海藻バイオエタノールプラント―新生アポロ&ポセイドン構想

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海藻で日本中のエネルギーがまかなえる。

そんな新生アポロ&ポセイドン構想と呼ばれている計画が進められている。
日本の広大な領海上で海藻を養殖し、洋上にバイオエタノール精製プラントを作り、海藻から年間2,025万トンのバイオエタノールを作るという計画だ。日本で1年に消費するガソリンが約6000万トン。これはその3分の1にあたる量ということになる。

これが発展すれば、日本がエネルギー大国になることが出来るという目覚ましい計画だ。

 

原料として考えられている海藻はホンダワラという海藻で、古くから製塩に使われ、日本近海に多く自生している。昆布やアオサでも技術的には可能となっており、これらの海藻は主成分はセルロースで、多糖類が30~40%ほど含まれているので、海藻を発酵させてアルコールを取り出し、バイオエタノールに精製出来る。
ホンダワラからバイオエタノールを作ることはコスト的に見て一番良く、他のものは食用であるために価格上昇による混乱があることが予想されるため、エネルギー転化には向かないとされている。

現在バイオエタノールの原料となっているトウモロコシやサトウキビが世界的な食糧の価格高騰を招いていることは、貧困層にいる人々の生活の糧を奪って大きな混乱を巻き起こしている。
そもそも食べる分しか作ってこなかった耕地の作物をエネルギーに転用することは、増える人口の分や持たぬ人の食べ物を奪うことになる。その上、コストを下げる為に大量の遺伝子組替え穀物が栽培され、それが食卓にも上る現状を招いている。

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海藻がバイオエタノールの原料になれば、耕地を潰すことがないので、上記の悪影響が無くなる。
その上コストにおいても大きく下げることが出来る。海藻全体がそのまま原料になるため、実を選別する作業が無いため生産効率が良く、原油価格と同等の価格にすることが出来るという。

ロシア近海でも昆布が大量に取れるが、ロシアでは昆布を食べる習慣が無く、航路を塞ぐゴミとして棄てられているので、こうした海藻が燃料になると判れば、日本よりロシアでこそ早く進むプロジェクトかもしれない。

この海藻バイオエタノール、海を持つ国ならばすべての国で生産が可能で、エネルギー枯渇の心配の無い新エネルギーを得られ、実にさまざまな問題を解決することがもう既に可能とされる技術である。

ただ、バイオエタノールの精製過程では、発酵の温度を保つための燃料が必要で、生産の過程でかなり多くのCo2を排出する。生産の為の熱量を太陽エネルギー等、自然エネルギーを使用するプラントにすることで、生み出されるエネルギーは完全なカーボンフリーとなり、そうすることでこのプロジェクトは真のエコプロジェクトともなるだろう。

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