シトロエラ危機
概要
総説
基準時の17万年前、
ハドケウリ銀河系シトロエラ腕にヴァーツ部隊が侵入した事件。
ナグロスファ友邦(のちのナグロスファ友邦軍)が交戦の末に撤退に追い込ませ、ヴァーツ侵攻としては非常にあっけない幕切れとなった侵攻事件であった。
この侵攻事件については、背景を含めても今なお明らかな点は多くなく、謎の多い事件である。
ただ一つ言えることは、この事件が、ハドケウリ銀河系を10万年以上にわたる混迷に陥らせたことであった。
侵攻とあっけない撤退
基準時の17万年前にヴァーツ部隊がシトロエラ腕に侵攻した。
当時の主導文明共同体である
バリクラット条約機構は諸勢力にて分立を許し、条約によってまとめるという態勢を取っているため、ヴァーツ部隊の侵攻に対して行動が遅れていた。
ここに迅速な行動をとり、ヴァーツ部隊を撃退に追い込んだ勢力があった。
強力な
ザイオノイドである
グニパリルが率いるシトロエラ腕の勢力、ナグロスファ友邦である。
バリクラットに先んじてヴァーツ軍を会戦で破る活躍を見せ、開発者種族でありながら大きな成果を見せたグニパリル&ナグロスファ友邦は銀河における株を大いに上げることとなった。
ヴァーツ部隊は、たった1度会戦で敗れただけで撤退しており、侵攻の背景はほとんど明らかにならないままにシトロエラ危機はあっけなく終了した。
部隊の総司令官も、表に立ったことがないため、現在でも何者か分かっていない。
戦後のハドケウリ銀河系
この戦役による被害は、ヴァーツ侵攻としては例外的なまでに小さかった。
しかし、戦後の影響は桁違いに大きかった。
「バリクラット条約機構が手こずったヴァーツを撃退に追い込んだ」という成果は、ナグロスファ友邦軍に不必要な自信と野心をもたらしてしまった。
バリクラット条約機構によって一応の分立・均衡が保たれていたハドケウリ銀河系の文明秩序体制に大きな亀裂が入ってしまった。
この戦役の後、ナグロスファ友邦はナグロスファ友邦軍となり、軍事政権としてシトロエラ腕で勢力を拡大。
有力な戦神族であった
アルトゼルの絶滅やシトロエラ銀河大戦など、銀河に10万年以上にわたる戦乱期をもたらした。本当に被害が大きかったのは、ヴァーツ部隊の侵攻ではなく、
その後のナグロスファ友邦だったのである。
基準時前後においてはナグロスファ友邦軍自体は脱皮したものの、
バリクラット条約機構の退潮といった形で銀河の混乱は新たな局面を迎えており、
今尚ハドケウリ銀河系に戦役の影響は残っているのである。
侵攻の真相
部隊指揮官等が表立ったこともないため、
デル・ヴォスなど少数の離脱者による情報程度しかこの戦役の背景の手がかりはない。
黒幕は近年明らかになっており、
ヴァーツ奥院所属の
魔神位保持者
ボワジルであると言われている。
ただし、ボワジル自身
ディガスも種族さえ全く知らなかったような非常に謎の多い魔神であり、その真偽も含めて今なお謎は多い(侵攻にあたってボワジルが艦隊の中にいたのかさえ明らかになっていない)。
ヴァーツ内部でさえ、ボワジルの真意を理解していると見られる者はほとんどいないが、情報を総合した結果として、ボワジルには最初からヴァーツ部隊の力でハドケウリ銀河系を陥落させる意図はなく、銀河に混乱を起こすべくナグロスファ友邦を焚き付けようとしたのではないか、という仮説が提唱されている。
この仮説が正しいとすれば、絶妙な均衡を僅かの労力で引っ掻き回したボワジルの才覚は、まさに魔神と評されるに相応しいものであるだろう。
デザイン・プロフィール:ヴァーツ魔神位保持者ボワジルの設定を詰めるにあたって、「前科」として設定した危機。
ハドケウリ銀河系は、文明勢力同士の内ゲバがひどい銀河としてイメージしており、ヴァーツによる露骨なかき回しを避けるつもりであったこと、ボワジル自身達観系・文明勢力の衝突を利用するタイプで、前線で大暴れするイメージが全くなかったため、「銀河を十万年超の混乱に陥らせた小さな侵攻」としてイメージしている。
最終更新:2014年09月07日 23:06