とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 その頃、教会に木山が呼び出された者達の中で一番早く到着した。


「やあ、花飾の少女はどこだい?」
「飾利なら中……はっ!!もしやあなたは飾利を奪いに!?」

さすが上条の義妹と言うべきか、妹フラグを立て続ける初春を狙いに来るという可能性は捨てられない。と考えている神裂

「それは違う、私はただ単に花飾りの少女に呼ばれて来た招かれた客だが?」
「……ほんの冗談です。」

かなりマジだったのに(恋)敵ではないと知ると手のひらを返す。

「さあ、こちらにどうぞ。」


 木山が教会に入ると、初春とシェリー、それにステイルが言い合っている最中だった。

「頼む飾利! あんたから最大主教に私を日本に配属してくれるように取り成してくれ! 明日イギリスに帰るなんて冗談じゃないよ!」
「……それ、私じゃ無理ですよシェリーさん。そもそも学園都市にはネセサリウスの魔術師が充分過ぎるほど配属されてますし」
「初春の言う通りだシェリー。それに君までこっちに配属されたらイギリスの方の守りが心許無くなるよ」
「あっちは大丈夫だろ。アニューゼ達に天草式の男連中、あれだけいりゃイギリスは問題無いさ。そんなに言うならステイル、お前一人でイギリスに戻ったらどうだ?」

 シェリーに『帰れ』と言われたも同然の言葉にカッとなったステイルは、ついつい自分の本心をインデックスの前で曝け出すというポカをしてしまう。

「君は何を言ってるんだ! 僕は最大主教の命でここに配属されてるんだぞ! はいそうですかってインデックスを置いてイギリスに帰ることなんて出来るわけが無い! 僕にはインデックスが必要……ハッ!」

 言い終わってステイルは穴があったら入りたい気分になっていたが、それを救ったのはインデックスだった。

「ステイルに必要とされてるなんて偶然かも。私もね、ステイルはとっても必要なんだよ。だってご飯のこともそうだし、仕事もとてもやりやすくて助かってるんだよ。ありがとう、ステイル」
「……こちらこそありがとう、インデックス(ご飯と仕事、か。いいさ、今はそれでも)」

 ステイルはインデックスの言葉が嬉しくて気付けなかった、周り(インデックスと木山は除く)から可哀想だと思われていることに。
 いつの間にか自分の問題からステイルの問題に摩り替わっていたことに気付いたシェリーは、気持ちを切り替えて話を再開させる。

「まあ、ステイルと禁書目録のことはどうでもいい。それよりも飾利! 私を日本に配属するように最大主教を脅してくれ!」
「シェリーさん、最初より物騒ですよ……。でもやっぱりローラさんに直談判するしか無いですよ。たとえばモトハル2ndのような血液を媒介にしたゴーレムの研究……とか?」
「……それだっ! モトハル2ndとエリハル弐号機の成果を最大主教に報告して、血液を媒介に使用するゴーレムの研究としてならイケる! ありがとな飾利! さすが私の最高の親友だよ♪」
「お役に立てて何よりです♪ でも一度イギリスに帰らないとダメですからね。そうしないと示しが付かないですから」

 初春のアイディアに突破口を見出したシェリーは嬉しさのあまり、初春を思いっきりハグした。
 最初の頃は驚きまくっていた初春だったが、今ではすっかり慣れてしまい、シェリーの腕の中でニコニコしている。
 そこへ割って入ってきた神裂とシェリーが小競り合いを始めたことで、初春はようやく木山に挨拶をした。

「おはようございます木山先生。挨拶が遅れてしまってすみませんでした」
「いいさ、私は気にしていない。それに色々と珍しいものも見れたしな。だが、あの二人の喧嘩は止めなくてもいいのか?」
「気にするだけ無駄なのよね。あの二人の喧嘩は日常の他愛無い一コマのようなもの。いちいち気にしてたら身が持たんのよ」
「かおりとシェリーのアレは一種のコミュニケーションのようなものなんだよ。だから邪魔をする方が野暮ってものかも」

 木山は建宮とインデックスの説明を受けて、神裂とシェリーの小競り合いについての考えを放棄して、集合時間を待つことにした。



 その頃、五和は対馬と浦上にウィリアムとヴィリアンの関係、ついでに一打の関係についての講義を受けている最中だった。


「なっ………私がいない間にそんなことになってたんですか!?」
「そう、わかった?」
「十分わかりました。この二人がロリコンだって言うことも。」

二人が黙って剣を抜いたり、黒い翼と黒い悪魔の右腕をだすと直ぐ様対馬の後ろに隠れた。

「……突っ込むのも野暮かもしれないけどあなたいつの間に黒いのシリーズを自由自在に出せる様になったの?ってミサカはミサカはあなたに問いかけてみる」
「…………自分でも分からねェ」
「ついでに聞くと昨日のミサカへの熱い唇のキスは何だったの?ってミサカはミサカはさりげなくあなたのロリコンを確信されそうな発言をしてみる」

その瞬間全員吹き出した。まあ無理もないだろう。
これは絶対的なロリコン宣言なのだから。

「……イギリスでもその年では犯罪ですよ」
「ちょっと待てェ!!俺はキスしただけだぞォ!?」

「へぇ、キス自体は否定しないの……」
「しまったァ!?」

「ロリコン……」
「何だよ何ですか何なんですかァその視線はァ!?」

「え?た、確かに恋愛に年は関係ないって言われてますけど……ちょっとキスは……ねえ……」
「仕掛けて失敗してるテメェには言われたかネェ!!」

「ロリコン……まさか唇まで奪うとは……」
「そこの王女サマサマとズッコンバッコンしてるテメェだけは引かれたかねェ!!」
「失礼な、まだしてないのである」
「『まだ』って事はこれからスルンですカァ!?」
「…………………………………………………………………………………………………………………」
「黙秘権使ってンじゃねェ!!」

だがこの言い争いも“最後の絶望”(ラストオーダー)で終わる。

「やれやれ、低レベルな争いは醜いよ?ってミサカはミサカは呆れてみる」

その時、一方通行の体がガクンと落ちた。それが某ドラマのスローモーションシーン見たいに見える彼らはこう思った。

――――ああ、コイツは本当にロリコンなんだな

と、
だが“最後の天使”(ラストオーダー)は見放さなかった。

「冗談冗談!!ミサカだけはあなたを見放さないよ?ってミサカはミサカはあなたに囁いてみる」

しばらく固まってた一方通行だったが何か思い付くと、不意に打ち止めを持ち上げ肩車をした。

「ンな事言ってンならさっさと行くぞォ?」
「ラジャー!!ってミサカはミサカは敬礼してみる!!」

そんな彼らを見ている者達は微笑ましく笑った。


「ゼェ、ゼェ、ゼェ、や、やっと着いたぜェ……」
「おつとめご苦労ってミサカはミサカはあなたの頑張りを高く評価すると共にプレゼントをあげてみたり!」

 結局そのまま打ち止めを肩車して教会まで歩いた一方通行は体力が人並み以下なのでバテバテ状態だ。
 そんな一方通行を気遣って、打ち止めは彼の肩から降りるとご褒美として一方通行にキスをした、唇に。

「な、なななななな何してやがンだァ!」
「えーいいじゃない別にってミサカはミサカはあなたのそのうろたえっぷりにちょっと物足りなさを感じてみたり」
「そうですよ一方通行さん。お二人は立派な恋人なんですから唇にキスなんて珍しくも何とも有りません♪ アホ毛ちゃんみたいに堂々としてて下さい」

 一打の会話に割り込んできたのは初春だが、一方通行は彼女がデジタルカメラを持っていることに驚愕する。
 すぐさま一方通行は初春からデジタルカメラを強奪しようとするが、初春には最強とも呼べる守護者がいるのでそれは叶わなかった。

「飾利に手を上げるなと口で言うだけでは分からないようですね。本当に私の『七閃』を味わわせなければいけないのですか?」
「てめぇ飾利に何しようとしやがった? 事と場合によっちゃ集中治療室逝きにするぞコラ」
「白いの、お前さんはいい奴よな。だが飾利姫に危害を加えるなら容赦はせん。お前さんの黒翼と黒き悪魔の右腕が出る前に斬って捨てることは可能だ。言ってる意味は分かるよな?」
「くっ、分かったよ……(ちょっと待て、どうしてこいつらが右腕のこと知ってンだァ? ……初春の仕業か、チッ)」

 神裂、シェリー、建宮という初春の守護者達の前に一方通行はデジタルカメラ回収を諦めるが、黒き悪魔の右腕の情報が漏れてることに驚く。
 しかし今の初春なら学園都市中の防犯カメラを手中に収めることに躊躇いはないと考えると、情報漏洩していたことに納得した。

「はーい五和さん。スマイルスマイル♪ そのメイドさんの格好、可愛いですよ♪」
「えっ、そうですか? ……って違います! 携帯に私の動画撮ってどうするつもりですか! 今すぐうわっ!」

 初春の今度のターゲットは五和で自分の携帯に彼女の動画を収め始めたことに気付き、五和はすぐさま初春の携帯を奪おうとする。
 だがそれも神裂の『七閃』による体に触れるギリギリの牽制で失敗に終る。

「あ、危ないじゃないですかプリエステス! 今ひょっとしなくても当てるつもりでしたよね!」
「失礼なこと言わないで下さい。貴女の力量なら避けられるギリギリの力で『七閃』を放ったんですよ。現に上手く避けたじゃないですか。成長しましたね、五和」

 自身の成長を女教皇の神裂に褒められた五和だが、動機とかを考えると喜んでいいものかどうか本気で悩んだ。
 そこに初春がタイミング良くデジタルカメラで撮影を始めたことを疑問に持った浦上が初春に尋ねた。

「ところで初春ちゃん。やけにタイミング良く撮影してたよね? どうやって私達が来ることを知ったの?」
「簡単なことである。教会の入り口に姿を隠していた魔術師がいたのを我は気配で確認している。おそらくその者が少女に報告したのだろう。出てきたらどうだ? 魔術師」

 初春の代わりに答えたのはウィリアムで、彼に呼ばれた人物が姿を現した。
 出てきたのは闇咲で、実は『透魔の弦』で姿を隠しながら、怪しい人物もしくは面白そうなことがあったら初春に逐一報告していたのだ。

「気配は上手く消したつもりだったのだがな。それでも気付くとはさすがは噂に名高い聖人にして『神の右席』のことはある」
「貴様こそ見事な隠遁魔術だった。日本にこのような使い手がいることに驚いているのである」
「申し遅れた。私はネセサリウスの魔術師、闇咲逢魔だ。以後宜しく、後方のアックア」
「その呼び方はここでは止めて欲しいのである。今の私はウィリアムだ。この名で呼んでくれると助かる」

 ウィリアムと闇咲、武骨者を絵に描いたような二人の挨拶は特に何の問題も無く終了した。
 その様子をかやの外状態で見ていたのはインデックス、ステイル、木山である。

「本当に魔術師というのは面白い連中ばかりだな。見ていて飽きないよ」
「……面白いという表現はあの人達にしか当てはまらないんだよ。私は違うから。私は立派なシスターだからはるみには勘違いしてもらっちゃ困るかも」
(いや、君も立派にあの面白連中の仲間だからね、インデックス)
「まあ、そうゆうことにしておこうか。ところで英国の第三王女はさっきから何をしてるんだ?」

 木山が指差す方向を見ると、そこには頭を抱えて悩んでるヴィリアンとそれに付き添ってる対馬の姿があった。


「ど、どうしましょう対馬。私、緊張してきました……。初春は本当に私の『妹』になってくれるでしょうか?」
「だ、大丈夫ですよヴィリアン様。初春はいい子ですから、ヴィリアン様のお望みも聞き入れてくれますよ」
「え、ええ、初春がいい子というのは私も分かります。ですが神裂達があのようにしていては切り出すものも切り出せなくて……」

 ヴィリアンは初春が自分の『妹』になって欲しいというワガママを聞いてくれるか不安になっていた、初春の性格を分かっていても。
 しかしヴィリアンを躊躇わせるのは先ほどから初春にベッタリしてる神裂、シェリー、建宮の存在である。

「飾利、先程の五和の動画を見せてくれますか? あの子のノリノリのメイド姿というものは実に楽しそうですから」
「じゃあ私は白ガキとチビっ子の方だ。特にキスのシーンなんて最高じゃないか♪」
「二人とも、そんなにくっついては飾利姫が困ってしまうのよ! 飾利姫のことを思うなら少し距離を取るのがゲフッ!」
「た、建宮さーーーん! もう! 火織お姉ちゃんもシェリーさんも教会で暴力はいけません!」
「「ゴメンなさい……」」

 対馬は思った、ヴィリアン様にあの混沌に満ちた集まりの中に割って入ることは無理だと。
 しかしヴィリアンをこのままにはしておけないので対馬はヴィリアンの初春に対する事情を知ってる一打、ウィリアム、五和、浦上を集めて作戦会議を開くのだった。
 補足だが、打ち止めも五和もここに着く前にヴィリアンから初春に『妹』になってもらう件を本人から聞いていたりする。



 一方こちらは上琴一行、レッサーと初対面の月夜との自己紹介が始まっていた。


「はじめましてレッサーちゃん。私は白雪月夜。この元春の恋人よ。よろしくね」
「い、いえっ! こ、こちらこそ! 白雪さんって美人ですね! さすがはあの土御門元春の恋人なだけあります!」
「ありがとう。でも美人は大袈裟だよ。それに元春は確かに素敵だけどそんなに騒ぐようなやつじゃないよ」

 意外と忘れてる人が多いと思うけど、月夜は当麻のクラス一の美少女である。
 しかも落ち着きある態度で接してくるのでレッサーは緊張していた、柄にも無く。
 だがレッサーは『新たなる光』の魔術師、こんな時でも相手の分析は怠らない。

(色白で流れるような黒髪、しかもバランスの取れたボディライン。とどめはあの奥ゆかしい態度。……間違いない、彼女が今回の本命です!)
(いや……でもまだ決め付けるのは早いです。白雪さんをひとまず第一候補として最終決定は教会に着いてからにしましょう)

 見た目、そして初対面ということで色々と猫被ってる月夜を、レッサーはオルソラの乱の裏で暗躍(?)してた人物の第一候補に認定した。
 しかし彼女は知らない、月夜は普段こそ落ち着いてはいるが土御門に対してはかなり焼きもち焼きでもの凄く過激な女性だということを。

「それにしても白雪さんが土御門さんの恋人で良かったですよ。白雪さんが上条さんの恋人なら勝ちムガッ!」
「ほほぅ、つまりあんたは私が当麻の恋人で良かったと。私ならまだ勝ち目があって当麻を奪うのもチョろいと。ホントにいい度胸してるわね……」
「ムガガっ! ムガッ!(そ、そこまで言ってませーーーーんっ!)」

 ついつい口から出てしまった言葉によって美琴の怒りを買ったレッサーだが、後悔した所でもう手遅れ。
 美琴は黒子に度々食らわせていた電撃よりも出力を上げたものを直接レッサーの体に叩き込んだ。

「あばばばばばばばばばばばばばばばばばっ!!! ……ゲフッ」
「み、美琴サン……。今のはちょーっとやり過ぎだと上条さんは思うのですが?」
「心配しないで当麻♪ 手加減しといたから生きてるわよ、あの子」
「そっか、なら安心だ。えらいぞ美琴ー♪」

 電撃食らわせたことを咎めずにレッサーを生かしたことを褒める当麻と、当麻に褒められながら頭を撫でられて『えへへっ♪』と喜ぶ美琴。
 それを見ていた土白、浜滝、絹旗、かろうじて意識があるレッサーは思った、『この二人、怖い』と。

「ほらレッサーさん。気を超しっかり持つんですよ。目的地の教会は目の前ですから」
「き、絹旗さんには度々ご、ご迷惑をかけてしまって申し訳ありません……」
「そんな気遣いは超無用です。レッサーさんとは超知らない仲じゃありませんから」

 絹旗とレッサーの仲良し具合を見て微笑ましく思っているのは浜滝だ。

「きぬはたとれっさー、すっかり仲良しさんだね」
「それはいいんだけどよ、レッサーちゃんも懲りないよな……。こうゆう時に使うんだよな? 『雉も鳴かずば撃たれまい』っての」
「はまづらがそんな言葉を知ってることにちょっとビックリ」

 一方、レッサーの態度を見て頭を痛めてるのは土御門、それを労るように月夜が励ます。

「あのカップルを邪魔するのは海原のアホと五和だけかと思ってたが……。また面倒なのが出てきたもんですにゃー」
「でもさ、レッサーちゃんはあの二人と比べたら可愛いもんだよ。それに私、レッサーちゃんはあの二人を祝福してくれそうな気がするし」
「だといいんだけどにゃー……」

 懸念する土御門だが月夜の考え通り、レッサーが上琴を祝福する側に回ることになるのだがそれはほんのちょっと先のことである。
 上琴一行が教会の扉を開けるまであと1分30秒。



「ハイハーイ!!土御門元春様のご登場ぜよ!!」
「土御門ですか……ってシェリー!!飾利のほおをいじっていいのは私だけです!!」

この同性愛者二人はまたやっているのか……
情けないことにここにいる人間は慣れてしまった人間だけで助かる……いや、1人違うのか?

「おお……!!ここに百合の花が咲いているだと……!?ここは悪魔でも教会なのにそう言うところも教えてくれるんでしょうか……?」

前言撤回、少しは自重をしてくれ。

「レッサー、お前の頭はもう一回叩き直さないといけないみたいだな……」
「冗談!!冗談ですから!!本当にその右手怖いからやめてー!!」
「安心して当麻、今すぐ私が黒子にやっているお仕置きを叩き込んでやるから、当麻の手は汚さなくていいわ」
「な、何をってうぎゃああああああああああああああああああ!!」

そんなコントをしているのを見ているインデックスはあることを思い出す。

「ねえステイル」
「ん?なんだい?」
「ここにいる人間って魔術の事を知ってる人たちが集まっているんだよね?」
「そうだよ?」

「じゃああいさも来るんだね?あいさとは久しぶりなんだよ!!」

だがインデックスがはしゃいでいるのとはうらはらにステイルは頭の中が?だらけだ。

(あいさ……あいさ………………………………姫神の事か?)

つまり

「しまったーーーーー!!」
「どうしたんだよステイル?」
「今から彼女を迎えに言ってくる。クソッ!!彼女のほうが深く魔術いや、それどころか錬金術にまで関わってるじゃないか!!と言うわけで行ってくる!!」
「何であいさの事を忘れるんだろう………?」

それは永遠の謎である。


「じゃあ初春ちゃんとヴィリアン様が話しやすいように私達でプリエステス、建宮さん、シェリーさんを力づくで引き離すってことでいいの?」
「それしか無いでしょ。……あの三人を力づくとなると難しいけどこっちには学園都市最強と聖人の一人がいるんだから何とかなるわよ」
「任せるのである。ヴィリアンの為にも我は命を賭けて使命を果たしてみせる!」

 初春にヴィリアンの『妹』になってもらう為にやる気満々なのは対馬、浦上、ウィリアム。
 ただ、その方法に関してはかなりの力技というのが微妙ではあるが。

「あなたも協力してあげるんだよってミサカはミサカは初春おねーちゃんとヴィリアンおねーちゃんの仲を応援してみたり」
「……仲とか言うな。王女サマはあくまで初春を『妹』にしたいだけだからなァ。変な感情はねェんだぞ。まァ、俺も出来るかぎりのことはするけどよォ」

 ちょっと乗り気ではない一方通行だが、打ち止めのお願いでもあるのでヴィリアンに協力することに。

「まったく……。どうして私が初春さんの為なんかに動かないと……」
「ごめんなさい五和。私のワガママのせいであなたに不快な思いをさせてしまって」
「い、いえ! とんでもありません! ヴィリアン様にご不満などとそのような……ただ私は初春さんがチヤホヤされてるのが、その」
「寂しいのですね。大丈夫です、皆があなたを思う気持ちが変わることは無いのですから」

 五和が初春を嫌ってる理由、それはいじられポジションを掻っ攫われ、おまけに自分以上に可愛がられているという子供の焼きもちだった。
 しかし冷静に考えれば五和がそんな扱いを今まで受けていたのかどうかと言われれば100%の肯定が得られるのかどうかは微妙な気もするが。
 乗り気ではない五和もヴィリアンの人徳によって動くことを決意する、あくまでヴィリアンの為に。

「じゃあ早速行きましょう! ウィリアムがプリエステス、一方通行はシェリーさん、私、五和、浦上で建宮さんを引き離すということで」
「引き離すってどうゆうことぜよ?」
「どうゆうことって……つ、土御門! それに上条当麻達もいつの間に! くっ、これは今すぐは無理か……」

 すぐさま行動に移ろうとした対馬をリーダーとした『ヴィリアンの初春『妹』作戦』は当麻一行が到着したことで後回しにすることに。
 一方、木山はインデックスに姫神のことについて尋ねていた。

「なあシスター。もしかしてあいさとは姫神秋沙のことか?」
「うん。あいさはとうまと同じで事件に巻き込まれたというか自分が当事者になってるの。だからかざりやはるみ達よりもわたし達と縁は深いんだよ、多分」
「そうか(しかし多分とか今まで忘れ去られていたことを考えると本当に縁が深いのかどうか疑ってしまうな)」

 インデックスの説明、それと今の今まで忘れられていた少女に木山は内心で失礼なことを考えていた。
 ちょうどその時、美琴の電撃で気絶していたレッサーが目を覚まして辺りを見渡すと固まってしまう。

(……えっ? こ、この教会って、ま、魔術師だらけじゃないですかーーーっ! 聞いてません、こんなの聞いてませんよ!)

 レッサーは自分達が掴んだ情報では魔術師は土御門とアステカの魔術師数名しか学園都市には潜り込んでいないとされていた。
 ところが周りには天草式十字凄教、ネセサリウス、神の右席、日本の魔術師と予想以上の数の魔術師が揃っているのだ。
 混乱するレッサーに更なる追い討ちがかけられる。

「あの、あなた初めて見る顔ね。もしかしてあなたも魔術師かしら?」
「ヴぃ、ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィリアン様ーーーーーーーっ! ……きゅう」
「えっ! ちょ、ちょっとあなたしっかりして! ウィリアム! 今すぐこの子を介抱してーっ!」

 混乱状態のレッサーにここにいるはずのない英国の王女様のヴィリアンから声をかけられたことで、彼女の思考はストップしてしまった。
 ヴィリアンの突然の叫びにウィリアムだけでなく、教会にいた人間全員がそちらの方へと駆けつける騒ぎとなってしまうのだった。



 一方、慌てて姫神を探しに行ったステイルは幸運なことにすぐに彼女を見つけることが出来た。


「あ、ちょっと、そこのお嬢さん」
「えーと・・・だれ?」

姫神に忘れられたと思い、しょんぼりしていると
一緒にいた小萌先生が

「あーステイルちゃんじゃないですかー
えーと、姫神ちゃん、この人が姫神ちゃんの命の恩人ですよー」
「あぁ、その節は、どうも、ありがとう」

単に意識が薄くて覚えて無かっただけだった

「いやいや。それよりちょっと来てほしいんだが」
「別に、いいけど、どこへ?」
「すぐ近くの教会だ」
「わかった。先生、また、あとで」
「わかりましたですよー。それじゃあ後でですー」

ふたりで協会にむかった。

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