とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

10-2

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
今日から新学期、朝の登校中である。

「だあー!!今日から新学期だ!!とてつもなく不幸な気がしますが美琴がいるので頑張れます!!」
「朝から嬉しい事言ってもキスしかしないわよ!!ん……………ふぁ♪」

「ん!!ったくお前がしたいだけだろ?」
「悪い?当麻とキスすると幸せにな気持ちになるんだもん!!」

「そんな事力説されたら俺が喜んちまうだろうが!!」
「「………………」」
「「えへへへへへへ♪」」
と、そんな所にもう一組のバカップルが……

「にゃー朝からのろけまくってるにゃー」
「本当、私達ほどじゃないけどねー♪」

「全くだにゃー!!」

チュッレロレロレロ…

他のバカップル共は………




「ほらほらみんな起きろーっ! 打ち止め以外は今日から学校なんだから遅刻は許さないじゃんよ!」
「朝からうるさいわよ愛穂。まだ早いじゃないの……」
「いや芳川、お前も今日から先公だろうがァ。そンなンでやってけるのかよ?」
「むしろミサカが一人ぼっちで寂しいってミサカはミサカはしょげてみたり」

 一打、黄泉川、芳川が住んでるマンションの一室ではこんなやり取りが行われていた。
 しょんぼりする打ち止めを一方通行があやす姿を大人二人が冷やかすのはもはや恒例行事となりつつある。

「グッモーーーーーーーーーーーニンでっすわーーーーーっ!! ○○様、黒子の純潔を今日こそ奪ってくださいなっ!」
「朝から何言うてんの黒子はん! そっちも始業式あるんやからさっさと学校にこ、コラ! 服をいそいそと脱いだらアカン!」

 青黒の二人は青ピの部屋で今日も絶賛格闘中。

「はまづら起きて、そろそろ学校だよ。さすがに転入初日に遅刻はまずい」
「ん~~~~~、じゃあ滝壺がキスしてくれたら起きる~~~」
「分かった、はまづらがそう望むのなら」

 そう言って滝壺は浜面にキスすると浜面は元気良く起き上がり、身支度を整え始める。
 それぞれが健全な始業式の朝を迎えていると、上琴と土白の前に情報屋の姿が見える。

「おはよう情報屋」
「か、上条達か、おはよう。俺、ちょっと用事あるから先行くな」
「あっ、行っちゃった。あの人が噂の情報屋って人なの? 何だか話に聞いたのと違って大人しいわね」
「そうだね。元春は何か知らない?」
「いいや全然(まさか昨日のがここまで効果覿面とは予想外だったな……)」

 情報屋のあまりの大人しさに驚きを隠せない上琴と月夜。
 唯一、事情を知っている土御門は昨日のことを思い返していた。










 3学期が始まる前日、紫木友こと情報屋はとあるマンションの一室に呼び出されていた。
 情報屋は生まれて初めて貰ったラブレターに浮かれてこのマンションに入ったのだが、浮かれ気分はそこまで。
 目の前にいる花飾りを付けた少女はともかく、彼の後ろに立っているポニーテールの美女から放たれる殺気に冷や汗ダラダラである。

「……えっと、君は確かジャッジメントの初春飾利さんだよね。どうして俺を呼び出したのかな?」

 情報屋はこんな状況下でも相手の情報を得ようと動くが彼は知らない、この場にいる者達がいかに危険かということを。

「簡単なことです、情報屋さんこと紫木友さん。あなたが掴んでる当麻お兄ちゃん達の情報、他の誰にもばらさないで下さい」
「それだけ? だったら約束するよ、俺はこの情報を他の誰にもばらしたりしない」
「良かった、紫木さんが話の分かる人で。余計な忠告はしないで済みそうですね、火織お姉ちゃん」
「ええ飾利。彼のような一般人を私達の世界に引き込むのは忍びないですからね」

 ちなみに初春と神裂、正月からこの期間にかけてお互いを飾利、火織お姉ちゃんと呼び合う仲になっている。
 情報屋は神裂の台詞にピンと来るものを感じてすぐさまそのことを聞き出そうとするが、彼はこのことを後に死ぬほど後悔する。

「あのさ、君達の世界ってどうゆうこと? もしかして何か凄いことがあったりするの?」
「……答えてもいいんですけど、殺される覚悟はありますか? その覚悟が無いのなら止めた方がいいです」
「こ、殺されるってじょ、冗談きついなぁ……(あれ? 『思考漏洩』が通じない? どうゆうことだ?)」
「冗談じゃないんですよ、これが。ちなみにあなたの『思考漏洩』は私には通用しません♪ 何故か精神系の能力と相性バッチリなんです」

 情報屋は自分の能力が通用しないことにパニックになり、目の前の少女が恐ろしいものにしか映らなくなっていた。
 そんな情報屋の心情を知ってか知らずか、初春は目の前の少年を追い詰める。

「それにしてもレベルを偽るなんて良くありませんよ? 相手を油断させて情報を聞き出す、実に紫木さんらしいやり方だと思いますけど」
「ど、どうしてそのことを知ってる! いったい君は、いや君達は一体何者なんだ!」
「ここに来てまだ能力を使うその精神力、大したものです。ですけどそれ以上はおススメしませんよ? 現にホラ♪」

 情報屋が初春の指差す方を振り返ると、そこには七天七刀をいつでも抜刀できるように準備している神裂がいた。
 生まれて初めて感じる『本物の殺気』に気絶しそうになりながらも、情報屋としての矜持が彼を踏み止まらせる。

「もう一度だけ言います。これ以上当麻お兄ちゃん達の情報を掴んでもばらさない、私達の世界への深入りは止めて下さい。さもないと」
「ど、どうなるって言うんだ? まさか漫画みたく消すとか言わないよな?」
「私達は言いませんよ、私達は。でも一方通行さんと土御門さん、あの二人は一切の迷いも無く殺しますよ? 大事なものを守る為なら」

 情報屋は独自の情報で一方通行の危険性を良く知っていただけに、初春の言葉に嘘は無いと確信を得る。
 そして観念して、初春の言葉を受け入れることにした情報屋は最後に初春に尋ねる。

「ねえ初春さん。もし、もしだよ、俺が約束を破ったらどうする?」
「知ってます? 人ってありとあらゆる権利を奪うだけで殺されたも同然なんですよ♪」
「ご、ごめんなさーーーーーいっ!!」

 初春の言葉に情報屋はここに来て初めての戦慄を感じると、猛ダッシュで部屋を後にした。
 情報屋が居なくなったのを確認すると、初春は肩の力を抜いた脱力した。

「はあ~~~~~~~~~っ、疲れた~~~~~~~~。やっぱりこういった演技って慣れないですよ~」
「お疲れ様でした飾利。ですがあなたの脅し、とても慣れていないように見えましたがもしかして慣れているんですか?」
「な、慣れてなんかないですよーーーっ! でもこれで紫木さんが深入りしなくなってくれればいいんですけど」

 情報屋の為、そして当麻達の安寧の為に初春は慣れない『人を脅す』という行為を演じていたのだ。
 初春と神裂が話していると隣からステイル、土御門、建宮が現れる(ステイルと初春は前日に顔合わせ終了)。




「甘いんじゃないかな。記憶を消すべきだと思うよ、僕は。彼のような好奇心の塊はいずれ同じ過ちを繰り返す」
「そいつはオレ達にとって上手くないにゃー。情報屋はあくまでただの学生。こっちの情報が残りそうな真似は控えるべきぜよ」
「土御門の言う通りなのよステイル。それにこれは飾利姫と土御門のあの少年を思っての考え。我らの情報が漏れないなら甘い手段も悪くないのよな」

 情報屋を脅して魔術側ならびに科学側の闇から引き離すことを考えたのは土御門、そして事情を聞いた初春だった。
 初春に関しては当麻達の関係を乱されたくないという理由の方が少しではあるが強かったりする。
 そんな中、初春は不思議に思っていたことを土御門に尋ねる。

「でも土御門さん、どうして私にこの役をやらせたんですか? 土御門さんの方が効率良くやれそうな気がしますけど」
「あいつの『思考漏洩』にかかってこれ以上余計な情報を漏らしたくなかったにゃー。それに初春ちゃんは俺を騙した前科があるから適任なんだぜい」
「ぜ、前科って酷いですよ土御門さん!」

 土御門にからかわれむくれる初春を神裂、ステイル、建宮は微笑ましく見つめていた。

「本当にあんな子が僕らのサポートをしてくれるとはね。彼女の覚悟は既に聞いているが、とてもそんな風には見えないから不思議だよ」
「フッフッフッ、お前さんは飾利姫の良さを分かってないのよステイル。今からこの建宮斎字が一から百まで教えあだだだだだっ!」
「建宮、少し黙りなさい。ですが飾利は見た目で判断すると痛い目に遭いますよ。ステイル、これから彼女とも付き合いが長くなるのですから覚えておきなさい」
「了解。初春飾利か……上条当麻並みのお人好しだな」

 神裂のワイヤーで縛られて転がされてる建宮を視界の外に追い出して、ステイルはとあるマンションの一室を後にした。
 土御門は月夜とのデート、初春は佐天と絹旗と遊ぶ約束があるのでステイルよりやや遅れてマンションを後にした。
 ちなみにこのマンション、天草式学園都市支部のアジトの一つで神裂と建宮は明日の予定についての話し合いがあるので残ることに。

「初春ちゃんは改めてカミやん並みにバカみたいなお人好しだとオレは確信したぜい」
「……それって褒めてます?」
「褒めてるぜよ、十二分に。とりあえず言えることはお前さんは敵には回したくないってことだにゃー」
「それは私も同感です♪ でも土御門さんとはなんだかんだで敵同士にはならない気がしますけど」

 初春の予感に土御門も感じ入ることがあるのか、その予感を素直に受け入れることに。
 それぞれの目的地に向かうために二人は別々の道を行ったことで『情報屋抑制計画』はここに終わりを迎えるのだった。



「元春、元春ってば!」
「あ、ああ悪い悪い。どうかしたかにゃー?」
「どうかしたかじゃないよ。ほら見てよ、あれ」

 昨日のことを思い返してるうちにボーっとしていた土御門は月夜に呼ばれてようやく気付いた。
 目の前で上琴が残念な美女にして当麻達の高校の新任教師、木山春生が服を脱ぎかけているのを必死に止めていることに。





「暑い…」
「夏なら分かりますけど!!いえ夏でも分かりませんけどいい加減脱ぎ癖直してください!!」
「変な目で見られてますから!!ちょっと俺が何か変な目で見られてるんですが!?」

「何ぜよ?あの露出狂?」
「それがあの人うちの学校の新しい先生なんだって。」

「にゃんれすと!?それじゃ初出勤でいきなり逮捕と言うオチか!?」
「本当に有り得るかも!!ねえねえねえねえねえねえ!!」

「にゃーやめろ!!やめてクレー!!そんなに速く揺らしたら吐いちゃうぜよ!!」
「分かった。でもどうしよう?」

「あの人何故か暑がってるから月夜が氷付けにしたらいいんじゃないかにゃー?」

土御門は冗談半分で言ったのだが、

「成る程!!流石元春!!とりゃー!!」
「ええー!?真面目にやっちゃったのかよ!?」

驚きで喋り方忘れてるぜ?土御門君。
そして木山は上条&美琴に被害なく、無事(?)に凍った。
その後、三人(美琴は途中で常盤台に行かせた)で学校まで運んだのは言うまでもない。



「えっと……氷付けになってる人はうちの学校の新しい先生なんですよー。白雪ちゃんなんで氷付けにしちゃったんですか?」
「それがこの人いきなり服を脱ぎ出したんです!!」

「あー…彼女そういう人でしたね。まあそこは先生の友達ということで許してやって下さいですー」
「あれ?そっちの木山先生は飾利が紹介したんじゃありませんでしたっけ?」

「上条ちゃんよく知ってますねー。また旗でも挙げたんですか?」
「いや、義妹です。」

「か、上条ちゃんがとうとう義妹属性に!?」
「取り敢えずそこはスルーして話を進めて下さいにゃー」

「分かりました。木山先生は確かに風紀委員の初春さんからの紹介があって、偶然知り合いだったものですから先生が木山先生と知り合いなのはおかしくないのです。」

まあ納得は出来るのだが紹介したのが初春じゃ少し疑ってしまう。

「取り敢えず上条ちゃん、木山先生の氷をどうにかしてほしいんですよ。」
「あーはいはーい」

上条は手袋(月夜に借りた。途中で溶けてしまったら大変な事になるから。)を外して氷に触れる。ピキンッ!!と氷が割れる音がした。

「酷い目にあった…」
「お疲れ様でしたー」

「暑い。」

「「「「「「待てーっ!!!!!!」」」」」」

新学期初日は何やら凄そうである。

始業式にやることは定型化されている。

意味が無い校長の訓示と新任教師の紹介である。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー