常盤台中学内、食堂にて、昼休みのこと。
「は゛ぁぁぁぁ…」
御坂美琴は落ち込んでいた。それも今朝がたのことを思えば仕方がないのだろうが…
「いくらなんでもあれはないわー。自分のことだけど。 …あはは…よけい顔会わせにくくなっちゃった…佐天さんに会わせる顔がないわ…でも報告しないとあの子何するかわかんないしなぁ…」
報告。それは恋愛相談した時、佐天さんと交わしたもうひとつの約束だった……
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「報告?」
『そうです。折角御坂さんが私を頼ってくれたのに さっきの相談だけでは私の気がすまないので、上条さん関連で何かあったら私に報告がてら相談してください!何、乗り掛かった船ってやつですよ!!』
「佐天さん…ありがとう」
とても有難いことである。やはり、持つべきものは友だ。と美琴が感慨に浸っているなか当の佐天は何やら他にも考えがあるようで…?
(ふふふ…こんな面白そうなこと放っておけるもんですかぁ!!御坂さん、上条さんのこととなると人が変わったように可愛くなるし、それにさっきは御坂さんを勇気づけるために言ったけど、上条さんのことが気になるとゆうのはホントですしね!もちろん、好奇心で!!)
うん、いつもの佐天さんだった。
直も佐天が色々不穏なことを考え、悪い笑みを浮かべるなか、そんなことを梅雨とも知らない美琴は素直に佐天の好意に甘えることにしたのだった。
直も佐天が色々不穏なことを考え、悪い笑みを浮かべるなか、そんなことを梅雨とも知らない美琴は素直に佐天の好意に甘えることにしたのだった。
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(それに、今は誰かに相談にのってほしいって所だし、あの事はあまり話したくないけど、背に腹は代えられないわよね。)
「…よし」
この時間は佐天の学校も昼休みのため電話をすれば繋がるだろうと、美琴は意を決して佐天にコールした。
『何か進展ありましたか!!??』
「ふわぁ!?ビックリしたぁ!?」
ワンコールで繋がった。開口一番これだった。
『で?で?で?この時間に電話かけてくるってことは何かあったんですよね!?昨日のそ・う・だ・ん、の件で!!』
「グッ…」(流石佐天さん、この手のことには鋭い…)
『さぁ!!早く早く♪私に全てを包み隠さず、一字一句違わすさらけ出してください!!』
女の子は恋ばなが好きだとゆうが、佐天は特にその辺りが顕著だった。
「実はね、今朝…」
『ぷ、くくく、ぷぷ、駄目、お腹痛い!ぷぷ…』
「……/// そ、そんなに笑うこと無いでしょ!!??私だって頑張ったんだから!!」
『はい…くく、御坂さんが頑張ったのはわかりましたから!! ぷぷ、でも流石に笑うなって、む、無理ですぅぅ!!』
大爆笑された。それはもうゲラゲラと。今も電話の向こうでは、あっはっはっとゆう少女らしからぬ笑い声がつづいていた。
「…ッ!もういいわよ!切るわよ!!」
『あ、待って、ぷぷ、待ってください!!すみません、流石に笑いすぎました!もう大丈夫です!』
「…はぁ」
まだ佐天はひーひー言っていたが、美琴はこれ以上何か言うつもりにはなれなかった。
『…つまりそれで、御坂さんは今盛大に落ち込んでいる、と。そうゆうことですね。それで私に相談した。』
「うん。その通り。正直アイツとどう顔会わせたらいいか分からなくて…それとアイツの前だと私余裕が無くなって周りが見えなくなって改めて思い知ったわ。佐天さんには昨日あーは言ったけど、正直、のり越えられる気が全然しないのよ…」
『…何、弱気になってるんですか御坂さん。そんなんだったら上条さん取られてしまいますよ?』
「それは…わかってるけど…」
『…はああ。ホントにわかってるんですか御坂さん。上条さんただでさえライバル多いんでしょう?』
「そうなのよね…アイツいっつもいっつも知らない女の子と一緒にいるのよね…」
『え?それってどうゆう?』
「言葉通りよ。ただどうも付き合ってる雰囲気ではないんだけどね…」
美琴の話を聞いて佐天はある疑問を持った。そんなにモテるのに彼女らしき人はいない。ただ、見る度に違う女を連れている。それはホントに大丈夫なのだろうか?と。もしかしたら御坂美琴は遊ばれているのではないか、と。
(でも、あの御坂さんが好きになる人だし、そんなまさか…でもでも、私は上条さんのことほとんど知らないし…ここはストレートに聞いた方が…)
面白半分で首を突っ込んだ佐天だが、美琴は佐天にとってかけがえのない親友である。自分が応援したばっかりに美琴が不幸になる、これだけは避けなければならない。佐天は美琴が怒るのを覚悟した上で切り出した。
『御坂さん…上条さんのことですけど、女の子で遊んでるような人じゃないですよね?』
「え…?どうゆう…こと?」
『私は上条のことをほとんど知りません。顔と、御坂さんからもたらされる情報くらいです。ですからあまり決めつけるようなことはいいたく無いんですが、御坂さんの話を聞くに上条はそうゆう人種なんじゃないかって思えてならないんです。』
「何、言ってんのよ…アイツのことを悪く言うのはいくら佐天さんでも…」
『私は!!御坂さんには幸せになってほしいんです!!』
「佐天…さん?」
『…いつもいつも私達を助けてくれて、無理して、なんでも自分で解決して、私はいつも頼ってばかりで、そんな御坂さんがこんな私を頼ってくれたんです。全力で協力します。でも、その結果御坂さんが不幸になることは絶対に嫌なんです!!だからッ!!』
そう言いながら佐天は泣いていた。
いつも足引っ張ってる自分を頼ってくれた美琴に報いるためとはいえ美琴を傷付けるような事を言っている自分が許せなくて。
いつも足引っ張ってる自分を頼ってくれた美琴に報いるためとはいえ美琴を傷付けるような事を言っている自分が許せなくて。
美琴は先ほどとは売って変わって冷静に佐天の様子を伺っていた。佐天が自分のためにこれだけ必死になってくれている。そう思うと自然と気持ちが落ち着いた。そして、その落ち着いた頭で自分が佐天に伝えていた上条像を想定し、自分の迂闊さに嫌気がさした。
(いつも女連れ、モテる、彼女は作っていない)とくればそう考えるのも自然か…これも素直にならずアイツの悪口ばっかり言ってた私の自業自得ね…)
素直になれない。意識してなかったがなにもそれは上条の前だけじゃなかったようだ。これは考えを改めなければならない。なんせそのせいで大事な後輩を泣かせてしまったのだから。
「ありがとね。佐天さん。私のために必死になってくれて。ごめんね。泣かせちゃって。」
『い、え…そんな…私は…』
「…あいつはね、確かにいつも女連れだし、しかも巨乳ばっかだし、私の事はスルーするし、やっと気づいたと思ったら逃げだすし、レベル0の癖に私より強いし、すっごいむかつく…」
『御坂…さん?』
「でもね?」
素直になる。上条の前ではまだまだだが、こう言うところから努力するのも有りではないだろうか。
「私の事を特別扱いしないで一人の女の子として扱ってくれて、うだうだ言いながらも何だかんだ私に付き合ってくれて、私がピンチの時には何処からともなく必ず現れて救ってくれて…私はそんなアイツが…
上条当麻が大好きなの。」
『み、みしゃかさ~ん…』
「はいはい、笑ったり泣いたり忙しい子ね。…だからね、佐天さん。アイツのことを信じてあげて。アイツは女の子泣かすような奴じゃないからさ。それどころか困っている人がいたら片っ端から救っていくヒーローみたいなやつなの。…私にとっても、ね。」
『わかり、ました。さっきはあんなこと言ってすいませんでした…』
「気にしてないわよ。むしろ悪かったのは私だしね。」
こうして美琴は少しだが確実に前へ進んだ。小さいけど大事な一歩だった。
『…いやーにしても御坂さんがあんなにのろけるとは!上条さんやりますね!』
「え、ちょっと佐天さん?」
『私の事を特別扱いしない、私のヒーローってここまで御坂さんをデレさせるなんてますます興味が沸きました!』
「わぁぁ!?わぁぁ!?なんてこといってくれるのよ!?」
『御坂さんが自分で言ったんじゃないですかー♪「そんな上条当麻がだ・い・す・き」なぁぁんてぇぇぇ!!』
「忘れて!!忘れてぇぇぇぇええ!!!」
『大丈夫です!万が一忘れても私の携帯、通話を録音出来るんで!』
「え!!??なにそれ聞いてない!?」
『そりゃー言ってませんもん。知らなくて当然ですよー。 とにかく、先ほどの愛の告白は永久保存します!!そこだけ切り取って!!』
「駄目よ!?消して!!消しなさい!!」
『えーいいんですかぁ?これを二人の結婚式で流したら最高に盛り上がると思うんですがー』
「け、結婚!!??そんにゃ、私まだアイツとそんな結婚なんて!、嫌じゃないけど!!でもでもぉぉ!!
…ふにゃー」
『あれ御坂さん?もしもー…わあぁあ!?なんか携帯がいきなりバチバチって!?あ、あ゛ぁぁぁぁぁ!!??折角の御坂さんの弱味がぁぁぁあ!?』
…まあ進んださ。少しはね。うん。ちょっとわね。ほんのすこーしだけ。
なお後日談だが佐天の携帯は見事にスクラップと化した。が、初春に頼みこみなんとか『弱味』だけはサルベージに成功したようだった。
佐天さん…恐ろしい子である・・・
佐天さん…恐ろしい子である・・・