L:小学校 = {
 t:名称 = 小学校(施設)
 t:要点 = 校庭,子供,先生
 t:周辺環境 = 学校
 t:評価 = 住みやすさ0
 t:特殊 = {
  *小学校の施設カテゴリ = ,,国家施設。
  *小学校の位置づけ = ,,{建築物,生産施設,教育施設}。
  *小学校の面積 = ,,1000m2。
  *小学校の犬士・猫士生産 = ,,(生産フェイズごとに){犬士または猫士}+2匹、食料-6万t。
 }
 t:→次のアイドレス = 集会所(施設),秘密警察(組織),八重咲桜子(ACE),知恵者(ACE)







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よんた藩国立小学校学習指導要領


全体的な方針

  • 授業時間は数学と理科により多く割り振る
  • 図画工作にも力を入れる


国語

1.目標

  • 自分の考えや気持ちを適切に表現する能力を育成する
  • 言葉や文章から相手の意図するものを正しく読み取る能力を育成する

2.内容

  • 様々な表現方法に触れ、語彙を増やすために童話や随筆を読み親しむ
  • 言語の想像力を伸ばすため、物語や詩などの創作を行う
  • 発声による表現力を伸ばすため、朗読やスピーチなどの時間を設ける


数学

1.目標

  • 数量や図形にふれ、数学的基本知識と技能を身につける
  • さまざまな事象について筋道立てて考える数学的思考を育成する
  • 数学の楽しさを理解できるようにする

2.内容

  • 数の順番や大小を正しく数えることができるようにし、数直線などで感覚でも理解できるようにする
  • 計算における基礎となる「加法・減法・乗法・除法」を用いて様々な日常の事象を表現する
  • 図形を構成する要素に着目し、様々な図形の大小を比べたり形の違いを比べたりする
  • 長さや重さなどのおおよその見当をつけられるように、身の回りの物を計測したり、資料を調べたりする


理科

1.目標

  • 様々な現象を興味,関心を持ちつつ追及する活動を通して、科学的な考え方を育成する
  • 自然に親しみ、見通しをもって観察,実験などを行うことで自然を愛する心情を育て、自然への理解を深める

2.内容

  • 身近な動植物をはじめ、様々な生物の違いを比較しながら観察,調査を行い、様々な種族の違いを正しく理解する
  • 光や磁気,電気のような現象を安全に配慮された実験を通して体感し、理解を深める
  • 一年を通して植物の育成を行い、どのようにすればより良く植物が育つのかを理解し、生活に活かせるようにする


社会

1.目標

  • 様々なメディアを通して伝えられる情報から、正しい情報を選択する感覚を育成する
  • 現状から起こりうる将来を推測する感覚を養い、問題にすばやく対処する力をつける

2.内容

  • 身近に起こった出来事を発表する機会を設け、情報を整理することを覚える
  • 実際に起こった出来事を皆で討論することで、いろいろな考え方や情報のとらえ方があることを理解する
  • よんた藩国やニューワールドの歴史を調べることで、世界への理解を深める


図画工作

1.目標

  • ものを作り出す楽しさを芽生えさせる
  • 自分のつくりたいもの,表現したいことを、自分なりの方法で生みだす感覚を伸ばす

2.内容

  • 身近にあるものを写生したり、模型を造形することで、いろいろな形を把握する感覚を育成する
  • 紙や土、木のように様々な材料をもとに造形活動を行い、材質にあった加工方法に見当をつける感覚を養う
  • はさみ,のり,色鉛筆など様々な道具を用いて、いろいろな表現方法があることを学ぶ


体育

1.目標

  • 安全に配慮しながら、健康的に楽しく運動できるようにする

2.内容

  • 気温の高い夏の間は地上の日のあたる場所で運動し、気持ちよく汗を流すことを覚える
  • 冬の間は室内に閉じこもり気味になるため、雪を用いたスポーツ(雪合戦など)で楽しく体を動かすことを覚える





日が高く昇り、昼食の時間までそう間もない時間。
小学校の廊下では複数の大人の集団が教室をのぞいたりしている。
今日は、授業参観 兼 学校見学会の日である。
保護者達が自分の子供のいる授業を廊下や教室の後ろから眺めている。

小学校に通う兄弟をもつ保護者は複数の教室を行ったり来たりしているのだが、
それとは別に小さい子供を連れた保護者のグループが、校舎内のあちこちを教師に案内されている。
このグループは、来年度入学予定の子供を持つ保護者達で学校見学に訪れていた。

「はい。午前のスケジュールにありました学校の雰囲気は紹介できたと思います。
 では次に給食の試食に移りますので、こちらへどうぞ」

保護者達が教師に案内されて向かった教室では、机と椅子が並べられすでに給食が運び込まれている。
各々手近な席に座り、調理師さん達が配膳を進めている様子を眺めている。
配膳が終了した頃合いを見計らって、引率していた教師が話し始めた。

「とてもいいにおいでお腹が空いてきますが少しだけ我慢していただいて、
 当校の調理師さんと栄養士さんの紹介をさせていただきます」

ここにいるのは栄養士さん1名と調理師さん4名で、あと4名の調理師さんが調理場で生徒たちの給食の準備をしている。
教師は、名前と簡単な紹介を数分で終わらせた。

「調理師さんの紹介は以上になります。それではお待たせいたしました。
 みなさん、手を合わせましょう」

言われた通りに手を合わせる保護者と子供たち。

「いただきます」

教師の言葉を合図に一斉に「いただきます」の声が上がった。
献立は、パンに野菜のスープ、コロッケとフルーツ、それとよんた饅である。

保護者達はと言うと、子供に食べさせたり、近くの保護者と「懐かしい」と言い合うのに忙しかったりしている。

そうこうしているうちにあっという間に昼食の時間は終了していた。

「それではみなさん、ごちそうさまでした。
 午後は校内の施設を少し紹介して、見学会終了といたします」

少しの休憩の後、再び教師に校内を案内される保護者一行。


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保護者一行が次の紹介施設として校庭へと案内されている頃、午後の授業が開始されていた。
ちなみにこの日、午後の授業は5・6年生のみで、4年生以下は給食の後は放課後になっている。


「きりーつ、きをつけー、れい」

陽光の差し込む午後の教室。
教壇の前に、ぼさぼさ頭の気だるげな男が立つ。

「うぉーす、お前ら。午後の気だるい時間だからって寝るなよー。
 ホントはセンセが一番寝たいんだからな。若いオメェ等は授業中は身体よりも頭育てとけー。なー。あたま。」

「あたま育てると、いいことあるんですかー?」
やんちゃ盛り という感じの男の子が手を挙げた。

「あるぞー。センセみたいになれる」
「えぇー先生みたいにー?」
という笑い声が教室に響き渡る。

「よしよし。そう褒めるな。まぁ、俺のステキさを語ると授業まるっと使うから放課後に居残りで語るから置いとくとして アレだ。
 改めて語るとオメェ等のやってる学問ってのは玩具でな、生きるのに必要ではないが、あると楽しい。そんなもんだ」




また始まった とばかりに子供達の好奇の目が先生に向けられる。
この教師、授業よりも脱線の方が多い。
その上でカリキュラムはこなしているので表立って劣悪という訳でもない。

子供の眼差しが澄んだ時に教えるのが学問である というのが彼の持論である。

「んで、オメェらはもう5年だ。読み書き足し算引き算掛け算割り算 は出来る様に仕込んである。世の中は大抵これで生きていける」

芝居のように身振りを交えて語る
教壇の上を歩きつつ、そう言った後、クラス全員を見渡した。

「その上で、分からないことがあったらどうする?トト。答えてみれ」

「んー、誰かに聞くか、自分で調べる?」
トトと呼ばれた少年が迷いながら答える。

「おーぅ。それでいい。その認識であってる。つまり、オメェ等は既に疑問を打ち砕く武器を手にしてる訳だ。
 それは言葉や算数の基礎、そして解らない事を認める力と人とのつながり だ。」

「いいか。解らなければ聞け。できれば何がどう解らないのか自分の中で考えてからな。
 幸い、センセは教師でオメェ等は生徒だ。質問はどんどんしろよ、どうせタダなんだから」

「どんなことでもー?」
「ネットいらずやんけ」
「ぬれてにあわぬれてにあわ」

喧騒と共に笑い声が広がる。

「で、今からは国語の時間だったな。よし、では実践といこうじゃねぇか。
 各自、教科書と目を閉じろ、そんで好きな方向を向け。5秒やる」

がやがやとした教室が静かになる。

「さーん、にー、いち。はい、目を開ける」

「ねるかとおもたよ」
「ねー」
生徒達楽しそう。

「よぅし、各自最初に目に入ったものを紙に書け。『つくえ』でも『椅子』でも『黒板』でも『雲』でもいい。
 オメェ等は『それ』について文章を書け。言葉の由来でも、思い出でも取扱説明書でも詩でも短歌でもナゾナゾでも何でもいい。
 辞書や図書館の使用は自由。制限時間35分。発表させるから、そのつもりでな」

「ぎゃー」
「俺、お前だぁ」
「ぶっちゃけセンセ何もしとらんやんけ」

「はいはい、駄弁る暇があるのか?あと30分だぞぅ」


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時間は少し戻って、場面は保護者一行に戻る。

校庭は今日の午後の授業に体育がないため全面開放されており、子供たちが思い思いに放課後を楽しんでいる。

「はい、このように放課後は校庭を子供たちに開放しています。この他には図書室や音楽室を開放しています。
 音楽室は午後の授業が終わる時間になってからの解放になっていますが、図書室は常に開放されています」

案内している教師の後ろでは子供たちがわいわいきゃっきゃと歓声を上げている。

「今日は午後に音楽の授業がありませんので、先に音楽室の見学に向かいます。
 途中、いくつか授業中の教室を通りますのでお静かに願います。」

子供たちの歓声を聞きながら校庭を後にする保護者達。


授業中の教室の近くは静かである……いや、そうとも限らなかった。

少し離れた教室から教師のものと思われる声が保護者達のところに聞こえてきた。

「で、今からは国語の時間だったな。よし、では実践といこうじゃねぇか。
 各自、教科書と目を閉じろ、そんで好きな方向を向け。5秒やる」

5秒のカウントダウンと子供たちのざわめきの後、

「よぅし、各自最初に目に入ったものを紙に書け。『つくえ』でも『椅子』でも『黒板』でも『雲』でもいい。
 オメェ等は『それ』について文章を書け。言葉の由来でも、思い出でも取扱説明書でも詩でも短歌でもナゾナゾでも何でもいい。
 辞書や図書館の使用は自由。制限時間35分。発表させるから、そのつもりでな」

聞こえてきた声に、保護者達の中にはさすがに眉をひそめる人もいる。

「えと…念のため申しておきますと、あれが彼なりの教育スタイルらしいです。
 ちょっとまぁ、ハチャメチャなところがあるんですが、授業は指導要領に沿って行っていますし、なにより子供たちからの人気も高いんですよ」

案内役の教師がなんとかフォローを入れているが、苦笑いをしながら少し冷や汗をかいている。

「とにかく、今は音楽室の方へ向かいますね」

さっさとここから立ち去ることにしたらしい。


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保護者一行は音楽室に置いてある楽器と放課後に音楽室を見ている先生の紹介を聞き、次の目的地である図書室へと向かっている。

一つ問題があるとすれば…さっき通った教室を再び通らなくてはいけないことか。

運が良ければ(?)授業が終わったタイミングで通ることができるが、今のまま進むとちょうどラスト5分くらいのところで教室の前を通ることになる。
かといって、ここで時間稼ぎしたりするのも変に思われるかもしれない。
案内役の教師はさっきから、保護者の前を苦笑を浮かべ歩いている。

残念なことに(?)読み通り授業終了前に例の教室の前へとやってきた一行。
一度長いため息をついたあと、教師は保護者達に告げた。

「皆さん、予定にはありませんでしたが、ここで少し授業風景を見学していただきます。
 いろいろと言いたいことがあるかもしれませんが、授業が終わるまでお静かにお聞きいただきますようお願いします」

保護者達は廊下から教室の中をうかがい始めた。


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教室ではホウスケという名の少年が教壇に立つ。
紙には『女心』と書かれていた。毛筆で。

「先生!クラス全員の女子に聞いたんですが、全員からガン見されました。」

「うーん。ホウスケが何を観たのか非常に気になるが、とりあえずその勇気は認める。えらい。」

「でも、解んなかったんです。辞書で調べても」

「センセも教えてあげたいけど、それが解ったら、センセの頭のこのコブは無いなぁ。」

笑い声がこだまする。

「んで、ホウスケの勇気でみんな解っただろう。この世で解ることはやたらに少ない。
 学校で教えられる事なんて、知識の砂漠の砂ひとにぎり。6年かけてもそんなもんだ。
 だから、知りたいことが出来たら、やりたい事が見つかったら、勉強意外でもいいから全力を傾けろ。
 そしてセンセはお前らのセンセだからな、困ったら来い。年中無休コンビニエンスに対応してやんよ」

「答えが見つかる訳でも、問題が解決する訳でもないかもしれんが、楽にはなるかもしれん。過ちがあれば正してやれるしな。
 教師の役割ってのは、そういう事だと俺は思うね」

「なるほど。で、結局『女心』ってなんですか?」

ジト目で聞くホウスケ

カラ~ン カラ~ン カラ~ン

「よっしゃ、今日の授業はここまで。みんな気をつけて帰れよー」

「いい逃げた」
「それっぽいこと言いたいだけでは?」
「かちぐみやんけ」


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「……ま…まぁ、いいことは言ってますよね。たぶん。
 言い方はともかく、考え方や態度に問題はない…と思います。きっと」

案内役の教師はすでにひきつった笑みが張り付いている。

「と…とりあえず図書室に向かいましょう。今日の学校見学はそれで終了ですので」

これ以上フォローするのは無理と悟ったのか、慌てて歩き出す案内役の教師。
顔に張り付いたひきつった笑顔のまま、図書室まで保護者達を案内した。


図書室についたころ、すでに陽は赤みを帯び始めていた。

「はい、こちらが図書室になります。先ほど説明しましたとおり放課後は生徒たちに開放されています。
 …が、ご覧のとおりこの時間に利用する生徒はあまりいない状況です。貸し出しは頻繁にされているようですので家で読む子が多いんですね」

案内役は貸し出しの記録などを見ながら説明している。

「それでは、施設の紹介は以上になります。皆様お疲れ様でした」


案内役の教師はそのまま保護者たちを校舎の外まで見送るのに忙しく、大きな犬が足元を通って校舎に入っていくのにも気づかなかった。





放課後、夕暮れの光が差し込む図書室。
女の子が独り、窓際の席で本と対話している。

はらり・・・・・・。
はらり・・・・・・。

無言の対話が続く。
窓の外遠くからは居残って遊ぶ子供たちの声がかすかに響いてくる。
だが、インクと紙の臭いで満ちたその場所には音らしい音と呼べるものはなかった。




閉じた静謐。

彼女は何の気なしに窓の外を見た。
外では校庭で子供たちがバレーボールを使ってドッジボールをしているらしい。
ちょっとだけ、ほんのちょっぴり楽しそうだなと思った。
でも、混じって遊ぼうという気にはなれない。
運動が苦手だったし、声をかけるのが恥かしかったから。

だから少女はここにいた。

ここなら恥ずかしい思いをしなくてすむし、本はそんな自分でもいつだって会話をしてくれるから。
ページを繰る音は規則正しくリズムを刻む。
いつしか少女の意識は彼女の読む本のような幽玄の世界へと落ちていった・・・・・・。


……お……なさ……。おきな……い。おきなさい。


ゆったりとした優しい声色、長い年月でしゃがれたような、そんな声が少女の耳を打つ。

目蓋を、開く。
すでに日は落ちかけ、外で遊ぶ子供の姿もなかった。

ねちゃったの・・・・・・?
目をぐしぐしとこすり、意識をはっきりとさせていく。
今の声は誰の声だろう?
周囲を見回すが声の主の姿は見えない。

いまここに入るのは自分ひとりだけ。そう思うと途端に怖くなって震えがきた。
誰?誰?誰?
ここには私しかいないはずなのに……。


ダレモイナイ


そこには間違いなく少女しかいない、
独りきりという言葉が彼女の中に染み渡った瞬間、ぞわっと襲いかかった。

暗い、寂しい……怖い……。

そんな両手で身体を抱え目を閉じて縮こまっている様子を見かねたのか、声が再び聴こえた。

「おちつきなさい、大丈夫。一人じゃないから」

今度ははっきりと。
声のするほうを見た。
黄昏の、光とも闇ともいえないぼんやりした輝きの中、そこには1匹の犬がいた。年老いた白い老犬。
夢のようでもあり、現のようでもある。

「あなたが、こえをかけたの?」
「ああ、そうさ。本を小脇に抱えてよだれたらしてうたた寝してるお嬢さんにな」

はっと唇に手を当てる少女。

「た、たらしてない、ですっ……!!」
「いいや、たらしとったぞ、本にしみができるかと思った」 
「そんなことしないもんっ!!」

突然でてきてなんて失礼な犬だろう、恥ずかしさやら腹立ちやら色々こみ上げてきて、顔を紅くする少女。
女の子がぶぅとふくれっつらするのを見ると老犬はカカと笑った。

「おうおう、それくらいの元気があれば大丈夫さ。ははは」

少女はそういわれてふと、さっきまであった震えがぴたりと止まっていることに気が付く。

「わざと?怒らせるようなこといったの?」
「いいや、ホントのことをいったまでだよ。寝ぼすけさん」

しれっと返す犬。
やっぱりこの犬イジワルだ。む~とまた少女はむくれた。

「まあ、目が覚めたんなら帰るといい。もうすぐ夜が来る。夜は子供にはよい時ではないからな」
「言われなくなって……!」

机に置いてあったカバンを乱暴に背負い帰り支度をさっとすませて図書室を出て行いこうとする。
犬がそんな少女の背中へ

「今度は友達とくるんだな、そしたら俺みたいなのにも会わずに済むさ」

と声をかけた。すると少女の足がぴたりと止まった。

「……いないよ、そんな子なんて……」
再びしょげる女の子。

「そうかい?誘ったことは?」
「ない、断わられるの判ってるから」
「それは何故?」
「だって、みんな本なんて読まないし……。外で遊ぶほうが楽しそうだし……。きてくれないよ……きっと」
「そうか……、なら俺が付き合おう。俺は犬で本は読めないが、お前さんの横で昼寝するくらいはできる。そのついでに話相手はできるだろう」
「変な犬、あなたって。喋るし偉そうだしイジワルだし」
「そんなのでもいないよりはマシさ。さあさ帰った、帰った」

わんわんと少女を追い立てる犬、そのまま追い出され少女は家路につく。
街灯と月明かりに照らされる夜道、家路を行く少女の顔にくすりと笑みが浮かんでいた。


それから暫くの後。

放課後、夕暮れの光が差し込む図書室。
女の子が窓際の席で本と対話している。

はらり……。
はらり……。

無言の対話が続く。
窓の外遠くからは居残って遊ぶ子供たちの声がかすかに響いてくる。
だが、インクと紙の臭いで満ちたその場所には音らしい音と呼べるものはなかった。

閉じた静謐。

が、独りじゃない。
そのそばには白髪の老犬が昼寝していた。

「今日は何を読んでいるんだ?」
眠たい声で少女に声をかける犬。
「今日はね、みんなで遊べるボール遊びについてって本」
「ほう……」
犬は眉のような毛を上げ片目を少女へ向ける。
「どういう風の吹き回しだい?」
「なんとなく」

少女が校庭に目をやると、今日もボールで遊んでる子供達がいた。
「わたしもまざってみたくなった。それだけ」
「そうかい。まあ好きにするといい。俺はいつもどおり昼寝してるだけさ」
「うん、そうする」

そして少女は本に目を戻し、
「(ありがと……)」
ぽそりと呟く。

そして、呟きが聴こえなかったように老いた犬はあくびをし、眠りについた。
少女はもう一度校庭を見る。
そしてそこに自分がまじって遊んでいる姿を想像した。
胸にぽかぽかしたものがわきあがってくる。

「ありがとう、おじいちゃん」

昼寝している老犬が微笑んでる気がした。
でも、それはきっと気のせい……。だっていじわるなんだもの。


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文:よんた,槙昌福,雷羅来
イラスト:坂下真砂,小野青空