とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

11-15

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kinsho_second

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「やっちまいなエリス!」

 シェリーの命令を受けてゴーレム・エリスの拳が一方通行と打ち止めに襲い掛かる。
 しかし一方通行相手にその程度の普通の攻撃など通用するはずも無い。

「ハッ! 甘ェ!」

 一方通行の『ベクトル操作』で強化された右腕の一撃がいとも容易くゴーレム・エリスの右腕を粉砕、そのまま本体ごと破壊しようとする。
 ところがシェリーは冷静に、ゴーレム・エリスの右腕を即座に切り離し、本体破壊を免れる。
 しかし一方通行はそれに驚く事無くゴーレム・エリスの右腕の残骸をイノケンティウスに弾丸のように放つが、魔女狩りの王と呼べる魔人の熱で溶かされてしまう。

「ヘェ、思ったよりもやるじゃねェか」
「お褒めに預かり光栄だね。それにしても僕の強化されたイノケンティウスの熱をくぐり抜けて数発当てるなんて驚きだよ」
「そんなに驚きてェならもっと見せてやるぜ? 学園都市最強のレベル5の力ってやつをタップリとなァ」
「いっえーーーい! 今日のあなたはカッコいいってミサカはミサカは愛しい人の胸の中ではしゃいでみたり♪」

 互いを牽制しあう中、打ち止めの無邪気なはしゃぎっぷりにギャーギャー騒ぎ始めた一方通行にステイルとシェリーは呆れた眼差しを送っていた。

「やれやれ、どうにも緊張感に欠けるね。シェリー、エリスの調子は?」
「問題無いさ。やられた右腕もとっくの昔に修復済み。つーわけでさ白ガキとチビっ子、そろそろ再開させてもいいかい?」
「っと、今はクソガキの相手をしてる暇なンざ無かったな。いいぜ、続きといこうじゃねェかァ!」

 そう言って一方通行は打ち止めを抱えたままステイルとシェリーに向けて突撃をかける。
 しかし彼は思いもしないだろう、ルーンがあるかぎり無限に再生を続ける炎の魔人と大地より生まれた巨人の持つ修復機能に予想外の苦戦を強いられることを。

――――――――――

 その頃、土御門は森を駆けながら建宮との戦闘を繰り広げていた。
 お互いに森という動きづらい場所をものともせずに駆け、戦うさまは美しささえ感じられる。

「さっすがなのよな土御門! 魔術無しでもここまでやれる。トリックスターの名は伊達じゃねえのよ!」
「あっぶね! 建宮、あんた俺を殺すつもりか! 今の避けなかったら確実に首が飛んでるぞ! ねーちんならそんな真似しねーぞ!」
「うおっ! そっちこそゴム弾じゃなくて実弾撃つなんて何考えてるのよ! しかも躊躇無く撃ちやがってグオッ!」

 建宮がフランベルジェを振り下ろせば、土御門はギリギリの所でかわす。
 そして即座に持っていた拳銃で建宮の脇腹を狙うが、建宮もまたギリギリの所でかわすが、その隙を突いて土御門の蹴りが建宮の腹に命中する。
 さしもの建宮もこれは避けきれず、腹筋に力を入れることでダメージを軽減するがたまらず吹っ飛ばされてしまう。

「ゲホッゲホッ! み、見事なキックなのよね……。魔術無しで勝てるほど陰陽博士は甘くはねぇってわけか。ま、分かりきっちゃいたことだけどな」
「だったら遠慮無く使ったらどうだ? 俺はそれでも一向に構わんぜ」
「お前さんが魔術を使うってんなら考えてもいいのよね。わしのこの言葉を信用するかしないかは土御門、お前さん次第だがな」
「全く、素直なねーちん相手ならいくらでもやりようはあったってのに……。あんたは存外やり辛い相手ぜよ、建宮!」

 偽装を得意とする天草式魔術の使い手にして教皇代理の建宮、天邪鬼(ウソつき)で幾多の死線をくぐり抜けた土御門、二人の駆け引きはまだまだ続く。



 その頃、白雪は結標が『座標移動』に苦戦していた。

「なかなかやるね。」
「そりゃそうよ。こっちだってこのくらいの力が無いとこっちの世界で生きていけないもの。」

実はと言うと、結標も少し疲れていた。
理由は、白雪の能力を交わす為に自分を何度かテレポートしたからだ。

(相変わらず自分をテレポートするのは精神的に疲れるわ。)
「そっちから来ないならこっちから行くよ。」

白雪がそういうと、白雪は雪の竜巻を4つ作り結標の周りを囲んだ。

(これ以上自分をテレポートさせるのがきついのに)

結標は仕方なくテレポートをし、白雪の後ろにテレポートをした。
だが、白雪は自分の後ろにテレポートするのは分かっていた。

「やっぱり私の後ろに来たか。だが、そんなの予測済みなんだよね♪」
「しまっt」

結標がすぐにテレポートを使おうとしたが、白雪の瞬間冷凍でテレポートする前に凍ってしまった。



「ハッハッハッ!!らーくしょー!!」

のはずだった。

「っ!?」

白雪はいきなり暗い空の上に放り投げられた。
そう、まるでテレポートされたかのように。

(テレポート!?まさか―――)

そのまさか、結標の体に氷はなく、ピンピンしていた。

(何でなんで!?確かに私は氷らせたはず!!)

その時、白雪の疑問に答えるように白雪の上から氷が降ってきた。

「ガァッ!!(ま、まさかテレポートで抜け出した!?め、めちゃくちゃだー!!)」

正確には氷の方をテレポートしたのだが今の白雪にそんな細かいことはどうでもいい。
今白雪に必要なのは空中からの着地方だ。このままでは普通に死んでしまう。
混乱中の白雪に一つの考えがうかんだが、

(無理無理ー!!でもそれしか打開策ないし…だー!!どうにでもなれー!!)

白雪は最後の打開策を恥ずかしながらも発動させた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(な、何あれ!?こんなの土御門からも聞いてない!!)

結標が見たものは簡単だ。
まず、白雪の背中から氷の棒を複数作り出す。
次にそれを包むかのように雪でコーティングされる。
それはまるで、

天使の翼だ。

その天使の翼を操り空を飛んでいた。

「こんなのめちゃくちゃよ……」
「それはお互い様!!さっさと決着つけるよ!!」

殺る気満々なのは誰だってわかった。
氷の剣なんて作ってるし、ましてやその目は、

ギラギラと光っているのだから。



その頃、土御門はと言うと…

「すごく月夜が綺麗だにゃ。」

土御門は、さっきの白雪が作った翼をつけた白雪を見て、すごく綺麗に見えて、建宮が近くに居るのを気にせず、戦うことを忘れて見惚れていた。

「おいおい、何戦うのを忘れて見惚れているんだよな。」
「あ、すっかり見惚れていたにゃ。(今度、月夜に見せてもらおっと)」

と言うと土御門は建宮と再び、戦い始めた。

場所は白雪のところに戻り…

「さっきまで遠距離戦だったのに、今度は至近距離戦か。」
「遠距離じゃテレポートを使われるからね。至近距離ならすぐには自分しかテレポートできないからね。それに、なんか自分をテレポートすると精神的にきついんでしょ♪」
(気づかれてる!!)

結標は自分をテレポートすると精神的にきついことを気づかれ、動揺した。

「どうやら動揺しているみたいだけどそんな余裕は与えないよ。」
「くッ」

この状況を見ても白雪が有利な状態なので、結標は負けるかもと思った。


(ったく冗談じゃないわよ! あんな奴相手に出来るわけ……って逃げるわけにもいかないか)

 結標は月夜の攻勢に慌てたが、これくらいの修羅場ならくぐり抜けたこともあることを思い出し、冷静になる。
 そして自分がかつてこれ以上の恐怖を味わい、屈辱的な惨敗を喫したことも思い出した。

(あの子には悪いけど一方通行の殺気はこんなもんじゃなかった。だからね、負けてやるわけにはいかないのよ! ま、あの子をぶつけたあの中学生は……そうだ!)

 結標は自分に月夜をぶつけた初春を恨んだが、彼女から貰ったメールの助言を思い出す。

(そういえばすっかり忘れてたわ。ジャッジメントの助言なんて下らないって思ってたけど、やってみる価値はありそうね)
「どうしたの? 黙りこんで。じゃあさっさと終わりにしようよ!」

 月夜が氷の翼を羽ばたかせ、結標目掛けて突撃をかけた。
 結標が『座標移動』で後ろに回りこんだとしても氷の翼で撃退出来る、月夜は勝利を確信した。
 しかし次の瞬間、月夜は今日一番の戸惑いを体験することに。

「……えっ? 消えた? 結標さんは?」

 氷の剣で結標を斬りつけた、そのつもりの月夜だったが自分がいた場所は結標の数メートル後方だった。
 訳が分からなくなった月夜は再度、結標へと突進をかけるが今度は彼女が自分の真横にいたかと思うと警棒で頭を強打された。

「きゃあああっ! い、痛たた……。ど、どうなってるの?」
(分かってないならこのまま押し切らせてもらうわよ。気付いてないようね、『私が移動した』んじゃなく『あなた自身を移動させた』ことに)

 初春が結標に与えた助言はシンプルで【自分を『座標移動』するだけじゃなく、相手を『座標移動』させて翻弄しましょう】というもの。
 月夜の能力は相手を視界に入れることで力を発揮されるもの、その視界が突如変化すればその力は充分に発揮されない。
 混乱した月夜は瞬間冷凍で結標を凍らせようとするが、頭の冷えた結標は月夜の能力発動のモーションの大きさに気付く。

(今度は前! しまった! テレポーターは死角を突くのが常套手段だと思ってたから……!)
「あんたのお陰で冷静になれた、感謝するわ。こっからはガンガン攻撃させてもらうからそのつもりでね!」
「あうっ!」

 結標が真っ正面に『座標移動』で間合いを詰めるという正攻法に出たことで、裏をかかれた月夜はなす術無く警棒の一撃で吹っ飛ばされる。
 『座標移動』の本領を発揮した結標を前に、月夜は能力を得て『初めてのピンチ』に立たされることに。


 一方で浜滝、半蔵、郭は闇咲相手に劣勢どころか大苦戦していた。
 初めて見る戦い方、それに闇咲の冷静な思考に自分達のペースを全く掴めていないからだ。

「くっそ! 何なんだよあのオッサン!」
「落ち着け浜面。あれは間違いなく戦闘のプロだ。しかも俺達よりも数段上のレベルのな」
「ですがこちらの方が数は上です! 浜面氏と半蔵様、それに私が一斉にかかれば……」
「言っただろ、相手は数段上だと。数で押し切れるような奴じゃない。自分の力を過信せず、それでいて挑発にも乗ってこない。本当に厄介な奴を相手にしちまったな」

 半蔵だけは冷静に黒いスーツに身を包んだ男こと、闇咲の力量を把握し、何とか出し抜こうと算段を立てようとする。
 しかし闇咲がそんな暇を与えるはずも無く、容赦無く『断魔の弦』を浜面達目掛けて撃ち放つ。

「ああああああっぶねー! 半蔵、煙幕だ! 煙幕で奴の視界を奪うんだ!」
「奪って……どうする?」
「一時撤退だ!」

 ある意味で潔い浜面のアイディアに半蔵も郭も滝壺も頷き、闇咲目掛けて煙幕弾を放つ。
 闇咲の視界を奪ってる隙に浜面達は全速力で離脱に成功するが、闇咲には探索手段として『捜魔の弦』があることなど知らない。

「む……。逃げることにも躊躇無しとは素晴らしい決断力だ。だが、私から逃げられると思っているのは甘いな。捜魔の弦」

 『捜魔の弦』で浜面達の位置を確認した闇咲は慌てる事無く、しかし確実に彼らとの距離を縮める為に森を駆け抜ける。
 その様子を双眼鏡で確認した浜面は闇咲に対してこんな失礼なことを思った。

「おいおいおいおい! あのオッサンこっちに近づいて来てるぞ! ありゃあ人間じゃねぇ! ター○ネー○ーの親戚か何かだ!」
「はまづら落ち着いて。ター○ネー○ーは映画やドラマの話だから実際にはいない」
「滝壺氏、そんなこと冷静に言わないで下さい! 半蔵様、このまま逃げてても埒が明きません! いずれは捕まってしまいます!」
「しょうがねぇ。これは俺の忍のポリシーに反するが、アイツを迎え撃つぞ! ここで一気に叩くんだ!」

 半蔵はこの時、実はちょっと慌てており、普段なら奇襲をかけることを提案していたが、浜面と一緒ということもあり迎撃を取ることに。
 しかし闇咲は途中で足を止めると梓弓が付いている右腕を突き出して、容赦の無い一撃を放つ。

「迎撃か。ならば近づくのは得策ではないな。衝打の弦」


「「「だァァァああああああああああああ!?」」」

奇跡的にかろうじて避けるが四人とも余波の風邪で吹き飛ばされる。

「ううっ…くそッ!!ここは地理的にも不利だしあのオッサン能力者か!?」
「それは違う、あの人からはAIM拡散力場が出ていない。」
「って事はあのオッサンはそこら辺のオッサンじゃないのか!?ありえねえ!!」
「私の仮説だと、やっぱりあの腕に付けている弓が何らかの風を作り出してるんだと思う。」
「成る程………」

浜面はふと考えると、自分の拳銃をゴム弾から実弾に替えると、

「滝壺、今から勝ちにいくぞ」
「うん、わかった……ってえ!?浜面何か思い付いたの!?」
「まっ、一か八かだ。」

浜面は迷わず引き金を引いた。

「断魔の弦」

だがそれはすぐに吹き飛ばされた。
そんなことは百も承知の浜面はすぐさま近くの木に隠れる。
闇咲はもちろんこちらに気が付き、創作の為こちらに近づく。

「衝打の弦」

その風は全てをなぎ払い、浜面達の隠れている木も吹き飛ばす。
浜面は飛ばされないように拳銃を地面に突き刺していた。
風が止まると闇咲の姿が消えた。首だけを振り返るとそこには闇咲が、

「私は君達が降参すれば全て終わる。さっさと降参しろ。」
「嫌だって言ったら?」
「それまでだ。」

今の浜面は風に飛ばされないように拳銃を地面突き刺していたため抜けない。

「終わりだ。」
これをいったのは笑っている浜面だ。
闇咲は何かを問おうとしたが、




浜面の持っている姫神から拝借した魔法ねステッキを叩き付けた。


「ガァッ……!?」

当たった場所は運悪く、男の最大の弱点だった。

「………すまん」

勝利した浜面が謝るほど闇咲は苦しそうな顔をしていたのであった。



「終ったみてえだな。にしても浜面、金的はちょっと酷くねーか?」
「浜面氏の戦い方は見事でしたけど私もこれはあんまりというか……」
「だいじょうぶ。はまづらがどんなに人でなしだとしても私ははまづらを愛してる」

 闇咲を倒した浜面に滝壺以外は非難めいた視線を送るが、浜面は開き直ったかのような態度だ。
 そんな4人は気付かない、闇咲の体がまだ動いていることに。

「い、いーじゃねーか! これで勝てたんだから文句ねーだろ!」
「ま、それもそうだな。じゃあこいつをふん縛っ……!」
「しょ、衝打の弦!」

 半蔵が闇咲に近づいた瞬間、闇咲の右腕が半蔵の胸元に添えられると見えない鉄球のような空気の塊が半蔵を襲った。
 不意のことで避けることも出来なかった半蔵は『衝打の弦』をモロに喰らうと、一本の木に叩きつけられて意識を失う。
 闇咲の反撃に浜面と郭が彼を攻撃しようとするが、闇咲が突然地面に頭を叩きつけたことに驚き、つい距離を取ってしまった。

「お、おいオッサン、あんた大丈夫かよ? 額からすっげー血が出てんぞ……」
「心配してくれるのか。優しいんだな、君は。だがこうでもしないと急所の痛みに耐えられそうになかったんでね。それに、これより苦しい痛みも経験済みだ」

 確かに急所の痛みは相当のものだが、かつてインデックスの魔道書の一冊『抱朴子』を覗いた時の死を思わせる苦痛よりは遥かにマシだったのだ。
 ならばと闇咲は力を振り絞って急所の痛みを紛らわせる為に、それに匹敵する痛みを自ら生みだすことで立ち上がったのだ。

「君達にも負けられない理由があるのだろう。だが私はあの少女からの恩義に報いる為、そして私自身の未来の為にも負けるわけにはいかないのでね。透魔の弦」

 『透魔の弦』でその場から『姿を消した』闇咲だが、3人はかつての当麻のように瞬間移動で消えたと錯覚してしまう。
 慌てる3人を気にも留めず闇咲はこの3人で一番強いと思った浜面の背後に回り込み、延髄に『衝打の弦』を叩き込んだ。

「ガッ……ハッ……!」
「浜面氏! おのれよくも半蔵様と浜面氏をアウッ!」

 強烈な、しかも延髄への一撃にさしもの浜面も耐えられず、意識を刈り取られてその場に倒れ伏す。
 仲間二人、特に半蔵をやられたことで激情に駆られた郭を闇咲は冷静にいなし、手刀の一撃で気絶に追い込む。
 残るのは滝壺のみなのだが、彼女が非戦闘員だと初春から事前に聞いているので手荒な真似はせず、縄縛術で縛り上げる。

「どうしてわたしには攻撃しないの?」
「戦えない者に刃を向けるほど、私は落ちてはいないのでね。こうして自由を奪っておけばそれで事足りる、それだけのことだ」
「やっぱりあなたは優しい。ありがとう、はまづら、はっとり、くるわに手加減してくれて」

 滝壺は闇咲が容赦の無い攻勢を仕掛けていたにも関わらず、人に向ける時の攻撃に手心がほんの僅か加えられていたことを感じ取っていた。
 闇咲はそんな滝壺に困ったように頭をかきながら「む……」としか言えず、彼女から視線を外すと残る3人も縄縛術で縛り上げると、近くの木にもたれかかる。

「ふうっ……。思った以上に大変だったが、これで私のやるべきことはひとまず終ったな。さて、あの少女教師に連絡するとしよう」

 そう言うと闇咲は先ほど電話番号を教えてもらった小萌に4人の捕縛、ならびに戦闘不能の旨を伝える。
 浜滝&半蔵&郭VS闇咲逢魔、勝者:闇咲逢魔(ただし本人もしばらく動けず)。

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