「明王」(2008/08/16 (土) 11:44:21) の最新版変更点
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&sizex(6){&bold(){明王(五大明王)}}
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ほか
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&sizex(5){&color(red){概略}}
&bold(){明王}(みょうおう)は仏を信じない民衆を力をもって導く慈悲の怒りに満ちた仏で、人間界と仏の世界を隔てる天界の中の、火生三昧という炎の世界に住むという。[[密教]]から仏教に導入されたため、前身は古代インドにおけるヒンズー教の神々に見ることができる。&bold(){五大明王}(ごだいみょうおう)は、数多い明王の中でも中心的役割を担う五尊の明王のことで、&bold(){不動明王}・&bold(){降三世明王}・&bold(){軍荼利明王}・&bold(){大威徳明王}・&bold(){金剛夜叉明王}を指す。
&sizex(5){&color(red){名称}}
不動明王が火生三昧の中心に位置し、東を降三世明王、南を軍荼利明王、西を大威徳明王、北を金剛夜叉明王の四尊が守護する。この編成は[[真言宗]]に伝承される[[密教]](東密)のものであり、[[天台宗]]に伝承される[[密教]](台密)においては金剛夜叉明王の代わりに&bold(){烏枢沙摩明王}(うずさまみょうおう)が五大明王の一尊として数えられる。その他明王には、&bold(){孔雀明王}、&bold(){大元帥明王}、&bold(){無能勝明王}、&bold(){歩擲明王}(ぶちゃくみょうおう)などがある。ただし彫刻の作例が残っている明王は限定され、不動明王像だけに極端な偏りをみせる。また江戸時代には目黒・目白・目青(麻布谷町・観行寺)・目黄(三ノ輪・永久寺)・目赤(駒込・南谷寺)の五不動信仰が流行し、いまもって不動信仰は続いている。
&sizex(5){&color(red){像容}}
***不動明王
五大明王の中心で、[[大日如来]]の教令輪身として[[真言>真言宗]]行者守護の役割を担っている。火を観想して動じないというところからこの名がおこったと思われる。一面二臂で憤怒の形相、莎髻(しゃけい)とよぶ花形の髻か蓮華を頭に抱き、怒りによって逆巻く髪を辮髪にまとめ上げ、法具は極力付けず軽装で、法衣は片袖を破って結んでいる。右手には降魔の三鈷剣を、左手に羂索(けんじゃく=悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を救い上げるための投げ縄のようなもの)を握りしめ、背に迦楼羅焔(かるらえん=伝説の火の鳥「迦楼羅」の形をした炎)を背負う。粗岩の上に座して「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意する姿が一般的である。のちには天地眼(右眼を見開き左眼をすがめる、或いは右眼で天、左眼で地を睨む)、牙上下出(右の牙を上方、左の牙を下方に向けて出す)という、左右非対称の姿の像が増えるようになる。また日本では坐像の他、立像も数多く存在し、多臂像などの異形もある。また不動明王は眷属に八大童子をもつが、特に矜羯羅(こんがら)・制多迦(せいたか)の二童子を従えた不動三尊像は多くみられる。向かって右に矜羯羅、向かって左に制多迦を配置するのが普通で、矜羯羅童子は童顔で、合掌して一心に不動明王を見上げる姿に表わされるものが多く、制多迦童子は対照的に金剛杵(こんごうしょ)と金剛棒を手にし、いたずら小僧のように表現されたものが多い。
***降三世明王
[[大日如来]]がヒンズー教の最高神シヴァの改宗を求めて、配下の降三世明王を派遣し([[大日如来]]自らが降三世明王に変化して出向いたとも)、シヴァと妻の烏摩(うま)を降伏させて仏教へと改宗させた。「三つの世界を収めたシヴァを下した明王」という意味である説と、世の中の煩悩のもとになる三毒(貪=貪欲、瞋=怒り、痴=迷い)を聖なる炎で焼き尽くし、仏の教えを信じない民衆を何としても救わんとする慈悲の怒りを以て目覚めさせようとするので「三毒(=三世)を消滅させる明王」という説がある。青い身体に三面四臂の姿で、左右第一手を胸前で交差させ、小指を絡ませる降三世印を結ぶ。足元には、シヴァ神である大自在天と妃の烏摩とを踏む。
***軍荼利明王
軍荼利は不死を意味し、強い力で外敵を除く明王である。また歓喜天を支配するともされる。全身青色で一面三眼八臂の姿が多く、左右第一手は親指と小指以外の指をのばし胸前で交差させる大瞋印(だいしんいん、または跋折羅印とも)を結び、人間の執念を意味する赤い蛇が巻き付く特徴を持つ。蛇には両極端の説があり、古代インドにおける神聖な動物である蛇(神の力の象徴)を巻き付けることで超能力を持つ神であることを表現するというものと、煩悩と執着の象徴である蛇を一身に引き受け、退治する姿を表現するというもの。
***大威徳明王
すぐれた威徳をもつ明王で、[[阿弥陀如来]]の忿怒形とも文殊菩薩の化身ともいう。全身青黒色で、六面六臂六足で神の使いである水牛にまたがるので六足尊ともいわれる。左右第一手を胸前で合掌し、人指し指を合わせる印を結ぶことが多い。六つの顔は六道(地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天上界)をくまなく見渡す役目を表現したもので、六つの腕は矛や長剣等の武器を把持して法を守護し、六本の足は六波羅蜜(布施、自戒、忍辱、精進、禅定、智慧)を怠らず歩み続ける決意を表しているといわれる。
***金剛夜叉明王
古代インド神話においては、人を襲っては喰らう恐るべき魔神(夜叉)であり人々の畏怖の対象であったが、後に[[大日如来]]の威徳によって善に目覚め、明王の一角を占める仏となった。三面六臂の姿で、正面の顔は眼が五つもある特徴ある相をしている。六本の手には名前の由来である金剛杵(煩悩を砕く堅固な武器)や弓矢や長剣、金剛鈴などを把持して構えている姿が一般的。「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」という解釈から、敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として広く武人たちに信仰された。
&sizex(5){&color(red){日本における代表的な明王像}}
***平安時代
[[教王護国寺>東寺]]([[東寺]])講堂五大明王王像 国宝
[[教王護国寺>東寺]]([[東寺]])大師堂不動明王坐像 国宝
[[醍醐寺]]霊宝館五大明王像 重要文化財
[[大覚寺]]五大明王像 重要文化財 円明作
[[仁和寺]]霊明殿愛染明王像 重要文化財
[[広隆寺]]不動明王像 重要文化財
奈良・不退寺五大明王像 重要文化財
滋賀・石馬寺大威徳明王像 重要文化財
福井・明通寺降三世明王像 重要文化財
大分・臼杵磨崖仏不動明王像 国宝
***鎌倉時代以降
[[浄瑠璃寺]]不動明王及び二童子像 重要文化財
大阪・観心寺金堂愛染明王像 重要文化財
奈良・宝山寺五大明王像 重要文化財 湛海作
奈良・西大寺愛染堂愛染明王像 重要文化財 善円作
滋賀・延暦寺国宝殿五大明王像 重要文化財
滋賀・金剛輪寺不動明王坐像 重要文化財
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&sizex(5){&color(red){概略}}
&bold(){明王}(みょうおう)は仏を信じない民衆を力をもって導く慈悲の怒りに満ちた仏で、人間界と仏の世界を隔てる天界の中の、火生三昧という炎の世界に住むという。[[密教]]から仏教に導入されたため、前身は古代インドにおけるヒンズー教の神々に見ることができる。&bold(){五大明王}(ごだいみょうおう)は、数多い明王の中でも中心的役割を担う五尊の明王のことで、&bold(){不動明王}・&bold(){降三世明王}・&bold(){軍荼利明王}・&bold(){大威徳明王}・&bold(){金剛夜叉明王}を指す。
&sizex(5){&color(red){名称}}
不動明王が火生三昧の中心に位置し、東を降三世明王、南を軍荼利明王、西を大威徳明王、北を金剛夜叉明王の四尊が守護する。この編成は[[真言宗]]に伝承される[[密教]](東密)のものであり、[[天台宗]]に伝承される[[密教]](台密)においては金剛夜叉明王の代わりに&bold(){烏枢沙摩明王}(うずさまみょうおう)が五大明王の一尊として数えられる。その他明王には、&bold(){孔雀明王}、&bold(){大元帥明王}、&bold(){無能勝明王}、&bold(){歩擲明王}(ぶちゃくみょうおう)などがある。ただし彫刻の作例が残っている明王は限定され、不動明王像だけに極端な偏りをみせる。また江戸時代には目黒・目白・目青(麻布谷町・観行寺)・目黄(三ノ輪・永久寺)・目赤(駒込・南谷寺)の五不動信仰が流行し、いまもって不動信仰は続いている。
&sizex(5){&color(red){像容}}
***不動明王
五大明王の中心で、[[大日如来]]の教令輪身として[[真言>真言宗]]行者守護の役割を担っている。火を観想して動じないというところからこの名がおこったと思われる。一面二臂で憤怒の形相、莎髻(しゃけい)とよぶ花形の髻か蓮華を頭に抱き、怒りによって逆巻く髪を辮髪にまとめ上げ、法具は極力付けず軽装で、法衣は片袖を破って結んでいる。右手には降魔の三鈷剣を、左手に羂索(けんじゃく=悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を救い上げるための投げ縄のようなもの)を握りしめ、背に迦楼羅焔(かるらえん=伝説の火の鳥「迦楼羅」の形をした炎)を背負う。粗岩の上に座して「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意する姿が一般的である。のちには天地眼(右眼を見開き左眼をすがめる、或いは右眼で天、左眼で地を睨む)、牙上下出(右の牙を上方、左の牙を下方に向けて出す)という、左右非対称の姿の像が増えるようになる。また日本では坐像の他、立像も数多く存在し、多臂像などの異形もある。また不動明王は眷属に八大童子をもつが、特に矜羯羅(こんがら)・制多迦(せいたか)の二童子を従えた不動三尊像は多くみられる。向かって右に矜羯羅、向かって左に制多迦を配置するのが普通で、矜羯羅童子は童顔で、合掌して一心に不動明王を見上げる姿に表わされるものが多く、制多迦童子は対照的に金剛杵(こんごうしょ)と金剛棒を手にし、いたずら小僧のように表現されたものが多い。
***降三世明王
[[大日如来]]がヒンズー教の最高神シヴァの改宗を求めて、配下の降三世明王を派遣し([[大日如来]]自らが降三世明王に変化して出向いたとも)、シヴァと妻の烏摩(うま)を降伏させて仏教へと改宗させた。「三つの世界を収めたシヴァを下した明王」という意味である説と、世の中の煩悩のもとになる三毒(貪=貪欲、瞋=怒り、痴=迷い)を聖なる炎で焼き尽くし、仏の教えを信じない民衆を何としても救わんとする慈悲の怒りを以て目覚めさせようとするので「三毒(=三世)を消滅させる明王」という説がある。青い身体に三面四臂の姿で、左右第一手を胸前で交差させ、小指を絡ませる降三世印を結ぶ。足元には、シヴァ神である大自在天と妃の烏摩とを踏む。
***軍荼利明王
軍荼利は不死を意味し、強い力で外敵を除く明王である。また歓喜天を支配するともされる。全身青色で一面三眼八臂の姿が多く、左右第一手は親指と小指以外の指をのばし胸前で交差させる大瞋印(だいしんいん、または跋折羅印とも)を結び、人間の執念を意味する赤い蛇が巻き付く特徴を持つ。蛇には両極端の説があり、古代インドにおける神聖な動物である蛇(神の力の象徴)を巻き付けることで超能力を持つ神であることを表現するというものと、煩悩と執着の象徴である蛇を一身に引き受け、退治する姿を表現するというもの。
***大威徳明王
すぐれた威徳をもつ明王で、[[阿弥陀如来]]の忿怒形とも文殊菩薩の化身ともいう。全身青黒色で、六面六臂六足で神の使いである水牛にまたがるので六足尊ともいわれる。左右第一手を胸前で合掌し、人指し指を合わせる印を結ぶことが多い。六つの顔は六道(地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天上界)をくまなく見渡す役目を表現したもので、六つの腕は矛や長剣等の武器を把持して法を守護し、六本の足は六波羅蜜(布施、自戒、忍辱、精進、禅定、智慧)を怠らず歩み続ける決意を表しているといわれる。
***金剛夜叉明王
古代インド神話においては、人を襲っては喰らう恐るべき魔神(夜叉)であり人々の畏怖の対象であったが、後に[[大日如来]]の威徳によって善に目覚め、明王の一角を占める仏となった。三面六臂の姿で、正面の顔は眼が五つもある特徴ある相をしている。六本の手には名前の由来である金剛杵(煩悩を砕く堅固な武器)や弓矢や長剣、金剛鈴などを把持して構えている姿が一般的。「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」という解釈から、敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として広く武人たちに信仰された。
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***平安時代
[[教王護国寺>東寺]]([[東寺]])講堂五大明王王像 国宝
[[教王護国寺>東寺]]([[東寺]])大師堂不動明王坐像 国宝
[[醍醐寺]]霊宝館五大明王像 重要文化財
[[大覚寺]]五大明王像 重要文化財 円明作
[[仁和寺]]霊明殿愛染明王像 重要文化財
[[広隆寺]]不動明王像 重要文化財
奈良・不退寺五大明王像 重要文化財
滋賀・石馬寺大威徳明王像 重要文化財
福井・明通寺降三世明王像 重要文化財
大分・臼杵磨崖仏不動明王像 国宝
***鎌倉時代以降
[[浄瑠璃寺]]不動明王及び二童子像 重要文化財
大阪・観心寺金堂愛染明王像 重要文化財
奈良・宝山寺五大明王像 重要文化財 湛海作
奈良・西大寺愛染堂愛染明王像 重要文化財 善円作
滋賀・延暦寺国宝殿五大明王像 重要文化財
滋賀・金剛輪寺不動明王坐像 重要文化財
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