●大型I=D
○要点・一般性能要求等
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 一般性能要求
 大型I=Dは宇宙での戦いを想定した25m以上の大きさを持つI=Dを言う。
 火力はレーザー砲を主として装備し、スペースデプリを自動迎撃する小型レーザーをも装備し、地上に精密ではないものの、爆撃を敢行するすることも出来る。
 まれに地上での運用を意図してつくられるものもあるが、これらは移動要塞として運用された。


設定文

序論


本機体は帝国軍の宇宙戦闘における主力の一角を占めるために開発が開始された。そのため、選ばれた機体タイプは大型I=D。25メートルという巨体に、対空戦闘、対艦戦闘をする事を可能にする豊富な兵装をもち、さらには前述の通り宇宙での運用を想定しているためにスペースデブリ迎撃用レーザーも必要とされた。また、数少ない航空戦力を有効に活用する為に限定的ながら対地攻撃能力を装備することとなった。

本論


形状

本機体は大型I=Dであることは前述したが、その理由は汎用性が大きい、というものであった。そのため、本機体はその汎用性を最大限に生かすために高度な運動が可能な人腕式マニュピピーターと多様なマニュピレーター保持型武装の装備が求められた。また、宇宙艦船の甲板上での活動等、脚部を使った行動も想定されていたために脚部も十分な強度を持つことが求められた。頭部は胴体とは独立して回転でき、パイロットは自然の感覚で情報収集をすることができるようになっている。また、本機体は三人乗りであり、胴体部にコクピットを持つ。コクピットは縦列に三つ席があるため、胴体部はいびつな形状をしている。また、背部には推力を発生するロケットエンジンを搭載しており、さらにエンジンを兵装ラックがかぶさるように搭載されている。


兵装


本機体を開発するにあたって、まず必要とされたのが対艦兵装及び対空兵装である。まず、対艦兵装として大型ミサイルの搭載が行われた。これは背部兵装ラックに搭載されるもので、原則として四発が搭載される。ミサイルが選択された理由は、レーザーと違って目標を直線上に捉えなくてもよいこと、直撃しなくとも高速の破片で攻撃を加えられること、などが挙げられる。また、対空兵装としては背部ラックに搭載された六連装ミサイルポット(二基)を装備する。さらに、機体の両脇には一基ずつ可動式短砲身中口径レーザーが装備され、汎用攻撃手段として使われる。また、マニュピレーター用装備として開発されたライフル型大型レーザー砲を対艦、対空攻撃に使用することが出来る。このレーザー砲は本機体の主力兵装として開発されたものであり、大気による減衰がない宇宙空間においては多大な威力を誇る。「宇宙戦闘機」としての本機体には不可欠なものであるといえよう。マニュピレーター用装備としてはこれ以外にライフル型25mm機関砲や単分子ブレード、大型対装甲ロケット砲、散弾砲などが用意されている。特にこのうち、単分子ブレードは宇宙戦艦クラスの装甲を十分破ることも出来、接近戦、奇襲戦においては主武装となる。これに加え、スペースデブリ迎撃用コンピューター制御型小型レーザーを両肩に装備する。また、この装備は対空戦闘にも使うことが出来、敵機の装甲の薄い部分なら十分打ち抜くことが出来るほか、対空ミサイル迎撃にも使われる。その場合にはパイロットが手動で制御することもできるが、一定距離以内に接近した敵機を迎撃するように設定することもできる。
以上の武装は対空、対艦戦闘、つまり宇宙空間における戦闘を考慮したものであるが、前述のように本機体は対地攻撃能力も要求されている。この要求を満たす為に用意された武装は、前述した大型対装甲ロケット砲を改造したもので、対装甲能力は低下している代わりに収束式になっており、発射後一定時間経過すると親弾頭が割れて664個の子弾頭が現れ、敵に降り注ぐ、というものだ。これは大気中に突入する時に、爆薬が熱で爆発しないようにする為である。対地攻撃時にはこれを6基携行する。この武装は半数必中界こそ大きいものの、多数の子弾頭により命中率を高めることができるようになっている。また、多数のソフトスキン目標を攻撃する場合、その散布界の大きさが逆に利点となる。
これらの兵装は射撃式装置で統制される。

通信装備

本機体の開発において、対艦・対空攻撃と並んで重視された機能が高度な通信能力である。高度な通信能力を持つということはより少ない機数で大きな効果を上げることが出来る、ということであり、近代戦においては必須の機能であると言える。まず、本機体の通信装備の特徴として、AWACS(Airbon Warning And Control System)などの仲介を受けずに本機体の間だけでデータリンクが完結していることがあげられる。これは、それぞれの機体が得た情報を相互に共有でき、その結果、データリンクに加わる機体のうち一機に指揮官を乗せればその機体が擬似的にAWACSとして行動することが出来る。そのため、AWACSを用意する必要がなく、情報網に冗長性を付加している。また、本機体は従来の無線以外に情報交換用としてレーザー通信を装備している。これにより、敵側のECM(Electric Counter Measure)に対してより強固となっている。また、本機体に乗り込む三人のうち、一人は通信・ナビゲート専門要員であり、他の機体と連携をしやすくなっている。

索敵装備

本機体は頭部の人間で言うと目に当たる部分にメインカメラを搭載している、これは前述したようにパイロットがより自然な感覚で辺りを見回すことが出来るようにする為である。これ以外に腹部、背部、肩に可動式ガンカメラが搭載されており、敵機が映った場合、操縦者に警報を発するようになっている。また、頭部には四方を警戒できるフェイズド・アレイ・レーダーを装備しており、これが長距離探索のメインとなっている。そのため頭部は大型となっている。さらに、IRST(InfraRed Search and Track)とレーザー測距儀を股間にあたる部分に装備しており、ECMが激しい場合でも敵機の位置を知ることができるようになっている。

パイロット

本機体には前述のとおり三名のパイロットが搭乗する。それぞれ操縦、通信、索敵兼兵装を担当する。このうち通信担当のパイロットが指揮権を持つことで広い視野を持った行動が可能になる。ただし、操縦担当のパイロットには緊急事態の優先行動権が付与されており、より状況に適した行動が取れるようになっている。コクピットは強硬な装甲で覆われており、パイロットの生残性を高めている。

機動性

本機体の主要推進装備は背部のロケットエンジンである。これは大きな推進力を機体に提供すると同時に推力変更ノズルの装備により機体の機動性を高めている。また、臀部には補助用のロケットエンジンを搭載している。さらに、胸部と臀部に小型スラスターを装備し、前述のロケットエンジンの推力変更ノズルとあいまって高い機動力を生み出している。


防御

本機体における防御用火器は兵器の項で挙げた肩部小型レーザーが主である。これは主に敵ミサイルの迎撃に用いられる。本機体には高度な機動性が与えられている為に、ミサイルにすぐにおいつかれることなく有利な位置を占位しながら迎撃行動を取ることが出来るようになる。一方、レーザー兵器に関してはIRSTによりレーザー発振前の熱を捉え、高機動性を生かして回避する、という戦法が用いられる。また、ミサイルと違いレーザーは迎撃することが困難であるために本機体の装甲は対レーザー用に強い耐熱性を持っている。また、レーザーを減衰させうる煙幕の放出装置を常備している。


終論


本機体は帝国軍の象徴となるべく開発された機体である。そのため、強力な性能が与えられた。乗りこなすのはその分難しい。しかし、本機体を操り、天をかけるということは名誉であり、帝国軍の真髄をあらわすであろう。







「こちらコンサート・リーダー。アコーディオン、コントラバス、ヴァイオリン、チェロ小隊所属の全機体に告ぐ。オールシステムスタンダップ。コンサートの開演まであと30秒だ。」
指揮官機に搭乗する中隊長の声と共に待機状態にあった機体に次々と火が入れられていく。
「こちらアコーディオンリーダー。全機システムグリーン。出撃準備よし。」
「コントラバス小隊、準備完了。」
「ヴァイオリン、OK」
「チェロ、オールグリーン。」
声が返ってくる。中隊長は満足したように頷き、時計を見やる。
「あと17秒、俺が出たらアコーディオン小隊から順に発進。3分でやれ。」
機体が動き出す音に混じって、出撃格納庫と宇宙を仕切っていた隔壁が上がる音がする。出撃は、近い。
カウントダウンをしていた士官が1、と告げる。
ゼロ。
遮るものがなくなった宇宙へと漆黒の宇宙迷彩を施した機体が舞い上がる。それらの名は「SF-X」まだXナンバーの、名前がない機体。この戦いに勝ったかつきには、きっと名前が与えられるだろう。
「アコーディオン、集合完了。」
「コントラバス、完了」
「ヴァイオリン、全員集まりました。」
「チェロ、OK」
宇宙には一個小隊、3機ずつの集まりが4つ、少し離れて指揮官機の一機がそらを漂う。
「OK,全機、交戦宙域に移動する。無線封止、レーザー通信のみにしろ。」
漆黒の機体がその身を翻し、空へ溶け込んでいく---



「来たな。」
中隊長が座る指揮官機の通信員席。他の機体のレーダーが捉えた敵影を自機のレーダーモニタに映す事出来るという、この機体の特徴が早速役に立った。レーザー通信によるデータリンク。ECMが張りめぐされる戦場でもこれが役に立ってくれる。
中隊長はモニタに文字を打ち込む。レーザー通信で送るのだ。
「これより攻撃を開始する。アコーディオン、コントラバス小隊は我に続け。迂回して敵艦隊を攻撃する。ヴァイオリン、チェロはここで敵直援機を引きつけろ。」
モニタに映った敵は艦船が6隻、戦闘機が40機。一方こちらは13機。
返事が返ってくるのを確認した中隊長は指令を下す。
「操縦士、GO!」
機体に強いGが係る。しかし彼らが着るパイロットスーツは血液の移動を妨げてくれる。
中隊長はガンカメラで追随する味方機を確認する。パイロット全員が情報を完全に共有できる機内LANもこの機体の特徴だ。



「敵艦隊との距離40キロ!射程に余裕で入ってます!」
操縦士の叫ぶ声。そろそろか、と中隊長はつぶやき、
「全機体、レーダー使用開始!攻撃管制はこちらで行う」
これまで一部の機体にしか許されていなかったレーダーが、全機体フル稼働し、機影を捉え始める。ミサイルを発射する機体のレーダーで敵機をとらえなくともミサイルの照準は可能だが、各機で照準したほうが命中率が高い。中隊長は次々に送られてくる攻撃対象をチェックし、不都合なら変更を加える。同一の艦に過剰なミサイルが集中しないようにする為には必要な作業だ。
「カウントダウン!5秒後に発射する」
モニターの時計がめまぐるしく動き出す。



その瞬間、各機4発、合計28発のミサイルが飛翔していく。それと同時に全ての機体が身を翻す。アクティブレーダー誘導なので、母機による誘導は不要である。それに陽動を加えているとはいえレーダーを全機体が発振した以上、敵の直援機がすぐにやってくるだろう。


「む、攻撃終了の合図だ。」
チェロ小隊の小隊長機で、送られてきた通信をみた小隊長が叫ぶ。
「全機、逃げ帰るぞ!今やりあってる奴をさっさと撃沈しろ!」


大型I=D特有の巨体が宙を舞う。まるで剣舞を踊るかのように。スラスターと推力変更ノズルにより高い機動性を得た巨体は敵のレーザーをよけ、ミサイルを撃墜していく。
「こなくそ!」
ヴァイオリン小隊所属の一機の六連装ミサイルポッドからつぎつぎと対空ミサイルが発射される。赤外線画像誘導ミサイルは、翼を翻し逃げようとする敵機にくらいつき、火の玉に変える。そのような光景がいたるところで、あるところでは強力なレーザー砲で二機同時に燃え尽き、またあるところでは小型レーザーでコクピットに穴をあけられ、というふううに広がっていた。
「操縦士、作戦終了だ、逃げるぞ!」
「アイサー」
最後に煙幕を張ってレーザーによる追撃を防ぎながらロケットエンジンの方向を修正する。



「よくやった、大尉」
「ありがとうございます」
空母の艦長室。先の会戦で彼が率いる中隊は敵戦艦4隻撃沈、1隻中破の戦果を挙げた。
「今回の戦果に司令部は満足したらしくてな。君への評価も上がるだろう。そこで、だ。君にあの機体の名をつけて欲しいそうだ」
「自分が、でありますか。」
大尉--中隊長は少し驚きながら聞き返す。
「ああ、そうだ。まあ縁起担ぎというやつだろう。何かいいアイデアは在るかね。」
「は、ではあの機体の名前は--------









                        文章 音在誠自@よんた藩国