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星条旗はためく下に Global Crisis 第1章



2020年1月 世界の「主な」紛争地帯
1.朝鮮半島
北朝鮮VS韓国・日本 北朝鮮VS中国 北朝鮮VSロシア
2.台湾海峡
中国VS台湾
3.ヒマラヤ・印パ国境
中国VSインド パキスタンVSインド
4.小アジア
イランVSトルコ
5.第6次中東戦争
イスラエルVSエジプト他アラブ連合
6.ルーシ紛争
ベラルーシVSウクライナ
7.第3次冬戦争
ロシアVSフィンランド
8.バルト海ポーランド戦争
ロシアVSポーランド・リトアニア
9.アマゾン紛争
ブラジルVSベネズエラ
10.南米戦争
ブラジルVSアルゼンチン・チリ
11.第2次コソボ紛争
セルビアVSコソボ他
12.アフリカ等その他小国他
こんがらがって意味不明状態


年表
2020.1
ゲーム開始(ゲーム開始から半年は世界中大混乱なため、把握できた限りです)
1/7 アフリカ中部、南部で紛争激化
1/9 パキスタン政府、インドに対して宣戦布告
1/10 エジプト軍、イスラエル侵攻
1/12 台湾海峡において中国海軍の艦艇が台湾軍に対して発砲交戦状態へ
1/13 ロシア軍、ポーランドへ侵攻
1/13 イラン軍、トルコへ侵攻
1/14 ブラジル政府、アルゼンチンに対し宣戦布告
1/14 ブラジル政府、ベネズエラに対し宣戦布告
1/14 イスラエル軍、ヨルダンへ侵攻
1/15 ベラルーシ軍、ウクライナへ侵攻
1/16 イラン政府、イスラエルへ宣戦布告
1/17 ロシア軍、エストニア侵攻
1/20 ロシア軍、リトアニア侵攻
1/22 エジプト・イラン・レバノン・サウジ・シリア結成、対イスラエル共同戦線
1/22 韓国軍、北進。北朝鮮へ侵攻。
1/25 セルビア軍、コソボ自治州へ侵攻
1/25 中国 カザフスタンへ侵攻
1/26 北朝鮮 日本開戦
1/27 ロシア フィンランド侵攻
1/29 エクアドル コロンビア開戦
1/30 フランス ベラルーシへ宣戦布告
1/30 中国 モンゴル・インド・ネパール・北朝鮮へ宣戦布告
2/6 チリ ブラジル開戦
2/8 ベネズエラ ブラジルへ侵攻
2/8 ドイツ ベラルーシへ宣戦布告
2/13 中国 韓国に宣戦布告
2/15 ロシア 中国へ宣戦布告
2/17 ロシア インドへ宣戦布告
2/20 アメリカ キューバ開戦
3/5 ボツワナ、南アフリカに降伏
3/10 キューバ アメリカに降伏
4/9 中国、タイ侵攻
4/11 ロシア、北朝鮮に侵攻
4/20 中国、ベトナムへ侵攻
4/17 ロシア 韓国開戦
6/5 北朝鮮降伏
6/30 メキシコ アメリカへ宣戦布告
7/21 グルジア降伏
7/21 テキサス州軍反撃
7/27 メキシコシティ攻防戦開始
8/2 ベラルーシ降伏
8/7 ロシア ノルウェー侵攻
8/14 メキシコ降伏
12/5 グアテマラ アメリカへ宣戦布告
12/9 ジンバブエ 降伏
12/16 グアテマラ 降伏

パクス・アメリカーナの崩壊
2019年12月 東京
「では本年最後の講義として・・・」
教授の声を聞き流しながら、窓の外に降る雪を眺めていた。
数十年前は地球温暖化の影響で冬の東京には雪が降ることはないといわれた時期もあった。
しかし、実際は一直線に暑くなるわけではなく、寒い夏、暑い冬、暑すぎる夏、寒すぎる冬が
不規則に訪れ、人々を混乱させていた。
「え~。ですから・・・」
教授の声が続く。
かつてヨーロッパに君臨した強大な統一国家。ローマ帝国の崩壊とその後について講義が続く。
欧州通貨、ユーロの理想の源となった世界帝国。ローマ。
エジプトからイベリアまでを支配した帝国は地中海を内海とし、
沿岸諸地域を一つの交易圏として纏め上げた。
小麦の取れない地域にはエジプトからの小麦が運ばれ、
沿岸の諸都市から内陸の諸都市へ塩が運ばれた。
これはひとえに、ローマ帝国の力がゆるぎないものだったからである。
ローマ帝国は各地に都市を築いた。
そして驚くべき技術をもって各都市に水道と公衆浴場を整備した。
水は山をトンネルでくぐり、谷を橋で渡った。作るだけではない。
作った水道にはメンテナンスが施され、各都市に絶え間なく水を供給し続けた。
都市間には石で舗装された街道が整備され、馬車の車軸の幅も決められた。
「その幅、4フィート8.5インチ。つまり、1435mm。新幹線の軌道とおなじサイズです。」
教授が続ける。
「さて、これほどまでの技術大国であったローマ帝国ですが・・・」
少し教授の話のトーンが変わる。講堂にいる学生の半数はすでに夢の中のようだ。
「この橋。つまりローマの水道橋ですが、現地ではなんと呼ばれているか、知っていますか?」
答える学生は誰もいない。いつものことだ。気にせず教授が続ける。
「悪魔の橋、と、呼ばれています。なぜか。人間の力では造る事の出来ない橋。
悪魔しか作れない橋だ、と中世ヨーロッパの人々は考えたのです」
ローマ帝国の各種の統治システムは21世紀の現代国家と同様、緻密で高度なものだった。
北からゲルマン人の侵入、東からイスラム帝国の勃興。
2つの新興勢力に挟撃される形で、ローマ帝国は分裂した。
各地の都市は放棄され、都市を支えた水道をはじめとするライフラインのメンテナンスも放棄された。
やがて保守の技術も失われた。
海には海賊が、陸には山賊が蔓延り、通商路も途絶した。
各都市は再び狭い範囲での経済圏で活動せざるを得なくなり、食糧事情も悪化した。
「ローマ帝国末期の普通の市民の墓と、帝国滅亡後の墓を調べたところ、
平均寿命も短くなり、体格も代わっておりました。」
もう講義を聞いている学生は数名のようだ。大半の学生は、
講義の終わったあとのことを気にかけているようだ。
技術は進歩もするが退化もする。
ローマ帝国の後、ヨーロッパに訪れたのは暗黒の中世と呼ばれる時代だった。
古から延々と受け継がれてきた、工学・医学・天文学・数学といった各種の知識は
このとき一時忘れ去られ、
ヨーロッパは特定の宗教が支配する時代に入った。
ギリシャ、ローマの知識が見直されるのはルネサンスの時代を待たなければならない。
チャイムが鳴った。
「では今年の講義はこれで終わります。皆さん、良いお年を」
本をたたみながら教授が挨拶する。講堂にホッとした空気が流れ、
一瞬の間をおいて、がやがやと話し声が始まる。
学生の波が出入り口へ流れる。
ローマはあの時代の超大国であり、地中海世界のグローバル化を支えた存在だ。存在だった。
時代をリードする超大国の消滅。それによってもたらされたものは技術の後退。そして混沌。
ローマの滅亡と同時に、グローバルな地中海世界は失われ、地中海は分裂した。
「ふん・・・・。」ため息をつく。
すでに講堂には彼以外誰もいなかった。
「ローマ帝国・・・か。」本の文章に目を落とす。
彼の頭の中には、ローマ帝国と書かれた箇所がアメリカ合衆国と書き換えられているように思えた。
グローバル化を担保していた超大国の崩壊。
地中海世界を一つにするべく、ローマが築いた技術。
さしずめ、今回ならばインターネットに代表される情報技術だろうか。
東西冷戦の終結によって、唯一の超大国になったアメリカの覇権は30年余りしか続かなかった。
新自由主義によって暴走した資本主義は人類史上最大のバブルを生み出し、2008年にそれが破裂。
それをきっかけにアメリカは坂道を転がるかのように国際社会での存在感を小さくしていった。
2019年には在日米軍の撤退が完了し、海外に展開するアメリカ軍はもはや存在していなかった。
「分裂と混乱。停滞の時代・・・・か。」誰もいない講堂で一人彼はつぶやいた。
雪はいつの間にか止んでいた。

2020年1月
動乱の幕開け
2019年12月。世界はいまだかつて無い緊張に包まれていた。2009年の経済危機をきっかけに、各国は自国の産業保護へと大きく舵を切った。しばらくの間は、政治家も経済学者も、そして歴史学者も過去の教訓の下、自由貿易の重要性を口にしていたが、次第に保護主義を求める人々を前に沈黙していった。世界経済は事実上のブロック経済となり、いくつかの大国を中心とする多極体制に移行しつつあった。
低迷する経済を背景に、各国では過激な主張を唱える政治勢力がその支持を拡大。国家社会主義、共産主義、宗教原理主義、または自国文化や歴史を他国より優越していると唱える政党が各国の政権の座に着いた。民主的に政権を奪取した国もあれば、軍事力や世襲によって政権を取った政党もあった。いずれにしろ彼らは、自己の主張の正当性を国民に示す為、対外強硬路線をとり始める。
そして、12月24日。ヨーロッパ各国とロシア政府の間で行われていた天然ガスの供給に関する交渉がついに決裂。経済制裁をほのめかす欧州連合に対してロシア政府はヨーロッパ向け天然ガス供給の完全停止を通告。1月1日をもってすべてのパイプラインが閉鎖された。これにより両者の関係は一挙に緊迫した。また、ユーラシア大陸の東側でも、シベリアの天然資源をめぐり、中国とロシアが対立。中国政府はかつて清朝が支配していた領土は中国固有の領土であるとしてロシア政府に返還、または埋蔵資源の優先採掘権を要求。当初、ロシア政府は一蹴したものの、欧州連合と共同歩調をとる中国政府に対して、何らかの回答をしなければならない状況に追い込まれていった。
欧州、ロシア、中国の対立は、代理戦争という形でアフリカに飛び火する。1月のパイプラインの停止にあわせるかのように、アフリカ各国が相次いで交戦状態に入り、アフリカ全土が戦火に包まれた。欧州・ロシア・中国の各政府がアフリカでにらみ合いを始めたことで、ユーラシア大陸の他の地域における軍事バランスが変化を起こす。

1月7日、カシミール地域でにらみ合いを続けるパキスタン軍がインド軍に対して攻撃を開始。国内主流派のイスラム原理主義勢力に押し切られる形で戦端を開いた。アメリカ軍のアフガニスタンからの全面撤退によって、パキスタン国内の欧米派が失脚。変わって権力を掌握したのはイスラム原理主義組織タリバンを中心とする政治勢力であった。彼らは国内をまとめる為、またジハードの続行を宣言する為、パキスタンのかねてからの悲願。カシミール地方の奪還へと動き出した。

1月10日。パキスタンのイスラム勢力に呼応する形で、エジプト軍がシナイ半島を越え、イスラエルに侵攻する。かつてのエジプトでは、宗教を基盤とする政党が禁止され、イスラム諸国の中では政治の自由度が高い国であった。しかし経済危機をきっかけに不安定化した世相を背景に、ムスリム同胞団が支持を拡大。それにより、国内の穏健派や他宗教の国民との対立が表面化しつつあった。国内の混乱を外征によって収めるという理由もあったのだろう。第5次中東戦争と後に呼ばれる戦いが砂漠の大地で始まることになった。

1月12日。「清朝の支配していた領土は、中華人民共和国の正当な領土である。」という主張を実践する為、中華人民共和国は台湾に対して攻撃を開始した。すでに極東には第七艦隊もなく、在日米軍も存在しない。この千載一遇の機会を中国共産党が見逃すわけは無かった。だが、この大国の行動が、世界を更なる混迷に突き落とす。中国の動きに触発されるかのように、翌日にはロシア軍がポーランドへ侵攻、中東ではイランがトルコへ侵攻。さらにその翌日に、ブラジルがアルゼンチン・ベネズエラに対して宣戦を布告した。さらに中東では、エジプトの初期攻勢をしのいだイスラエル軍が後顧の憂いを絶つべくヨルダンへ侵攻。イスラエルの動きを憂慮した中東イスラム諸国は連合軍を結成。相次いでイスラエルへ宣戦を布告した。

1月下旬にはロシア軍がバルト三国へ侵攻、22日には韓国軍が半島を北進。北朝鮮へ侵攻した。世界の混乱はヨーロッパにも波及。セルビア軍がコソボ自治州に侵攻したことで、コソボ紛争が再燃。北欧でもロシア軍がフィンランドへ攻勢をかけたことで欧州の西側諸国の市民も、扮装とは無縁ではなくなってきた。そしてまた、東洋の島国である日本の人々もこの世界大戦とは無縁ではいられない出来事が起こるのであった。

島根県隠岐諸島。
島根半島の北方50キロにある島々の海岸に見慣れぬ人々が上陸したのは
まだ寒い1月24日の早朝であった。
金正日の死により支配の箍が緩んだ北朝鮮に対し韓国軍が北進。
世界の混乱のドサクサにまぎれて武力による半島統一を目論んだ韓国政府の行動は
各国政府の斜め上を行く発想で会った。
朝鮮有事の想定の多くは北の暴発をもって始まると考えていただけに、
各国政府は対応に苦慮した。近隣諸国であるロシアは欧州で、中国は台湾海峡と中央アジアで
それぞれ戦線をかかえている関係上、朝鮮半島に対しての介入はないと韓国政府は判断した。
日本政府もまた、金正日の死により、北朝鮮軍が弱体化していると判断。
韓国軍の北進により北朝鮮政府は瓦解すると見込んでいた。
そのため、自衛隊・海上保安庁に警戒態勢をとらせるものの、
それはあくまで戦火を逃れた難民が日本海を越えてくることを想定したものであった…。
人口1万5千人(2009年現在21,984人)にも満たない小さな島々が緊張に包まれるまで
彼らが上陸してから数時間と要しなかった。
「おい! あんたたち! 大丈夫か?」
通報によって駆けつけた地元の漁師たちが彼らに声をかけた。
こんな小さな船で冬の日本海の荒波を越えて、隠岐に漂着した見慣れぬ人々。
そのみすぼらしい格好と、北朝鮮という国がどのような国か知っていた彼らは、
警戒心より先に同情心が先にたった。
救急箱や水筒、握り飯を手に彼らは漂流民たちに駆け寄った。
「*****!」
漂流民の中から声があがった。
ついで軽機関銃の音が海岸に響く。

都内某所
「国境を軽視してきたつけがきましたな。」
そういいながら老人が灰皿にタバコを押し付ける。
戦後日本の裏面史を見続けてきた老人の言葉には重みがあった。
いまだ衰えを見せていないその風貌に、
もはや妖怪ではないかと老人の対面に座る男は思った。
ささやかに言い返す。
「仕方が無いでしょう。わが国の国民感情を考えれば、
それにあなた方も積極的な支援をしてくださらなかった。」
さらに続ける。
「2010年でしたか、9年でしたか、対馬が韓国資本に買収されるという騒ぎがあったのは
その後、調べによると奥尻島などの過疎地だけではく、横須賀ですら基地周辺の土地の
所有者はアメリカ人、中国人、ロシア人、韓国朝鮮人というではありませんか。
対策をとる、とらせる時間は十分あったと思いますが。」
日本に残された海外市場、アメリカと中国がそんなに大事なのか。
商売の邪魔になるからあんたたちが妨害したからだろう、
さらにそう続けたいのを堪え彼は黙って頭を下げ、こう言った。
「つきましては、安全保障会議を緊急に招集し、自衛隊に隠岐奪還および日本海沿岸の
安全維持の為、防衛出動を行いたく存じます。つきましては財界、特にマスコミ方面への
協力を要請したいのですが。」
老人からの返事は無かった。
沈黙の間、この国には一般の国民が知る由も無い深い闇が広がっていることに
思い至ったとき、彼の背中に冷たい汗が流れた。
老人の手が振られた。退出せよとのジェスチャーだった。
「よろしくお願いします。」
そう言い、深々と土下座した後、彼は立上った。
部屋から退出する彼の背中に老人が語りかける。
「ああ、総理。この混乱は我々にとって千載一遇の機会ではないかね。
存分に活かすとよいじゃろう…。」
老人はそういって目を閉じた。

1月26日、日本政府は自衛隊に対し防衛出動命令を発令。北朝鮮と交戦状態に入った。

東京発のニュースが世界を席巻したのは僅かな期間であった。すでに北欧ではロシア軍がフィンランドに侵攻、ヨーロッパ諸国に衝撃を与えていた。また、中東の戦火も収まるところを知らなかった。だが何より世界を震撼させたのは、1月30日に入ったニュースであった。中国人民解放軍がヒマラヤを超えインドに侵攻。中印全面戦争が勃発。この1ヶ月、世界中で数多くの戦争や紛争が勃発または再燃してはいるが、核を保有する大国同士の全面戦争はこれが始めてであった。翌月になっても世界情勢は安定せず、2月15日には中国の背後をロシアが突いた。インドの要請を受けての開戦かと当初は疑われたが、翌々日の17日には露印が開戦。ユーラシア大陸を代表する3大国が三つ巴の戦いを演じ、世界は混迷の度合いを益々深めていった。

世界の混乱に、アメリカ合衆国も無縁ではいられなかった。全世界レベルでの紛争の勃発は全世界のマーケットを混乱させた。保護主義論の伸張によって産業の国産比率が高まってはいたものの、基本的なところでは依然として自由貿易体制に依存するアメリカ経済は大きな衝撃を受けた。特に中国周辺での紛争の勃発により安い中国製品の輸入が停止したことで市民生活に支障が出始めていた。また、アフリカの戦乱により、アフリカ沿岸のほとんどがソマリア化し、貨物船の運航に支障が出始めていた。さらに、中国やインドに進出していた企業は資産を退避させる間もなく接収された。紛争地域にいるアメリカ人のうち、本国や友好国にたどり着けたものは幸運であったと言える。
「たった1月で世界が変わってしまった。」多くの人々がそう評した。

「たった1月で世界が変わってしまった」
ホワイトハウスの主、イーストウッド大統領はつぶやいた。
「確かに不安な兆候はあった。ロシアや中国の動き、
キューバへの多国籍企業をつかった支援・・・。
2010年から10年間、世界中で気味の悪い兆候が続いていたが破滅には至らなかった。
それが、まさかこのような形で噴出してくるとは、想像もつかなかったよ。」

このときアメリカ合衆国は斜陽の時を迎えていた。
冷戦の終結により世界唯一の超大国となったアメリカは、その主張、資本主義をグローバルに拡大した。全世界の富がアメリカに流れ込み、それはやがて富は富を産むサイクルに組み込まれていった。人々は繁栄の時代を謳歌した。しかし、黄金期はそう長くは続かなかった。2001年9月のテロ事件をきっかけに、アメリカは中東と中央アジアの泥沼に足を踏み入れる。

国力を消耗したアメリカに追い討ちをかけるように、2009年、金融危機が勃発。以後、坂道を転がるかのごとくアメリカは転落を重ねてきた。特に史上初の白人以外の大統領の誕生は、まもなく人口比で少数派に転落することがわかっていた白人保守層に精神的な打撃を与えた。さらに金融危機の勃発と金融機関のトップたちの行動は、ウォールストリートを牛耳っていたユダヤ人社会に対する憎しみを拡大させた。対してヒスパニック層などの移民層は、雇用の調整弁として真っ先に景気後退の影響をこうむる。彼らもまた、ゼネラルモーターズの労働組合等、既得権益に守られた人々に憎しみを向けた。移民の国アメリカは、アメリカ人とは何かという問いを突きつけられていた。

しかし、腐っても鯛。今のところアメリカは米州大陸の大国の地位を保っているが、欧州や極東、中東での事件に介入する能力をすでに失っていた。現在進行形で広がりつつある災厄になんら有効な手立てが打てないことが彼をイラつかせていた。

「結局、我々は何も進歩していなかったという事か・・・。」
力なくつぶやく視線の先には一冊の本が置かれていた。
表紙には飾りのない文字で『八月の砲声』と描かれていた。
「舞台裏で糸を引いている者たちは・・・。」
そう言いかけたとき、ドアをノックする音が彼の耳に入った。


少し休憩
ゲーム開始時に時間を進める前にこれだけは確認したほうがいいかもしれないと思うこと
1 金融担当の大臣から税率変更、配分変更、債券発行の権限を凍結する
2 研究担当の大臣からプロジェクト決定の権限、予算配分の権限を凍結する
3 自動生産を停止する(なぜか地上発射型ミサイルを延々と作る設定になっている)
4 資源状況を確認する
どの国をプレイするにしても上記設定を行うと思います。
軍AIの設定などはプレイスタイルやプレイする国によって異なると思います。
休憩終わり


大統領に届いた報告は、キューバ政府がいよいよ動き出すというものだった。キューバのカリスマであったフィデル・カストロ亡き後、国家指導者の座についたのはレアル・フェルナンデスという人物であった。フィデル・カストロは2008年に議長職を弟のラウス・カストロに譲ってはいたが、依然として国家の精神的支柱であった。2018年にフィデルがこの世を去ると、後ろ盾を失ったラウス・カストロも失脚。支えを失ったキューバに政治的空白が生じた。そこに得体の知れないものたちが付け込んだ。多国籍企業、宗教団体、NGO団体・・・。それらの者の支持を背景に国権を掌握したのはレアル・フェルナンデスなる人物であった。まったく無名のこの人物がいかにして一国の実権を掌握したのか、詳細は謎のままである。ロシア製、中国製の兵器、資金や各種産業用物資がキューバに流れ込んだ。しかし、どのような支援があったとしても、アメリカとの直接対決はキューバにとって自殺以外の何者でもない。彼の背後にいるのはロシアなのか中国なのかそれとも別の誰かなのかは今となっては謎であるが、唯一、万人に明らかにされている事実は、2020年2月20日にキューバ軍がグアンタナモ米軍基地に攻撃を開始したという事実だけであった。

メキシコ湾 キューバ封鎖艦隊 旗艦 空母「ジョージ・ブッシュ艦上」
「まさか本当に来るとは・・・」
アメリカ軍将兵の何割がこの言葉をつぶやいただろうか。
将官から一兵士に至るまで、誰もがその言葉をつぶやいていた。

キューバ軍の不穏な動きを察知した米軍は、直ちにメキシコ湾、カリブ海に艦隊を展開。
状況の変化に備えるよう命令が下った。しかし、キューバを完全に海上封鎖をするには数が足りず、何隻かの小型船がピケットラインを突破。フロリダ州沿岸に攻撃を仕掛けてきた。アメリカ国民にとっては、9.11以来の本土直接攻撃の衝撃だった。当然のことながら世論は激高した。「フロリダを忘れるな」のスローガンの下、政府に武力反撃を求める世論が高まった。また、グアンタナモ米軍基地がキューバ軍の攻撃によって陥落したというニュースも、アメリカ国民をさらに奮い立たせた。海上封鎖から空爆、そして地上戦へ、恐るべき速さで事態は進んでいった。

2月20日 キューバ開戦
2月21日 フロリダに来襲したキューバ艦と交戦
2月25日 グアンタナモ米軍基地陥落
2月26日 米空軍、キューバ空爆開始
3月2日 米海兵隊 キューバ上陸、橋頭堡確保
3月10日 米陸軍主力 キューバ上陸
3月15日 ハバナ制圧

アメリカ政府と軍のあまりの手際よさに、キューバ政府の背後にいるのはアメリカ政府自身ではないかという疑念も沸き起こるほどの電撃戦であった。
3月20日、アメリカ陸軍の部隊がフェルナンデス議長を逮捕、拘束。これによりキューバ政府は降伏、全土をアメリカ軍が占領した。

「我々は何もしていない! 一体アメリカは何を考えているのだ!」
逮捕したフェルナンデス議長やキューバ政府高官から口々に発せられたこの言葉は
アメリカ政府首脳を混乱させた。

彼らが言うには、キューバ政府とキューバ軍はアメリカに対する敵対行為は一切行っておらず、突如行われたアメリカ軍の攻撃になすすべもなく蹂躙されたとのことであった。
では、フロリダを襲ったキューバ軍の軍艦、グアンタナモ米軍基地を攻撃したキューバ軍は一体なのだったか。幻のわけはない。

キューバ海軍の高官がこう証言した。
「あなた方アメリカ軍は自分たちの能力を過小評価している。
あなた方の艦隊の哨戒ラインを我々の海軍が突破できることがありうるでしょうか。
常にいくつものレーダー、偵察衛星、早期警戒機をもって監視している
あなた方の目を我々が欺くことが出来るでしょうか。
もし我々にそれだけの能力があれば、
この戦争はもう少し違った形で推移したのではないでしょうか・・・。
フロリダを襲ったキューバ軍の艦船。
その策源地はキューバではなく、アメリカ本土ではないのですかな?」

真相は調査されることはなかった。
3月30日、国際社会の混乱に乗じ、アメリカ政府はアメリカ国内法の及ばないキューバにて戦争裁判を実施。キューバ政府首脳を平和と人道に対する罪で、絞首刑に処した。

アメリカによるキューバ侵攻は、世界に対して大きな衝撃を与えなかった。それもそのはずである。ヨーロッパはロシアの脅威に直面し、アジアは露中印3大国の三つ巴の戦いが勃発。中東、アフリカ、南アメリカも戦火の炎に包まれていた。4月9日、中国人民解放軍がタイへ侵攻。4月11日にはロシア軍が北朝鮮へ侵攻、さらに17日には韓国へ宣戦布告。20日、中国軍がベトナムへ侵攻した。

6月5日、南から韓国軍、北からロシア軍と中国軍に挟撃された北朝鮮軍に宣戦を維持する力はすでになかった。5月中は一進一退を続けていた朝鮮半島の戦いは6月に入って一変。韓国軍の先鋒がピョンアン市に突入。市街戦の結果、6月5日、ピョンアンを制圧する。北朝鮮政府は韓国に対し降伏を受け入れた。朝鮮半島統一。韓国の悲願はようやく達成された。…かに見えた。韓国軍の半島統一を認めない中国・ロシア両国と韓国軍は、北朝鮮北部で衝突。すでにロシア・中国・韓国の3カ国も三つ巴の関係にあり、極東情勢は更なる混乱を迎えることになる。

第二次朝鮮戦争
1月22日 韓国軍38度線突破 北進
1月26日 北朝鮮軍 日本国隠岐諸島上陸
1月30日 中国 北朝鮮へ侵攻
2月13日 中国 韓国に宣戦布告
4月11日 ロシア 北朝鮮へ侵攻
4月17日 ロシア 韓国に宣戦布告
6月5日 北朝鮮降伏
朝鮮半島北部でロシア・中国・韓国の地上戦勃発
ソウル・ピョンアン間を戦場に、おおよそ5ヶ月間に渡って繰り広げられた戦いは、自力に勝る韓国軍の勝利で幕を下ろした。北朝鮮と実際に交戦した国は、韓国、ロシア、中国、日本、台湾。名義上参戦した国は10カ国を超えた。北朝鮮政府の降伏により、韓国政府は旧北朝鮮全土の併合を宣言。しかしすでに北朝鮮北部は中国軍、ロシア軍が占領していた。5月下旬、3カ国の非公式会談がスイスのジュネーブで行われたが、戦後の勢力範囲について各国の主張が折り合わず決裂。朝鮮半島の分断の歴史は依然続いていた。

6月30日 カリフォルニア州 サンディエゴ 早朝
太平洋に面した港町に消防車のサイレンがけたたましく鳴らされる。
なに?!
あまりの騒々しさと振動にベッドから飛び起きカーテンを開ける。
朝日とともに差し込んできた光景は、昨日とは一変していた。
上空には戦闘機が飛び交い、南の空には噴煙が登る。
何も聞こえない、すごい音…。
地上4階にある自室の窓から下をのぞくと、着の身着のままで北を目指す市民と、
南へ向かう州兵の車でごった返していた。
何か着ないと・・・
つぶやき、手近にある服を羽織る。
テレビのスイッチを入れてみる。映らない。
電気は? …つかない。インターネットも無理ね…。
携帯電話を見てみる。
液晶ディスプレーには混雑中という文字が並んでいた。
わかったのは30日午前6時28分ということだけだった。
ラジオは?
日本製の古いCDラジカセの電源を入れる。
幸いにも電池充電式のこのラジカセは、
持ち主の求めに応じてスピーカーから音を出し始めた。
雑音の中、いくつかの言葉が聞き取れた。
戦争… メキシコ… 真珠湾…
そこまで聞き取れた瞬間、轟音が響いた、半瞬の間を置いて振動。
窓ガラスが割れ、家の中のものが飛び散る。
反射的に身を伏せ、耳と目をふさぐ。
時間にすれば数秒。だが当事者にとっては永遠とも思えるほどの時間が過ぎた後、
逃げなきゃ
反射的につぶやく。
シアトル生まれの日系アメリカ人の彼女は、
大学進学のためカリフォルニアに下宿していた。
ようやく半年。しかし、まだまだ土地勘のない場所である。
しかし、南にメキシコという国があることと、
今いる場所が国境から数十キロしかはなれていないことくらいは知っていた。
スカートはだめ、ジーンズを、なるべく動きやすい服装と靴を…。
ミネラルウォーターのペットボトル、カロリーメイト、
ああ、そうだ、もし誰かが私を探しに来たときのために、伝言をドアに。
私は、避難しています、……
でも、どこに… どこに逃げれば…

6月30日、メキシコ軍は突如アメリカの国境を突破。カリフォルニア州とテキサス州に侵攻した。アメリカにとって、メキシコとの国境警備は、不法移民の入国阻止と麻薬などの密輸の取り締まりが主な内容であり、正規軍の侵攻を迎え撃つことは想定されていなかった。21世紀に入ってからの両国関係は友好的とはいえないまでも一定の関係を維持していた。しかし、2009年の世界金融危機に直面したアメリカの産業界は経済の縮小に対応する為、生産調整を実施した。もっとも影響を受けたのはメキシコからの移民たちであった。全米の失業率は2010年から20年までおおよそ10%前後で推移。しかしメキシコ移民の失業率は50%を超える勢いであった。メキシコもまた、最大の顧客・消費地であるアメリカ市場が消滅したことで経済が低迷。過激な排外主義、国家主義が伸張した。なかでも最も支持を集めたのは、世界的なバブルを育成し、破裂させ、しかもまったくその反省が見られない、アメリカの経営者たちを叩きのめせという主張であった。低迷する経済を前に、メキシコ政府が出来たことは、外国への不信感をあおり、それを国家の統合に利用することであった。だが、この手段は、政府が軍部を的確に掌握していなければ恐ろしい副作用を国家にもたらす。インターネット、テレビ、ラジオ、新聞。様々なメディアでアメリカ討伐論が台頭。
そして、2020年6月30日午前2時21分。メキシコ国境を越えようと試みた不法移民が、ボランティアで国境警備に当たっている市民ミリシア組織に射殺される。遺体の収容をめぐりメキシコ側国境警備隊とミリシア側で銃撃戦が発生。お互いが友軍を呼び集め、午前3時54分にはメキシコ軍とテキサス州軍の間の銃撃戦に拡大。メキシコ政府は事態の収拾に奔走したものの、軍部の圧力の前になし崩しに開戦を承認。両国ともに準備不足のまま戦争状態に突入していった。


作者注
Global Crisisのシナリオではキューバの次にはメキシコが挑んでくるのはほぼ規定路線なので、必ず来ると理解していましたが、まさか今来るとは思っていませんでした。キューバ戦争で動員した戦力の再整備、再配置も終わっておらず、また、朝鮮半島やイスラエルが面白いことになっていたので、作業そっちのけで観戦していたところ、ある日突然攻撃された次第です。


開戦当初の戦況はメキシコ軍優位に展開した。特にカリフォルニアに侵攻したメキシコ軍は現地警備部隊を圧倒。太平洋艦隊の根拠地であるサンディエゴ市突入。現地に展開する海兵隊と市街戦を展開。市街地および周辺部は大混乱に陥った。7月1日、アメリカ政府は全土に非常事態を布告するとともに全軍に戦闘命令を発令した。
直ちに、テキサス・アリゾナ・ニューメキシコ・カリフォルニア各州の州軍が連邦軍に編入、全土に展開する各部隊も順次動員体制に入った。当初は劣勢であったカリフォルニア州の戦線は、陸海空の綿密な支援によってメキシコ軍の足を止めることに成功する。この時点で、カリフォルニア戦線における最大の懸念事項は前面に展開するメキシコ軍でなくむしろ後方地域の治安の維持であった。アメリカ人の大多数にとって、戦場とは遠く海の向こうにあるものであった。それが一夜にして目と鼻の先に出現したのである。浮き足立つのも当然であった。さらに悪いことに、メキシコからの不法移民はメキシコ軍のスパイだとのデマが流れる。保守系テレビ局の扇動もあり、各地で市民ミリシアなどがヒスパニック系住民に対して暴力行為を行い始める。規模、地域は時間とともに拡大し、残虐さも増していった。次第にヒスパニック系に加え、アジア系も攻撃対象に加えられ、白人と黒人以外は町を歩けない状況に陥る地域もあった。比較的リベラルといわれているカリフォルニア州においてもそのような状況が発生し、アメリカ中部の州ガチガチの保守州においては、アメリカ軍の軍服を着たヒスパニック系兵士が現地市民ミリシアの襲撃に会うなど治安の悪化は作戦行動に支障をきたすレベルに達していた。アメリカ政府は予備役を含めた全部隊を動員。各都市に地上軍を展開させ治安の回復を図るとともにメキシコ進攻作戦の準備を開始する。
7月21日、テキサス州を作戦基点とするアメリカ軍主力がメキシコ湾に沿って南下を開始。メキシコ湾に展開する海軍部隊も、沿岸主要都市に対する攻撃を開始した。立ち上がりにもたついたアメリカ軍であったがひとたび稼動すると質量ともにメキシコ軍を圧倒した。テキサス方面軍は7月27日にメキシコシティ前面へ到達。休戦交渉が不調に終わった為、アメリカ軍はメキシコシティへの攻撃を開始する。大都市における市街戦は熾烈を極めた。メキシコ政府は全土から部隊をかき集め決死の抵抗を行う。対するアメリカ軍も空陸総力を挙げての猛攻を行う。国連を初め、世界各国から懸念の声が伝えられたが両国ともに黙殺。メキシコシティをアメリカ軍が制圧したのは8月13日のことであった。メキシコ軍の戦死者は千名を超え、市民の犠牲は1万名を超えた。8月14日、メキシコシティの陥落により、メキシコ政府はアメリカ政府に対し降伏する。期間こそ短いものの、両国に多大な犠牲を強いたこの戦争はアメリカという国を変質させるひとつのきっかけとなった。特にメキシコという広大な占領地の治安を維持する為に、さらに「隣国すら信頼できない」という心理状態に陥ったアメリカ市民を安心させる為、大規模な軍拡に着手された。さらにこの戦争で、軍事力に訴えることに対する国民の心理的ハードルが引き下げられた。
メキシコを制圧したアメリカ政府は、中央アジア地域への安定化を図るべく、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアへの政治工作を開始する。

注 これらの国のAIは国境を接すると勝敗度外視で宣戦布告してきます。コスタリカ、ベリーズは平和的なAIのようです。

これらの国々は伝統的にアメリカの干渉を受け続けていた。今回も例外ではなく、CIA
を初めとする情報機関や多国籍企業による政治介入が頻繁に行われた。12月5日、グアテマラにてクーデターが発生。メキシコ駐留アメリカ軍の介入により16日にアメリカの占領下にはいる。翌年の2021年3月にはエルサルバドル共和国において政変が発生。アメリカ軍の特殊部隊が首都を奇襲制圧。3月9日に全土を占領下においた。さらに4月22日にホンジュラス軍の一部がアメリカ軍を越境攻撃。アメリカ軍の反撃により4月28日に首都テグシガルパを制圧。5月26日にはニカアグラの政変に武力介入。6月2日に全土を占領下においた。いずれも対象国において政変などの何らかの事変が発生し、それをアメリカの安全保障の脅威と捉えたアメリカ政府が介入、全土を保障占領するというものだった。メキシコとの戦争に続いて中米各国へ武力介入を行ったことにより、国際世論の風当たりは非常に大きなものなった。しかし、アメリカ人にとっては殴られたから殴り返しただけでむしろ被害者であるという意識が形成されており、国際世論との溝が益々深くなるという結果を招くこととなった。
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