ユコローズ超宙域会戦
概要
総説
決戦の背景
ヴァーツがアトラス銀河系に大規模侵攻をしてきたクロイティス銀河大戦。
アトラス連合軍は、ヴァーツによる
アトラス・テクトラクタ封鎖後も外部に残された艦隊などを集中的に派遣するなどして、粘り強く戦いを続けていた。
しかし、ヴァーツのオーバーテクノロジー戦艦が相手では、消耗していくのはアトラス連合軍ばかりである。
そして、アトラス連合軍は
リーヴァス・セイヴァネスロードの援軍を待ち続けることはできないと考えていた。
セイヴァネスロードの本拠地である
リーヴァス・アヴィエラ銀河団からアトラス銀河系まではおよそ6000万光年の距離がある。加速を高める
超光速回廊を用い、セイヴァネスロードの最新鋭高速戦艦を用いたとしても、数年かかることは避けられない。
のみならず、セイヴァネスロードをいつまでも待っていては
アトラス銀河系の地位は地に堕ちる。なまじヴァーツの大侵攻として有名な「前回」
シャルバロン危機における
コロンガル銀河連合の活躍は、アトラス銀河系の防衛軍に妙な焦燥を抱かせたのである。
そんな中で、ユコローズ超宙域の大会戦は
アトラス連合軍が仕掛けたものだった。
ユコローズ超宙域に陣取るヴァーツ艦隊を倒そうというのだ。オリオン連合影響宙域とアトラス連合影響宙域を分断する要衝に陣取ったヴァーツ艦隊をどかさないと、
オリオン連合軍とアトラス連合軍・
オルガナ同盟軍との連携すらままならないからだ。
逆にここを落とせば、銀河内の勢力を上手く連絡させ、ヴァーツの行動を大幅に制限することも可能になる。
アトラス連合軍はアトラス・テクトラクタの外に残されていた新型の戦艦を集中させ、
アリオナス銀河系からの援軍をも集中させて、一気にユコローズ超宙域に陣取るヴァーツ艦隊を陥落させにかかった。
当然だがアトラス連合軍も必死である。冗談抜きでこの戦いに負ければ連合軍は継戦能力がなくなりかねない。
それだけに作戦は綿密に練られ、いけると判断されて実行に移された。
ヴァーツサイドも、この作戦を読んでいた訳ではなく、作戦は一時成功するかに思われた。
不運の大逆転
だが、である。アトラス連合軍にとって巨大な誤算がそこにはあった。
ユコローズ星雲艦隊の司令官、
ベムカリオン魔族変異体の
ヴァーツ魔将校スイビョウルは、プライドもくそもない合理的この上ない性格であった。
個人戦闘の勇者ばかり、下士官に至っては暴れることしか頭にないヴァーツは簡単に援軍を呼ばない。それはこれまでの
ヴァーツ危機でもよくある傾向であったが、
この読みが外れたのだ。同じく司令官クラスの魔将校の1人、
ヴィルロメルも
安易な独断戦闘は慎み、常に連携し、危機に際してはすぐに援軍を呼ぶように厳命を下していた。シャルバロン危機で軍を分けたことからコロンガル連合軍に敗れた経験がもたらしたものである。
それでも、アトラス連合軍の奇襲は一時ヴァーツ軍を追い払う寸前まで行った。
援軍到来が後僅かと言う所でこのままでは敗退するだけ敗退して逃げられると悟ったスイビョウルはあろうことか、
決して戦闘向けとも言えない自身を前線に囮で投入するという荒業を敢行。スイビョウルの読みは的中、連合軍はスイビョウル討伐に逸り、撤退判断が遅れた。
スイビョウルは戦いの中で
アルティランの強大な砲兵、
バベルのグレイバスターの直撃を受け、敢え無く討死を遂げた。とはいえ、スイビョウル討伐のためにバベルのグレイバスターは使用不能になった(スイビョウルの吸収能力を上回ろうと思えば機械の方が持たない)。
しかし、スイビョウルは自身の命まで放り出して、援軍が来るまで甚大な損害を受けながらも連合軍を引きつけていた。この連合軍を潰せば自身の艦隊が不利になっても大局的有利を勝ち取れると判断したスイビョウルの名判断であった。
援軍の到来によって連合軍は援軍に包囲される結末になった。
装備や歩兵戦の質で大幅に劣っていたのを、数に物言わせて逆転しようとしたが、数でも、体力でも、物資でも全く勝てない状況になってしまったのだ。
こうなってはもはや戦いではなく殺戮と抵抗でしかなかった。
単純な損害の程度としてみれば、ヴァーツもこの戦いで高級将校や戦艦を何隻も失っており、この戦いは痛み分けと評することもできなくはない。
だが、この戦いでアトラス連合軍はヴァーツ艦隊にくらいつくだけの性能を有した新鋭戦艦や有能な将帥の多く、というより大半を失った。戦略の要諦をつかむために立場を越え前線に出た
シャグラ・コルミエル元帥や
アルティランの名戦士の多くが討死を余儀なくされた。
星雲の濃い所に隠れた伏兵部隊が最後の獅子奮迅で一部の艦隊を脱出させたものの、それがなければ文字通り全滅であったと言える。
そして、この戦いセイヴァネスロードの援軍とも対応可能な将校までも失ったアトラス連合軍は、後のセイヴァネスロード援軍到来時にもその連携を狂わせ、
メルペオネ希宙域会戦で自滅的な敗戦につながってしまうこととなった。
アトラス連合軍は、それほどまでにこの作戦に賭けていた。そして、この戦いの敗戦が、クロイティス銀河大戦の泥沼化を招いたともされるのだ。
デザイン・プロフィール:クロイティス銀河大戦の大決戦の一つであるが、実は攻勢に立ちながら援軍到来で大逆転負け、という
戦いの流れのイメージとしては「灼眼のシャナ」の星黎殿攻略作戦をモチーフとしており、アニメでこの話を見たときに使えると考えて投稿したもの。
現段階では、個別の戦役としては、
シャルバロン危機の惑星ソロサーボク近傍会戦と並ぶ最大級のものである(ただし、これを上回る
ピスミセル星雲会戦を構想中である)。
また、この会戦で獅子奮迅や討死した将校などに、艦これ…ではなくリアル日本海軍の艦艇などのイメージも進んでいる。
最終更新:2014年07月28日 22:10