュウは、
他のメンバーを探すために宿泊している部屋を出て行った。
他のメンバーを探している間も、コラッタの尋問は続くのであった。
……が、ピカチュウは何もやましいことはしていないという事しか言わなかった。
ピカチュウは嘘がつけない性格なので、コラッタはそれを信じることにしたようだ。

(うぅ…ご主人さまには悪いことをしちゃったなぁ……後であやまらないと……)

頭の中でそう思いつつも、心のどこかでは何かがまだ引っかかっていた。

(クローゼットの中で感じた……あれは何だったのだろう……?)

クローゼットの中で見たトレーナーの顔。
自分よりは大人びた顔立ち、異なる体格、力強い腕。
いつもとは違うトレーナーの一面を見て、不覚にも動揺してしまったのである。

(それで……何故が胸がドキドキして……)

そんな中でピカチュウの耳元でトレーナーはピカチュウの名を呼んだ。
狭い空間で、トレーナーの声は反響し、ピカチュウの全身を駆け抜けた。

(……で、私は叫んじゃって……)

何故自分がそうなったのかは未だにわからない。

(何でかな……よくわからない……ご主人さまの事は大好きなのに……)

そう思い、今まであった人たちを思い返す。

故郷の友人、両親。
旅先で出会った仲間等……数え切れないくらい出会った人はいる。

それぞれみんな「大好き」である。自分のトレーナーだってそう。

でも……自分のトレーナーの大好きは他の皆の大好きとは何かが違う気がした。

「やっぱり、みんないないね……」

「あ……うん、そうだね……」

不意にコラッが声をかけてきて、ピカチュウは急に現実世界に引き戻された。
そして、ある程度タイミングを見計らってピカチュウはコラッタに声をかけた。

「さっきのこと……みんなに言わないでくれる……?」

遠慮がちにピカチュウは声をかけた。
コラッタはこちらを振り返り、少し考えた後に返事をした。

「……わかった。みんなには言わないでおいてあげるから。そんなにへこまないで。私が悪者みたいじゃない……」

「ありがとう……コラッタちゃん!」

「それより、今はみんなをさがして、違う遊びをしよう! ね?」

「そうだね! 早く見つけよう!」

二人は走り出し、ピカチュウは心の底からかくれんぼを楽しみ始めた。





自分のトレーナーが大人に見えたとき、ピカチュウは心の高鳴りを感じた。
でもそれは当のピカチュウは、その変化を悟られたくなくて……
あの叫びはもしかしたら本能的な自己防衛だったかもしれない。
幼い体、心を置き去りにして、ピカチュウの中ではトレーナーに対するは膨らんでいく。
そしてその感情は、ピカチュウにとって不思議な反面、
得体の知れない感情というだけあり、少し怖いとも思えてしまうものなのだろう。



トレーナーを想うと、ピカチュウの心は「大好き」という想いでいっぱいになる。
しかしそれはきっと、彼女が他の人に感じる「大好き」とは違う想い。
けれど、今はしばらくこのままで。
時が来れば、ピカチュウも必ず気づく時が来るはず。







   「大好き」に埋もれている、小さな「恋心」のかくれんぼ
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