「ねーねーヤミちゃん」
「どうしたのかね? カイリュー改めコタツリュー」
ある萌えもんマスターの自宅の一室。
そこには、炬燵という文明の利器を活用したプチ楽園が築かれていた。
「コタツリューじゃないもん」
ぷくぅ、と頬を膨らませ抗議の意思を露にするコタ…カイリュー。
だがしかし、体のほとんどを炬燵に埋めるその姿で言っても説得力は乏しかった。
「まぁ些細な事は置いといて、どうしたんだい?」
問いかけられた、飄々とした表情が特徴的なヤミカラスが問い返す。
さらり、と抗議が流された事に軽く唸りつつ。カイリューが口を開く。
「ボク達も、マスターとウインディ姉の手伝いに行った方がいいのかな?」
言うと同時に、窓の外へ視線を向け。ソレに釣られヤミカラスも外を見る。
タイミングよく、彼女らの主人が大きなクシャミをしていた。
「んー…手数を増やして主人らの負担を軽減する。という意味では手伝った方が良かったかもしれないが…」
そう言う少女の視線が、主人から…苦笑しつつ彼の手に息を吐きかけるウインディへ移る。
「今この場で私達が手伝いにいったら、良い子な彼女が…主人を独占できる時間が終わってしまうからね」
この場合は出てかないのが正解だよ。と呟きみかんの皮を剥き始める。
「…そうだね、マスター…いつもヤミちゃんの悪戯で大変だし」
「ソレは聞き捨てならないな、君のドジで主人が振り回される事も結構あったぞ?」
刹那、2人の視線の間に火花が散る。
炬燵と言う名の楽園に、少しだけ緊迫した空気が張り詰めてしまいましたとさ。
最終更新:2008年02月03日 23:03