とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「そこの白い少年」
「アァ?何だよオッサン2号」
「それはそうなるとオッサン1号はあそこの聖人か?」


闇咲は神裂に切られないようにウィリアムを指差す。


「アァ、それがどうしたァ?」
「そうか……いかん、冥土返しからの頼み事を忘れる所だった。」
「冥土返しって………あのカエル医者からかァ?」
「あぁ、よくわからんがチョーカーの新型と聞いたぞ」


 新型のチョーカーと聞かされた一方通行は喜んで闇咲から包みを受け取る。
 その際、包みと一緒に手紙を渡されるが怪訝そうに手紙を見つめる一方通行。

「そんなに不審がる必要も無い。手紙は説明書みたいなものだと冥土返し(ヘヴンキャンセラー)が言っていた。請求書の類ではないから安心するといい」
「ならいいンだけどよォ……。とりあえず手紙を見た方がいいよな、やっぱ」
「ほう、先生が製作した君専用の電極か。興味があるな。どれ、私が読んでやるから君は聞いてるだけでいいぞ」

 そこへ科学者としての顔をして木山が強引に一方通行宛ての手紙を引ったくると、断りも無く封を開け始める。
 一方通行も闇咲もいきなりのことで何も出来ず、ただただ木山のペースに流されることになる。

「では読むぞ。拝啓、一方通行。今日も元気にベクトルってるかい? あの子を泣かせてはいないだろうね? ああ、変な意味じゃないから気にしないでくれ」
「待てやコラァ! そんな世間話つーか、失礼ブッコキまくりの挨拶はいらねェんだよ! さっさとこのチョーカーの説明に入れ!」
「きっと君は今のつかみで怒ってるだろうね? 短気は損気だよ? 時には無駄な会話を楽しむのも悪くないと僕は思うけどね?」
(少年の性格を読んでの先読みとは流石だな……)

 カエル顔の医者のまるでここで一方通行と会話してるかのような文体に驚くのは木山と闇咲、イライラし始めてるのは一方通行だ。

「気が短い君の為のその電極のスペックを教えよう。日常生活での平常使用なら144時間、能力使用は最大90分だ。3倍は男のロマンだからね?」
「何言ってんだ、あのアホ医者。3倍が男のロマン? いつの時代の話だってンだ……」
「3倍には色々とロマンが詰まってるんだよ? 時代が移り変わろうともそれは変わらない。そんな君にアホと呼ばれるのは心外だよ?」

 この先読みした文体にすっかり慣れた3人は特にツッコむ気も無く、先へと進める。

「ここからが改良のポイントだから良く聞くように。まず地下深く潜ったり妨害電波による使用阻害は無くしておいた。理論は君に言っても分からないから言わないけどね?」
(やりゃァできンじゃねェか、あのカエル)
「それと暗部からの遠隔操作も無効にしてある。まあ君には杖があるから必要無かっただろうけど、僕からのサービスと思ってくれていいよ?」

 一方通行はカエル顔の医者の粋な計らいに心から感謝したが、それもここまで。
 ここからはちょっとどころかかなり台無しなことが書かれているのだから。

「あと充電なんだけどね? 充電時間は倍になったから。3倍強化とかオプション付加の代償としては安いものだと僕は思うけどね?」
「そこはてめェが気ィ利かせろやコラァ!!」
「気を利かせてこれなんだけどね? ああ、気を利かせるといえば僕から君へのプレゼントだ。包みを開けて電極を見るといい。素敵な文字が刻まれてるよ?」

 一方通行は嫌な予感がしながらも、包みを乱暴に開けると新型の電極をマジマジと見つめる。
 そこに書いてあった言葉を見た一歩通行は迷わず電極を叩きつけようとしたが、すんでの所で闇咲が受け止めて未遂に終った。

「君は99%の確立で電極を壊そうとするね? もう少し心を広く持った方がいいよ? たかが『ラストオーダー LOVE FOREVER』って書いてあるだけなのに」
「これで心を広く持てって言われてハイそうですかって言えるかァァァァァァァッ!!」
「まあ君が恥ずかしがって嫌がってるだろうからちゃんと手は打ってあるから安心するといい。その文字はシールになってるからはがれるよ?」
「うむ、その手紙に書いてある通りこれはシールになっている。このシールをどうするかは君に任せよう」

 闇咲の提案に答える代わりに無言で引ったくりシールを剥がすと、グシャグシャに丸めて包みとまとめてゴミにした一方通行。
 これでようやく終わりかと思ったが、木山が先程までのカエル顔の医者の手紙の朗読を終えて、いつもの口調に戻った後で、

「最後にその電極の始動キーが書かれている。君の声を入力することでその電極は初めて完成と言えるものになるようだ。さあ、あとはその言葉を言うだけだから簡単だろう?」
「まあ、それくらいなら別に……ちょっと待て。コレが、コレがホントに始動キーなのかよ……?」

 木山は始動キーが簡単だと言ったが冗談ではない、一方通行は心からそう思った。
 彼がそう思うのも無理ないことだった、何故なら始動キーは『打ち止め、愛してるZE』という愛の告白なのだから。


「…………………………………………………………………………殺すゥ……………、ゼェッッッタイ殺してやるゥゥゥうううううううううううううううううううううう!!」

一方通行は我慢できなかった。あのナース属性の変態めが。
何故一方通行の周りの白衣を着た連中はこうまともな奴がいないのだろうか?
この際どうでもいい。
一方通行は背中から何か弾け飛ぶ感覚がした。右腕からは何かがあふれでてきた。
どうやら今の一方通行は黒い力を感情の高まりで出てきてしまうらしい、だがそんなものどうでもいい。







もうは壊すだけだ。




今の一方通行は意識こそはあるものの、黒い力を抑える事ができなかった。


「えっ! ちょっと何あれ! 当麻、どうしてアクセラが黒くなってるの!」
「いや、翼は知ってるけどあの右腕は上条さんも初めて見るもので何と言っていいのやら……」
「あんの馬鹿! 何いきなり暴走してやがる! 教会ぶっ壊すつもりか! 月夜、アクセラの奴を氷漬けにしてくれ!」
「……もうやってるけど無理だよ。凍らせようとしてもあの翼と腕の力の余波が受けつけないの!」

 上琴、土白は一方通行の新しい力の姿にただただ驚くばかり。

「ス、ステイル、白い人が黒い人になっててよく事情が呑み込めないんだよ……」
「それは僕も同じだよ……。ただこのままだと確実に教会は跡形も無く消し飛ぶことだけは分かるけどね」
「こっちが応戦しようにもエリハル弐号機もあんたのイノケンティウスもこの室内じゃ使えないし……どうしたもんかねぇ」

 インデックスは軽いパニックに陥り、ステイルとシェリーは対処方法が見つからずに途方に暮れている。

「ウィリアム! 彼を止めて下さい!」
「そうしたいのは山々だが、この少女を放り出すわけにはいかないのである。それに少年が動き出す気配が見えないから今は大丈夫だろう。今は、な」

 ウィリアムは今の一方通行をまるで『爆発寸前の火薬庫』のようだと捉えており、早急に手を打たないとマズイと考えていた。
 しかしレッサーを介抱している身、そして自分と一方通行が戦えば周りも無事では済まないと考えているので動くことが出来ない。

「たたたたたた滝壺。お、俺の後ろに隠れてるんだぞ?」
「浜面、ブルってるのにカッコつけようだなんて超微妙ですよ」
「大丈夫、はまづらがそれでもわたしを守ってくれることには変わりないから嬉しい」

 元アイテム一行はいつもの調子である。

「ここで。彼を。黙らせれば。私が一躍トップスター?」

 影の薄い巫女さんは身に合わぬ夢を抱いているが、体は正直で初めの一歩が踏み出せずにいた。

「五和! アンタあのウィリアムに立ち向かった勇気を今ここで思い出しなさい!」
「ちょっと対馬さん! それって私にあの人と戦って死ねってことですよね!」
「大丈夫だよ五和。あんたなら死んでも死なないから♪」

 対馬と浦上の自分に対する扱いがぞんざいなことを嘆きつつも、海軍用船上槍を構える五和(対馬も浦上も自分の得物を構えている)。
 この状況で誰よりも早く行動出来そうなのは神裂と建宮だが、モチベーションは言うまでも無く初春である。

「建宮、分かってますね。飾利を守るためです。彼には悪いですが全力で叩き伏せますよ!」
「合点承知なのよね! この建宮斎字、プリエステスと飾利姫の為ならどんなことでも……って飾利姫は?」

 建宮が初春が自分達の周りにいないことに気づいた為、神裂も慌てて彼女を探し始める。
 一方、初春は神裂達が離れて冷静に木山と闇咲の所に向かっていた、打ち止めを連れて。

「木山先生、闇咲さん。何があったんですか?」
「なに、大したことではない。要は青少年の健全な悩みみたいなものだ」
「木山の言うことは気にしなくていい。実はな……」

 マイペースな木山を軽く無視した闇咲はこうなった事情を初春と打ち止めに話し、その際、手紙も二人に見せていた。

「先生ったらこれはちょっと悪ふざけが過ぎますよ……。でもこれならアホ毛ちゃん一人で何とかなりそうです」
「ええっ! 初春おねーちゃんはミサカに死ねと仰りますかってミサカはミサカは今のあの人を抑える自信が全く無いって宣言する!」
「そうでもないですよアホ毛ちゃん♪ というかアホ毛ちゃんにしか一方通行さんを抑えることは出来ないでしょうから」

 初春は手紙を読んだ後で打ち止めに作戦を指示、打ち止めもそれを了承して一方通行の所へと走り出す。
 一方通行は打ち止めの姿を視界に映したことで黒翼と黒き悪魔の右腕の出力を無意識の内に抑えるのだった。


「それ以上暴れるならミサカはあなたのこと嫌いになっちゃうぞってミサカはミサカは宣告する!」
「ぐはっ!!!!!!!!」

 打ち止めのたった一言で学園都市最強は黒翼と黒き悪魔の右腕を消し去り、その場に崩れ落ちた。
 崩れ落ちた一方通行に周囲(初春以外)がどよめく中、打ち止めはそっと小声で彼に囁く。

「あのね、始動キーはみんなの前で言う必要は無いんだよってミサカはミサカは当たり前のことをあなたに言ってみたり」
(そ、そういえばそうじゃねェかァ……。クッソ、バカップル共のせいで人前が当たり前に思っちまったぜ)

 バカップル達の影響か、そうゆうことは堂々としたり言うものだといつの間にか思っていた一方通行。
 それを見越した初春の作戦通り、打ち止めが動き出す。

「で、でね? 出来ればその始動キーをミサカの前でだけ言って欲しいなってミサカはミサカは頬を染めておねだりしてみる」
「て、てめェの前でだけってこたァ、その、つ、つまり二人っきりってことかァ?」
「う、うんってミサカはミサカは恥ずかしさを我慢しながら伝えると共にこのことはみんなには秘密にするって初春おねーちゃん達からの伝言も伝えてみる」

 一方通行は反射的に初春の方を見ると、このことを知ってる初春、木山、闇咲が軽く手を振っていることに気付く。
 あの三人なら大丈夫だと確信した一方通行は打ち止めの手を取って、教会の奥へと入って行った。

「おっ? 何だか面白いことが起こりそうな予感ぜよ♪ みんな突入にゃー!」
「そうはいきませんよ。火織お姉ちゃん、お願いします♪」
「えっ? は、はい!」

 意気揚々と追いかけようとする土御門を初春にお願いされるまま、『七閃』で牽制する神裂。
 ビックリした土御門は初春に抗議しようとするが、久々に見せる真っ黒な初春のオーラに全員ビビる。

「ここから先は立ち入り禁止です♪ 一方通行さんとアホ毛ちゃんしか入ることは認めません♪ 人の恋路を邪魔する人は死んで下さい♪」

 そんな初春のフォローが入ってることなど知らない一方通行は打ち止めと二人っきりになり、始動キーと言う名の愛の告白を言うことに。


「ら、らすとおーだー……あ…………ZE…」
「なーにー?聞こえなーいってミサカはミサカはからかってみる♪」

ぷるぷる震えながらも一方通行は耐えた。もう色々と限界だ。一方通行は思わず叫んでしまった。叫んで言ってやった。

「ラストオーダー!!愛してるZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」

打ち止めはふにゃ!といいながらも顔を赤くし周りはニヤニヤ笑っている………………

……………………………………………………………………………………………………………………周りだと?

そう、一方通行があまりにも大きな声でいてしまったので全員に聞こえてしまったのだ。

「いやー、嬉しいなー!!ってミサカはミサカはあなたに抱きついてみる!!」

周りはおおっ!!とか言っていたが今の一方通行には聞こえてない。
しかしその時、打ち止めの携帯に電話がかかってきて。携帯からカエル医者の声が聞こえた。カエル医者は

『ドッキリ成功おめでとう』

確かにそう聞いた。
一方通行はすかさず打ち止めから携帯を取り上げた。

「オイ……今のはどういうことだァ?」
『おやおや、聞いていたのかい?まあドッキリも終わったみたいだし教えてあげようか



まずそんな始動キーを言わなくちゃ能力使えないというのがうそ』


……………………………………………………………………………………………………………………はい?


『だいたい僕がそんな遊び心で患者の生活のことを考えないないと思ったかい?』

言われてみれば………
確かにひとこと言うだけでスイッチが入るのは便利だ。
だが一方通行は常日頃から命の駆け引きをしているため指でスイッチを切り替えたほうがまだ早い。
その為カエル医者がそんな事をしないと分かる。

『本当は君が能力を発動したいと思った時に発動できるよ、そこは普通の能力者と同じになったけどまだ能力発動時間が90分というのはいろいろ考えなきゃいけないねえ、でも普通の能力者でも……』
「待て、それは今はどォでもいい、なんでそんな嘘ついたんだァ?」
『それは打ち止めからのお願いさ、唇にキスはしたみたいだけど、その先に進みたいって病院で相談されてね?それで今回のドッキリ作戦を提供してってわけさ』

一方通行はそれを聞いて黙って携帯の電源を切った。
周りの連中はまたニヤニヤ笑っている。どうやら『唇にキスはしたみたいだけど』のところが聖人経由で伝わったらしい。
もうダメだ。
一方通行はこの時誰がなんと言おうと死んでやると思った。例えそれが打ち止めでも(というかそもそも打ち止めが元凶だった)。


「死ンでやる。もう、死ンだほうがましだァ…」
一方通行は、どこに持っていたのかわからない銃を取り出し、自分に向けた。

「だめ~ってミサカはミサカは急いであなたにアタックしてみる。」
打ち止めは即座に一方通行をアタックし、とりあえず一方通行を押し倒した。
そして一方通行を押し倒した後の打ち止めは、一方通行が持っていた銃を蹴り飛ばした。

「おい!いきなりなにするn」
一方通行が打ち止めの方を向くと、打ち止めが泣いていた。

「あなたが死んだらヒクッ、私はどうすればいいのヒクッ、ってミサカはミサカは聞いてみたりヒクッ。それにヒクッ、妹達はどうするのヒクッ、ってミサカはmうわ!?」
打ち止めが一方通行に泣きながら言っていら、突然一方通行に抱きしめられた。

「ごめん。そうだったなァ。俺は妹達と打ち止めを守るンだったなァ。」
「気づいてくれでば良いんだよってミサカはミサカは嬉しかったり。」

そういうと、一打は唇でキスをした。

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