H18第1問

問題1
以下の各事案に含まれる憲法問題について論じなさい。
(1)複婚制(一夫多妻または一妻多夫)を奨励する宗旨を標榜する、ある宗教の熱心な信者Aは、
   既にBと婚姻をしていたが、その宗旨にしたがって、さらにCとの婚姻の届出をしようとしたが
   受理されなかった。

(2)性同一性障害であるとの診断を受け、手術をして「男」となったDは、戸籍上の性別は「女」のまま、
   E女との婚姻の届出をしようとしたが受理されなかった。


論点
1 信教の自由と限界
2 自己決定権の内容と限界
3 婚姻の自由と限界

1 信教の自由の内容と限界━信者Aによる複数婚の憲法上の位置づけ
 Aが行った複数婚の届出は憲法20条前段の信教の自由に関わる問題である。
 20条では内心における信教の自由は絶対不可侵とされ宗旨として複数婚を標
 榜することは内心における限りにおいて憲法上問題はない。しかしこの20条
 では外部的効果が及ぶ場合には絶対無制限ではなく、規制の対象になりうる。
 そしてその規制には本事案における複数婚の届出のような婚姻制度上の問題も
 含む。

2 自己決定権の内容と限界━性同一性障害者による同性婚の憲法上の位置づけ
 Dの行った性転換手術及び性転換後の性に基づく同姓婚の届出は憲法13条後
 段の幸福追求権から導き出される自己決定権の問題である。自己決定権とは、
 個人が一定の私的ことがらについて公権力に干渉されることなく自ら決定する
 権利である。本事案の場合、具体的には自己の性的自由、家族の形成・維持の
 自由が問題となるが、それはどこまで制限されうるのかが問題となる。これは
 憲法13条後段の問題としてよりも、憲法24条の婚姻の自由の問題として、
 取り扱うほうが適当である。
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最終更新:2008年07月08日 21:32