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第2部


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139 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 17:57:54.25 ID:KShwnxl10
「いい?アンタは私が召喚した使い魔で、私がご主人様なのよ?」

「使い・・・・?初めて聴く言葉だ。」

「とにかく、まだ契約してないんだから・・・・その
 『コントラクト・サーヴァント』をするのよ」

――― 従者契約だと?
ますますをもって意味がわからない。
いったい何の従者契約なのか、それ以前に目の前の少女が信仰する
宗教はいったいどのような形態なのか。
以前、クルツに聞かされたことがある。
宗教において、契約という言葉を用い、肉体の一部を切り取ったり、
身体に刻印や焼印などの印を付けるものなど・・・・
さらには性行為に及ぶものまであると調子付いたところで、マオの
制裁が入り中断されたのだが。

「おい、待て!いったいその契約とは…」
「いいから!早く済ませないとコルベール先生に注意されちゃうの!!

 ――――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

少女の淡い桜色の唇が近づいてくる。
いったいなんなんだこれは俺が何をしたというそうだ千鳥千鳥はどこだ
彼女がいればきっとハリセンでこの空気を変えて俺に正しい現状を怒鳴りながら
説明してくれるに違いないあぁそうだ俺を助けてくれ大佐殿!少佐ぁ!

141 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 17:58:34.61 ID:KShwnxl10
「いや待て」
わしっ、と少女の両肩を抑えて静止する。
いかんパニック状態に陥ってしまった。大佐殿がセーフハウスに泊まりに
きた時のような嫌な汗が流れている。

「ちょっ…!!なんで止めんのよ!? 貴族である私が色々我慢して
 契約を結んであげようとしてるのにっ!!」

両肩をつかまれたままわめき散らす少女。顔面に紅潮が見られる。
興奮剤?アップ系の麻薬の摂取が疑われる。
とっさにそう判断し、僅かな逡巡と同時に少女をベットに組み伏せる。

「え…ひゃぅ!?」

ぼすっ

「やはりまともな宗教ではなかったようだな・・・・
 いったい俺にどのような薬物を投与する気だ」

「薬物?何の話よっ!
 私はただっ…アンタと契約をっ!
 なっ、な…何なのよアンタ!
 ねぇ離しなさいよ!! 私は貴族なのよ!?」

143 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 17:59:13.67 ID:KShwnxl10
心の中で小さく舌打ちをした。少女の涙の混じり始めた声に顔をしかめ
そうになりながらも、確信した
完全に洗脳されきっている
恐らく出生からずっと異常空間での洗脳教育がなされていたのだろう。
これは……脱出は難しいかもしれんな。
こういた洗脳教育を施せる異常空間、そして先刻僅かながら確認した
この施設の規模…
まずい。と、そう直感した。

「君には同情してもいい。
 だがそれとこれとは話が別だ。
 俺を元の場所へ返せ。これは警告だ。
 先ほどそうしたように、シラをきる度に君の…指……」

「うぅ…えっく……ぁ…ぅ」

「……」

嗚咽が漏れている。天蓋付きの、周囲の装調と同じくやけに豪華なベット
に組み伏せた、桃色がかった金髪の、少女が泣いているのだ。

144 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:00:07.00 ID:KShwnxl10
「なんあのよ…… ひっく
 私…… 私が何したっていうの…よぉ
 いつも、いっつも失敗ばっかりで…
 それでも今度こそはっ、って…えぐ
 そう思って挑戦した…サモン・サーヴァント……
 どんな使い魔なの、かな……って 
 ドキドキしてたのに… 

 なんでアンタみたいなのが召喚され…て

 なんで私がこんな目に……なっ、なんで…
 うわぁぁぁぁんっ」

組み伏せた腕を放した。
少女はベットにうずくまって、泣きじゃくっていた。
そしてようやく確信した。
少なくとも、この少女が悪いのではない、ということを。

◇◇◇




173 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:23:22.16 ID:KShwnxl10
◇◇◇

「――――わかった。俺のできる限りの協力をしよう」

「ひっく…ぅ……… ふぇ?」
泣きはらした顔で少女―――ルイズといったか。
ベットの上で上半身を起こしたルイズが反応する。

「協力する、と言った。
 先ほどの謝罪もこめてな。」

「……ホント?」
疑心の眼でこちらを見るルイズ。組み伏せたり脅したりしたのが
トラウマになっているようだ。

「あぁ。本当だ。

 ただし条件がある。
 この条件が破られない限り、俺は君に従おう」

「……い、言ってみなさいよ」
ルイズは身をこわばらせた。シーツの端を強く握り締めている。
少しずつ目には活力が戻ってきているようにも見えた。

178 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:24:25.13 ID:KShwnxl10
「1つ、君は俺がもとの場所へ戻れるように尽力すること。
 1つ、『この世界』の常識、法則、そして俺が疑問としたこと全てに回答すること。
 1つ、寝床と食料の確保、以上の3つだ」
ルイズが話しやすいように『この世界』という単語を使ってみたが、
最低限この条件が満たされれば、あとはこちらで勝手に脱走し帰るだけだ。
そしてこの条件は「俺の疑問に答える」ということによって安全性を高めることにもなる。
さらに言うならばさして無謀な条件ではあるまい。

「アンタが言う『元の場所』っていうのがどこかはわからないけど…
 ゴハンと寝る場所ぐらいは用意してあげる…

 それと、説明もする。
 だから、アンタは私に…もうあぁいうことはしないで」
少しずつだが、確かに気力が戻りつつあるようだ。
シーツで身を守りながらも―――決して守れてるわけではないのだが、
精神的な防御だろう―――こちらを真っ直ぐ見つめ返してくる。

180 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:24:57.57 ID:KShwnxl10
「いいだろう。お互いの条件はそろった。

 それでは、説明してもらおう。
 『コントラクト・サーヴァント』だったか?
 具体的に、何をするのかを説明してもらおう」
今後を円滑に進めるためにも、ルイズがやろうとしていたことに話をもどし、
こちらの条件どおり説明ができるかを訊ねてみる。

「それは…だから……
 アンタは使い魔として、この私に召喚されたの。
 だから使い魔として私と契約を交わして……
 キ…きっ……」
顔をぐしぐしと拭ってから、ルイズは気丈な雰囲気を取り戻し話し始める。
だが専門的な用語が多く理解に苦しむ内容だ。
確か陣代高校では男子生徒が、同じような単語を使っていた気がするのだが…
プログラムの話か?生憎だがソフトウェアには精通してるとは言いがたい。
AS用の動作プログラムが限界であり、その制作となれば…

181 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:25:21.70 ID:KShwnxl10
「き、…き……」

「よくわからんな、もっと具体的に言ってくれ」
少女の顔がみるみる赤面していく。
先ほどは薬物の反応かとも思ったが、おそらくこれは地のものだな。
千鳥や大佐殿もよくこういった現象に陥る。マオはあまりないが。
恐らく10代の女性だけがこういた現象をひきおこす体質なのだろう。

 ・ ・ ・
「具体的に何をすればいいかを言ってくれないのなら…」
「あぁもうわかったわよ!!キス!!キースーッ!!
 呪文を唱えた後に、私とキスをすればいいのよーー!!」
ルイズが両手をバンザイのように上げながら、半ば絶叫するように、
…いや真実絶叫した。

「きす……
 あぁ、人工呼吸だな。唇を合わせればいいのだろう?」

「いやジンコーコキューとかは知らないけど…
 それ、で……唇を合わせるだけよ」

「……薬物は?」

「使わない!!」

182 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:25:46.83 ID:KShwnxl10
意味がわからない。
つまりルイズはこう言っている。
呪文を唱えた後に唇を合わせれば、契約は完了だ。
―――これではまるで、おとぎ話ではないか。
イソップやグリムに影響されているのか…
いやそもそも宗教の存在すら怪しくなってきた。
俺はルイズにからかわれているだけなのか?

「じゃ、じゃあ…詠唱始めるから、そこで黙ってなさいよ?

 ――――わ、我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

しかし俺ひとりを完全に拉致しきった事、
何よりその一部始終を完全に知覚できなかった手際を考えると、
それこと拉致誘拐などに長けた特殊工作部隊の存在を疑わざるを得ない。
そもそも宗教集団には、教祖を守るための私設部隊の存在がほぼセットであり、
そして何より―――

「こっち向きなさい」
「なん…っ」
志向に集中していたため、振り向いた瞬間にとっさの反応が遅れた。
ルイズの淡い唇が俺の唇と重ねられる。

184 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:26:32.16 ID:KShwnxl10


やわらかい感触を感じ、目前に広がる桃色がかった金髪と千鳥の幻影。あと大佐殿がなぜか泣いている幻影。
そして思い出す

―――あぁ、人工呼吸だな。唇を合わせればいいのだろう?

息を吹き込んだ。 


◇◇◇




207 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:52:27.69 ID:KShwnxl10
「――――っ!? けほっ けほっ…!」

「む、どうした?大丈夫か?」

ありえないありえないありえない!!
ここっ、このバカイキナリ空気を吹き込んできたっ!!
しかもすぐに離れたから無事だったけど、
なんか手が鼻と顎のあたりに伸びてきていた!
実際顎はすこし押し上げられて上を向かされるトコまではやられたのだ。
このケダモノはあろうことかこの貴族であり高貴な私に、
きっ、きき…キスまでさせておきながら『その先』まで進もうとしたのだ!!
あそこで身をかがめて咳き込んでいなければ、きっと今頃はそれこそもう
口にするどころか想像すら出来ないような汚らわしい真似をされていたに違いない。
絶対にそうだ。そういえばさっき押し倒されたときもなんか手つきがいやらしかったし、
こいつもの目もなんか絶対に危ない。ケダモノのギラギラした肉欲獣の眼だ。
たまにギーシュがあんな目をしてる気がする。……私にじゃないけど。

「あっ、あああ…アンタは……っ!
 なななっ、何をしてっ!!」

208 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:53:26.58 ID:KShwnxl10
「言われたとおりにしたまでだ」

した!?『舌まで』!?
ああああやっぱりこいつはケダモノだったんだ。私の予想は1ミリも外れてなかった!
なんでわたしにばっかりこんな不幸が襲ってくるのよ!?
それに契約も交わしちゃったし……っていうことは、
これからコイツと!この発情狼と一緒に過ごさなくちゃいけないわけ!?
いやああああっ!!

「っ!?
 なっ、……これ、は……!!熱い!?
 おい、ルイズ!やはり薬物か!
 話せ!何をした!
 いや解毒剤を……!!」

またギラギラした眼でこっちを見てくる。もう襲おうとしてるようにしか見えない。
でもそう考えると少し恐怖が薄れた。コイツは頭の良い強い敵じゃなくて、
ただの発情したバカ犬なのだ。
それにさっき私の魔法で……動けなくする魔法が爆発しちゃったけど、
まぁ結局止められたし……

209 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:53:53.15 ID:KShwnxl10
「すぐ終わるわよ。待ってなさい。
 使い魔のルーンが刻まれるだけだから」

ルーンを刻む、まで言ったところでコイツは急に顔が青ざめて私から距離をとったけど、
すぐに苦しむのをやめて、まじまじと自分の身体を確認し始めた。
これでアイツの身体のどこかに私の使い魔の証―――ルーンが刻まれた。

さて、これから使い魔らしく躾けなくちゃいけないわね。

「左手、見てみなさい」

「左手…?
 ……これは……、さっきまではこんなものは無かったはずだが」

「それが使い魔のルーン。私の使い魔である証よ。
 これで『コントラクト・サーヴァント』契約は終了したわ」

一応左手の甲を確認してみる。ルーンの文字が浮かんでいる。成功だ。
左手に触れた瞬間ビクっとしていたが何なんだろう?

「これでアンタは正式に私の使い魔よ。私がご主人様。
 ―――そうね、アンタの名前は?」

211 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 18:54:45.53 ID:KShwnxl10
「前に言ったが……
 ソウスキー・セガール。もしくはサガラソウスケだ。」
ソウスキー・セガール…サガラ ソウスケ……
よくわからない。初めて聞く感じの名前だ。

「それで?私はどう呼べばいい?」
「仲間からはソースケ、やサガラと呼ばれている」

「そう。ならソースケね。
 改めて言うわ。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラヴァリエール。
 ご主人様かマスターって呼びなさい。」

「…………なぜだ?」

さぁて、このバカ犬をこらしめて立場っていうものをわきまえさせないと。
そもそも平民の分際でこの私に暴力を振るったり泣かせたりした罰をあたえなくちゃいけないもの。

貴族たるもの、自分の使い魔は自分で躾けなくちゃね。
がんばろう。

それに、コイツの言ってる『元の場所』とか、コイツに何ができるのか、とか
色々知らなくちゃいけないし。
何よりこの肉欲獣バカソースケから自分の身を守ろう。
と、そう誓ったのだ。

◇◇◇






229 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:32:43.19 ID:KShwnxl10
「―――なに?
 呼び出すことは出来ても、戻すことはできないということか?」

「そうよ。
 召喚の魔法『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。
 使い魔を元の場所に戻す魔法なんて存在しないのよ」

ご主人様―――ルイズと話していてわかったことがある。
とかく、この世界には近代的な技術、電化、兵器が一切存在せず、
全てを魔法と自然によって行っているということである。
はっきり言って洗脳教育と考えるのが普通だが、
その話をしている最中に、ルイズが窓の外を見てみろと言ったので従ってみたが、
あろうことか日本のアニメにでも出てくるような青い龍が空を飛び、
魔法使い然としたローブ姿の少年や少女が階下を歩き回り、
極めつけと言わんばかりにその中の一人が空を飛び始めたのである。

信じる信じないの問題ではない。
これは紛れもない現実で。


恐らく俺はそういった秘術を研究する隠れ里のようなところに拉致されたのだ。


月はいったいどういう仕組みなのだろうか?

231 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:33:08.80 ID:KShwnxl10
もう一度使って、一応なりとも試してみてはくれないか?」
「無理よ」
「なぜだ」

「サモン・サーヴァントをもう一度使うにはね…

 契約した使い魔が死なないといけないの」
「……なんだと」
「死んでみる?」
遠慮する。つまり契約用に呼び出して(拉致して)、契約を結び従者にはするが、
その自由は保障しないというのか……
ジュネーブ条約は……いやむしろ陸戦規定に反して……無駄か。

「これは、お前の使い魔である証印だと言ったな」
左手の甲を見つめる。そこには皮膚の色が少し変わって、文字が浮かび上がっている。
見たことのない文字だ。古代文字か?生憎そういった分野には精通しておらず、
歴史の授業で習ったのは戦国時代とヨーロッパの革命ばかりだった。

「そうよ。それが使い魔のしるし」

「俺が帰るには、お前の協力が必要だとも言ったな」

「えぇ。呼び出したのは私だし、それに使い魔の契約もあるしね。
 だから私はアンタを帰して新しくてすばらしい使い魔と契約するためにも、
 アンタを元の場所に帰す方法を調べてみるわ」

232 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:33:34.47 ID:KShwnxl10
こちらの条件は飲んでいる。そして、周囲にまったく面識がなく、
今携帯しているものはナイフが数点にサバイバルキットが少し、
食料はカロリーメイトが少量と、銃が2丁。弾薬も限りがある。
金銭に至っては少量かつ日本円だ。銀行でもあればいいのだが……
この未知の地域での活動には協力をあおぐのが一番だろう。

「……わかった。先程の条件の上で、俺はお前の使い魔になろう」

「なによそれ」

「…なんだ、不満か?」

「口にきき方がなってないわ。
 『なんなりとお申し付けください、ご主人様』
 でしょう?」

「……。
 なんなりとお申し付けを。ご主人様」

「そうそう。それでいいのよ」
口調など構うまい。俺が得たいのは帰還のための協力だ。
対等であるに越したことはないが、このさい主従であろうと、
こちらの要求さえ呑んでくれればそれでいい。

233 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 19:33:58.78 ID:KShwnxl10
「ところで、使い魔は何をすればいいのだ?」
従者…俺に出来るのは身辺警護ぐらいのものだが、

「まず、使い魔はご主人様の眼となり耳となるのよ」
諜報活動か?多少…いや俺もSRTの要員だ。一般兵以上の成果は出せるだろうが。
「でもソースケには無理みたいね。
 本当は使い魔が見たものを主人も見ることができるハズなんだけど…
 さっきから何も見えないもの」

「よくわからんがそうなのか」

「そして、魔法薬の調合に必要なものとか、主人の必要なものを変わりに見つけてくること」
重要機密の奪取?久しくやっていない任務だが、さして困難なことではないな。
「あぁ、それなら可能だろう」
「そうなの?でもアンタ秘薬の触媒とかわかるの?
 硫黄とか、コケとか…」
「……専門外だ」
物資の搬入や運搬といっても、俺はその護衛や先導が主だった。
なによりなんだ硫黄やコケとは?何に使うんだ。

「そして、これが一番大事なんだけど
 使い魔は主人を守る存在であるのよ!その能力で主人を敵から守るのが一番の役目!
 でも、アンタ能力とかあるの…?」

「まかせろ、俺は要人護衛に関しては専門家(スペシャリスト)だ。
 要人の周囲の環境に溶け込み、誰にも気付かれずに驚異を殲滅する。
 ここしばらくはずっとそれをやってきた」

234 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:35:33.31 ID:KShwnxl10
「なら大丈夫そうね。……って言っても人間だしなぁ…
 強い幻獣に襲われたらひとたまりもないだろうし…」

「問題ない」

そうだ、俺は俺の仕事をすればいいと言うのなら、たとえ呼び名が使い魔であろうと
専門家(スペシャリスト)だ。

「…それなら、あとは、洗濯・掃除・その他雑用ね。」


「なに?」



◇◇◇





249 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:58:42.99 ID:KShwnxl10
◇◇◇

「さてと、しゃべってたら眠たくなってきちゃったわ…」
小さくあくびをして、片手を伸ばして伸びをした。

「俺はどこで寝ればいい?」
ソースケが聞いてくる。
そっか寝床も用意するとか言っちゃったっけ
でも平民だし使い魔だし肉欲獣だし犬っぽいし……

「ん」
部屋のスミのほうの床を指差す。

「床か?」
「そうよベットはひとつしかないんだから」
一瞬シュンとしたように見えたが、むっつりと黙った顔はそのままだから、
きっと気のせいだろう。それになんか身体硬そうだし大丈夫なはず。

250 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:59:12.50 ID:KShwnxl10
さて、寝ようかな
「ベットの下……」

「へ?……今なんて言ったの?」

「あそこでは無防備すぎる。とっさの襲撃時に生存確率を上げるためにも、
 俺はベットの下で睡眠をとりたいんだが…」

この下?と指差すと、肯定だと頷く。



「あっ、あああアンタッ…!!
 ベットの下にもぐりこんで何しようってのよ!!」
「無論、睡眠をとる。体調を整えることも必要だ」
「だからって、そんなっ…
 ベットの下って、私のすぐ真下で寝るって事でしょ!?」
そんなの落ち着いて寝られるわけないじゃないの!
ああもうバカバカ。この肉欲獣には油断も隙もあったもんじゃない。

「そうだな。万全を尽くすならば君……ご主人もベットの下で寝るべきだ」

ご主人『も』!?『も』!?
このバカは今、ベットの下で私と一緒に寝ようと言った!?
ここっ、こんな狭い空間で暗いのに二人も入ってなななっ、何を……


251 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:59:39.64 ID:KShwnxl10
「だーめーっ!!絶対そんなのダメー!!
 アンタはベットから一番遠いその隅っこで寝なさい!!」

「…仕方ない」

とぼとぼ、といった感じに隅っこに歩いていくソースケ。
まいったか。この私にそんな無礼を働かせるわけにはいかないんだから。

「……疲れた。 もうホントに寝るわ」
ブラウスのボタンを外し、かごに入れる。続いてスカート、
レースのついたキャミソールを脱いだところではたと気付いた。

バカソースケの前で脱いでも大丈夫かな?
でも所詮使い魔だし、あまり人間扱いするのも……
ちらり、と片目にソースケの方を伺うと
ものすごく戦慄した顔で脂汗をだらだら流しながら固まっていた。
少なくともケダモノの眼はしていない、気がする…
よくわからないけど大丈夫。いざとなったら戸棚のムチでひっぱたけばいいのだ。

253 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 20:00:10.32 ID:KShwnxl10
ショーツに手をかけたところで、悲鳴のような声が上がった。

「ききっ、君はなぜここで着替える!?」
「寝るからよ。ここは私の部屋だもの」
「魔法使い…貴族はっ、男に肌を晒すものなのかっ!?」
「男…誰が?アンタは使い魔でしょ。使い魔に見られたってなんとも思わないわ」

「しっ、しかし…!」
むしろおびえてるようにも見える。少し面白かった。
ショーツを脱ぎ去ってネグリジェを着る。
やっぱりソースケは硬直して、今度は壁のほうを向いてガクガクしていた。

まずい。ちょっと楽しいかもしれない。


◇◇◇




271 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 20:25:50.23 ID:KShwnxl10
◇◇◇

目覚めて最初に眼にしたものは、眼にしたものは……

昨晩ルイズが脱ぎ捨て、朝になったら洗えと言われた純白の下着と衣類であった。
戦慄した。

昨晩眠りにつくまで色々なことを考えていた。
自分は本当に帰れるのだろうか。
トゥアハー・デ・ダナンの皆は俺の蒸発…もとい拉致に対してどう対応しているのか、
作戦行動の妨げになってしまった。
少尉殿、少佐、中佐殿、そして大佐殿…クルツやマオにも多大な迷惑をかけてしまった。

そして何より… 千鳥。
俺が居ない間にアマルガムの連中に付けねらわれてはないだろうか。
最悪の事態でなければ動かないレイスはあてにできん。
かわりの護衛が派遣されているだろうか…

そして、この世界は何なのか―――

272 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 20:26:40.29 ID:KShwnxl10
朝は普通に訪れた。
体内時計に従うならば今は朝の5時前後。
窓から確認したが、太陽は一つだった。真逆の方向にさらに2つの太陽がある創造をしたが、
恐ろしくなって即座に否定した。

とにかくわかったことは、
この世界は魔法が確実に存在していて、
そして恐らく、地球ではない―――少なくとも俺の知っている人類には未開地であること。
魔法が使える家柄を貴族と呼び、そうでないものを平民と呼ぶこと。
そしてありえない生物が存在していることだ。

それはそうと、朝になったら洗濯をしなければならない。
だが水場の位置はわからず。部屋から出れば何者かに発見されて、
得体の知れない魔法とやらをかけられる可能性もあるので、
自力での探索を諦め、ルイズを起こすことにした。

「ご主人……ご主人。朝だ。起きろ」

「ん…むぅ……」
華奢な身体の少女、こうして見れば本当にただの少女にしか見えない魔法使いの少女は
僅かに顔を背け、寝返りをうった。

「ご主人。水場の位置を教えて欲しいのだが…」

「…んんっ……はぇ? だ、誰よあんた!」
「忘れたのか?使い魔だ」
寝起きで混乱しているようだ、シーツで身を隠すように後ずさり、
あたりを見回して、ルイズは考え込むポーズととった。


273 名前: わさび栽培(catv?) [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 20:27:07.40 ID:KShwnxl10
「ああ、使い魔ね。昨日召喚したんだっけ……」
「あぁそうだ。ところで、洗濯をするのに水場の位置を聞きたいんだが」

「うん…
 って、何これ!?日が昇ったばかりじゃない!
 あーもうこんなに早く起こしてーっ!
 私はもういっかい寝るから。洗濯しとくのよ!」



――――かくして、教えてもらった水場で洗濯物をしているわけだが。
あきらかに動力がないのに、水が絶えないこの噴水は、やはり魔力で動いているのだろうな。
こうしてみると確かに、ここは東京でもなければグアムでもない。
本当に別の世界に来てしまった、ということなのか…
しかし信じがたい。
だが、こうして魔法や月などの人智の及ばぬ異常が存在している以上、
ここは『トリステイン魔法学院』なのだと実感する他にないのだ。


こうして、別世界での生活が始まった。


◇◇◇





305 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 20:51:37.89 ID:KShwnxl10
◇◇◇


洗濯を終えて部屋に戻ると、ちょうどルイズがベットからもそもそと這い出るところだった。
「起きたか、ご主人」

「むぅ……おはよう。
 ってそれ洗濯物?早いわね。関心関心」

水場の位置を教えた件は忘れているようだった。むしろ覚えていない、が
正しいのだろうが。

起き上がり、すっと直立するとまだ少し重そうな瞼でこちらを見た。
「服」
「これでいいのか?」
椅子にかかっていた、昨日着ていた―――恐らく制服を手渡すと、
ルイズはこくりと頷いてネグリジェを脱ぎ去った。

「だっ、だから君はどうして隠さないんだ!!」
我ながらもはや悲鳴に近いと思うぐらいの声を出して、背を向ける。


306 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 20:52:02.78 ID:KShwnxl10

「んー……下着」
「だからご主人…!」
「そこ、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」

とことん使い倒すつもりのようだった。
いつだったかこんな嫌な汗をかいたことが多々ある。
陣代高校での日々や、大佐殿がセーフハウスにお目見えになったときなど…
などと考えつつもクローゼットの引き出しを開けた。
なるほど多くの下着がつめられている。
いつ背後からハリセンが飛んでくるのか、いやこの際とんできてほしいと願いつつ、
出来る限り見ないように一番手前の布を抜き取り、ルイズの前に放り投げた。

もそもそと下着を身に着けたルイズは、こともあろうに
「服、着せなさい」
などとのたまった。
我慢というかそれとは別のルイズの身を案じるというか自信の精神の平成のた
めというかそういった気持ちでルイズに言ってやろうと振り向いて、
戦慄した。

307 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 20:52:24.74 ID:KShwnxl10

下着姿のルイズがベットに座って、ぼーっとしたままあしを組んでいた。
ぶわっと全身の毛穴から戦闘中には出たことのない種類の脂汗がふきでるのを感じた。

「平民のあんたはしらないだろうけど、貴族は貴族は下僕が居るときは自分で服なんて着ないのよ」

だが、それではあまりに―――
「いいから着せなさい。食事抜くわよ!」
言い終わる前に一括され、渋々とブラウスを手に取る。


後で気付いたが、食事を抜くのは条約違反じゃないかと思った。
だがあのときにそんなことを考える余裕があったのかと自問すると、その答えはノーだった。

◇◇◇





366 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 21:29:48.88 ID:KShwnxl10
遅くなった、すまん。

◇◇◇


ルイズと部屋を出たところで、ちょうど前のドアの1つが開いた。
一瞬身構え、腰に仕込んだナイフに手をかける。補給のないこの世界では、
軽々しく銃を使うわけにはいかない。

「おはよう、ルイズ」
ドアのむこうから現れたのは、燃えるような赤い髪と褐色の肌を持った美女だった。
ルイズより背が高く、自分よりは背の低い体躯。彫りの深い北欧系の顔立ちをもち、
突き出た胸元のボタンは2つも外れ、むせるような色気を放っている。
だがダウンタウンで見る娼婦のような厭らしさはなく、むしろ気品のある様だ。
個々の要素全てにおいてルイズとは真逆で、恐らく魅力的であろう女性だった。

「おはよう…キュルケ」
ルイズは顔をしかめて挨拶を返す。と同時に自身の警戒態勢を解く。

「あなたの使い魔って、それ?」
キュルケと呼ばれた女は、こちらを指差してルイズを見る。バカにした口調だ。

「そうよ」

「あっはっはっは!ホントに人間なのね、すごいじゃない!」
嘲笑するキュルケを見て感じたことは、あまり卑屈さが見て取れないことと、
人間の使い魔は珍しいということだった。

368 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 21:30:09.12 ID:KShwnxl10
「サモン・サーヴァントで平民喚(よ)んじゃうなんて、あなたらしいわ!
 さ~すがはゼロのルイズ」
ルイズの白い頬がさっと赤くなった。
事情をよく知らない俺にはわからないが、恐らくルイズへの侮辱なのだろう。

「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイム!」

キュルケは勝ち誇った声で胸を張りながら使い魔を呼んだ。
キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。
周囲をむっとした熱気が包む。

「む?…これは昨日の…」

「あら?フレイムを知ってるの?」

「昨日襲われてな。火を噴きながら追いかけてきたので、動転して
 逃げることしかできなかったが…」
なるほど、どうしてこんな危険な生物が室内に、と思ったが使い魔だったのか。


371 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 21:31:53.07 ID:KShwnxl10

それこそ虎のような大きさを持った真っ赤な爬虫類を横目に、キュルケは笑った。
「おーっほっほっほ!見なさいルイズ!人間の使い魔なんて、サラマンダーに
 追われて逃げることしかできないのよ!ゼロのルイズにはお似合いだわ~」

「くっ!……でもソースケは洗濯や細かい雑用だって出来るんだからね!」
悔しげに、苦し紛れの言葉を発するルイズ。

「ふふん、この火竜山脈のサラマンダーを見なさい。この尻尾の炎、鮮やかで大きくて…
 好事家に見せれば涎をたらすような最高のブランドたるサラマンダーよ」
「そりゃよかったわね」
憎憎しげにルイズが相槌を打つ。

「素敵でしょ、あたしの属性ぴったり」

「あんた『火』の属性だもんね」

「えぇ、微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも男のこはそれで
 イチコロなのよ。あなたと違ってね。」
キュルケは得意げに胸を張る。ルイズも負けじと胸を張り返すが、
悲しきかな、俺から見てもそれは圧倒的にルイズが敗北を悟ってる表情だった。


372 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 21:32:22.38 ID:KShwnxl10

「あっ、あんたほど色気を振りまくような暇人じゃないだけよ!」
キュルケは余裕の表情で受け流すと、こちらに眼を向けた。

「あなた、お名前は?」
「ソウスケ・サガラだ。」
「ソースケ・サガラ?変な名前」
「よく言われる。」
「じゃあ、お先に失礼」
優雅に身を翻し、キュルケは颯爽と去っていった。
その後を追うように巨体の…サラマンダー?がちょこちょこと追っていく。
見た目にそぐわず細かく足を動かした機敏な動きだった。やはり野生生物か。

「くやしいぃぃ!!何なの!何なのあの女!!
 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって偉そうに!!」

「よくわからんが、大きなことなのか?」

「大きなことよ!!その使い魔を見れば、メイジの実力がわかるっていうのよ!
 なんであの女がサラマンダーで、私が人間なのよ!?」
むきーっとわめくルイズ。本当に悔しがっているところを見ると、
メイジにとっては大事なことらしい。

373 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 21:32:47.95 ID:KShwnxl10

「俺には状況が把握できないが、そう気を落とすことはない」

「…なんでよ?」

「君が召喚したのだ。君の実力に見合わない使い魔であるはずがない」
我ながら精一杯の励ましだとは思ったのだが、

「……っ!!!」

何故か杖でビシビシと叩かれた。
痛い痛いということしか出来なかったがあまり痛くはなかったし、
というかいったい何が気に障ったのかわからなかった。

◇◇◇






403 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:00:58.35 ID:KShwnxl10
◇◇◇


『トリステイン魔法学院』の食堂は、学校の敷地内で一番背の高い、中心の本塔の中にあった。
食堂の中には下手をすれば100mもありそうなテーブルが3つ並んでいる。
ルイズが言うには、学年別に1つのテーブルを使っているらしく、
おそらく1つのテーブルには100人以上が座れるところを見ると、改めてこの学院の規模が
想像できた。
さらには、どうやらマントの色が学年別らしく、紫色が3年生、茶色が一年生、
そしてルイズのつけているタイプが2年生となっているようだ。
陣代高校でも同じように色分けを行っていたので、少し同共感を感じつつ、
そのひどく豪華に彩られた食堂へと足を踏み入れた。

「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「む?」
ルイズが得意げに語り始める。鳶色の眼がいたずらっぽく輝いている。

「メイジはほぼ全員が貴族。『貴族は魔法をもってその精神となす』のモットーのもと、
 貴族が貴族らしくあるよう、ふさわしい教育を受けるの。
 だから当然、その学舎やこういた食堂も、貴族に相応しいものであるのよ」
「…ほう。」
「わかった?ホントならあんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には
 一生入れないのよ。感謝してよね」

「…ふむ。よくわからんが、確かにこれは豪華だ」
素直に感心しつつ、何か視界の片隅で石像が僅かに動いたのを見逃さず、
辺りを警戒する。これだけの人数だ。最悪の事態ならどこへ待避するかの検討もしなければ。

406 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:02:30.95 ID:KShwnxl10

「あんまりキョロキョロしないでよ。私がはずかしいでしょ。
 いいから、椅子を引きなさい。気の利かない使い魔ね」

「あぁ、わかった。」
手前の椅子を引き、ルイズが座ったのを確認する。
「ところで、俺の席はどこだ?」
周りにたくさん椅子はあるのだが、ルイズの両隣は既に学生が座っている。

ルイズは無言で床を指差した。
皿がある。中にはスープも入っているようだ。

「あのね?ホントは使い魔は外。あんたは私の特別なはからいで、床」

「問題ない」


しゃがんで皿を見つめる。
申し訳程度に小さな肉の浮いたスープと、その横に硬そうなパンが2切れ。
栄養価としてはささやかだが、食事としてなら十分だ。千鳥の手作りには見劣りするが。

407 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:03:27.92 ID:KShwnxl10

『偉大なる始祖、ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを
 感謝いたします』

食堂内で一斉に祈りが捧げられる。
これだけを見れば、さしておかしな国ではないな、と思った。
そして、この国が王制であることを知った。



「ところで、コッペパンはないか?」

「なにそれ?どんなパン?」

「柔らかめに焼いてある具材の入っていないパンなんだが…いや、いい」

「あっそ。まぁあんたよく働いたし、今回はご褒美にこれあげるわ」
スープ皿に。焼いた鳥の皮が落とされる。

「感謝する」

スープは普通に美味かった。
ふと少佐のボルシチを思い出し、寒気が走ったが、
なんとなく久々にボルシチも飲んでみたい気がした。
……いややはり嫌だ。


◇◇◇





469 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:34:40.75 ID:KShwnxl10
◇◇◇


午前の授業を終え、昼休みとなった。

午前の授業を回想するならば、あらゆる意味で戦慄したと言うほかあるまい。

この世界には魔法があり、魔法使いが居る。
我々の世界における工学・科学に相当する重要なものであり、魔法を使えるという
ことは、それだけでとても誇りのあるものらしい。
なるほどたしかに、それは戦場における素手の兵士とAS装備兵のような差なの
だろう。圧倒的だ。

さらには系統というものが存在し、『火』『土』『水』『風』の4系統の魔法がある。
この系統をいくつ使えるかにより魔法使い―――メイジのレベルが別けられ、
1つを『ドット』、2つを『ライン』、3つを『トライアングル』、4つで『スクウェア』
の最上クラスとなる。
これらは覚えておくべきだな。相手の戦力を測る目安になるだろう。

さらには、自身の得意な属性や使う魔法の傾向により『2つ名』が与えられるらしい。
ルイズに聞いてみたところ先程のキュルケが『火』で『微熱のキュルケ』だとか。
ルイズは…『ゼロのルイズ』と言われていたな…ゼロ?空(から)… 風か?

そこまでは大体、本当になんとなくだがわかった。
そして、その後は本当の戦慄が待っていた。

471 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:36:15.13 ID:KShwnxl10

掻い摘んで事実のみを述べるなら、
ルイズが杖を振って、ただの小石を同質量のプラスチック爆薬に変えたのだ。
オレンジの爆炎があがった。そして一斉に使い魔たちが騒ぎ出し、
教室はテロリスト一個小隊の室内戦のごとく騒然かつ破壊されたのである。

その片付けが終わったのがつい先刻。
ルイズは始終不機嫌で、クラスメートからは
「ゼロのルイズ!」「成功率ゼロ!」と罵倒の言葉を飛ばされた。
なるほど。だがしかし、失敗であの威力なら、成功すればどういった破壊力なのだろうと、
それがひどく気がかりだった。逆らうとアレで爆破されるのか?
まるで『ヴェノム』タイプのラムダドライバを相手に旧式のサベージで挑むような
ものではないか。すこし対応の丁重さを上げようと誓った。

ちなみに、そのときの講師はモロに爆風を受けて、即死ではないなりに重態だったの
だが、回復魔法とやらですぐに持ち直し、だがしかしトラウマになり、
アルケミーとやらの授業をしなくなったそうだ。なぜルイズは無事だったのだ?


472 名前: わさび栽培(catv?) 投稿日: 2007/04/04(水) 22:36:43.86 ID:KShwnxl10


「ご主人… 気を落とすことは無い。次に成功すればいいことだ。」
「前も、その前も失敗したのよ… 笑いたければ笑いなさい。許さないけど。」

「次はきっと成功する。そう信じて最善を尽くすべきだと俺は思う。」
「あんたもちょっとはましなこと言うのね。ありがと」
明らかに落ち込んだ様子でとぼとぼと歩いていくルイズ。
この少女は、以前からずっとこういった失敗ばかりで周りからはからかわれ続けているらしい。
少なくとも、今日もそうであったように。
失敗の連続は、次の失敗を呼び起こす心を作り出す。
だからなんらかの形でも自信を持たせたほうがいいのだ。
そうでなければケツを蹴っ飛ばしてやれ。以前マオが、下士官としての部下への
気構えをそう語っていた。
蹴飛ばすのはいくらなんでも酷なので、なんとか自信をつけてやろうと思った。



「いや、それにしてもだが…あの爆発は見事だった。
 ただの石ころをあれだけの爆発物に変換するとはな」



なぜか昼食を抜かれた。
食卓の上にはコッペパンが乗っていた。


◇◇◇

容量\(^o^)/コエタ

第3部