とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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 五和とエツァリ、最も恋愛に狂ったと言っても過言ではない二人が久しぶりに出会う。
 エツァリの前情報を初春から前もって得ていた対馬と浦上は、少し距離を置いて話し始める。

「彼よね? 上条当麻と御坂さんとの仲を邪魔する命知らずの魔術師って」
「うん。五和は御坂さんを殺すことは止めて上条さんを誘惑とか寝取るとかに切り替えたけど、あの人って上条さんを殺す気なんだよね?」
「……実物見てもちょっと信じられなかったけど納得したわ。似てるわ、五和と空気が。ハァ……すっごく面倒だけど斬っとこうか?」
「そうだね。初春ちゃんも言ってたもんね。上条さんが本当に殺されたら学園都市が廃墟になるって……。殺さないように斬れば問題無いらしいからサクッと殺っちゃおうよ」

 天草式の浦上、学園都市に配属されて以来、性格が物騒になっているのだが本人は全く気付いていないようだ。
 ちなみに当麻が殺されたら学園都市が廃墟になるというのは大袈裟ではなく、美琴や上条勢力と称される人間が怒り狂う結果を確信してのことだったりする。
 対馬と浦上がそれぞれの得物を持って準備をしていると、突然大きな物音がしたので二人が驚く先には、

「な、何をするんですか! 自分とあなたの利害は一致してるはず! 攻撃する理由も無いじゃないですか!」
「理由ですか? ありますよ、ちゃんと。あなたは当麻さんを殺す気でいる、だからその前に私があなたを殺す。ほら、立派な理由じゃないですか♪」

 五和が海軍用船上槍でエツァリを攻撃していたのだ、地面にクレーターが出来るレベルの威力で。
 対馬と浦上は五和がてっきりエツァリと手を組んで上琴襲撃するかと思っていたので、五和の行動にビックリしていた。

「私は平和的に当麻さんを誘惑、そして寝取ろうとしてるのにあなたと来たら……。悔しいけどあの子の言う通り、あなたは危険な人ですね」
「あのクソを寝取るとか倫理的に逸脱してるあなたに言われるのは心外です。そういえばあなたもかつては御坂さんを殺すとか言ってましたよね。どうゆう心境の変化ですか?」
「ある少女に言われたんです。恋敵を殺したその手で自分の想い人を抱きしめられるのかって。それで気付いたんです、殺して奪うことは正しくないって」

 五和の心変わりにちょっと、ほんのちょっと感動した対馬と浦上、彼女を変えたのが初春だと何故か確信していた。
 ちなみに初春が五和にそのような助言を与えたのは、どうせ上琴の絆の前に惨敗するだろうというちょっと黒い目論見があったりする。
 エツァリは五和をやれやれといった表情で見た後でトラウィ(以下略)と原典を取り出し、五和に対して構える。

「あなたの考え、自分は立派だと思います。でも自分にはあなたのような考えは出来ません。自分なりのやり方で御坂さんを守ります!」
「ホントに頑固者ですね、あなたって。だからこれ以上の口論は無駄ですね。当麻さんとの幸せな恋人生活の礎になってもらいます!」

 五和とエツァリの死闘、それを止めようとする対馬と浦上の戦いが始まる、そう思われたが予想外の乱入者達が現れることに。
 それは五和にとっては多少は幸せ、対馬と浦上にとっては幸運、そしてエツァリにとっては不幸を招く者達だった。

「オイオイオイオイ。朝っぱらから殺気振り撒いてンじゃねェぞ、海原」
「そこの者共、無益な殺生は控えるのである」
「あら? あなた達は確か神裂の部下の対馬と浦上、でしたか? こんな所で何をしているんです?」

 現れたのは五和達と同じく教会に向かっている途中の一打、ウィリアムとヴィリアン一行だった(打ち止めは絶賛睡眠中)。


「ンで海原、お前こンなところで何やってんだ?」
「ええ、上条当麻を殺しにいこうと思いましてね」

ここにいる人間(ヴィリアンと打ち止めは除く)はこういうことをサラッと言うから怖い。

「ヘェ……アイツをネェ……」
「それは許せぬのである」

ウィリアムは何処からともなくアスカロンを取り出しエツァリに向ける。

「何で数少ない聖人様が僕に剣を向けるんですか?」

ウィリアムは最近活躍した聖人の一人だ。初対面のエツァリだって知っている。

「強いて言うならば上条当麻はヴィリアンの件で少々かりがあるのである。
その黒曜石のナイフを下げるのであれば命は見逃してやろう。」

エツァリはやれやれとわざとらしく肩をおろし、黒曜石のナイフをしまう。
最初に言っておこう。エツァリが持っていた原典は誰に見られても傷つかないようにカバーをしていた。だから先程取り出しても五和達が平気だったのだ。
だがエツァリはそれを簡単に外した。

「くっ!!」

咄嗟に目を閉じ、ヴィリアンの目を隠す、が原典の知識はそれ以上だった。

「どうしたんです?聖人はこんなもの………!?」

エツァリが固まった。と言うかそこにいるもの全員が固まった。一人を除いて。全員目を閉じていても解った。その威圧感が

「………………………………………………………………………………………何で出てンだよ」

何故か一方通行の黒い翼と黒い悪魔の右腕が飛び出ていた。本当に何故か………

「取り敢えずボコるわァ」「え!?何でその答えに――――――――」


辿り着くんですか?と聞こうとしたがそんな暇はなかった。一方通行の鋭い右ストレートが襲いかかってきたからだ。
エツァリはかろうじて避けることができたが轟ッ!!と言う音が聞こえ、その余波でエツァリは吹き飛んだ。

「少し遊んでみるかァ……」

ナニ恐ろしいこと言ってるんだコイツは。
最近原典を完全に扱える様になったとは言えこれは正真正銘バケモノだ。

「自分を殺す気ですか!?」
「うっせェ、死なない程度に殺してやるよォ!!」

意味分かりませんよ!!と突っ込みたかったが直ぐに次が来る。

(くっ!!ここは原典を使わないといけませんね!!)

エツァリは自分のありったけの力を使い、必殺の一撃を放つ。
だが、

「ラクショウラクショウ!!」

簡単に右手で粉砕してしまった。

「何ですかその右手!?まるであのクソッタレ見たいじゃないですか!!」
「お前にアイツをバカにする資格はねェ!!」

一方通行は遠くからエツァリに軽く右ストレートを放つ、ただそれだけでエツァリは吹き飛んでしまった。

「右手最強♪」

その場に居た物全員(驚くべきことに打ち止めは一方通行の左腕の中でまだ寝ている)同意した。



「くうっ!!エツァリは一体どこいった!!」
「海原!!アイツこんだけ人に迷惑かけておいて何してるのよ!!」

その時近くで、ズドォォォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!と音がした。

「何!?」
「行ってみましょう!!」

二人は恐る恐る音がしたほうに近づいていく、そこにはクレーターがあった。更にその中には………

「エツァリ!?」
「海原!!」

が居た。

「…………右手なんて大嫌いだ」

エツァリは勿論病院送りになった。


「んみゅ……あれ? ここどこってミサカはミサカは寝ぼけまなこであなたに尋ねてみたり」
「悪ィ、起こしちまったか。まだ寝てろ。目的地に着いたら起こしてやっからよォ」

 起きてしまった打ち止めを優しく再度寝かしつける一方通行。

「助かりましたアックア。おかげで無益な血を流さずに済みました」
「礼ならあの少年に言うのである。我はあの魔術師に注意を促したに過ぎぬ。それとアックアではなくウィリアムと呼んで欲しいのである」
「その通りですよ対馬。ここに居るのは『後方のアックア』ではなく『私のウィリアム』なのですから♪」
「そうだよ対馬。今のこの人はヴィリアン様にベタ惚れな傭兵のウィリアムさん、クリスマスの時に分かってたことでしょ」

 和気あいあいムードで談笑してるのはウィリアム、ヴィリアン、対馬、浦上。
 この状況に全くついていけない五和が大声で叫ぶ。

「なんなんですかコレはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 五和の叫びに6人はキョトンとした表情で彼女に視線を移した。

「るっせェぞ! せっかく寝てたコイツがまた起きちまったじゃねェかァ!」
「あの人の叫びよりもあなたの声のが大きいってミサカはミサカはツッコんでみたり」
「あ、ごめんなさい……って違います! 白い人! あなたはそんなキャラじゃないですよね!」

 五和の適切なツッコミに一方通行以外の面々は黙って頷いた。
 続けて五和のツッコミは同じ天草式メンバーの対馬と浦上に炸裂する。

「それに対馬さんと浦上さん! どうして後方のアックアとそんなに親しげにしてるんですか! その男に何をされたのか忘れたわけじゃないですよね!」
「忘れてはいないわよ。でも彼はもう危険な人じゃないし、敵対してるわけでもないから。だから五和も槍を収めなさい」
「そうだよ五和。ウィリアムさんはどちらかといえば頼めば協力してくれる人だから。そんなに怖がる必要も無いって」

 対馬と浦上の警戒心ゼロの態度に五和が呆れていると、そこに驚きの事態が起きることに。
 なんとウィリアムが五和に対して頭を下げたのだ。

「お主は『聖人崩し』の時の天草式魔術師だったな。あの時はすまないことをした。だが今はその二人の言う通り、敵ではないから安心するのである」
「対馬と浦上の同僚ということは神裂の部下なのですね。私からも断言します。ウィリアムは決して敵ではない、だから体の力を抜いてください。ね?」

 ウィリアムとヴィリアンの真摯な態度に五和もようやく海軍用船上槍を収めて戦闘態勢を解除した。

「申し訳ありませんでした。ヴィリアン様に頭を下げさせるような真似をして……」
「いえいえ、お気になさらずに。夫の不逞を詫びるのもまた妻としての勤めですから。あ、今はまだ恋人ですけど♪」
「ヴィ、ヴィリアン! そのようなことを言うものでは無いのである! いや、陛下のお許しさえ頂ければ……って我は一体何を!」

 ウィリアムとヴィリアンの惚気に一打、対馬、浦上は「おーっ♪」っと楽しそうな声を上げる。
 ただ一人、クリスマスパーティーにもオルソラの乱にも参加していない五和は頭が真っ白状態に。

「え? え? え? アックアとヴィリアン様が恋人同士で、ゆくゆくは夫と妻で……夢、なんですか?」
「夢じゃないわよ。その辺のことは私達が説明してあげるから。当人達からの証言も含めてね」
「は、はぁ……」

 一打、ウィリアム、ヴィリアン、五和、対馬、浦上は教会への歩みを再開させる。
 そんな中、一方通行はこんなことを考えていた。

(にしてもよォ、あの五和って女のメイドコスに誰もツッコミ入れねェのかよ)

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