とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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匿名ユーザー

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流星に願う妹達の想い


それは突然の再会だった。
夕方のタイムサービスで獲得した戦利品を左手に持つ上条当麻の目の前に一人の少女が現れた。

「こんにちわ、とミサカはお義兄様に挨拶をします」

突然話しかけてきた少女は学園都市最強の電撃姫である御坂美琴と同じ顔をしていた。
違いがあるとすれば頭に軍用ゴーグルを着用し胸にネックレスをしている事だ。
彼女は御坂妹、御坂美琴のクローンである。
彼女がお義兄様と呼んでいるのは姉である御坂美琴の彼氏である上条当麻の事だ。
呼び方については色々と議論があったようだが、お姉様の彼氏ならお義兄様なのでは?といった感じに落ち着いたようだ。

「おーっす御坂妹、久しぶりだなー、元気してたか?というかお義兄様はやめないか?なんかこう~落ち着かないというかしっくりこないというか…」
「気に入りませんか、ではお兄ちゃん♪ではどうでしょうか?とミサカは新たな呼び方を披露します」

顎の前で両手を握るというなんとも可愛らしい仕草で言い放った御坂妹に不覚にも意識を飛ばされかけた当麻だが、なんとか寸前で踏みとどまる。

「ぬぅ・・・上条さんはそんな甘い響きには惑わされませんよ?」
「もはや陥落寸前といったところですか、とミサカはお義兄様の理性の弱さに嘆息します」
「だってなー、美琴と同じ顔で『お兄ちゃん♪』なんて反則だろ」
「…アナタは変態なのですね、とミサカはバッサリ切り捨てます」
「ぐわぁぁぁぁー!そんな蔑んだ目で見ないでーーー!?」
「そんな事はどうでもいいのですが少し時間よろしいですか?とミサカは苦悩するお義兄様を無視して話を進めます」

変態扱いされクネクネ動きながら悶える当麻だが御坂妹の方はどうでもいいといった感じだ。

「うぅ…なんだよ、話って…」
「明日の未明にピークを迎える流星群についてです、とミサカはようやく本題に入れたことに満足します」

御坂妹の説明によると、昨晩頃から流星群は見られたらしいのだが、明日の未明は最も多く見られるらしい。
その数は時間当たり数千個という、近年では珍しい量のようだ。
彼女は流星群を文献でしか見たことがないようで、興味深々といった様子で調べたことを当麻に語る。

「というわけなのですが、お義兄様はどうなさるのですか?とミサカは問いかけます」
「どうするっつってもなー、見れるもんなら見たいが、明日は曇りだぜ?曇ってたら星なんか見えないし、それに午前4時頃っていったら相当冷え込んでそうだしな…」

当麻も流星群の話は知っていたのだが、天気予報で曇りというのを知っていた為、既に諦めていた。
それに、この時期はまだ本格的な冬ではないものの、明け方はとても冷える。
防寒装備無しで出ようものならあっという間に体は冷えてしまう。

「その点については心配ありません、それに見えなくてもお姉様といちゃいちゃすればいいだけです、とミサカはお義兄様の頭の悪さをせせら笑います」
「でもなー、寒空の中外にずっといたら風邪引いちまうだろ?俺はいいが美琴が風邪引いたら困るし」
「寒いなら抱き合って暖め合えばいいのです、とミサカは頬を染めつつ言います。きゃ」
「棒読みでわざとらしく『きゃ』とか言ってんじゃねーよ!ったくそんなに俺をからかうのが楽しいのかよ?」
「はい、とミサカは即答します」
「不幸だ…」

御坂妹の精神攻撃に削られていく当麻だが、内心では喜んでいた。
喜ぶといっても精神攻撃に快感を覚えたわけではなく、かつて振った相手が自分の事をお義兄様と慕い、昔と変わらない態度で接してくれている事に…だ。

(それにしても、お兄ちゃんか…いやいや!上条さんは美琴様一筋ですことよ?)

と先ほどの強烈な一撃を反芻し、首を振りながら邪念を振り払っていた。
するとその様子を見ていた御坂妹が怪訝そうな顔(?)をして話しかけてきた。

「お義兄様は妄想癖があるようですね、とミサカは少々引きながらも心配します」
「違っ!考え事してただけだっつーの!」

慌てて否定する当麻を無視して御坂妹は続ける。

「それで結局見に行くのですか?行かないのですか?とミサカは少々苛立ちながら問います」
「スルーかよ!まあ美琴が行くって言ったらな。連絡すっからちょっと待ってろ」
「その必要はありません、先ほどミサカ10039号よりお姉様が行くという報告を受けました、とミサカはお義兄様に報告します」
「は?そうなのか?」
「はい、とミサカは頷きます」

ポケットから携帯電話を取り出し、美琴に連絡を取ろうとした当麻を制し、さらに続ける。

「では明日の午前3時に商店街の入り口に来てください、それから公園に移動します、とミサカは強引に集合場所を決めます」
「商店街の入り口って、またなんでそんな場所なんだ?公園でいいじゃねーか」
「雰囲気作りという言葉を知っていますか?とミサカは心底あきれ果てます」

そういうもんかね?っといった感じで首を捻っている当麻に大きなため息を吐いた御坂妹。
元々この男に期待していなかったので、この反応は予想通りではあった。

(まあ最も、狙いは別にあるのですが、っとミサカはこっそり呟きます)
「ん?なんか言ったか?」
「いえ、何でもありません、とミサカは慌てて取り繕います」
「…?」
~~~♪

御坂妹の反応に疑問を抱いた当麻だったが、携帯電話が鳴った為、手元の携帯を見る。
どうやら電話が掛かってきたようだ。ディスプレイには『御坂美琴』と表示されている。
三コール以内で出ないと後が怖いのでさっさと出ることにする。

『ちょっと当麻!妹と深夜のデートってどういうことよ!?』

いきなり飛び出してきた怒号に耳を痛めつつ、(?)を浮かべている当麻の顔を見て、思わず笑みを浮かべる御坂妹。
無表情で口元を吊り上げ浮かべる笑みはなんだか怖い。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


場所は変わって常盤台女子寮前、そこにはコソコソと辺りの様子を伺う少女の姿があった。

「この格好でこの周辺を歩くのは少々危険ですね、とミサカは久しぶりの緊張感にややドキドキします」
「さて、ここまで来たのはいいのですが、お姉様とどうやって接触するかが問題です、とミサカは頭を悩ませます」

彼女はミサカ10039号、お姉様(オリジナル)である御坂美琴に用があってここまで来たのはいいが、寮内にいるため会えない様だ。
彼女は携帯電話を持っていない為、直接連絡する事は出来ず、かといってこの顔で不用意に近付く事は出来ない。
下手な事をすれば彼女の日常を壊しかねないのだ。
しかし、このままの状態を続けるわけにもいかないので、ミサカネットワークを駆使して最善の方法を探る。

「……」
「………!」
「閃きました、とミサカは己の性能の高さを自画自賛します」

何かを閃いた彼女は物陰に隠れ、自分の能力を全開にして、放電を始める。
彼女の電撃はレベル2か多めに見積もってもレベル3程度だが、自分と同系統の能力を持ち、しかもレベル5という力を持つお姉様なら気付くであろう、という考えだ。

「さて、上手く食いつくでしょうか、とミサカは釣り師的な事を言ってみます」

放電を始めて5分もしないうちにお目当ての人物が寮から飛び出てきた。その顔は少し焦っているような感じだ。
どうしたのか?っと思いつつも放電を引っ込めて物陰から顔を覗かすと、その存在に気付いた人物が接近してくる。

「ちょっとアンタ!こんな所で何やってんのよ!」
「釣りです。とミサカは予想以上の食いつきにほくそ笑みます」
「はぁ?何ワケわかんない事言ってんのよ、ちゃんと説明しなさいよ」

訳のわからない美琴はとにかく状況を知るために妹に詰め寄る。

「実はお姉様に用があったのですが、連絡の手段が無かった為、電磁波という餌でおびき寄せる作戦を試しました、とミサカは懇切丁寧に説明しました」
「私は魚か!で、用って何?アンタが直接来るって事は妹達絡みでなんかあったの?」

放電主の放つ磁力線の波形が近い事から妹達の誰かだと感じた美琴だが、妹達が能力を使う事は滅多に無い為、妹達に何かあったのではないかと思い寮を飛び出てきたのだ。

「いえ、そういった事件とかではないので安心してください、とミサカは単に落ち着けと言ってみます」
「あー何なのよもう!さっさと言いなさいっての!」

妹の態度にイライラする姉、その周囲の空気は帯電しパチパチと音を立てている。
対して妹はそんな姉を見ながらため息をついて本題に入る。

「お姉様、明日の未明にピークを迎える流星群はご存知ですか?とミサカは問いかけます」
「知ってるわよ、それがどうしたっての?」
「一緒に見に行きませんか?とミサカは単刀直入に述べます」
「う~ん、元々流星群は見に行くつもりだったけど、天気が悪いみたいだからパスね」
「そこはお姉様の超電磁砲で雲を吹き飛ばせばいいのでは?とミサカはお姉様の底力に賭けてみます」
「出来るわけないでしょうが!まあ雷雲を呼ぶ事は出来るけど、って雲増やしてどうすんのよ」
「やってみなければわかりません、これが私の全力だーとかいって自販機を打ち出せば何とかなるのでは?とミサカは無責任に投げてみます」
「棒読みで適当に投げんじゃない!全く…何かの事件かと思って出てきてみれば…
 でも安心したわ、…今度からは普通に呼んでよね、心臓に悪いから…」
「今更ですが、お義兄様に電話で呼び出してもらえば良かったのですね、とミサカはしれっと言ってのけます」
「……!!!アーンーターって子は―――――!!」

事件ではなく安心した反面、度重なる妹の適当な態度に姉が切れた。
雷撃の槍を放とうとするが、妹に電撃を浴びせる訳にも行かず、何とか耐えるが、ふとある事に気付く。

「…当麻に電話で呼び出してもらう?どうやって?」

一緒にいるわけでもないのにどうやって連絡するつもりだったのか?っという疑問を抱く姉に妹が告げる。

「現在ミサカ10032号がお義兄様と接触しています、とミサカは報告します」
「………どういうこと?」
「ですから流星観測という名目の深夜デートの交渉をしています、とミサカは衝撃の事実を告げます」
「…………………」

深夜デートという単語を聞いた瞬間辺りの空気が張り詰める、先ほどよりも明らかに電力の上がった帯電で、辺りの空気をバチバチと鳴らす。

「あ、やりすぎました、とミサカは一線を越えてしまったことに気付きます」
「こ、ここは一旦引くべきでしょう、とミサカは怒り狂うお姉様を置いて全力で逃げます!!」

他の妹が彼氏に接触していると知った姉は本気で怒ってしまったようだ。
直感的にマズイと感じた妹はを言い終わる前に物陰から飛び出し走り出していた。その顔は若干引きつっているようにも見える。

「あ!この!待てやこら―――――!!」
「ミサカは生命の危機を感じお姉様の制止を無視して逃亡します!とミサカは――――ッ!!」

常盤台女子寮の前を全力疾走で逃げる妹と雷撃を放ちながら追う姉、もはや下手な行動を遥かに超える行動になってしまっているが、
当の本人達にそんな余裕は無い、流星群を見るという当初の目的も忘れ走り回る。
しかし圧倒的に力の差があり、数分もしない内に妹が姉に捕まった。

「ったく!手間かけさせんじゃないわよ!」

首根っこを掴まれ抵抗をやめた妹に姉は言う。
出来るだけ安全に捉えるために足に狙いを絞って痺れる程度の電撃を浴びせていた。
同じ電撃使いを痺れさせるというのはとても高度な技術を必要とするが、
血が上った状態でもその絶妙な調整が出来てしまう辺りは流石レベル5と言ったところだろう。

「………」

対して妹の方は覚悟が出来たのか無言で俯いている。抵抗する気は無いのか、体の力は抜けている。
だが、その体は小刻みに震え、審判の時を待っているように見える。

「さてと、洗いざらい吐いてもらおうかしら」
「………もう手遅れです、先ほどミサカ10032号より交渉成功という報告を受けました。とミサカは決定事項であることを告げます」
「…あんにゃろう…!」

妹の台詞を真に受けた姉が携帯電話を取り出す、そして履歴にある『上条当麻』という名前に電話を掛ける。
普段から三コール以内で出ろ、っときつく言ってある為か相手はすぐに出た。
頭に血が上っている状態だったため、相手の返事を待たずに怒鳴る。

「ちょっと当麻!妹と深夜のデートってどういうことよ!?」

顔を真っ赤にして怒り、電話の相手にいきなり怒鳴る姉。
その様子を見て、10032号同様の笑みを浮かべる妹の姿がそこにはあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


美琴の突然の怒鳴り声に思わず片目を瞑り携帯電話を耳から離す当麻。全く状況が掴めていない様だ。

『―――!!―――――!?』

電話の向こう側ではまだ何か叫んでいるようだが耳が痛くて聞き取れない。
とにかく訳のわからない当麻は目の前の御坂妹に問いかける。

「おいおい、一体どうなってるんだ?突然デートがどうのこうのって叫んできたんだが…さっきの話だと美琴にはOKもらったんじゃねーのかよ?」
「おかしいですね?とミサカは首を傾げます」
「んで?どうすんだよこの状況…美琴の奴相当怒ってるみたいなんですが…」
「そこはお義兄様の巧みな話術で怒りを鎮めるのです、とミサカは助言を与えます」
「不幸だ……」

本日二度目の不幸だ宣言。
御坂妹のやらかした事態を収拾するために電話の向こうで怒る彼女と話す為に携帯に耳を近づける。

『無視すんなやゴルァーーー!!』
「まてまて、とにかく落ち着け美琴、正直状況が分からん」
『はぁ!?とぼけんじゃないわよ!アンタが妹とデートするって話よ!』
「だから落ち着けっての、そもそもなんでそんな事になってんだ?御坂妹には美琴が流星群見に行くのOKしたって聞いたぞ?」
『んな事言ってないわよ!』

そうなのか?っと首を傾げる当麻。すると御坂妹が話しかけてきた。

「どうやらミサカ10039号が暴走したようですね、とミサカは10039号に責任を押し付けます」
「事態の収拾と話を進めたいので携帯電話を貸してください、とミサカはいつまでも進まない話に苛立ちながら手を出します」

半ばひったくるように携帯電話を奪う御坂妹、元々自分達の悪戯が原因なのだが、二人が喧嘩してしまっては元も子もないのでこの辺で収拾を付けるために動く。

「申し訳ありませんお姉様、デートというのは冗談です、とミサカはミサカ10039号の失態について謝罪します。
 ですが、流星群観測は決定事項ですので、お姉様が来ない場合は本当にデートになってしまいますがよろしいですか?とミサカは忠告します。
 その上で来るか来ないか今すぐに決めてください、とミサカは決断を急かします」
『勝手に話を進めるんじゃない!いいわよ!行ってやるわよ!!行けばいいんでしょ!!!』
「では、明日の午前3時に商店街の入り口に来るようにお願いします。一応そのミサカ(10039号)に護衛させますので、とミサカは淡々と連絡事項を述べます」
『私はレベル5よ?護衛なんかいらないわよ、集合は商店街に3時ね、分かったわ』
「ではお待ちしています、とミサカはお義兄様に携帯電話を返しつつ述べます」

あっという間に美琴の参加が決まった。巧みな話術で美琴の弱点を付く御坂妹。
その会話を聞いていた当麻は圧倒されつつも携帯電話を受け取る。

「悪ぃな美琴、なんか強引に誘ったみたいな格好になっちまって」
『別にいいわよ、あの子とデートさせるわけにもいかないでしょ、それとも当麻はあの子と二人っきりの方が良かったかしら?』
「そんなわけ無いだろ、それに元々美琴が来ないなら行かないつもりだったしな」
『ふ、ふーん、まあ当麻がそういうならそういうことにしといてあげてもいいわよ』

当麻の言葉が少し嬉しかったのかややごにょごにょ声になっている美琴、
しかし当麻の方は気にせずに疑問を口に出す。

「それよか寮の門限はどうすんだ?流石に深夜じゃ出れないだろ?」
『ま、何とかするわよ、それなりに手段はあるから』
「分かった。でもあんまり無茶すんなよ。そんじゃあまた明日な美琴」
『うん、ありがと。また明日ね当麻』

短い会話を終わらせて電話を切る。すると今まで黙っていた御坂妹が呆れ顔で話しかけてきた。

「やれやれ、先ほどの怒りは何処へやら、とミサカはお姉様の変わりように呆れてみます」
「元々お前がややこしいことするからこんな事になったんだろ…」
「ではミサカも準備がありますのでここらで失礼します、とミサカはお義兄様に頭を下げます」
「スルーかよ…」

ぺこりっと軽くお辞儀をすると御坂妹は走り去って行った。
その背中を見送っていた当麻だったが、小さくため息をつくと寮に向かって歩き出した。
辺りは先ほどよりも暗くなり、少し重たい雲が掛かっている。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そして日付けは変わり午前2時30分。集合時間まで後30分と迫ったところで妹達はこれからの『計画』
について作戦会議をミサカネットワーク内で行っていた。

「まず、2:45分より公園内にいる『敵』の排除を行い、その間にミサカ10039号がお姉様を迎えに行きます。
 そして3:00分に集合した後、公園に向かいますが、あの二人が手を繋ぐまでは能力の使用をしないでください。
 下手に能力を使用するとお姉様に気付かれてしまうかもしれません、とミサカ10032号は長ったらしい説明をします」
「二人が手を繋いだら能力の使用を開始し公園の残党及び公園に近付く『敵』を排除します。
 注意すべき点は二人の半径500m以内でサブマシンガンを使用しない事。いくら消音装置つきといっても
 多少の音は出るので聞かれたら恐らく今回の『計画』は失敗です、とミサカ14200号はサブマシンガンの危険性について注意します」
「公園の制圧が完了したら19090号は毛布とお茶入りの水筒を準備し展望台周辺の清掃をして待機、
 その他のミサカは公園の出入り口及び周辺、500m、1Kmと警戒網を引いてください。
 公園に向かう『敵』は意識を奪って開けた場所へ移動、向かわない者は警戒対象とします。
 アンチスキルに連絡されると困るので襲撃現場を目撃されないように各自行動してください、とミサカ13577号は更に詳しい内容を述べます」

ここで言う敵というのは流星群観測の為に公園にやってくる人の事を言う。
それは、学園都市の一般人の事を指す。『計画』の為に星を見に来る一般人を襲撃するのは気が引けるが、今回の妹達は本気モードだ。
といっても殺人をする訳ではなく、気絶させて開けた場所に移動させ、そちらで流星を見てもらおうという寸法だ。

「しかし、このような天気では誰も来ないのではないのでしょうか?とミサカ10039号は空を見上げてみます」

昼間の会話の通り空は厚い雲に覆われている。このような天気では星など見えない。
という事は外に出て星を見ようなんて人間は殆どいないであろう。それは妹達にとってはありがたい話だ。
もし晴れていたら学園都市内でも特に見晴らしの良いあの場所は、多くの人が押し寄せ、とても捌ける人数ではないはずだからだ。

「そういえばお義兄様の迎えは無しで良いのですか?とミサカ19090号は大きな問題に気付きます」
「「「「「「「 ? 」」」」」」」
「そういえばお義兄様はお姉様のデートの時毎度のように遅刻していましたね、とミサカ12000号は重大な事実を思い出します」

そう、上条当麻は不幸体質だ。それ故何かに巻き込まれ約束の時間に現れないことが多い。
どうしたものかと悩む妹達だがすぐに結論を出した。

「ではお義兄様の居場所に近いミサカが迎えに行きます、とミサカ10032号は立ち上がります」

そう言うと御坂妹は上条当麻の寮に全力疾走で駆けていった。

「そういえば最大の問題である雲の対処の方は上手くいくのでしょうか?とミサカ10560号は上位個体の反応が無い事に気付きます」
「あのお子様はきっと寝ているのでは?とミサカ12900号は推測します」
「起きてるよー、ってミサカはミサカは眠い目をこすりながら言ってみたりー…ふぁ~」
「上位個体、そっちの方は上手くいきそうなのですか?とミサカ10032号は上位個体が起きていた事実に驚愕しつつ問います」
「あの人の協力は得られたから大丈夫!ってミサカはミサカは自信満々に語ってみたり!」
「どのようにして協力を得たのですか?とミサカ13577号は分かりきった事実について問います」
「えーっと、流星群みーたーいーって駄々っ子交渉術を使ったら即答だったよ、ってミサカはミサカは己の交渉術を自慢してみたり!」
「「「「「「「 やはりあのロリコンはロリコンだったか 」」」」」」」

満場一致の意見を弾き出した妹達。そして会議を終え、残り僅かな時間を各々の準備に当てる。
現在、学園都市には、世界各地からこの日の為に集まった妹達が200名程いる。
今日この場に来れなかった妹達も『計画』が上手くいくように願っていることだろう。

そしてAM 2:45

「では各自作戦行動を開始してください、とミサカ10032号は全力疾走を続けながら全妹達に通達します」
「「「「「「「 了解 」」」」」」」

御坂妹の通達と共に、約200名の妹達が動き出す。
大切な二人の幸せの為に、そして二人の本当の笑顔の為に。


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