5スレ>>237


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2月の夕方の厳しい木枯らしの吹く中、俺は家への帰路を辿っていた。
俺も嫁も病院の検査の結果、正体不明の毒物に体を蝕まれていたことが判明したが、摂取し続けなければ
次第に効果は薄れるモノだと分かり。苦しい禁断症状に耐えて、リハビリを続けた結果、
先日、二人ともようやっと退院出来た。
そして今日は久しぶりに会社へ勤務復帰した帰路である。

ポツポツと街灯がつき出し、人気もほとんど無くなった閑静な住宅街の通りを歩いていると。
少し先の電柱の下にダンボールのようなモノが置いてあることに気がついた。
いや。アレは間違いなくダンボールだな。・・・そして間違いない。そのダンボールからは明らかに「何か」が顔を覗かせている。
出来るだけ目を合わさない様に、と、自信に言い聞かせながら歩を進める。目など合わせた瞬間、俺は間違いなくそいつを拾ってしまうからだ。
俺はいかにも不自然に首をダンボールとは反対方向に向け、その場を早足で通り去ろうとした。
刹那。俺に向かって「不思議な力」が働いた。今までに体験したことのない。・・・そう、あえて言うなら「エスパー」のような力が。
そうして、俺の意思とは無関係に動かされた首の向く方向には・・・「ヤツ」がいた。


「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」


・・・沈黙が流れる。・・・初めて見たぞ。捨てられた「ミュウ」なんて。


「・・・・・・ウルウル。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」


「ミュウ」は俺の眼を一点に見続けるのみで、何も言葉を発しようとはしない。
しかし、何を求めているのかは今にも堰を切りそうなほどの涙で溢れかえったその瞳が如実に物語っていた。
ちなみに、眼を見て判断しなくても、「ミュウ」が入っているダンボールには「拾ってください」の文字が書いてあるんだがな。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウルウルウルウル。」
「・・・・・・むぅ。」


緊迫感に耐えきれずにうなり声を上げてしまう。
よく見れば服もぼろぼろ、どのくらい捨てられていたのかは知らないが、体も寒さに震えている。
どうする、俺??このかわいそうな「ミュウ」を連れて帰ってやるのが人情じゃないのか??
いや、しかしただでさえ苦しい我が家の家計なのに、俺がこの子を連れて帰ったら、嫁もマネして色々と連れて帰って来るに決まっている。それは絶対に避けねばならない。
だがしかし、それではあまりにもこの娘がかわいそうだ・・・しかし・・・いや・・・それでも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウル。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


・・・よし。
・・・きめた。


俺はしゃがみ込んでミュウの顔と同じくらいの高さに目線を合わせて、にっこりと微笑みこういった。





俺「だが断る。」


ミュウ「はうあっ!!」




その一言だけを言って、俺はその場を走り去った。苦渋の決断だがやむを得ないだろう。
そして角を曲がり切ったあたりから徐々に速度を落とし、深呼吸して息を整えつつ、間近に迫った我が家へと俺はまた歩を進めるのであった。


「あ~今日のラプラスの料理はなんだろうなぁ~☆」


-fin-・・・??
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