とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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プロローグ 『最下層の生活』


学園都市、人口230万人。その8割以上が学生という街だ。
世間から技術力が30年も進んでおり、何より特徴的というのが『能力開発』。
そんな学園都市の能力者はレベル0からレベル5の六段階に分けられている。
その様な格差が出来てしまっている学園都市では『格差社会』となったおり、優遇され、裕福に暮らせる貴族のような扱いのレベル4、レベル5。
逆に冷遇され、貧乏な暮らしを送っているのはレベル0やレベル1だ。
その中でも知名度が格段的にある第三位の『超電磁砲』。
学園都市の女王と呼ばれ、また『姫君』や『エリザベス』と呼ばれていた。
その正反対の呼称がある上条当麻。『大罪人』、『悪魔』などと呼ばれ最下層人物としてそれ相応の暮らしをしていた。
しかし上条は『大罪人』と呼ばれても『悪魔』と罵られても。あの行動を後悔しない。

「……不幸だー。今日の晩御飯は鮭の塩焼きと白ご飯~。はぁ足らねぇよなぁ」

照明がピカピカ、と光ったり消えたりを繰り返していく。
部屋の隅には蜘蛛の巣が貼ってあったり、ふすまにはキノコが生えている。
とってもとっても生えてくるのが何故か悲しい。
上条は学園都市でも三人しか居ない『最下層人物』だ。それ相応の暮らしを用意され、奨学金は雀の涙にも及ばない。
たったの七千円。一ヶ月をこれで暮らすのは不可能に近い。

「このキノコって食えんのかな?」

ふすまに生えたキノコを見つめていった。しかし頭をブンブンと振ってキノコを強引に引きぬいた。
そして壊れかけの窓を開いて、投げた。
ポチャン、と音がして川に流れたのが分かった。

「さ、さて食うか」

上条は箸を加えて骨がところどころ見える鮭をつまんでいく。
そして白ご飯と一緒に口に含んでいった。
それにしても暑い。蒸し暑い。外は雨で、天井から雨漏りしてバケツからは雨が溢れていた。
上条の体は雨臭い。そうだ、雨で体を洗っているからだ。
無能力者(レベル0)でもこんな暮らしをしている人は居ないだろう。上条は少し泣きたい気持ちになった。

「……ごちそうさま」

鮭を冷蔵庫になおす。固まった白ご飯を雨水で綺麗に流しそしてシンクに置いた。
梅雨。6月の真ん中で、湿気と雨が上条家を襲う。
キノコがそこら中に生えて、随分前には制服にも生えていた。

「はぁ、一度でいいから肉食ってみたいな」

そんな時だった。壊れかけの木のドアがドンドン!と叩かれた。

「はい?」
「カミやーん、俺だにゃー」
「おお、土御門か。今昼飯食ったとこだ」

ドアを開けて、傘をさしている土御門を招き入れる。
彼の手には半分食べた野菜炒めがあって、上条に手渡す。

「……ありがとうな。土御門」
「いいんだぜい?」

そう言って土御門は上条家を出た。
上条は冷蔵庫になおして、湿っている畳みの上に寝転がった。
ボサボサで傷んだ髪の毛を掻いて、そして硬い床で昼寝をする事にする。


                           *


「アレイスター、お前の幻想殺しはあんな極貧の生活を送っているが」
「もう幻想殺しなど必要ない。もちろん、エイワスを顕現する事も出来ない。プランはもう完成する事すら出来ないのだ。
学園都市の体制の崩壊によってな。統括理事会などもう何の権限もない。
今、一番力を持っているのは外部個人主義組織だ。体制は既に『格差社会』になっている。
警備員(アンチスキル)も風紀委員(ジャッジメント)も存在しない私の作っていた学園都市とは全く違ったモノになってしまった訳だ」
「それで、無能力者達に支援していると言う訳か」

アレイスターと呼ばれた者は大きな生命維持装置の中で培養液に浸かりながら苦虫を噛み潰した様な表情をした。
しかし決してこの格差社会を打開できない訳じゃない。
全体の六割を占める無能力者を使えば。

「土御門、学園都市はもうすぐ改革するぞ。幻想殺しはあんなに有意義な者だとは。彼は誰よりも良い位置にいる。
底辺と頂点か……こういうのは嫌いなんだが」
「何が言いたい」
「直に判る。それまで彼が死なない様に支援しておいてくれたまえ」
「……アレイスター……あとで泣きを見るのはお前だ」
「ふふ、それは―――楽しみだ」









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