とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「店の名前や注意書きはともかくとして、あのチビガキのことを考えればここが妥当だと思うのですが皆さんはどうでしょう?」
「せやなぁ。あの腹ペコシスターのことを考えればここがええけど注意書きが何ともまた……」
「僕は賛成だね。お金も少ないし、それにこの店もインデックスの胃袋と食欲には勝てはしないだろうさ」
「そうだけどよぉ、店の名前が悪すぎだろ……。『くいだおれ』ならまだしも『喰わせ殺し』だぜ」

 先行グループが見つけた店はバイキング形式のレストラン『喰わせ殺し』というネーミングがよろしくない店だった。
 しかも入り口の注意書きにはやけに挑戦的なことが書いてある。

〔当店はお1人から団体様まで大歓迎。1人1500円で食べ放題! 団体客に限り1人でも当店が決めた1500円分の食事を食べれば全員タダ!〕
〔ただし全員がこちらが決めた1500円分の料理を食べられなかったら全員倍額お支払い。制限時間は2時間、食えるものなら食ってみるがいい!〕

 飲食店としてこれはどうなのかと思うのだが、それでも潰れていないので店の景気はいいようだ。

「ねえねえとうまのお母さん、りこう。これは私に対する挑戦状と受け取っていいのかな?」
「あらあら、インデックスさん的には闘志が湧いてきた感じかしら~? でも確かに挑戦的ね~。インデックスさんには頑張ってもらわないと♪」
「大丈夫、いんでっくすの食に対する強い思いがあればきっと勝てる」
「よーっし! 今日のランチはリミッター解除、だけど食への感謝を忘れず一口50噛みは忘れずに頑張るんだよ!」

 インデックスは知らない、この『喰わせ殺し』という店が過去99組の団体客を悉く返り討ちにしている脅威の店だということを。
 『喰わせ殺し』は知らない、この店に訪れようとしているシスターがフードファイターも裸足で逃げ出すほどの驚異的な食欲と胃袋の持ち主だということを。

「ねえねえ絹旗ちゃん。私達倍額払わされることになっちゃうのかな?」
「超心配無用です。私も実際には見たことありませんがあのシスターの超食欲は凄いと聞いています。超大丈夫のはず……です」
「せやけどこの店の注意書きの自信は異常やで。いくらシスターはんでも今回ばかりは勝てへんのとちゃうやろか?」

 不安を覚える乙姫、絹旗、青ピとは対照的に全く不安に思っていないのは黒子、ステイル、浜面。

「……あの暴食シスターに勝てる食べ放題のお店などあるわけがございませんの。わたくし達に目を付けられたのがこの店の運の尽きですわよ」
「これでお金が浮くんだ。インデックスには目一杯食べてもらうとしよう。この店が悲鳴を上げるほどにね」
「俺達の苦労が報われるんだ。この店には悪いが敗北の味ってのを味わってもらおうぜ」



 かくして昼ご飯を食べる場所を決めた先行グループの代表、詩菜が当麻達にこの店の場所を伝えた。
 それから10分後、当麻達も合流し、改めて当麻一行は昼食を摂る為に『喰わせ殺し』へと足を踏み入れるのだった。




入店するやいなやインデックスは早速店長に宣言する。

「表の挑戦状受け取ったんだよ!!」
「ほう、お嬢さんで百組目だぞ?喰わせ殺されるのは…」

どうやらこの店長事態が挑発的な態度らしい。

「ふっ、舐めてもらっちゃ困るんだよ!!こっちは腹ペコなんだよ!!そっちこそ喰われ殺されるんだよ!!」
「ほう、お前さんは食い意地張ってるみたいだな…いいだろう!!その挑戦受けて立つ!!」

今、意地と意地がぶつかり合う!!

「ねぇ、本当に大丈夫かしら…?」
「インデックスなら軽く平らげるだろ?」





1時間50分後。
「ゲフー。もうお腹いっぱい、食べられないんだよー。」

「あきらめるなインデックス!!」
「そうよ、倍額なんてイヤよ!!」

インデックスから見て一番『遠い』上琴が悲鳴を上げる。

あまりの食器の数にインデックスが見えない。

するとそこへインデックスの『敗北宣言』を聞きつけた店長がやってきた。


「フムフム、終了10分前まで粘るとはスゴいねえ……














えええええええーーーーーーっ!!!!!!!!!!!?????????」
店長の悲鳴の意味するところはただ一つ。

「た、食べきっただとぅ!!!!??????」
「「「「「「「「「「「「「「「ぬぁーぬぃー!!!???」」」」」」」」」」」」」」」
店員のみならず居合わせた客までもが悲鳴を上げる。

「ううう。」
だがインデックスは悔しそうである。

何故かというと。
「周りのみんなが残してくれてるのに食べられないなんて!こんな屈辱初めてなんだよ!!!!」
正確には隣の打ち止めの分を手伝った所でギブアップしたのである。

「さ、さすがだインデックス。」ステイルも驚きを隠せない。
「…そんシスターの胃袋に入らない物ってないんとちゃう?」
青ピの意見ももっともである。

「がーーーーーはっはっはっはっ! まさか『喰わせ殺し』が喰い殺されるたぁな! 負けたがいい気分だぜ!」

 『喰わせ殺し』の店長はインデックスの食べっぷり、そして苦しそうながらも笑顔を見せていることに嬉しくて大笑いした。
 早くも胃の中身を苦しくならない程度に消化させたインデックスが上から目線で店長を労う。

「このお店はいい仕事してるんだよ。味も最高、全世界のあらゆる料理を取り揃えたレパートリー、そして店員さんの質の高い接客。どれを取っても文句無いんだよ♪」
「ありがとよ。史上初の完食者の嬢ちゃんに褒めてもらえるたぁ光栄だねぇ」

 インデックスの指摘通り、店の名前こそ『喰わせ殺し』と悪いのだが店そのものの質は非常に高かった。
 味は勿論のこと、全世界の色々な料理(ゲテモノ系は除く)を取り揃え、店員の細やかなサービスに最高の笑顔、どれを取っても高い水準を誇る。
 そんな中、どう考えても設定金額を大幅に超える量を食べたことに不安を覚えた当麻が尋ねる。

「あの~、これだけ食べて大丈夫なんでしょうか? うちのインデックスのしたこととはいえ赤字では無いでしょうか?」
「細かいこたぁ気にすんな兄ちゃん! むしろこれだけ食べないと一人1500円にならねぇんだからよ! そこの嬢ちゃんの彼氏ならドンと構えてろい!」
「店長さん、それは違うんだよ。とうまの恋人は隣にいるみこと。その辺は勘違いされると困るかも」
「ほぅ! 兄ちゃんその歳でそんな可愛い嬢ちゃんと付き合ってんのか! 成程なぁ、よく見りゃ似合いのカップルじゃねぇか! こいつはめでてぇ!」

 『喰わせ殺し』の店長の豪快な性格にインデックスやマイペースな性格の者達以外の面々は圧倒されっぱなしだ。
 料理に満足していた当麻一行だが、食べ過ぎたせいもあってすぐに動くのはきついと思っていると店長から嬉しい申し出がなされる。

「本当なら2時間経ったら帰ってもらうとこなんだが今日は気分がいいからな、好きなだけ休んでいってくれ! その間に腹減ったらまた食ってもいいぞ!」
「あらあら~、そのようなことを言っていただけるなんて~。インデックスさん、店長さんに代表としてお礼を言ってあげて」
「ありがとうなんだよ♪ じゃあ遠慮なく休ませて貰って遠慮なくまた食べるんだよ!」
「いんでっくす、少しは自重した方がいい。さっきよりは食べないと約束するなら大丈夫だけど」

 お礼を言うインデックスとそれを上手く操縦する詩菜と滝壺に感心しつつ、店長はインデックスの頭をグリグリと撫で回した。
 店長は仕事に戻る前に、インデックスに新たな挑戦状を叩きつける。

「ああそうだ。シスターの嬢ちゃん、あんたインデックスっていうんだよな。普段はどこに住んでるんだ?」
「店長さん、この子は学園都市に住んでるんだぜい。しかもそこの柄の悪い神父と一緒に住むことも決定済みにゃー♪」
「ほほぅ、学園都市か。よし決めた! 『喰わせ殺し』学園都市店のオープンをここに宣言するぜ! インデックス嬢ちゃん、腹ぁ空かせて待ってろよ!」

 土御門の言ったインデックスとステイルの同居の件は勿論嘘で、どうせ学園都市に配属されるのだからそうなるだろうという推測だけ。
 『喰わせ殺し』の店長は学園都市店設立とインデックスとの再会を宣言すると、店の業務へと戻って行った。
 食べすぎでまともに動けない当麻達は店長の好意に素直に甘えることにし、体が楽になるまで休憩することに。

「おい土御門! さっきの発言はどうゆうことだ? 僕とインデックスが学園都市で生活って何かの冗談かい?」
「それが冗談じゃないんだにゃー。詳しい話はロンドンに帰ってから最大主教から聞くといいぜい。実はお前さんと禁書目録は」

 そんな中、土御門はインデックスとステイルに今後の予定を伝え始めるのだった。



「実は最近学園都市を襲ってくる魔術師が前より多くなって来ているんだにゃー。だから」
「ん?魔術師達が学園都市を襲っても何もメリットが無いじゃないか。インデックスはイギリスにいるからむしろイギリスの方が危険じゃないのかい?」

「違うぜい違うぜい、細かいことは説明したくないが学園都市にはカミやんがいるんだぜい?」
「待ってくれ、それはつまり上条当麻を殺して得する魔術師が居るということか?」

「そうそう、右方のフィアンマは覚えてるな?」
「な!?今はネセサリウスに勧誘されてるはずじゃ!?」

「そう、確かにフィアンマはネセサリウスに勧誘されている。だが、上条当麻を殺したら右方のフィアンマが帰ってくると信じている信徒達がいる。」
「確かローマ正教はフィアンマを神として拝んでいる信徒達がいるとか…」

「ああ、だから神を堕落の底に突き落としたカミやんを殺せば帰ってくる。もしくは右方のフィアンマより高い地位に立てると思ってるんだろうな。」
「いや待てよ、確かそういう信徒達もまとめてヴェントやアックアが管理しているはずだぞ?」

「それと同時に抜けてる信徒達もいるんだ。困ったことに前の神の右席候補達がな。」
「何!?」

「数はざっと六百人、ネセサリウスが捕まえたのがたった三十人。」
「確かにそのような報告は受けた気がするがそれが何故インデックスを学園都市に招く必要がある?」

「ヴェントって奴は天罰術式って厄介な術式を出してきた、その為の対策だ。天草式が呼ばれたのも同じ理由だ。隠れた術式を見つけ出すのは奴らにとっちゃ専門だからな。ちなみに学園都市からもOKが出てるから食料の方は確保してくれるらしいぜよ?」
「そうか…」

「だから出来るだけ早く禁書目録とイギリスに帰ってくれると助かる。ついでにオルソラも」
「この状況でふざけるな!!」



と、これからやんちゃな遊びが始まるかと思っていたが

「えーと…この人も魔術師なの?」

そりゃ学園都市の人間が魔術のこと話していたら驚くよね~。インデックスサン!!

「ありゃ?言ってなかったかにゃー?」

「これっぽちも言ってないんだよ!!私は完全記憶能力という素晴らしい能力が備わった脳みそがあるんだから!!」

「言って無かったかにゃー?」「彼女が言ってるんだから言ってないんじゃないのかい?」等とほざいている。

「カ・ミ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・な・ん・だ・よ!!」

「何故にー!?」「何で僕までー!?」と二人まとめて噛み付かれている。

「いんでっくす、そんな所でおいしくないもの食べてもしょうがないからこっちを今の内に食べよう。」
「はーい!!」

なんとか危機を逃れた魔術師達だった…。

「何で噛み付いてみたんだ…?」
「ノリじゃないかにゃー?」

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