とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part05

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匿名ユーザー

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胸ポケットと手のひらに


(あの時携帯持ってないって知ってたのに何で連絡くれないで帰ったのよ!)

常盤台の寮に戻ってからの美琴はすっかり不機嫌になっていた。携帯は美琴のベッドにあった。朝のいざこざで
持って行くのを忘れていたが、この体では持ち運びなど到底できないことはわかっていたが何か納得いかなかった。
体全体を使って携帯を開くと上条からのメールが。

『すまん、戻れなくなった。こっちから連絡するから待っててくれ』

とだけ。それにますます腹が立ち、美琴にとっては山のようにでかいきぐるまーをボスボスと殴っている。
(早く、今日中に!できるなら黒子がシャワー浴びてる時に連絡してよ!バカ!)
心で訴えても仕方ないのでボタンを踏んで

『今すぐ連絡しなさい!』
と心のこもったメールを送るが恋人からすぐ返信が来るわけでもなければ、何分待っても電話も来ない。
ここでもまた怒りをきぐるまーにぶつけた。

「あ~・・・どのような事でお怒りかわかりませんがそのお姿で怒ってらっしゃるお姉さまに萌え~。ですの」

カチンと来る一言を白井が放ってきたが今はこんな姿だし彼女と言い合いしても色々とまずいので我慢するしかなかった。


「さてお姉さま、黒子とのお風呂タイムですわよ?」
「何でよ!この大きさでも一人で入れるっつうの!!」
「いえいえ、もし万が一お風呂で溺れたりなどしたら黒子がマウストゥー・マウスをしてさしあげますのでご心配なさらず。
いや、むしろ溺れていただいたほうがいいのでは・・・」


両手をワキワキと動かしながら美琴にゆっくりと近づく白井。その間にヒュン!と着ていた制服が消えており
既に全裸状態になっている。


「く、黒子!?私に触ったらどうなるかわかっているでしょうね!」
「今のお姉さまは能力が使えない体。元に戻った時になんなりと罰は受けますの。
なので今日は・・・黒子が・・・・・・・お姉さまの体の隅々、いや、体内の隅々まで洗ってさしあげますの!!」
「いやああぁぁぁぁぁ!!」

上条からもらったハンカチで体を隠して最後の悪あがきをしようとした。
しかし数秒経っても白井が襲って来る気配が感じられなかった。あれ?と美琴は恐る恐るハンカチから顔を出すと・・・


「ふむ、白井は小さい子はいじめるなと教育されてないようだな。なら私がおしおきする義務がある」

白井の首を刈った事後の寮監が立っていた。

「御坂、奇遇だな。ちょうど2人きりになったとこだし話をしないか?」
「は、はい・・・」

このタイミングのどこが奇遇なんだろう・・・しかし美琴は寮監に逆らうことはできない。



「早速だが御坂、お前はどうしてそのような体になったと思う?」
「いえ、全く・・・朝起きたらこんなことになってたので何が何やらさっぱり・・・」
「そうか・・・話題を変えよう」
「は、はあ・・・」
「御坂、上条当麻とはどうだ?上手く行っているのか?」
「え、えっと。多分順調だと思います。今日会いましたけど私のこの姿を見てもいつもと変わらずな感じでした」
「そうか。お前はそれで満足なのだな?」
「あ、まあ・・・満足してます」
「キスもしてないのにか?」
「っ!!!?」
「図星のようだな。恐らくお前がこのようになったのはそれが原因だ」


何故寮監がまだ上条とキスしてないのを知っているのだろう。いや、今はそっちではない。
何故キスしてないのが原因になるのか。


「先ほど調べさせてもらったんだが御坂、お前がその姿になってしまったのは恐らくストレスが原因だ」
「ストレス?私そんなストレスなんて・・・」
「お前は上条当麻といるだけで嬉しいと思っているだろうがそれは間違いだ。
思い返してみろ。手を繋いで歩いている時、お前は嬉しいか?抱きしめられているとき、お前は嬉しいか?」
「そ、それはもちろん・・・」
「では何故キスしてくれない・・・そう思ったことはないか?」
「・・・・・・・・あります」
「共同生活をしていた時、2人っきりなのにどうして手を出して来ない?どうして襲って来ない?
どうしてキスしてきてくれない?そう思っただろう。私ならそう思ってしまうがな」
「え?あの・・・」
「その感情が大きくなりすぎて今回のようになった訳だ。まあ、前回の「自分だけの現実」が崩壊しかけたのに近いものだ」
「い、いやあの・・・どうしてそこまで詳しく知っているんですか?私たちが生活していた時をそんな詳しく・・・」


嫌な汗が体から出てきて顔を引きつかせる美琴。その様子を見ても微動だにしない寮監。背後からゴゴゴゴゴと音が聞こえる気が・・・


「すまんな御坂。実はあの部屋を監視していた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ」
「でもおかげで今回の解決策もこうやって簡単に見つかった訳だ。軽く上条当麻とブチュっとしてこい」

さらりと低い声で言いのけてくる寮監。恋人とキスしたくてたまらない結果体が小さくなった。なら恋人と
キスすれば元に戻る。そんなに簡単でいいのだろうか・・・

美琴はというと・・・

言いたいことがある。いや、かなりたくさんある。
プライバシーの侵害じゃないですか!!あんなのを見てどう思ったんですか?もしデータ残っているならください!!など・・・

「あの・・・寮監?」
「・・・・・・・・・何だ」

キラりと眼鏡が光り美琴を見るが奥の瞳が全く笑ってない。というより殺気立っているようにも見える。
クイっと眼鏡をかき上げて、

「言いたいことがあるなら言ってみろ。言えるならな・・・」

と威圧感を激しく感じる。

「な、何でもありません・・・」
「なら早くキスしてこい。常盤台を代表するお前がそのままだと色々大変なのだからな」

そう言って寮監は部屋を後にした。「はあ、大圄先生・・・」と聞こえたのは気のせいにしておこう。



寮監に「上条当麻とキスをすれば元の姿に戻れる」と聞いてから当然のように連絡をとろうとする美琴。
だが上条の電話にいくら電話してもメールを送っても返ってこない。
会いたいのに会えないもどかしさと早く戻りたいしキスもしたい葛藤にモヤモヤする。

「軽くブチュっとしてこい」

寮監が放ってきた一言が脳裏に過る。あれからはずっとそのことしか考えてない。
勝手にドキドキしている自分がいて何だか嫌になった。

だが上条と連絡がとれなくなって3日が経過し、冒頭の感情が3日も続くとさすがの美琴もおかしくなってきた。

「お姉さま、最近元気ないですけど大丈夫ですの?」
「うう、当麻、とうまぁ・・・会いたいよぉ」

白井には付き合っていることを内緒にしていたがついに我慢の限界になってしまい白井の前でも堂々と上条の名前を連呼し泣く始末。
そんな環境にいてもたってもいられない白井。

「きぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!おのれ類人猿めえええええ!!!!!お姉さまの涙の先が
貴様だとはぁぁぁぁぁぁ!!!!!殺す殺す殺すぁぁぁぁぁぁ!!!!」




「・・・で、白井さんが不在なのを狙って私はここに呼び出されたと」
「ごめんなさい。頼れる人がいなくて・・・」

白井が部屋にいない時を狙って佐天を呼んだ美琴。とりあえず簡単に説明を受けた佐天は

「なら上条さんとキスすれば終わりでしょ?簡単じゃないですか。恋人だしそうためらうことでもないですよ」
「でもまだ一回もしたことないし連絡つかないからどうすればいいかなって・・・」
「う~ん。御坂さんのその姿じゃ簡単に出歩くこともできないですからね。手段はなくはないですけど・・・」
「え?何か作戦でもあるの?」
「私が御坂さんを上条さんの部屋まで連れて行けば問題ないです。それに・・・・」
「どうしたの?」

佐天が少しためらったような顔をするため不安になってしまうが勇気を出して聞いてみた。

「上条さんと連絡取れないって言ってましたけど、私上条さん見ましたよ?」
「は?」
「いや、きっと学校帰りだと思うんですけど前会った時と比べると相当ゲッソリした印象があるというか。
フラフラ歩いていたのを見ただけで声はかけきれなかったんです。」
「全くあのバカは・・・生きてるならなんで連絡つかないのよ。泣いて損したじゃない・・・
佐天さん、お願いできるかな」
「もちろん!邪魔はしませんから安心してくださいね?」


という訳で・・・・

「緊張してきたわ・・・」
「何だか私もです」

上条の部屋の前に到着。もし上条がいなくてもインデックスはいる。事情を話せば上条が帰ってくるまで
待たせてもらえるだろう。
チャイムを押すとインデックスが出てきた。案の定、上条は不在。


「短髪!?一体どうしちゃったの!?」
「いやぁ、話せば長くなるんだけどね?」

恋人の部屋にどうして違う女の子がいるんだろう。佐天は突っ込み所満載なこのシチュエーションに
あえて何も言わない。きっと深い理由があるに違いない。いやそうであってほしい。きっと上条さんは二股とかしない。
だって御坂さんは普通に接しているし。きっと目の前のシスターとはそんな関係ではない。

結果的にそうなのだが佐天はその心配が絶えなかった。


「と、ととっと、とうまとキスしないと元の体に戻れない!?」
「らしいんだ・・・」

テーブルにインデックス、佐天が向かい合って座り、テーブルの上に美琴が座ってインデックスにしては珍しい
お菓子とお茶まで出してもらい、一通り説明をした。

「でさ、当麻に連絡つかないんだけどアイツ最近何してるのかな?って思ってここに来たの。何か知ってる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どうりで」

ぼそっと何か理解したような顔をするインデックス。美琴と佐天は顔を合わせてなんだろう?と考えた。

「とうまの様子が最近おかしいことと繋がるかも」
「様子がおかしいって・・・いつから?」
「私の完全記憶能力だと・・・3日前だよ」
「3日前?」

美琴と佐天は3日前を思い返した。
あの日美琴の体が小さくなってちょっとした騒ぎになり、上条と合流できたが、土御門元春に連れて行かれてから連絡がない。

「でも、毎日ここに帰ってきてるのよね?」
「うん。でも夜遅かった。しかもいきなり私に「キスってしたことあるか?」って聞いてきたんだよ!」
「なんと・・・」

恐るべし上条さん・・・佐天は顔を引きつらせた。

「ま、ままままさかアンタ、当麻とキスしてないでしょうね!!」
「そこは神に誓ってしてない。私が怒って噛み付いてからはスフィンクスにキスしようとしていたけど」
「スフィンクスって・・・・・・・・・・ちょっ!!その猫に!?」
「うん」

何だか凄い会話の中にいるなぁ。御坂さん、このシスターさんが上条さんに噛み付いたことには怒らないんだ・・・
しかし猫相手に練習って・・・上条さんもウブな所もあるんですね。
既に美琴とインデックスの会話にあまり着いて来れない佐天。

「でもスフィンクスに返り討ちに遭ってたみたいだけど。顔を何度も引っかかれてたし」
「でも何で当麻はそんなに・・・」
「恐らく誰かから短髪を元に戻す方法を聞いたんじゃないかな?そうでもないとあのとうまの事だから
あそこまでやることはないかも」
「ということはあの時土御門っていう人は上条さんに教えたんじゃないですか?御坂さんにキスしないと戻らないって事」
「なら何で戻って来なかったのよ。そこがわからないわね」


う~んと3人考え込んでしまった。が都合良く本人が帰ってきた。



「ただいま~・・・って佐天さんに・・・美琴?」
「おじゃましてます上条さん」
「連絡とれなくてどんだけ寂しい思いしたと思ったのよバカ。それに何であの日連絡もしないで勝手に帰ったのよ」
「とうまおかえり。短髪に連絡取ってないなんて最低かも」
「えっと~・・・」


帰ってきてすぐにこの仕打ちとは・・・不幸だとしか言えない上条。でも彼なりの理由もあった。

「あのですね、あの日土御門から変なこと言われて戻りづらくなったと言いますか。
急用ができたと言いますか。とりあえずやましい事なんて一つもごまいませんよ?」
「やましくないなら教えてくれてもいいんじゃないですか上条さん?」
「う・・・」

予想だにしなかった佐天からの攻撃にたじろぐ上条。美琴とインデックスはジト目で睨みつけてくる。
もはや上条に逃げられる余地はない。

「もしかしてキスすれば元に戻るって知っていたの?とうま」
「ギクぅ!!」
「ギクって何よ・・・」
「はぁ・・・」

全てを諦めたかのように上条はため息を吐いて言葉を続けた。

「実はあの時、土御門から聞いて初めて知った。すぐ戻してやりたかったけどその・・・恥ずかしくて」
「恥ずかしい!?」

思わず佐天は声をあげてしまった。


「えっと・・・この上条さんが美琴とキスなんてしてもいいのかと思いまして。ていうか俺したことないし。
そう考えると段々男として情けないなと思って・・・元に戻してあげたいのに俺の勝手な羞恥心だけが出て。
でも、俺はどんな姿であろうと美琴が好きだし。だから恥ずかしいけどクラスのみんなにキスのやりかたを
教えてもらったりして。でもなぁ・・・」

「どおりでボロボロな訳ですね」
「キスのやりかたを教えてくれって言ったらクラスメートみんなから追いかけられるし・・・
俺ってやっぱりダメなのかなぁ?」

いや、そこは今まで蓄積させておいたフラグが原因だろう。

「で、とうま。短髪はわざわざここまで来てくれたんだよ?どうするつもり?」
「わかってるよ。俺も腹を括る。するよ。美琴とキス」
「ほほぉ~!!超展開来た!!」
「さ、佐天さんやめてよ!!///」
「では、お2人お願いします!」

佐天がささっ!というように促すが・・・

「佐天さん、さすがにみんなの前でするのは・・・」
「すまん。俺もちょっと無理だ。悪いけどインデックスと二人外で待ってもらえないか?」
「ええ~?・・・ま、そうですよね。まだキスしたことないし。インデックスさん、行きましょ?」
「うん。とうま、短髪にキス以外のことしたら許さないんだよ?」
「まだ上条さんにはそこまでの度胸はありませんので・・・」
「御坂さん、後で詳しく聞きますからね~」

インデックスは上条に釘を刺すように、佐天は美琴を冷やかしながら外に出て行った。


残った2人。上条はテーブルの前に座り、テーブルの上にいる美琴に優しく手を伸ばした。

「ほら、乗れよ」
「う、うん」

ぴょん!と美琴は上条の手に乗り、上条はその手を自分の顔に近づける。

「まさかファーストキスがこんな形で奪われるとは考えもしなかったわ」
「俺だって初めてなんだからな・・・・んじゃ、するぞ?」
「ま、待って!!」

突然美琴が上条を静止させる。緊張のせいか、顔がこの上なく赤い。下を俯いたかと思えば急に大人しくなったりと
上条の手の上で忙しい。すると美琴は何を思ったのか、おもむろに手の上で横になった。
思いっきりのびをしたと思えばまるで右手の全てを堪能しているかのように右手に触る。

「美琴さん?」
「ちょっとこのままでいさせて?当麻の右手を体全体で味わうことって二度と経験できないでしょ」
「はあ・・・」
「なんか当麻にも、この右手にも何回も救ってもらったんだよな~って思うとね。
しかもこの右手は今私だけのものだもん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「でもね、手を繋いでいる時、当麻に抱きしめてもらっている時も凄く嬉しいよ?でも今回でそれじゃ
足りないって思い知らされたんだ」
「と言いますと?」

上条の質問にガバっと体を起こし、上条を睨むように、そして直後に笑顔で

「私の全部が当麻のことでいっぱいだから当麻も私でいっぱいになってほしい。当麻の全部を独り占めしたいの」
「それはなんというか・・・光栄です」
「インデックスは仕方ないとして私だけを見てくれる?」
「もちろんでございますよ姫」
「なら誓いの・・・・キス・・・してよ」
「お前・・・それは反則だ・・・でも、誓います」


チュ


お互い目を瞑り上条は美琴の唇に軽く触れるキスをした。ほんの一瞬触れたかどうか。

「ん・・・?」

右手に乗っていたハズの美琴の重みを感じなくなっていた。その代わり両肩にずしりとした重みが。
目を開けると美琴が。その姿は紛れもなく元に戻っていた。どうやら美琴が両肩に手を置いているようだ。

「よかったな、戻って」
「でもあのままだったら当麻ずっと私を甘やかしてくれたかも。そう考えるとあの生活も悪くなかったかもね」
「俺に厳しい美琴が小さかったら威厳もないしな」
「何よ、どんな姿の私も好きなんでしょ?」
「その言葉には嘘はございません姫」
「えへへ・・・ねえ?」
「ん?」
「もう一回して?今度は長いのしてほしいな・・・」
「・・・・・・・ゴクっ」
「あ~。今エッチなこと考えたでしょ?」
「うるせえ。してやんねえぞ?」
「いいもん。私からしてあげるから・・・」


再び一つになった2人。今度は長く、お互いを離さないほど時間を忘れさせるキス。


だがその2人を玄関からこっそり覗いているシスターと中学生の女の子が目を光らせていた。

「あの2人、長いんだよ」
「熱々ですね~。もしかしてインデックスさん妬いてます?」
「そんなこと・・・ないんだよ」


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