「まったくますたーは、いつもいつも。」
ストライクさんに追いかけられているマスターを見つめて、ため息を漏らす。
ストライクさんと妙な話し合いをして、暴走、
反撃をもらうという、もはや様式美の域まで達した日常の光景。
それを少しだけ、ほんの少しだけうらやましいと思ってしまう。
きっと今、彼の頭の中はストライクのことでいっぱいだろう。
例えそれが、彼女からどうやって逃げるかということであっても。
マスターと旅に出て気付いたことがある。
それは、私がとても嫉妬深いということ。
新しい萌えもんを見るたびに、飛びついていったり、
フリーザーさんやリーフィアさん、ストライクさんと喋ってたり。
そんなマスターを見るたびに、私だけを見ていて欲しいという気持ちが生まれる。
もちろん、新しい仲間が増えるのは嬉しいし、
マスターと他の方が仲良くなってるのも嬉しく思う。
ただ、それでもどこかで私だけを、と思ってしまう。
醜い独占欲、他人が聞いたらそう思うだろう。
私自身、そう思っている。
そんな矛盾がせめぎあい、結局結論が出ないままモヤモヤした気持ちだけが残る。
それを吐き出すように、もう一回ため息を吐き、
「どうした、ロコン?」
マスターが目の前に立っているのに気付いた。
「え、え?え、いや、なんでもないですよ、なんでも。」
「・・・ほんとか、それ?」
「ぇええええ、ほんとうですとも!」
「・・・まぁ、いいや。」
そう言って、マスターは私に背を向けた。
(あーびっくりしました、突然目の前に現れるんですもの。)
そう思いつつ、ふぅと息を吐く。
と、背を向けていたマスターが肩越しにこちらを見て、
「なぁ、ロコン。なんかあったらすぐ言えよ。聞くくらいしかできないけどさ、
お前は俺の大切な仲間なんだから。」
そう言った。
あぁ、もう、全く、敵いませんね。
普段はおかしなことばっかりやってるくせに、たまにかっこよくなるんですから。
私は立ち上がり、マスターの背中へと飛びつく。
「ぉ、おい!」
「さぁ、いきましょう、ますたー。みなさんまってますよー」
これからもきっと、私は矛盾を抱えたままでしょう。
それでも、この人がいるなら、私は十分幸せになれると、そう思います。
最終更新:2007年12月10日 17:10