とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「建宮さん、事情は分かりましたから切ってもいいですか? こっちもちょっと忙しいので」
『んな? ちょ、おま、その態度は』

 建宮の電話を切った後で対馬は目の前の人物に謝った。
 しかし目の前の人物は特に気にした様子も無く対馬、そして浦上に中断した会話を再開させる。

「気にしなくていい。これはあくまで個人的な会話だからな。むしろそんな風に謝られると私も困るんだがな、同僚としては」
「す、すみません寮監さん。寮監さんの話の腰を折ったのがとあるバカの電話だったものですから謝らなくてはいけないと思いまして……」
(対馬の気持ちが痛いほど分かるなぁ)

 対馬と浦上、あれから常盤台の寮監と今後についての話をしていたのだ。
 寮監の見た目、そして醸し出される強者のオーラに緊張していた二人だが話してるうちに段々と緊張が解けてきたようだ。
 今、寮監が話してるのはこの寮の問題児こと美琴と黒子の扱いについて。

「そういえば君達は御坂と白井とは知り合いのようだな」
「「ええ、まあ」」
「ならば何も言うまい。もしあいつらが門限破りしたら容赦なく折檻して構わん。レベルは高いが問題児だからな、あいつらは。強いんだろう? 君達」

 寮監は対馬と浦上が天草式魔術の使い手だとは当然知らないが、佇まいから只者ではないと見抜いていた。
 二人は途惑いながらも頷くと、最後に寮監にこんなことを勧められる。

「じゃあ今日はこれまでにしよう。引き止めて悪かったな。それと住み込みで働く件、考えておいてくれ」

 寮監が去った後で対馬と浦上は住み込みで働く件について話し合う、建宮からの話はひとまず置いて(対馬のみ)。

「住み込みかー、悪くないよね。本当の目的の『御坂さんと白井さんを護る』を考えたらそうするのがいいと思わない?」
「そうなんだけどさ、あの二人って護られるほど弱くないよね? どうして初春ちゃんは私達にあの子達の護衛を頼んだのかな?」
「世の中に絶対なんて無い。万が一が起きて上条当麻が危機に晒されたらそれこそ大変でしょ? 初春はそれを危惧して私達をここに派遣したのよ」
「そっか、それなら納得。ところで対馬、建宮さんからの報告の件、プリエステスに伝えなくていいの? ついでに住み込みの件も相談しようよ」
「あ……忘れてた」

 神裂に常盤台の寮での住み込みで働く件について相談しようとする対馬と浦上だが、気持ちは殆ど決まっていたりする。
 対馬は建宮から言われたことをようやく思い出すと、神裂へと連絡を取る。


「もしもし? ああ、対馬ですか。せっかく飾利に頭を撫でてもらっていたというのに無粋ですよ。もっと撫でてもらいたかったのに」
『す、すみません……? そ、それよりも大変です。建宮さんから怪しい魔術師を発見したとの報告が』
「怪しい魔術師? 成程、それは大変ですね。相手の特徴は? それとその魔術師がいる場所は?」
『魔術師は神の右席候補では無い模様。所持してるのは黒曜石のナイフ。潜伏先は上条当麻の通う高校の近くにある公園です』

 電話に出た神裂の締まらない態度に対馬も驚くが、その後の切り替えは実に見事なもので感心しきりだった。
 ゆるみ切っていた神裂だが、魔術側に関する会話だったのですかさず席を外すくらいはやっていたりする。
 神裂は対馬からの報告を受けると、対馬と浦上には天草式のアジトの一つで待機を命じた後で敵と思しき魔術師について考えを巡らす。

「黒曜石を使う魔術師、確かアステカの魔術師がそのような物を使っていた記憶が……」
「それならきっと海原・エツァリ・光貴さんですね。あの人が魔術師だなんて知りませんでした」
「か、飾利! あなたいつから……」
「火織お姉ちゃんが出て行ってから少し経ってからですよ。他には誰も居ないので大丈夫です」

 いつの間にか初春が近くに居ることに驚きを隠せない神裂だが、初春以外に誰も居ないことに安心した。
 気になったのは初春の口から出てきた名前だが、それについては初春から先に説明がなされた。

「実は去年なんですけど、黒曜石のナイフという珍しい落し物があったんです。その持ち主も珍しい名前だったから良く覚えてるんですよ」
(エツァリがおそらく本名でしょうけど、成りすました人間の名前を混ぜて名乗ったりするとは相当の間抜けなんでしょうか?)

 海原のあまりの迂闊っぷりに神裂は無視しておいても大丈夫な気がしてきた、冗談抜きで。
 そんなことを考えているうちに初春が神裂に頼みごとをする。

「火織お姉ちゃんには五和さんに海原・エツァリ・光貴さんの所に向かわせるように指示して欲しいんです」
「それは構いませんがどうして五和を?」
「あの二人、似た者同士なんです。五和さんは当麻お兄ちゃんが好きで美琴お姉さんを殺したがってる。海原・エツァリ・光貴さんはその逆ですね」
「……その二人を会わせたらまずいのでは? コンビを組んで二人に襲い掛かりでもしたらそれこそ一大事ですよ」

 初春が五和に直接言わずに神裂を通して指示を出しているのは、五和が初春のことを嫌ってるから。
 そのことで神裂、建宮、対馬、浦上は頭を悩ませているが当人達はそのことを知らない。
 初春の提案に神裂は疑問を持ったが、それは初春の考えで払拭されることに。

「五和さんは当麻お兄ちゃんと結ばれたいから美琴お姉さんを殺したい。エツァリさんは美琴お姉さんと結ばれたいから当麻お兄ちゃんを殺したい。これって変ですよね?」
「変、ですか? 別にどこも……ああ、そうゆうことですか(そして飾利、あなたは恐ろしいことを考える子なんですね……)」
「そう、あの二人は矛盾してるんです。お互いにとっての邪魔者を殺したらそこには何も残らない。分かりやすく言うと二人は潰し合う立場なんですよ♪」
「つまり飾利は二人をぶつけて共倒れを狙おうと……分かりました。五和にはこちらの目論見が分からないように伝えておきましょう」

 初春がいつの間にか裏モードに入ってるのを感じると、神裂は目の前の少女の将来が心底心配になってきた。
 神裂は初春のやろうとしてることを理解し、五和に連絡を取ろうとしたがそれより先に浦上から連絡が入る。

『すみませんプリエステス。先ほど対馬が聞きそびれたことを聞いてもいいでしょうか? 私達、常盤台の寮で住み込みで働いていいですよね?」
「……好きにしなさい。それが私達の主目的の為なら私は咎めません」

 浦上の緊張感に欠ける電話内容に神裂はまともに取り合う気が無く、何も考えずにオッケーを出した。
 気を取り直して神裂は五和に海原討伐の件の命令を下す為に電話をかける。
 ちょうどその頃、五和はというと繚乱家政女学校で神のごとき扱いを受けていた。



「ほらーそこー!!休んでる暇があったらホコリを一つでも落とすんだぞー!!」
「は、はい!!」

五和は土御門舞夏に徹底的にしごかれていた。

「なんで中等部の舞夏が高等部にいるの?」
「中等部では一番成績がいいから新人に教え込むよう校長に頼まれたそうよ」

「ほらそこー!!喋ってる暇があったらシミを一つでも落とすんだぞー!!」
「「はい!!」」

(なんで私が家政婦なんてやらないといけないんですか!!それならいっそのことあの人に近づいて寝取ればあのビリビリ貧乳中学生にギャフンと言わせられたのに……!!まあ普通に考えれば能力開発なんてやったら身が持ちませんけどね。まああの人のそばにいられるならそれもありかな……)

と五和が恐ろしい事を考えてる時にプリエステスから連絡が来た。どうやらアステカのイカれた魔術師(五和自身もそうだが…)が何やら企んでいるようなのだ。

「すいません、今日は具合が悪いので早退させて頂きます!!」
「逃げるなー!!」

こんな感じで取り敢えず外に出たのであった。





外に出たらすぐに電話に出た。
「プリエステス、いったい何の用ですか?」
『五和、上条当麻を殺そうとしている魔術師がいます』

「なんですって!その魔術師は今何処にいるんですか!?」
『第7学区の○○です』

「わっかりました!」
そう言って五和は電話を切り、すぐさま目的地に向った。


154 :φ:2010/02/26(金) 15:32:08 ID:1ccdMZQs
その頃、五和の目的地では…

「遅い…遅すぎます…上条当麻を殺すならもっと気合を入れないといけませんね。」

などと言ってる間に

「にゃー、昼飯食って、デートして、夜辺りにパーティーだにゃー」
「パーティーってなんか恥ずかしいなー///」

「恥ずかしがってる月夜もいいぜい!!」
「やだー!!元春ったらー!!」

「(あの野郎…自分は彼女とデートですか…もしや自分は遊ばれていたのでは…?殺さないと気が済みませんね…)どうも土御門さん」
「よう!!ってありゃー?海原はカミやん狩りしてたんじゃなかったかにゃー?」

「元春ったらまだそんな事言ってたの…?」
「今回はちゃんとした理由があるんだぜい?最近カミやんは調子こいてる上にキャラ崩壊しちまってるにゃー!!」
「あー、確かに…」

そんな事を言ってる間に…海原の黒曜石のナイフは光る。

「月夜!!逃げろ!!」
「へっ?何言ってるの元春?ってうわわわー!?」

何か飛んできたー!!と言いながら白雪は氷の壁を自分と土御門の前に作った、だが粉々にされてしまう。被害は無いが…

「そんな事より土御門さん。貴方を上条当麻より先に殺してしまいましょう…」

海原、実は上琴が付き合ってからちょっとおかしくなってしまった。その為そんな結論にたどり着いたのだろう。

「…海原、お前に腕のいい精神科医を紹介してやるぜい」
「そんな必要はありませんからご安心をっ!!」

そんな無駄だ愚痴叩いてる間にも黒曜石のナイフは容赦なしだ。

「うおっ!!」
「どうしましたか土御門さん?貴方ってこんな程度でしたっけっ!!」

そんな時、レベル5の雪女が…

「私の元春に手を出すなぁぁあああああああああああ!!」


「うおおっ!?」

こちらとて腐ってもプロの魔術師、月夜の氷付け攻撃を見事にかわす。

「流石は元春の命を狙うことだけはあるってとこかなー?」
「こちらも少々驚きましたね。土御門さんの彼女さんはどうやらお強いようで…ッ!!」

海原は標的を変更して黒曜石のナイフを白雪に向ける。

「無駄無駄ーッ!!」

こちらも身代わりの氷で攻撃をかわす。

(うーん、でもこれだけじゃ元春の命を狙った大馬鹿野郎に傷一つ付けられない…よし!!ここは新技の白い竜巻だ!!)

「とりゃー!!」
「雪?そんなもので自分に傷一つ…ッ!?」

計画通り、雪の竜巻は海原を包み込んだ。

「台風の目ってさー、空気が無いらしいよ。そんな所にいたら窒息死確定だね♪でも安心して、元春殺そうとした奴には痛いお仕置きがいいよねー!!」
「 ッ!?          ッ!!」

竜巻の中で海原の声は聞こえない。だが言ってることは何となく分かった。

「私ってさー。その雪の一部を鋭い氷にも出来るんだよ♪」

直後、海原は鋭い氷の餌食になった…。




…数分後

「あははー…さすがにやばいかなー…?」
「月夜、これからは力の向上じゃなくて料理の仕方を覚えて行こうぜい…」
「はーい…」

海原は死んではいないものの、年末年始同様病院生活を送ることは間違いないだろう…。

「まっ、ザマーミロって感じだけど…昼飯でも食いにいこうかにゃー?」
「はーい♪」

海原のことはあんまり気にしていない二人だった。



「あれっ?」

五和は土御門と白雪が行ってしまってから二分後に着いた。

「少し遅かったのよね。」
「あっ、建宮さん。遅かったってどういう事ですか?」

「実はな、カクガクシカジカと言うわけなのよね。」
「ええっ!?土御門さんの彼女が片付けた!?」

「そうなのよね。上条勢力、正に最強なのよね……。」

五和は素直に同意した。



「ん?もう一時半か……。そろそろ出るか……。と、その前に美琴に連絡だな……。」

プルルル…カチャ

『もしもし、当麻?』
「ああ、俺そろそろ出るけど場所とか変更ないな?」

『無いわよ?そろそろ私も着くから、待ってるわね♪』
「わかった。愛してるぞ、美琴♪」

『私も愛してるわよ♪じゃあね~』
「じゃあな~」

プツッ、ツーツーツー…

「さてと、行きますか。」



 当麻の会話を終え、待ち合わせ場所に向かう美琴に一本の電話が入ってきた。
 画面に表示された番号を見た美琴は不思議に思いながらも電話に出た。

「もしもし打ち止め? どうしたのよ? あんた達とは待ち合わせ場所で落ち合う約束でしょ?」
『それなんだけど急遽予定変更ですってミサカはミサカはママにサプライズプレゼント的なことを伝えてみる!』
「サプライズ? 聞くだけ聞くけど、下らないことだったらお尻ペンペンだからね」
『ううっママが怖いってミサカはミサカは怯えるけど、ミサカ達はあの人と合流して『喰わせ殺し』に行くからパパとママは二人っきりだって報告してみる』

 打ち止めの提案、実は意外にも一方通行が出した考えなのだが決して上琴に気を利かせてとかそんなことは考えていない。
 パーティー会場として『喰わせ殺し』を使うにあたって、アポを取らないと話にならないということで昼食ついでに交渉しに行くつもりなのだ。
 相手はあの豪快を絵に描いたような店長だし、インデックスも連れて行くのでまず大丈夫だと一方通行は踏んでいたりする。

「ありがと打ち止め♪ 今度ママとパパで一緒にお出かけしよーね♪」
『わーいわーいってミサカはミサカは予想外の嬉しい約束に驚きながらも、パパにはこのことは内緒にした方がいいよってアドバイスを送ってみたり』
「そうね、その方が当麻もいい反応してくれそうだし。打ち止め達と会うのはパーティーの時になるわね。じゃあまた後で♪」

 予期せぬデート成立に美琴は電話を切った後で人目もはばからず喜びを露にする。
 テンションがハイになった美琴はスキップしながら当麻との待ち合わせ場所に向かった。
 一方の打ち止め、インデックス、ステイルは一方通行と合流し、『喰わせ殺し』に足を運んでいた。

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