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コツコツと、石畳の上に音が響く。周りにいる海賊達に軽く挨拶をして、目的の部屋まで歩いた。
「やあ。ヒルダリアはいるかな?」
剣を携えた巨体。ヒルダリアの護衛だ。髭にはいくらか白いものが混じっていた。
かなりのベテランだが、それなりの役職には興味がなく、護衛の任に就き続けているらしい。
「これはアレフ殿。今はいますぜ。話を通して参りますので、しばしお待ちを」
大きな体を小さくまとめて、控えめに部屋の中へ。すぐに出てきた。
「どうぞ、お入り下さい」
手を上げて応えて、扉をくぐった。ヒルダリアは執務用の机に座ったままで、こっちには軽く目をくれただけだ。
「忙しそうだね」
「ええ。フゴー商会の警備がきつくなってきているの。大雑把な作戦の立案だけでも一苦労よ」
そこまで言って、椅子から立ち上がった。大きく伸びをして、こっちを見てくる。
眼には燃えるような強さが見えた。余裕の感じられるような強さではなく、剥き出しと言った強さ。
「それで、何の用なの?」
「あ、ああ。しぶきの群島に船を出したいから、人と船を貸して欲しくてさ。
粗方見たんだけどね、まだまだ行きたいところはあるんだ」
少し虚を突かれて、上ずった声が出た。でも、ヒルダリアには全く気にした様子がない。
細かいことを気にしないほど大らかなのか、細かいことに気を使う暇がないほど忙しいのか。
…おそらく後者だろうな。今の様子じゃ。もっと休んだほうがいいのに。
「そう。わかったわ。修理中の船じゃなければどれを使ってもいいから。
気をつけて行ってきなさい。さっきも言ったと思うけど、最近はフゴー商会が神経質になっているわ」
眼の中に宿る強さは、ますます強くなっていた。他者を圧倒するぐらいに。
そんな彼女を眼にしながら冒険の為に船を借りる…少し居たたまれない気分になった。
でも、今更後に引くわけにもいかない。部屋を後にして、ドックに向かった。

ドックに向かう時、考えていた。ヒルダリアについて。
ヒルダリアの人生にとって、男に生まれたかったと思うことは数え切れないぐらいあっただろう。
海賊なんて本来男のみでやるものだ。でも、頭領の娘として生まれたから、引き継ぐしかなかった。
男として生まれたほうが、絶対に楽だったはずだ。それこそあらゆる事で。
ただ、ヒルダリアがもし男に生まれていたらどうなるんだろう、と考えるとわからなくなった。
ヒルダリアは女に生まれたからこそ『完璧』を求めた。男に舐められないだけの技量を。
それだからこそ彼女は荒くれ全てを纏め上げ、主義のある海賊として恐れられている。
もし男に生まれていたなら、そこまでを求める事はなかったはずだ。
だから、今よりはだらけた…というか大らかな頭領になっていただろう。でも、それの方が下は楽だ。
男に生まれていても、違った形のカリスマになっていたはず…。
そう考えると、わからなかった。どっちがいいとは言い切れない。
「うーん…」
「こんなとこで何してんだ…?」
あ、いつの間にかドックについていたのか…。海賊の怪訝な顔に苦笑いを返して、船の用意を頼んだ。
今は考えていてもしょうがないな。冒険に行こう。

しぶきの群島。憤怒の槌も手に入れたし、大雑把には見たのだけど、行っていない所がある。
片っ端から行ってみたかった。まだまだ興味は尽きない。
「おっし、この辺でいいや。イカリを降ろしてくれ」
この島は群島の中でもかなり小さい。半日あれば2周はできるだろう。
海賊達は何も無いって言っていたんだけど、この辺りには珍しく森に覆われた島で、行ってみたいと思っていた。
「よ…っ」
浅瀬が続いている島らしく、小船に乗り換えて島に下りた。
砂は思いのほか細かく、歩くたびに高い音がする。この島特有かな。珍しい…。
外からは森に覆われたように見えたけど、実際は島の外周を囲うように生えていただけだった。
「…洞窟?」
島の真ん中は森に囲まれた草原。そこには洞窟。入り口だけは地上に出ていたけど、奥は地下へ。
手近な枝を松明にして、誘われるように入っていく。奥は海に繋がっているのか、潮の匂いがした。
ゆっくりと、気をつけながら歩いた。足元は基本砂地で案外歩きやすかったけど、何があるのかはわからない。
「結構、深いな」
日の光はほとんど届かない。それなりに歩いたつもりだが、まだ奥はある。
しかし、海水は足首まで来ていた。急に深くなるかもしれないし、これ以上行くのは無謀だろう。
引き返そうかと思ったとき、石に躓いた。石が飛んでいき、水音が響く。
「ん?」
異変。もしかして、この洞窟って…?
確認のために、石を投げた。…やっぱり、間違いない。
「何もないってわけじゃないな。いいもの、見つけたよ」
呟いて、帰路へと就いた。また来よう。

「アレフ。どうしたの?」
砦で一泊して、昼過ぎくらいにヒルダリアを尋ねた。
相変わらず難しい顔で仕事。顔を上げないで、声だけかけてくる辺り、相当煮詰まっているのだろう。
「ちょっと用があってね」
机から目をあげて、俺の方を見てきた。強さだけでなく、少しだけ焦燥が見える目だ。
普段はそんな様子をおくびにも見せないけど、疲れていないはずはない。
「…私に用って何?」
あの景色を一緒に見たい。それに、何よりも言いたい事がある。
「群島を回っていたら面白い島を見つけてさ。一緒に行ってもらいたくて。
珍しい景色なんだ。きっとヒルダリアも見たことがないと思うよ」
「この群島で、見たことがない?この私が?」
ちょっと棘っぽい言い方だけど、臆せずに頷いた。ヒルダリアは少しむっとしたような様子。
すぐに机から立ち上がって、部下に船の用意を命じた。
「いいわ。付き合いましょう。私が見たことのない景色、見せてもらうわ」
挑戦的だね…。ま、いいや。あの景色は見たことがないだろう。
すぐに出発した。今から向かえば、夕方には着くはず。多分ね。
「一体、何があるっていうのよ?」
「秘密。何も知らないほうが楽しいよ」
含み笑いが気に入らないのか、ヒルダリアはますます機嫌が悪くなってる。
操舵手やら掌帆手やらに当り散らしていた。申し訳ないと思うけど、我慢してくれ…。
「この島だよ」
「さっさと行くわよ」
即答。異常に険悪なムード…。小船に二人で乗り込んでも、終始無言。きっと、機嫌が直る…といいな。

「この島に面白いものはないはずよ」
「それがあるんだよ」
空が赤い。そして引き潮。条件は上手く揃った。天が味方してるのかも。
洞窟に入ったときも、ヒルダリアは全く驚かない。面白いものはない、と言った通り、島の地形は知っているみたい。
松明を手に、どんどん進んでいった。後ろのヒルダリアも躊躇わずについてくる。
「よし、ここだ」
洞窟の奥。この前と同じ場所。陽光はともかく、夕暮れの光は届かない。
「ここがなんだっていうのよ?」
「ま、ちょっと待っててよ」
松明の火は消えかけていた。完全に消えた時が楽しみだ。
転がっていた大きな石に座った。ヒルダリアは俺の隣に。
「一体、何なの…?」
少し不安そう。別に怪物がいるわけじゃないよ。
いつまでも不安にさせておくのも悪いし、そろそろ頃合かな。
「ご覧あれ」
松明を濡れた砂に押し付けた。灯りが消え、辺りが暗闇に包まれる。
「わっ…!」
目の前に広がるのは、無数の灯火。幻想的な薄緑の光。
無数の夜光虫が繰り広げる、地下に咲く天の川。
暗闇のせいで見えないけど、ヒルダリアが驚いているのはわかった。
…驚く顔が見えないのは残念だなぁ。
「綺麗だろ?」
「ええ…初めて見るわ」
それきり、二人とも黙り込んだ。目の前の光景に食い入っている。
立ち上がりもせず、身じろぎもせず、ひたすら眺めた。
話したいこと、今なら話せるかな。そんな気分になっている。
「…ヒルダリア、君はちょっと根を詰めすぎだよ。無理はないけどさ、もっと気楽にやってみようよ。
たまには甘えてもいいじゃないか。迷惑かけてもいいじゃないか。甘えるのだって信頼だよ」
静かに話した。小さくこだました声。
ヒルダリアは何も言わない。息遣いだけが聞こえる。
「俺だってさ、苦しいよ。無限のソウルなんてものを持っているから。
君と同じだよ。自分のせいではないもので、祀り上げられてる。重圧に潰されそうになる。
…俺が耐えられるのは仲間がいるから。苦しみを分かち合い、重荷を担いでくれて、楽しさを膨らませてくれる仲間が」
俺の仲間。お節介が揃っている。そんなお節介にどれだけ救われたことか。
屈託無く笑う顔に、真剣に悩む顔に、涙をこぼす顔に、どれだけ助けられたか。
「…私には、仲間なんていないわ。部下しかいない。部下には弱みを見せられない。
仲間っていうのは、対等だから仲間なのよ。上下があるんじゃ、仲間なんて言えないわ」
少し寂しそうだった。隣に座るヒルダリアの肩に手を乗せる。
「今こうして目の前にいるのに、仲間はいないって?それはちょっと寂しいな」
肩に乗せた手に、ヒルダリアの手が重なった。その肩が、その手が、少し震えている。
「甘えてもいいのかしら?」
何も言わずに、肩を抱き寄せた。震えが大きくなってくる。切ないほどに。
「誰も見ていないよ。ここには俺と君だけだ」
抱きついてきた体を、静かに抱きしめた。切迫した息遣いだけが響く、地下の星空。
腕の中にある体はか細くて、強く抱きしめれば折れてしまいそう。それでも、強く抱きしめた。
「アレフ」
見上げてきた顔に、キスをした。抵抗の声は上がらない。
暗闇。夜光虫のわずかな灯りでは、ほとんど何も見えなかった。体が闇に融け

「ちゅっ…くちゅっ」
甘い水音が響く。頭の裏側が少しずつ痺れてきた。
ヒルダリアの体はまだ震えている。服に手をかけると、びくっと大きく震えた。
まさか…?
「もしかして、初めて?」
「初めて…かもしれないわね」
かもしれない…?経験に『かもしれない』って無いんじゃないか?
頭の中には消えない疑問符。何なんだろう?
「私は処女じゃないわ。でも、こういう経験はないのよ。
処女を失った時だって、頭領が処女じゃ舐められると思ったからしただけ。気持ちがこもっていたわけじゃない。
それからも必要に迫らせてしただけであって、こういう風に…こういう気持ちでしたことってないのよ」
なるほどね…。かもしれないってそういうことか。
傍から見たら辛いことだけど、本人はあまり気にしていないのがせめてもの救いか。
「…………」
考え込んだ俺に気づいたのか、ヒルダリアから優しいキス。
そうだな。今はそんなこと、考えなくていいよな。ここで考えてるんじゃ、ヒルダリアに失礼だ。
キスに応えて、ゆっくりと舌を絡ませる。やがてキスは激しさを増していった。
「ちゅ、はぁ…ッ」
別の生き物のように動く舌を互いに求め続ける。こういうのには慣れていないのか、ヒルダリアは時々息継ぎをした。
そんな彼女を可愛いと思いながら、キスを続けた。でも、自制は少しずつ効かなくなってくる。
名残惜しさを押し殺して、唇を離す。目は闇に慣れてきて、唇と唇の間にかかる銀色の橋が見えた。
「腕、上げて」
「…わかったわ」
まだ理性は残っている。無理やり脱がそうとはしない。ヒルダリアも抵抗せずに、素直に従った。
闇の中に、白い肌が薄く光るように浮き上がっている。神々しさを感じて、触れるのをためらう。
(今更引けるか!)
心の中に浮かんだ怯えを振りほどくように、手荒に自分の服を脱いだ。
脱いだ服は地面に敷いて、その上へ優しく押し倒す。
「ん…」
海の荒事で引き締まった体を、まるで砂糖菓子を扱うようにそっと触れた。
ぴくっと小さな反応。それにわずかに驚く。まるで童貞みたいだ、と自嘲した。
もう一回気合を入れて、臆せず乳房に触れる。切なげな吐息。
「アレフ…こんな体、嫌?今は見えないでしょうけど、細かい傷跡がいっぱいあるのよ…」
「傷跡ぐらいなんでもないよ。…触れるのを躊躇うくらい、魅力に溢れてる」
口先じゃなくて、本心だ。ヒルダリアは恥ずかしいのか、それとも嬉しいのか、首に抱きついてきた。
触れるだけのキスをして、再開。
「ん…ふぅ、あッ。。。」
思い通りに形を変える乳房を揉み解せば、甘い声が響く。
自己主張を始めた頂点を舐めれば、高い声。
「きゃッ!ちょっと、アレフ…もう少し、ゆっく、り…」
少しずつ、少しずつ、酔っていく。考えが麻痺していく。
もっと、その声を聞きたい。もっと、酔いたい。

少し薄めの茂みをかきわけて、指は秘所へと向かった。小さな抵抗の声。
「そこは…っ!ンンっ!」
まだ、周りをなぞるだけ。それでも、大きな反応。
「でもさ、気持ちいいんでしょ?」
「わ、わかっているんでしょ?そ、そこは、ちょっと…ゃん!」
指先が少しぬるつく液体で湿ってきたのを感じて、芯に触れた。今までで一番大きな反応。
「ヒルダリア、我慢しなくていいよ。ここには俺と君だけ。感じるままに声を出してみなよ」
「で、でも…やああ!」
秘裂に中指と人差し指の二本を差し入れて、芯の裏側を優しくこする。
拒否するって言うんなら、拒否できなくなるまでやるだけさ。
「はっ、あッ!そんなの…いい…けど。。。や、やぁ…んん!」
腰がくねる。逃げたいのか、それとも迎え入れたいのか。
理性はもう吹き飛びかけていた。左手は乳房をまさぐり、口は乳頭を吸う。
そして右手の親指で芯を撫でたり、軽く弾いたりしながら、中に入れた指を激しく動かした。
「やあああ!ちょっと、ちょっとッ!少し、すこし…とめて…!!」
切迫した叫びに、一瞬理性が戻ってきた。
「どうしたの?」
「はあ、はぁ…このまま、いっちゃうのは嫌……どうせなら、あなたを感じたまま、いきたい」
(ああもう、可愛いなあ)
余りの可愛さに完全に理性が吹っ飛んだのを感じながら、愛撫を続ける腕を離した。
ヒルダリアの手を自分の手と絡ませて、怒張しきった一物を宛がう。
「いくよ?」
こくり、と頷いたのを確認して、腰を進める。
「あああああ…っ!!」
「くぅ…」
中はもうトロトロに蕩けきっていて、抵抗なく飲み込んだ。まずい、気持ちいい…。
ヒダヒダが優しく絡み付いてきて、蠢く。気合を入れていないと、すぐに達してしまいそうなくらいだ。
ぐちゅ、ずぷ…ちゅぷ…。
ほんの少しだけ動かした。粘着した水音。
ヒルダリアの体に覆いかぶさるようにして、ゆっくりと動かした。
「いい、わ…アレフ…っ」
少しでも長く楽しむように、ゆっくりと。
「キスしよ、ヒルダリア」
こっちを向いた顔に唇を落とす。絡めた手を離して、ヒルダリアの顔を抑えた。
ヒルダリアも、俺の首をきつく抱きしめる。距離を詰めるように…二人を融かすように。
「もっと、はげしく…お願い。もう、我慢できない…」
「…それじゃ、いくよ」
快楽を貪るためだけに、激しく動かす。獣のように。
「あっ!ああ。。。いい、い…ッ!!」
背中の奥から、ぞくぞくとしたものが這い上がってくる。
「アレフ!ちょうだい…、中に…なか、に…。あなたの、子供、ほし…いッ!」
「わ、かった!」
俺も覚悟を決めた。最後に向けて、思いっきり激しく動かす。高い声があがり続ける。
「あ、ああ…いい!イ…くぅ!」
「ぐっ!」
最奥まで打ち付けて、欲望を吐き出した。同時に、中が激しく蠢く。
精だけではなく、命まで奪われてしまうのではないか、というくらいの射精。
「あ…はあ。おなかの中、いっぱい…気持ちいい…あ。。。」
そこまで言って、ヒルダリアの体から力が抜けた。
「はあ、ふぅ…」
ヒルダリアの体を拭いて、服を着せる。腰が抜けそうになっていたけど、やっとの思いで…。
俺もなんとか服を着て、ヒルダリアを抱えて外に出た。満潮になると危ない。
草原に寝転んで、本物の夜空を見上げてみる。中天に煌々と照る月。
風は涼しくて、草は柔らかくて、眠りを誘った。まだ暑い時期。寝ていても大丈夫だろう。
ヒルダリアの穏やかな寝顔を見ながら眠るのも悪くない。

翌日、砦に帰ると、ヒルダリアはいつもの机に座って、また仕事を始めた。
それはいつものことなんだけど、変わった事が一つだけ。
「アレフ。この作戦について、どう思う?」
「そうだな。いい作戦だと思うけど、戦力がかなりギリギリだと思う。人員を増やしたほうがいい」
「わかったわ」
人に頼る。それってさ、良いことだと思うよ。
―――人は一人じゃないんだから。