留学生のしおり

2-5 ホストRCとの交流と準備

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ri2590shiori

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2-5    ホストRCとの交流と準備

 

 卓話は、帰国後に出身地区のロータリークラブで行うわけですが、留学中にも行うことが原則です。5 回が「ノルマ」になっていますが、これは受け入れロータリークラブによって対応がまちまちですので、これより多い場合も少ない場合もあると心得ねばなりません。いずれにしても、卓話に対して期待されるものも、オーディエンスの雰囲気や興味関心も、クラブによって全く異なりますので、内容やプレゼンテーションのスタイルにはある程度柔軟性をもたせて準備しておく方がよいでしょう。また、ロータリーの趣旨から言って、どんなに勉学が忙しくても、断るべき性質のものではありませんので、出発前に周到に準備するとともに、留学中は卓話のことを念頭に入れて勉強に取り組まねばなりません。受け入れクラブのロータリアンに早い時期に、卓話のスケジュールについて確認し、一応の目安を立てておくと心配もある程度薄れるでしょう。実際一学年間何の音沙汰もないと思ったら、学年末の試験で忙しい時期に、突然立て続けに5 回行うように言われた、などという話も聞きます。話す時間もクラブによってまちまちでしょうが、だいたい20 分位のものに対応できるようにしておけばよいでしょう。

 内容に関しては、「日本という国は、・・・」と抽象的にやっても、結局「日本」は伝わらず、退屈なものになってしまいがちですので、むしろ、自分の専門や家族、友人、仕事など、自分の具体的な経験をもとに話をする方が得策です。楽器演奏を専門になさっている方は、演奏をするのも一案ですし、また、先方からそのように求められることも多いようです。はじめはまず、なぜ、どういうきっかけで自分が今取り組んでいる分野を勉強するようになったか、また、何故それを勉強するのに遠路はるばる留学する必要があったのか、帰国後は経験をどう生かしたいのか、などといった内容がよいでしょう。また、滞在が進むにつれ、留学地で今現在どういう経験をしているか、驚いたこと、感心したことなどなどについて、天候、人々、慣習、なんでもよいので、なるべく「生き生き」と語りましょう。「がっかりしたこと」などは、あってもそれを直接述べるのではなく、あくまでも「違い」「驚き」というような言い方をしたほうがよいでしょう。もしも奨学金の金額が少なくて生活が苦しいようなら、「予想以上に物価が高くて困っている」などとさりげなく言っておくと、ひょっとするといいことがあるかもしれません・・・?

 原稿読み上げ式のスピーチは、あまり好まれません。しかし上述のようなスケジュール上の問題もありますし、出発前に少なくとも一種類の原稿を用意していく方が安心できるでしょう。特に受け入れ先の言語にあまり習熟していない場合には、その方がよいでしょう。ただ、実際の卓話の場面では、原稿にばかり目がいって、オーディエンスに全く視線を向けないなどということがないよう、原稿の内容は十分把握しておき、アイコンタクトを心がけましょう。一通り話し終われば、通常、質疑応答になります。質疑応答では、何を聞かれるかわかりませんから、恥ずかしくない程度に、自分の国や地域について、知識とその説明能力をもっておいた方がよいでしょう。とは言っても付け焼き刃の準備にも限界がありますから、まず、

1)スピーチの内容をできるだけ自分の得意な分野の具体的な話にして、質問内容をある程度誘導する
2)出発前に「日本を英文で紹介する本」などの類の本で、ある程度の知識と、説明の際に便利な表現などを仕入れておく

などの対策を取っておくとよいでしょう。最近は本屋のその手の本のコーナーに行けば数多く類書が出ていますし、英語以外の言語のものも増えています。ただ、本来的には、質問を受けることは、相手の興味関心のありかや、日本に対する見方や理解の程度を知る絶好の機会でもあるわけで、恐れずに積極的に対応すればよいのです。次回の卓話の参考にすることもできますし、受け身で聞く一方の卓話よりも、会話のやりとりがある方が好まれる場合も多いはずです。また、知らないことについては、率直に知らないと言えばよいわけです。それが現状なのであることを知らせることにも意義はあるわけですし、質問してくる人々も、自分たち自身の国のことについてそれほど知らないものです。そう考えれば、少なくとも「恥ずかしい」と感じたり、過度に「慌てたり」「困ったり」する必要はなくなります。

 原稿を準備しても、慣れない言葉での発表に不安を持っている方もいるでしょう。そんな方は「見せ物」を使うという手段があります。女性の場合には、依然として「キモノ」が評判になるところも多いようです(ただし、日本人はゴマンと来ていて、キモノはもうたくさん、というところがないとも限りません)。常套手段は、スライドです。この場合、「日本を紹介する」というよりも、奨学生自身の個性が現れるような、日常の一コマや、身の回り、近隣の風景、そして、出身ロータリークラブの活動風景や特徴が伝わるようなものの方がよいでしょう。季節的に限定されないためにも、なるべく早い時期からカメラを持って歩き回るべきです。自分の幼い頃など、昔の写真をスライドにしていくのもよいかもしれません。ただし、とかく素人の撮る写真は、他人にとってはひたすら退屈なものが多いものです。枚数は最小限に限定し、スライドによる「時間つぶし」は最低限にしましょう。取りあえず「フジヤマ、ゲイシャ」や「ソニー、ブレット・トレイン」の世界を紹介するスライドが欲しいという場合は、写真屋や観光客向けの土産物屋で、市販のものが手に入ります。地域の紹介のために、県や市で作っているところもありますので、問い合わせてみるといいかもしれません。最近はビデオを用意している自治体もあるようです。家庭用のデジタルカメラでの画像もよいですが、受け入れ先で映写する手段がなければ役に立ちませんので、事前に受け入れ先のロータリアンに確認する必要があります。映像もスライド同様、極力短く編集することが肝要です。

 

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