『誰も知らないけど失敗してました』



こう見えて、忠汰は、よんた藩王に恩義を感じている。

国民が少ないからというのはもちろんあるだろうが、それでも、封土目当てに訪れた人間を即決で拾いあげ、土地を与えるなどということは、なかなかできるものではない、と思っている。

それに恩人の仇討のために戦おうとする姿勢もいい。過去をみれば、その手の動機で始まった戦争はろくなものではないと思わなくもないが、まぁ、友誼に応えて命を張ろうというのは、素直に格好いいと思う。人も物も金もないくせに。

だから忠太は、(もらえる予定の)封土分ぐらいは働かなくては、と決意した。
何か役に立とうと、今、よんた藩国に必要なものを考えたのである。
資金は…自分では無理だ。
資源は…自分では無理だ。
犬士は…イッパイいる。

国民は…そうだ、人が少ない、人を集めよう!!


------------


ふと、ちゅ~たは思い出した。身内も勧誘できないヤツが赤の他人の勧誘などできるか!と、保険会社に就職すると第一に言われるらしい。うん。もっともだ。じゃあ自分も身内→昔の友達でも試しに勧誘してみるか。久しぶりに連絡をとるいい機会だし。
その日の授業が終わった後、さっそく旧友X君にメールしてみる。
このX君、変なこだわりと思いがけない行動力を持った大変ユニークな人物である。
かつてガンパレでソックスハンターと絢爛舞踏を同時にやった事とオレより先にリアル彼女を作った事以外はちゅ~たの中では評価はかなり高かった。
ちなみに彼は陸上の長距離もしていた。今思うとまんま野口やん。

実に1年ぶりの連絡である。まずは様子見だ。

ち「久しぶり~。どう?第二次黄金戦争参加してる~?」
X「あ、また儀式魔術やってるんや。毎回終わったのをまとめて流し読みするだけやわ」
ち「あ、今なら新人さん大募集してるよ~。とりあえず覗くだけでも覗いてみたら?」
X「ふーん。まぁ、仕事終わったら見てみるわ」

よし!この段階で、ちゅ~たはX君の勧誘は8割方成功するだろうと思っていた。X君アイドレスに興味持つ⇒ちゅ~たにメールが送られてくる⇒ちょうどオレも新しく藩国に参加した所やから一緒にどうよ?⇒よんた藩国にX君勧誘成功!という予定である。



ところが、二日経ってもメールが来ない。
仕事忙しいのかな、アイドレスに興味を持てんかったんかな、などと思っていると、
三日後の昼に





X「とりあえず国民登録して、アイドレス始めてみたw」






……

なんですと?!

そう、ちゅ~たは忘れていたのだ。
彼は、X君は、
突然単身でオーストラリアへ放浪の旅へ出るほど行動力バツグンなのだ!!
(ちなみにこの時、豪州の地で死んだらMDプレーヤーを譲ってくれるという約束があったが、一月ほどで無事帰ってきた。)



…彼がどの藩国になんという名前で所属しているのか、あえて聞きはしませんでした。
ただ、同じく帝国だそうなので、敵ではナイということだけでよしとしておこうと思います。



---------------



こうして、誰も知らないところで、忠汰は藩王の恩義に報いることが出来なかった。
で、うなだれていた忠汰だったが、
ふと、顔を上げて、つぶやいた。この話を文章にしてやろう。そんでもってわずかでもなんか貰おう。じゃないと藩王に合わせる顔がない…





(文:忠汰)