小麦畑の四季



秋のよんた藩国。それは一年で最も忙しく、それでいて楽しい季節である。
豊穣の大地に育まれ、たわわに実った作物達は、栄養も美味しさも豊富に湛え、今か今かと収穫のときを待つ。

すこし小高い丘に登って、景色を見渡してみて欲しい。そこには『黄金の海』と呼ばれる風に波打つ麦畑が見えるはずだ。

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今度は麦畑の反対側に目を向けてみよう。広く果樹園が広がっているのが見えるだろうか。苺のハウスの隣に、青々とした木々に紅く輝く果実が見えるだろう。

そう、林檎の果樹園だ。冬の厳しい寒さはりんごを甘く甘く育て上げ、ひとくち齧れば、りんご独特の酸味のある甘い香りと、じゅわりとした果汁が口いっぱいに広がる。

すこし目を凝らせば、背の低い木々が見えるだろう。それは洋ナシの木だ。モモの甘さとナシの爽やかさを併せ持つ、この「果物の女王」もこの季節、我々の舌を存分に楽しませてくれる。

さて、その奥には柿畑、そこから左へ目を向けば背中を丸めて葡萄を収穫する民達が見えるだろう。その姿からは、こればかりは手作業という彼等の拘りが見て取れる。

勿論、収穫された、果実や麦は調理加工され、私たちの味覚を大いに楽しませてくれるのである。

麦の刈り取りには勿論、ヤドカニオウが大活躍する。黄金の海を横列を組んでバリバリと刈り取っていくその姿は、「まるでうちの藩王だねぇ」と笑い声と共に、街雀達に囁かれている。

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刈り取られた麦の大部分は、その場で脱穀され、小麦粉となり主食であるパンになる日まで眠りにつくこととなるのである。

よんた藩国のパンはドイツ式を基調としており、たっぷりのバターとふわふわの食感、若干の塩味が効いており、そのまま食べても、サンドウィッチにしても美味しく頂ける。

余談であるが、この黄金の海の恵みと、新鮮な海の幸を贅沢に使用した「よんたU・D・O・N祭り!」が開催されるのもこの時期である。

うどん好きの貴方、コシの効いたぷりぷりの麺が好きな貴方。参加を是非お勧めしたい。


作物


●果樹園

この時期の果樹園を訪れた者は、森を満たす甘い香りに包まれる。

ビニールハウスを抜けた先。リンゴ園には「赤」というより「紅」と評すべき林檎が実り、ひとつひとつ丁寧に収穫されるのを今か今かと待っている。

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「1日林檎1つで医者要らず」 と言われるとおり、この林檎のお陰でよんた藩国の住人は極めて健康に日々を送っているのである。

すこし歩を進めると、「洋ナシ園」が見えるだろう。この美味なる女王はそれ故に傷に弱く、ひとつひとつが丁寧に紙に包まれ収穫のときを待っている。
食べるときには思い出して欲しい。この娘にどれだけの愛情がこもっているのかを。
そして、笑顔でカプリッと齧り付こう。嬉しい食感と甘さ、何より芳醇な香りの虜となること請け合いである。

さて、歩を進めて見えてくるのは柿の園である。
これは、勿論そのままたべても美味しいのだが、主に冬季の保存食として使用される。
この美味さの真髄は、冬の項でまた語るとしよう。

最後に忘れてはならないのが、葡萄畑である。
黄金の海と呼ばれる麦畑だが、それに負けず劣らない黄金がここにもある。
この時期、葡萄の畑は赤や黄色に紅葉し、黄金丘陵と呼ばれ目を楽しませてくれる。

葡萄の種類はピノ=ノワール=ア=ジュ=ブラン。そのまま食べても美味しい甘みの強い種類である。
だが、この葡萄の真髄は加工してこそにある。それは次の項で語るとしよう。


●蜂蜜

余談だが、この時期もうひとつ欠かせないものがある。
そう「蜂蜜」である。さまざまな果実の花から蜜蜂が分けて貰って来た、この黄金蜜はそれぞれの果実の系統別に分けられ、加工食品やパンの甘味として、またお土産物としても人気商品となっている。


●果樹加工品

収穫された果実の一部は加工場へと運ばれる。そこで果実たちは、洗浄され、カッティングされ、あるものはジャムへ。あるものは蜂蜜漬けへ。また、あるものはパイやコンポートへと姿を代え、街ではシナモンの香り燻らすあつあつのアップルパイが店頭に並び、甘いワインと蜂蜜でクタクタに煮られた洋ナシのコンポートが林檎アイスに添えられテーブルに並ぶ。

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新鮮なミルク。フレッシュな果実。黄金の麦。濃厚な蜂蜜。芳醇なワイン。そして香り付けのブランデー。

この時期、よんた藩国は甘味月と呼ばれるほどの、お菓子の王国となり世界中の甘味ファンで賑わうのである。


●食肉

冬に向け、畜産加工品の生産が本格化するのもこの時期である。
ウインナー・ハムは勿論、鮭やホッケなどの魚介類に至るまで、桜のチップで燻製にされ、年中美味しく頂けるようになっている。


●酒

収穫の恵みは、大人の飲み物。お酒へと姿を代える物もある。
麦は醗酵蒸留され熟成されたモルトとなり、体を温め、林檎、洋ナシ、柿はリキュールとなってお菓子の隠し味や、お酒の弱い人でも飲めるカクテルへと姿を変える。

そして、ピノ。ピノ=ノワール。この徹底管理された努力の結晶とも言える葡萄は、ワインとして、そしてブランデーとなりその真価を発揮する。
古い木を剪定し、霧と雨に気を配り、醗酵の神様の気分しだいで努力が泥水に帰す。
だからこそ、ワイン職人は命を削るような思いで、今日もワインを造るのである。

よんた藩国に来たら、気張らずにワインを飲んでみて欲しい。マスターに言えば、よく合う料理や、チーズを出してくれるだろう。

ただ、美味し過ぎるからと言って飲みすぎにはご注意。
お酒は人を幸せにする魔法の水である。飲みすぎてはいけない・・・と筆者自戒の念を込めてここに記する。
もちろん、お酒が飲めない人用に発泡ジュースとなるピノもあるので、お子さんも安心して飲んで頂きたい。


あとがき


この季節のよんた藩国、空気まで美味しい とは筆者の妄想やもしれないが、貴方の期待以上に目と舌を楽しませてくれるはずである。

是非一度、訪れてみて欲しい。

あなたの期待を裏切らないことは、保障しよう。

                        グルメハンターの手記より


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文章:槙昌福@よんた藩国
イラスト:小野青空@よんた藩国



                                                                                                    
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