5スレ>>381・上


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えー、さてさて。

皆さんお久しぶりですこんにちは、ヘタレトレーナーです。

約一週間の船旅を経て、無事クチバシティに戻ってこれました。
それもこれもサントアンヌ号の人たちのご厚意あってのものです。

船を降りる時も皆さんとても親切にしてくださって、

「頑張れよ嬢ちゃん!」「風邪ひくなよ?」「悪い人に着いていくなよ?」
「何かあったら、おじちゃんの所に連絡しろよ!」「ちゃんと飯は食べるんだぞ!?」

とか何とか、ものすごく心配されながら船を降りました。

それと、餞別と称された山ほどのお菓子やお土産品を頂いてしまいました。
丁重にお断りしようとしたんですが、何故か皆さんに「持ってけ持ってけ」と
にこやかに渡されてしまうと、断りきれなくて…


「はー…久々のクチバシティだ~!」

「やっと帰ってこれたねー」

「あああ…久々の地面だあ…!」

「やっぱり草タイプだと、土の足場が嬉しいの?」

「タイプがどうこうは知らないけど、やっぱり土はいいなあと思うよ…(地面にすりすり)」

「嬉しいのはわかるけど、地面に頬擦りはやめたほうが…」

「人の目ってのがあるしなー」

「まあまあいいじゃないの。喜びかたは萌えもんそれぞれ、ってことで」


一週間ぶりの地面の感触を、私は踏みしめることで堪能し
フシギソウは頬擦りすることで堪能していた。

何だかんだ言っているオニスズメも、船内では思うように飛び回れなかった鬱憤からか
羽を撒き散らしながら空を飛び回っているし、ニドリーナも外の空気を思い切り吸い込んで
日常に戻ったことを堪能しているようだった。


「さーて、クチバに戻ってきたことだし」

「成すべきことといえば」

「ただひとつ!」

「うん、クチバジム攻略だね…!」

「そうと決まれば善は急げ悪は逝け! なぁにがイナヅマアメリカンよ
 カミナリは私の特権だぁーーー! 待ってろクチバの単三電池ども!」


右手を大きく振り上げて、えーりn じゃなくて上げたまま腕をぐるぐる振り回し、
テンション高くクチバジムの方角へと走り出すピカチュウを


「はい、そこまでよー」


脚を引っつかむことで止めたスピアー姐さん。

当然ピカチュウは勢いよくすっ転び
「ちょっと何すんのよ!? 痛いじゃないの!」とスピアーに喰ってかかった。


「特権取られて悔しい気持ちはわかるけど、今の私たちの面子じゃあ勝つのは難しいわよ?
 バトルは力だけじゃないのよ、属性の相性も大切なの!」

「確かに、今の私たちじゃ難しいだろうな…」

「オニスズメは飛行タイプだから余計にね…」

「うるさい、わーってるよ」

「じゃあ、じゃあどうしろってのよーーー!?」

「そ・こ・で・よ」


こほん、と軽い咳払いの後、スピアー姐さんの瞳がきらーんと光った。
あ、まずい。あの目は何か企んでる目だ。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



場所は変わって、じめっとした空気が流れる土壁の中。


『電気タイプの弱点は地面系。
 ご親切にもクチバシティには地面萌えもんのディグダが生息している
 その名も“ディグダの穴”がある……私が何を言いたいのか、分かるわよね…?』


…というスピアーの言葉から導き出された結論それは

ディグダの穴でディグダを捕まえて、クチバ戦の重要戦力にしようという
非常ーに分かり易いものだった。まあ、どのみち電気タイプが苦手なオニスズメには
お留守番をしてもらう予定だったんだけど…。


「でもなー…戦力を増やすっていうことは、誰かがお留守番になることが多くなるわけだし…
 それだけはなるべく避けたいんだけどなあ…」

「うう、確かにお留守番はいやああーーー」

「でもそんなこと言ってられないわよ? これからはより高度なバトルを求められるように
 なるだろうし、メンバーチェンジくらい出来ないと」

「だな…マスターにはキツイかもしれないけど」

「ってそんなこと言ってたらディグダ発見ーー!」

「フシギソウGo!」

「よーし、葉っぱカッ…」


フシギソウが得意技の葉っぱカッターを使おうと、葉っぱを手に持ち身構えた
その時、どこからともなくドンッ! という音が聞こえてきて、続いてゴゴゴ…という
地響きのような音が聞こえてきた。

ディグダの技なのか!? と一瞬焦ったけれど、地面に潜り込んでいるディグダも
慌ててキョロキョロと辺りを見回している。


「な、何が起こって…!」


事態が把握できなくて、落ち着こうと地面を踏みしめようとしたら

地面が、まるでクッキーが割れた時のように、ボロっと崩れた。



「あ、わ、うあああああああああああああああああああああ!?」



当たり前だと思っていた下からの支えが突然無くなって、何かを感じる暇もなく

私たちは地面の更に下へと落ちていった。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「…う、う~…い、いたたたた…
 うわ、真っ暗だ…どこまで落ちちゃったんだろ…?」


しこたまぶつけたせいで、ヒリヒリ痛むお尻を撫でながら周囲を見ると、岩が重なりあって
牢屋みたいな壁になっていた。
岩が重なっているせいで光は僅かしか差し込んでこないから、昼間なのに暗くなっているのが余計に怖かった。


「ん…んん…ここは…?」

「あー、ビックリした…何だったのよ今の?」

「落ちる前に爆発音らしきものが聴こえたから、誰かがこの辺りで爆発物でも使ったのかしら…」

「それで地盤が緩くなったか何かで、地面が崩れた、ってのが妥当な推理だろうな」

「ふぁー、物騒な話だよねえ…」

「あ、良かった、みんな無事だったんだね」

「無事というにはちょっとアレな気がするけどねー」


まだ目が薄暗い空間に慣れてないせいで、よくは分からなかったけど、近くに皆もいるようだった。
これだけいつものように話せるんだったら、きっと大丈夫なんだろう とホッと胸を撫で下ろしたら


「だ、ダンナー! ちょ、こっち来てーーー!! 大変なんだよー!!」


少し離れたところから、フシギソウの切羽詰った声が聞こえてきた。



薄暗い岩の壁の中を手探りで進んでいくと、そこにはフシギソウが座ったまま
誰かを抱きかかえている姿があった。


「フシギソウ、その子は…?」

「うん、気が付いたらすぐ横にいて…倒れていたから、体をゆすって話しかけようとしたら
 凄い苦しそうで、凄い熱で…! ど、どうしようダンナ、どうしよう…!?」

「この子、随分小さいけどディグダじゃない?」

「まだ生まれて間もないんじゃないかしら…」


オロオロしながらも、しっかりと仔ディグダを抱きかかえたままのフシギソウの傍で
仔ディグダの顔をじっと見ていたニドリーナが、いつも以上に厳しい眼差しを向けて話しかけてきた。


「…マスター、急いでここから出る手立てを考えて!」

「ど、どういうことニドリーナ?」

「…この子、毒にやられてる…!」

「…え…!?」

「急いで萌えもんセンターに行かないと、間に合わないかもしれない…」

「そ、そんな…」

「わ、分かった! 出られるかやってみる!」


光が僅かに差し込む隙間の辺りの岩を、思い切り押してみる。
もしかしたらそこは岩の重なり具合が薄くて、押せば岩が落ちて穴が開くかもしれないと考えたからだ。

でも、岩は押せども押せども動かない。ガチガチと鈍い音が微かに響いただけだった。

岩と岩の隙間を覗いてみる。見えたのは仄かな緑色。
どうやら外に繋がっているらしい。ということは、もしかしたら向こう側には人がいるかもしれない…!


「誰か、誰かいませんかー!?  
 お願いです、誰かいるんなら、たすけて、助けてーー!
 中に瀕死の子が閉じ込められてるんです! お願い誰か、ここから、ここから出してーーー!!」


恥も外聞も無かった。私は医者じゃないから、よくは分からなかったけれど、あのディグダの子は
とても辛そうだった。ぜえぜえ言って、とても苦しそうだった。

助けなきゃ。
外の人に変に思われても構わない、早くここから出なきゃ…!!

硬い岩を拳で叩く。岩はぐらぐらと、落ちるでもなくそこでただ揺れるだけ。
でも、少しでも気づいてもらえるようにと必死にアピールする。


「誰か、誰かーーー!! 誰かそこにいませんかあああーーー!!」


のどが破けそうなくらい声を張り上げる。声を出すのは苦手だから、凄くしんどい。
でも早く、早くしないと、ディグダの子が、ディグダの子が…


――― ああ、神様、神様……!!





「…おおーーい! この中、誰かいるのーー!?」



暗い岩牢の外から、声が聞こえた。

心が、ぱあっと安堵感で包まれる。



「…はい! この中に閉じ込められてます!
 毒にやられて瀕死状態の子がいるんです! 助けてください!」

「なんだって!? ――― わかった、この岩すぐにどけるから、ちょっと下がってて!」


はい!と外からの声に返事を返し、皆に岩壁から離れるように指示した。
抱き合うようにして一箇所に固まる私たち。待っている間がとても長く、とても怖かった。



ゴゴ…ゴゴゴ…ッ!



暗闇に、目が潰れてしまいそうなくらい眩い光が差し込んできた。

あれだけ頑なに動かなかった岩が、引き戸でも開けるように すうっと動いていく。



「――― 大丈夫!? 怪我はない!?」


光の向こうから、こちら側に近づいてきたのは



淡いピンク色の髪の毛に

左右の横側からにょきっと生えた二本の角

白と鮮やかなピンク色の、道化師のような衣装の女の子。



地面に落ちていたらしい図鑑が、無機質な機械音声で

目の前の救世主は「バリヤード」という名前だと、私たちに伝えた。
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