とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「おーい乙姫ー、固まってないで次頼んだぜ」
「へっ? あっ、うん(このカルタ取り、すっごく面白いよ! もっともっと見たい!)」

 カルタ取りに夢中な当麻達、規模が小さいながらも迫力ある能力バトルに魅せられた乙姫は気付かない。
 読み札、絵札の両方が大きな変化を起こしていることに。

「じゃー二枚目いっくよー! 『ごめーん、待ったー?』」

 読み札を読んだ乙姫もそれを聞いた当麻達も固まってしまった、一人を除いて。
 マイペースなオルソラだけは乱されずに、ゆっくりと探して絵札を取った。

「取れたのでございますわ。あら? 良く見たら絵が付いていませんわね……あらら? 可愛いみことさんが出てきたのでございますわ♪」
「いやいやいや! そこは驚くところじゃ無いだろオルソラ……ってそっちも驚くところだけども!」
「……なんで、なんであの時の恥ずかしい台詞が私の声で聞こえてくるのよーーーーーーッ!」

 当麻達が驚いたこと、それは読み手の乙姫の声が美琴の猫なで声に変換されていたことだった。
 気付けば絵札も変化しており、頭の一文字は残され(若干の修正有り)、絵の方は真っ白になっていた。
 一方通行は自分が取った絵札も何か変化が無いか確認するが、少し沈黙した後で大爆笑し出した。

「ギャハハハハハハハハッ! 何だァこのテンパリまくりの楽しい顔芸はよォ! 笑わせてくれンじゃねェか赤髪よォ!」
「な、何のことだ? ちょっと見せてくれるかい…………ッ!!」

 ステイルが一方通行に見せられた絵札、それは当麻にイノケンティウスを封じられ、パニックになってイノケンティウスを呼んでる時の姿だった。
 黒子は何かがおかしいと気付き、カルタの説明書を改めて見た後で皆に説明を始める。

「どうやらこのカルタ、AIM拡散力場に反応して変化する仕組みのようですわね。しかも各々の記憶に反映したものをランダムに選ぶみたいですの」
「ちょっと待ってくれ。僕のは、恥ずかしいアレは僕と上条当麻しか知らないものだ。僕は能力者じゃないし、上条当麻はレベル0だ。それなのにどうして?」
「確かにおかしいですわね。上条さんの右手はAIM拡散力場も無意識に消してるはずですし。たまたまではないでしょうか?」
(……いや違う。これはおそらくアイツの仕業だ。アレイスターのやつ、こんなオモチャ作るほど暇な時があったんだな……)

 土御門の読み通り、このカルタには魔術師にも反応するように気まぐれでアレイスターが細工を施したものなのだ。
 不思議な現象が起こっていても全く気にしないオルソラは先ほどの絵札を当麻に見せていた。

「とうまさん、どうでございましょう? このみことさんも可愛いと思いませんか?」
「……確かこれって常盤台の寮の前でタックルされた時のことだよな。こんな可愛い美琴をスルーしてたのか俺って……。すっげー不幸だ」
「もーオルソラさんったらそんなもの見せびらかさないでー! 当麻もそう言ってくれるのは嬉しいけどこれは私の黒歴史だからマジマジと見るなー!」

 上琴とオルソラが戯れているのをあえて無視して、ある可能性を月夜が示唆する。

「ということはこのカルタってみんなの恥ずかしい一面が載ってる可能性があるってことだよね?」
「「「「「「「「あっ!!!!!」」」」」」」」

 これにより月夜の予想を聞いていた者はより一層、カルタに対する意欲を強めるのだった。
 上琴も後でその話を聞くと、意地でも一枚でも多く取ってやろうという気持ちを強める。
 乙姫はますますテンションを上げて読み札を読み上げる。

「ガンガンいくよー!! 『まずは、その幻想をぶち殺す!!』」



「とりゃああああああああああああああああ!!」



これは取りてえ!!そう思った上条はすかさず右手で取る。

「どうだ!?上条さんの底力思い知ったか!?」
「カミやん、張り切るのは分かるけどそこまで頑張らなくてもいいんじゃないかにゃー?」
「そうだと思いますよね!?しかし自分の名言コレクションは手に入れておきたいものなんでせう!!」

ちなみに上条の札には掌かざしたりボロボロになってまで拳を握っている上条がいた。

「……当麻、どれだけボロボロになってんのよ…え!?これなんか右腕斬られてるじゃない!!」
「「「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」」」

これには母親達や乙姫も驚いたらしく、みんなで札を見に来る。

「ダメ!!これ絶対ダメですから!!グロいからー!!」
「……確かにグロいから見ない方がいいわね……」

「オイ、俺もそこまで殺ってねェぞォ…」
「じゃあ白いの、君は当麻くんに何処までしたわけ?」
「風のベクトル使って天の彼方まで……」
「「「「「「「「「「「「それもやり過ぎ!!」」」」」」」」」」」」


「ふう、取り敢えず次いくよー。『ォ、ォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』ゴホッゴホッ!!何この台詞?」

土御門の目が光る。その先には『お』が、

「にゃー!!いただきー!!」
「ちょっと待てェええええええええええええええ!!」

運動量のベクトルを操り札を取ろうとするが

「うおっ!?」

顔面に上条の右手がめり込んでしまった……

「悪い!!大丈夫か!?」
「~~~~~~ッ!!」

悲鳴にならない声をあげるがその間に土御門が取ってしまった。

「おー!!何だ何だー!!アクセラが黒い翼を着けて血の涙まで出して喜んでるぜい?」
「もしかしてコスプレ趣味?」
「何で違う方向から見てンだよ!!AIM拡散力場で作って翼だァ!!」

しかしステイル、オルソラは札を見て驚いていた。

「(オルソラ、これはもしかして……)」
「(『天使の力』に酷似していますわね。しかし実質的には全然違うのでございます……)」

「何ぶつぶついってるの?はいはい次々!!『楽勝だ、超能力者(レベル5)』ん?ナニコレ?」




 乙姫が読み上げるや否や絵札の一枚が無音で宙を舞い、そのまま滝壺の手に収まった。
 絵札には浜面が麦野を殴り飛ばすシーンが描かれており、滝壺はその絵札をジーッと見つめていた。



「よかった、はまづらのカッコいい絵札が取れて」
「滝壺に取ってもらえてよかったーっ! 見てみろ、これこそ俺がレベル5の麦野を倒した動かぬ証拠だ!」

 浜面はそう言って自分の勇姿が映っている絵札をみんなに見せびらかす。
 事情を知らない者達は『?』マークを頭に浮かべることしか出来ず、学園都市関係者はただただ驚くばかり。
 前もって事情を知っていた者達はかなり失礼な反応を見せた。

「何だかこれを見せられても超信じられませんね。浜面があの麦野に勝つなんて宝くじ一枚買って一等当てるくらいの超奇跡ですし」
「だよなァ。根性とかは認めてるが、それだけでどうにかなる相手じゃねェだろ第四位は」
「当麻ならすっごく説得力あるけど浜面さんはやっぱり疑っちゃうわね」
「お前ら言い過ぎだって。浜面は大晦日の時は強かったからこの時もきっとその力が出たんだろ、天文学的確率で」

 ボロボロに言われた浜面は滝壺に泣きついて頭を撫でられて慰められていた。
 二人が復帰してからカルタ取りは白熱し、30枚まで消化した。
 一位は一方通行・絹旗ペアの12枚、二位は土白の8枚、三位は上琴で6枚、4位は同着で浜滝とステイル・オルソラペアの2枚。
 現在ブッチギリの最下位を走っているのは青黒ペアの0枚なのだが、これには理由があった。

「わたくしの『空間移動』は物に触れなければ発動できませんの。ですから金属矢で攻めようかと思いましたのに……」
「それやったら床に傷付くゆうて却下されたしなぁ……。とんでもないピンチやでボクら」

 黒子お得意の金属矢の使用は上琴両名に固く禁じられていた、それはもう念入りに。
 ハンデを背負った状況で最下位の危機に立たされた青黒コンビだが、ここで初ゲットのチャンスが訪れる。

「31まっいめー♪ 『あっはーッ! ロリ『が』好きとちゃうでーっ! ロリ『も』好きなんやでーっ!』って変態さん?」

「取ったーっ!!!!!」
叫んだのは当然。

「にゃー。青ピ、自分の発言覚えることが出来てたのかにゃー。」
「全くだァ。驚いたぜェ。」
「すげー。」

哀れ取ったら取ったで不幸になるエセ関西人である。

不幸は続く。
「ロリ『も』なの!?」
「そういえばこの間ものすご~く広い守備範囲を仰ってましたわねえ。しかもこのようなえげつない発言をなさっていたとは…。あとで金属矢のお灸を据えるとしますの。」


「みんな寄ってたかってヒドイわー!!!」

そして最終結果は……。




1位…一方通行・絹旗ペア 13枚
2位…土白ペア 12枚
3位…上琴ペア 8枚
4位…ステイル・オルソラペア 6枚
5位…青白ペア 4枚
最下位…浜滝ペア 3枚
となっていた。

「くそ、最後のがアクセラ達に取られなければ勝てたのににゃー」
「頑張ったと思うよ元春は。でもバーチャル結婚式はやりたかったな」
最後のカードを取るとき、まず浜面が一番早かったのだが、美琴が電撃で動かしその隙に当麻が取ろうとしたものの、白雪が床を凍らせ滑らせた後で絹旗が能力で空中に上げ、みんなが手を伸ばしたところを一方通行がベクトルで当麻以外を吹っ飛ばし、一方通行と当麻の一騎打ちになりちょっとの差で一方通行が取ったのだ。

「ってかアクセラ、なんで私まで超飛ばすのですか!!」
「仕方ねェだろォ。あの状況でお前も吹っ飛ばすしか思いつかなかったンだよォ!!」

一方、最下位を何とか逃れた青黒たちは…
「黒子はん、何とか最下位を逃れましな」
「何も策も無かったのに、ですわね」

そうなのです。青黒たちは何も策は無く、ただ単に自分達の名言だけスピードが速かっただけなのである。
「でも本当に策は無かったんかな?」
「そうですわね。でも最後の勝負だけテレポートで近くに行き、取れたかもしれませんわ」

「確かに取れたかもな。他にも取れたものはあるかもしれへんなー」
「ちょっと考えて見ましょう」
そういって青黒たちは、少し振り返っていた。

一方、最下位の浜滝たちは…


――――――――――――――――――――――――

「滝壺、ぶっちゃけ言うともう金がない…」
「はまづら、無駄遣いでもした?」

「違う!!悪いのは今呑気に寝ている暴食シスターだ!!」
「確かに食べ過ぎだったと思う。」

「本当にどうしよう…通帳には金が残りわずか…」
「大丈夫、私の通帳にゴニョゴニョ…」

「そんなに!?」
「うん、暗部で働いたときのとレベル4の補助金」

「すまない滝壺!!そしてありがとうッ!!」
「これじゃ私が超悪者ですね…」

いきなり絹旗が首を出してきた。


「えっ?もしかしてお年玉出さなくていいのか!?」
「それは超違います。三十万超用意してください。」

「さ、三十万!?無理無理無理!!」
「超ダメです!!これは超約束ですからね!!」

「きぬはた、流石に多すぎだと思う。でもそれくらいなら私が出せる。」
「それこそ超ダメです!!滝壺さんからなんて超貰えません!!」
「理不尽だッ!!」

と、そんなところに

「おーい、最愛」
「あ、お兄ちゃん!!超何ですか?」

「(滝壺、絹旗がストレートでお兄ちゃん発言したぞ!?)」
「(絹旗は私と同じで家族居ないからそれでだと思う。)」

そんなちょっとシリアスシーンに入りかかったが絹旗と上条の会話は続く。

「最愛、流石に三十万は多すぎると思うぞ。それに浜面達はこの後、オルソラの飛行機代払わないといけないんだし」

ギャー!?すっかり忘れてたー!!と浜面が勝手に叫んでいるのは露知らず会話は進む。。

「ううっ…お兄ちゃんに言われたら超仕方ありません。三千円にしてやります。」

理不尽だー!!(以下略)

「よしよし、最愛はいいコだな。」

そう言うと上条はニコッと笑い最愛の頭をわしゃわしゃと撫でた。
ついでにポンッ!!と旗がたつ音も聞こえた気がした。
美琴は大人になったのかやれやれと呆れている。だが、

「…カミやん、ちょっと外出て話し合いまひょか…」
「にゃー、青ピアスと同じ意見だぜい…」

数分後、家の外で上条がボコられたのは言うまでもない。(ちなみに美琴は呆れていると同時に怒っていたので止めなかった。)

「とりあえず浜面から三千円を超貰うことにしましょう」
「理不尽だが仕方ないな。最下位なんだし」
浜面は、絹旗に三千円を渡した。

「さて次は…」
「私でございますね。じゃあ、飛行機代とおこづかいを」
「明日まで待ってくれない? 今、そんなに持っていないから」
「分かりましたわ。明日までにもらえればいいですので」

そうんな事をしている内にデルタフォースが戻ってきた。

「不幸だ…。」

ぼろぼろの上条さんが言う。
「いつものことじゃん。」ちょっとお怒り気味の美琴がさっくり言ってしまう。

正月は過ぎていく。

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