5スレ>>238

窓ひとつない、倉庫のような地下室。
好奇心、欲望、復讐、潜入。それぞれの動機により、そこには4人のトレーナーが集まっていた。
(怪しまれずに潜入できればいいけど……)



『……ようこそロケット団へ、入団志望の諸君』

白衣の男性がモニターに映り、集められた人々に向けて話を始めた。


『今から入団の儀式を執り行う。指示に従って行動してくれたまえ。
 まずは、各自のバッグから道具を取り出して、整理する"フリ"をしてくれたまえ。
 ……そう、フリだけで結構だ。終わったらそのままカバンを閉じていい』
(こんな意味の分からない儀式に何の意味があるのかしら)
恐らく同じ事を考えているであろう、彼らは黙々と指示に従う。


『次に、隣の人とバトルを始めてくれ。……なに、模擬戦闘だ気を張らなくていい。
 手持ちを繰り出したら、そのまま手持ちを入れ替える"フリ"をしてくれたまえ。
 ……そう、フリだけで結構だ……クックック………………』
(え……これは……!!?)

刹那、赤い閃光が部屋に満ち──部屋は、瞬く間に混沌と化す……
そこに、萌えもんと呼べる姿は残っていなかった。


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回収されたボールを手に取り、薄ら笑いを浮かべる白衣の男性。
「実用に堪える個体が2匹か。まずまずの収穫だね。
 トレーナーと使えなさそうな萌えもんは、処理をしてグラエナの檻へ」

「……!!…………!!……」
指示を受けた下っ端らしき男が、縛られたトレーナー達を何処かへ運んでいく。


「ふむ、バッグから取り出す道具の位置によって、変化に差が出ているようですね……」
困惑、恐怖、怒りの入り混じった怒号を遠くに聞きつつ、男は実験記録の記録を始めた。


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゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛人はそれを何と呼ぶか゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛
゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛第一話゛゛゛゛゛゛゛゛゛□゛□
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……5人抜き、と言ってもあまりにあっけないものだ。
結局、ほとんど無傷で5人から勝利を手にすることができた。

俺はこれまでずっとウインディと二人旅をしてきた。故に、ウインディの成長ぶりは尋常ではない。
愛の全てをウインディに注いできた。ウインディが俺の全てだ。


「突破おめでとう!賞品のきんのたまをどうぞ!」
なんとも眩しい笑顔で賞品を差し出す若い男。明らかに不審である。
バトルに勝っただけで金塊がもらえるなんて、最近はそんなに景気が良くなったのだろうか?
まぁ、もらえるものは何でも貰うハングリー精神の俺はありがたくきんのたまを受け取る。

「……それで君、ロケット団に入らないかい?」
なるほど、新手の宗教の勧誘だったらしい。
まったく興味がない俺は活動内容を聞きながし、定石を返す。
「謹んで辞退申し上げます」
断られるが早いか、瞬時に作り笑いを終了させる男。
「よろしい、ならば戦闘だ」
(人間はいつもこうだ……直ぐに手のひらを返す)








「ロケット団の力を思い知るがいい……!」
相手が繰り出してきたのは……どろどろした紫の姿に……爛々と光る目が2つ。
べトベター、もしくはメタモンだろうか……?
いや違う、何かもっと不気味な──
……まあいい。正体が分からないなら、速攻で攻め落とすまで。

「ウインディ、"しんそく"だ!」
ふわりと金色のしっぽがなびいたかと思うと、相手の体が吹き飛び、背後の壁へと直撃する。
目にも留まらぬ強力な先制攻撃、まさに神速。大抵の萌えもんはこの一撃で落とせる。

砂煙とともに壁から崩れ落ちる相手萌えもん。しかしその目の奇怪な輝きは失われていない。
ゆっくりと起き上がりこちらに向き直る……流動体のようなボディがダメージを和らげたのだろうか。



「そこそこの実力はあるようだな。しかし我々ロケット団の足元にも及ばない」
男が自信過剰なセリフを吐いている傍ら、紫の萌えもんは突然苦しみだし──
「ぐ……ぐるじい……マズダーぁ゛、マズダーあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!」
尋常ではない叫びが辺りに響く。
(これは……毒のダメージを……うけているのか?)

「コラッタ、さっさと反撃だ」
男の言葉に耳を疑う。
(コラッタ?この不気味な萌えもんがコラッタだというのか?)
不気味な目がギラリと瞬く。こちらに向かって大きく腕を伸ばした構えを作り。
「ウインディ、反撃に備……」
俺は困惑しつつも、ウインディに警戒を促そうとした瞬間──





あたりの視界がぐにゃりとゆがんだかと思うと────





何の音もなく、まさに一瞬にしてウインディの姿はそこから消えた。
──否、ウインディの体は地をえぐって地中へと叩きつけられて埋め込まれていた。
「ウインディ!?」
「マスター……何か、とてつもなく重゛いものが……゛
 でも大゛丈夫……゛まだ……なんとか……戦えます゛……!」
限界ギリギリながらも、攻゛撃に耐えたウインディは地中から抜け出゛す。
チ゛クショウめ、美しいウインディの毛が台無し゛じゃないか。俺は゛軽くめまいを感じた。
落゛ち着け俺、目゛を閉じてクール゛になれ。


ひと゛まず、冷静に状゛況を整理する。薬゛で回復しても2度゛目を食らえば゛何も変わらない。
な゛ら゛、次゛の攻撃で相゛手を仕留゛めるし゛かないが……
恐゛らく打撃゛攻゛撃はあ゛まり有効で゛はない゛……゛なら、残る゛手゛はひと゛つ……



「あの゛゛攻゛撃゛を耐え゛゛た゛のか……マ゛ズイことになっ゛゛たな」
次゛の゛手を゛決め、見゛開いた゛俺の目に飛び込゛んでき゛たの゛゛は
あ゛たり一゛面に゛飛゛゛゛び交う、゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛──そ゛う、゛゛濁点゛。
゛゛
゛゛゛゛゛゛゛
゛゛゛゛
俺゛は゛さっき゛よ゛゛り゛゛゛も強烈゛なめ゛ま゛い、激し゛い頭゛痛゛゛゛を゛゛感じ゛て゛゛゛いた。
゛゛明゛ら゛゛か゛に尋常で゛゛はな゛い゛事態゛゛゛゛゛。
゛゛
゛゛だ゛゛゛゛が゛俺゛゛゛は゛゛゛゛゛
゛゛゛゛
゛゛
゛頭゛゛゛゛痛゛゛゛゛゛に゛耐゛え゛゛゛゛゛゛ら゛れ゛ず゛゛゛゛゛゛゛
゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛
そ゛゛゛゛の゛゛場゛に゛゛倒れ゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛た゛゛゛゛…゛゛゛゛…
゛゛゛意゛識゛゛゛゛が゛゛゛゛゛遠゛゛゛゛゛゛の゛゛く゛…゛゛゛…゛゛゛゛
゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛
゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛
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最終更新:2008年02月28日 17:20
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