とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 午前7時20分、場所はインデックスやステイルの勤める教会の寄宿舎、初春が目を覚ました。

「んみゅ……、ふわぁ~~~~~~あ。……もう、世話のかかるお姉さん達ですね」

 伸びをする初春の両サイドには神裂とシェリーが自分を挟むようにスヤスヤと眠っているが、寝相は男共には見せられないくらいセクシーに乱れている。
 初春は毛布と布団を二人が風邪を引かないようにそっとかけてやると、自分はベッドから降りて着替えを済ませる。

「最初は途惑ったけどこの二人と寝るの、もう慣れちゃったなぁ」

 実は初春、シェリーが学園都市に滞在中はずっとこの寄宿舎で寝泊りしているのだ。
 理由は簡単、シェリーがダダをこねるからである(神裂は初春とシェリーと二人っきりにさせない為にここにいる)。

「さて、今日はレッサーさんという方とのお話があるから色々準備しないと。火織お姉ちゃんとシェリーさんはまだゆっくりしてて下さいね♪」

 初春はそう言うと、二人が寝ている布団をポンポンッと軽く叩くと部屋を後にした。
 その際、二人は寝ているのだがどうゆうわけか幸せそうに笑みを作っていた。

「おはよう初春。今日はいつもより少し早いね」
「そうゆうステイルさんこそ。おはようございます。インデックスさんは?」
「彼女なら『喰わせ殺し』のモーニングバイキングに行ったよ。早起きになったのはいいけど、理由がご飯というのは喜ぶべきなんだろうか……」

 教会にいたのは見た目がアレでも立派な(?)神父のステイルで、彼はこれでも毎日これくらいには起床している。
 インデックスはというと、最近始まった『喰わせ殺し』のモーニングバイキングが楽しみなので早起きしてそちらにお邪魔している状態だ。

「ところで『新たなる光』の構成員と話し合いをするって本当かい?」
「ええ。何でも学園都市で魔術の存在を知っている者の調査をしてるようでして」
「その話し合いには学園都市の人間しか集めないつもりかい?」
「それなんですけど、ステイルさん達ネセサリウスの魔術師の皆さんにも参加して欲しいんです。あとヴィリアンさん達にも」

 初春は前もって神裂にはこのことを話しており、『新たなる光』が英国の為に動いていることを知ってあることを考えていたのだ。
 ヴィリアンにはウィリアムという最強の守護者がいるが、彼は今も『神の右席』でずうっと傍にいるわけにもいかないのだ。
 ウィリアム不在時にヴィリアンを守り、常に彼女の手足となって動いてくれる魔術師が数名いた方が何かと便利だろうというのが初春の目論見である。

「ヴィリアン王女と『新たなる光』の構成員、ね。成程、悪くないと思うよ。彼女達なら英国第三王女のヴィリアン様になら忠誠を誓ってくれるだろうしね」

 ステイルは初春の考えを見事に読むと同時に、目の前の少女がとてもそんなことなど考えない風に見えることがちょっと怖かったりする。
 初春はステイルに微笑んだ後で自分と同じ『魔術の存在を知ってる学園都市の人間(交友がある者限定で)』に連絡を取ろうとするが、

「あ……。そういえばまだご飯食べて無かったですね。それに他の皆さんが起きてる可能性も低いですし」
「じゃあ朝食にしようか。僕もまだだったことを思い出したよ。一緒に行こうか」

 お腹が空いていたのを思い出し、朝食を摂ることを選択するのだった(ステイルと一緒に)。



 一方、こちらは上琴新居二号のリビング、起きてきた絹旗、浜滝は寝起き一番で驚かされることに。
 なぜならリビング中央で髪をアフロにし、体には『私は悪い子です。蔑んで下さい』と書かれたプラカードを下げたレッサーが正座させられていたのだから。
 すでに起きている上琴はレッサーを無視して、二人仲良く朝食を作っていた。

「おっ、起きたか3人とも。ちょっと待ってろよ、すぐメシにすっからな」
「あ、あのさ、上条。レッサーちゃん、何であんなことになってんだ?」
「さあ?」

 爽やかな当麻のシンプルな回答に浜面はどうしたものかと悩んでしまう。
 昨夜、ちょっと仲良くなった絹旗がレッサーに話しかけるが、レッサーの反応はちょっとおかしかった。

「レッサーさん、いったい何をしたんですか? お兄ちゃん達のあの態度、超ただ事じゃないですよ」
「いいんです。私は悪い子なんです。この家であの二人に逆らったおバカな子なんです。思う存分罵ったり蔑むがいいんですよ」

 あのレッサーがここまで素直に罰を受け入れていることから、絹旗は昨夜、レッサーが夜這いに失敗、完膚なきまでの返り討ちにあったと推測した。
 そこへ今度は美琴が精神的に来ることをサラッと言ってのけた。

「ねえ最愛。食器並べるの手伝ってくれる? 五人分だからそんなに大変じゃないと思うけど。五人分だけだから♪」
(レッサーちゃんの分、数に入れてねーのかよ! こえーよあの二人!)

 ナチュラルながらも精神的にダメージを与える上琴の行動にレッサーもちょっと泣きそうになる。
 そこへ滝壺がレッサーの所まで歩み寄ると、彼女の頭をそっと撫でてこんな提案をする。

「れっさーが何をしたのか、わたしたちには分からない。でもかみじょうもみさかもきちんと謝れば許してくれるよ」
「た、滝壺さんでしたっけ? 本当に許してくれるでしょうか? あの二人、すっごく怒ってますよ……」
「大丈夫、私も一緒に謝ってあげる。だからかみじょうとみさかに心の底からゴメンなさいしよう、ね?」

 滝壺の提案を迷いながらも、自分一人じゃないことを受けて誠意を持って謝る決意をしたレッサー。
 レッサーを動かした滝壺に感心していたのは元アイテムのメンバーにして恋人の浜面、親友の絹旗だった。

「さっすが俺の滝壺だせ! 初対面の子もすんなりと受け入れるあの懐の深さ、そして優しさ! どうだ絹旗、スゲーだろ!」
「自分のことのように誇る浜面、超気持ち悪いです。ですが滝壺さんへの感想には超同意します。ホント、どうして滝壺さんみたいな人が浜面みたいな奴の恋人なのか超不思議です」
「てめっ! 俺と滝壺は相思相愛だっつーの! 不思議でも何でもねーっつーの! いい加減その話題は止めゴフッ!」
「肩の骨折に響かないように超手加減しておきました。後でサラッと流して聞きますから。今はレッサーさん達の方が超優先事項です」

 騒がしい浜面の鳩尾に一撃入れた絹旗は、浜面を一瞥した後で上琴に謝りに行くレッサーと付き添いの滝壺を見守るのだった。


「えっと……上条さん御坂さん、昨晩は二人の熱い夜を邪魔してすいませんでした。」

レッサーはじゃぱにーずどげざで真面目に真剣に謝った。このままでは殺気という威圧で死んでしまう。

「しゃーねーなー、上条さんと美琴さんも鬼ではないので許してあげましょう。ロシアの件もあるしな」
「感謝しなさい、引越しの手伝いだけで許してあげるから。」
「ありがとうございますッ!!」

「よかったね、れっさー」
「はい!!滝壺さん!!感謝します。」
「はーい、さっさと6人分持ってってねー。」

「おおっ!!さっきは五人分だったのに増えてる!?」
「俺の嫁さんは天使ですからね~、最初から作ってましたよ?」

この家の主達は基本的に優しいのでそろそろ許してご飯を食べさせようと思ってたのだ。

「ありがとうございます!!上条様ッ!!」
「うおっ!?」
「コラー!!さりげなく私の当麻に手を出すなッ!!」

そんなこんなで、騒がしい朝を迎えるのだった。



さてさて、ところで昨晩特訓していた二人はというと……

「にゃー……」
「元春起きろー!!」
「にゃー!?」

氷の拳で起こされそろそろ寿命がヤバイ土御門、二人は特訓が終わった後土御門の寮に飛んで帰ってきていた。
ちなみに月夜の雪の羽はそろそろ学園都市伝説に入りそうである。

「月夜~昨日の今日でこれはないぜい……」
「ふん!!だって昨日真昼ちゃんと姉妹について熱~く語り合ったんでしょ!?」

(まだそのネタ引っ張ってたのかにゃー!?)



 土御門が月夜に折檻される理由の一端を担っている真昼はというと今も眠っている、真夜の寝室で。
 部屋の主の真夜はというと、すでに起きており真昼と赤音、そして自分の分の朝食を作っていた。

「最初は驚いたけど、こうして見るとサマになってるよね~。真夜君のエプロン姿って♪」
「そうなのかな? 自分じゃよく分からないよ。コレって俺の習慣だから特別なことって気がしないんだよね」

 楽しそうに朝食を作っている真夜を見つめているのは、井ノ原家にお泊りが自然な状態にある赤音。
 付き合いだした当初は家事全般を真夜が一人でこなしているのには驚いたが、それまでの真昼との関係が関係なだけにすぐに受け入れた。

「でもさ、もう真昼ちゃんも真夜君のことを奴隷扱いしてないんだから真昼ちゃんにも家事手伝ってもらってもいいと思うよ? もちろん私も手伝うけど」
「あ~、真昼さんって家事レベル、壊滅的だから……。そりゃあ手伝ってくれるなら嬉しいし楽しいだろうけど、今すぐはいいよ。赤音さんと真昼さんの笑顔が見られるだけで充分だから」
「……真夜君ってそうゆう台詞サラッと言うよね。それで私も真昼ちゃんも嬉しくなって……ちょっと悔しいな~」

 真夜がこんな台詞を言うのは真昼と赤音だけで、それは言われる本人達が一番分かっているのだが、自分達も真夜を喜ばせたいと思っていたりする。
 二人は気付いていないのだが、真夜は二人とこうして居られるだけで幸せというこうゆう方面には欲がそんなに無い少年である。

(それにしてもHはまだダメってこの双子の家庭って凄いよ……。まあ、上条君の所みたいに大切にしてくれるのは嬉しいし、スキンシップも行き過ぎなければちゃんと応えてくれるから不満無いけど♪)

 赤音が井ノ原ツインズとトライアングルカップルになって驚いたこと、それはHは結婚してからという考えを二人が持っていたからだ。
 Hはあくまで子供作る為の行為、そう両親に教えられて育ってきた井ノ原ツインズは意外と純情で実際に赤音がそれとなく誘導しても、

「「Hは結婚して責任取れるようになってから!」」

 この一言であっさり却下されてしまい、赤音も当時はちょっと寂しいと思っていたが今ではもう慣れてしまい、今の生活に不満どころか大満足しているのだ。

「ウーッス! おはよう真夜、赤音♪」
「おはよう真昼さん。はい牛乳」

 そこへ遅れて起きてきた真昼が寝覚め良好で起きてきて、真夜は料理をしながらも手早く冷蔵庫の中から牛乳パックを取り出し、そのまま真昼に渡した。
 赤音はパックの牛乳を豪快に飲んでいる真昼が落ち着くのを見てから、朝の挨拶を返す。

「おはよう真昼ちゃん。……ところでさ、冬場にTシャツ一枚って寒くないの? まあ、暖房効いてるからいいんだけど」
「Tシャツ一枚じゃねーぞ。ちゃんと下に下着も着けてるから心配すんな」
*1

 実は真昼の下着は全てスポーツタイプで、色気とかそんなものには全く興味の無い男勝りな性格が原因である。
 さらに問題なのはそれで真夜が顔を真っ赤にしてしまうことで、これでもセクシーだと勘違いをしていまい女の子らしい下着を買う気ゼロの困った子である。
 とはいえ真昼も恋する乙女、赤音が着けている様なややセクシーな下着を着けて真夜をもっとドキドキさせてやりたいという気持ちはある。

(つってもなぁ、そんなことこの二人には言えねえし……。どっかに俺と同じ悩み持った奴がいねえもんかなぁ?)

 そんなことを考えている真昼と似たような悩みを抱えている美琴と出会い、それが切っ掛けで意気投合するのは少し未来のお話である。
 トライアングルカップルは真夜が用意した朝食を食べ始める、真夜を真昼と赤音が挟み込むような座り方で。



 一方こちらはカエル顔の医者が勤めている病院、相部屋で入院中の一方通行とウィリアムが偶然にも同時に目を覚ました。
 二人のベッドには看病し通しで疲れたのか、打ち止めとヴィリアンがそれぞれの恋人の横で静かに寝息を立てていた。


「ふァ~、アン?ここは……病院か」
「貴様も起きたか。少年」
「アァ?オッサンいきてたンですかァ?どんだけバケモノなンだよ」
「自分自身不思議である。」

まあ一方通行はあまり不思議でも無かった。ここのカエル医者なら何でもありだ。

「………つうかオッサン、もうほとんど回復してンじゃねェか?」
「私からしたら貴様の方が不思議である。超能力者とは言えかなりの回復力であるな」
「アァン?ただ単にベクトル操作しただけだァ、電源切るの忘れてたみたいだしよォ……オッサンの方はどうなってンだよ」
「私は生まれつき運が良いのである。」
「理由になってネェよ」

ウィリアムは嘘は言ってはいない。聖人なんかそんなものだ。

「おや?もう二人とも起きてたのかい?」

そこにカエル医者が様子見でやってきた。

「すごいねえあれだけの怪我をここまで直すなんて、君達の体って意外とファンタジー?」

「そうかも知れぬな」
「勘弁してくれェ」


 カエル顔の医者は一方通行とウィリアムの経過を診た後でサラッと告げる。

「これなら入院の必要は無さそうだね? おめでとう。二人とも退院していいよ?」

 確かに二人とも無理さえしなければ歩けるレベルにまで回復していたが、医者がそうゆうことを軽く言ってもいいのかと内心で思うことに。
 病室を出る前にカエル顔の医者はまたしてもサラッと二人に告げる。

「今すぐ出てってくれとは言わないから安心していいよ? 君達の恋人が起きるまではゆっくりするといい。ああ、変なことはしちゃいけないよ?」
「「するかっ!!」」
「病院ではお静かに。眠り姫達が起きてしまうよ?」

 カエル顔の医者のからかいに怒った一方通行とウィリアムだったが、医者らしい注意を受けてそれ以上は追求できなかった。
 横で寝ている恋人達は軽く寝返りを打っただけで起きなかったことに安堵する二人をカエル顔の医者は満足気な表情で見た後で、そっと病室から出て行った。

「ところでてめェら、これからどうすンだァ? すぐに英国に帰ンのか?」
「うむ、そのことなんだが少し考えてみようと思ってな。それにヴィリアン個人の大事な用が控えているのであるから、今日帰るということは無いだろう」
「王女サマの個人的用事だァ? ンだよそれ」
「分かりやすく言うとだな、ヴィリアンは『妹』が欲しいのである」

 簡潔かつシンプルなウィリアムの答えに一方通行は訳が分からない顔をするが、『妹』というフレーズに何か変な予感を感じていた。
 ただ今午前八時、ヴィリアンに『妹』になって欲しい少女からのモーニングコールと言う名の呼び出しがかかるまで後一時間。



 その頃の上琴新居二号では騒がしくも賑やかな朝食は無事終了、今は上琴の二人とその二人に色々と迷惑をかけたレッサーが後片付けをしている所だ。

「なんつーかあの三人、親子に見えてきたんだが……」
「大丈夫、はまづらの考えは間違っていない。かみじょうとみさかが夫婦、れっさーが娘にわたしも見える」
「レッサーさんも何だかんだで馴染んでくれて超良かったです。さて……って着信ですね。誰からでしょう?」

 レッサーの心情はともかく浜滝、絹旗には上琴とレッサーが家族に見えるくらい仲がいい様に映っていた。
 出かける準備をしようと思っていた絹旗の携帯が鳴ったので少し迷惑そうにしながらも相手を確認すると、相手は初春だったので気持ちを切り替えて電話に出た。

『おはようございます最愛さん』
「おはようです飾利。ところでこんな超早い時間から電話をくれるなんて何かありました?」
『ちょっと集合時間の変更です。午前9時って言いましたけど午前10時に来て下さい。さすがにちょっと早すぎでしたから、午前9時は』
「超了解です。ところでお兄ちゃんとお姉ちゃんはどうします? 一応レッサーさんが探してる人間に超該当してますから来てもらった方が良くないですか?」
『是非お願いします。浜面さんと滝壺さんは最愛さんに任せますけど♪ じゃあまた教会で』

 そう言って初春が電話を切った後で絹旗は悩んでいた、この二人も同席させるべきか否かを。
 考え込んでるうちに上琴がレッサーを連れて戻ってきたのを受けて、絹旗は初春からの集合時間変更の旨を伝えた後で浜滝についての扱いを相談することに。

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注釈

*1 でも下着が全部スポーツタイプってどうなんだろう……